調査報道
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調査報道(ちょうさほうどう、英: investigative journalism)とは、報道のスタイルの1つである。あるテーマや事件に対して、取材する側が主体性と継続性を持って様々なソースから情報を積み上げていくことによって新事実を突き止めていこうとするタイプの報道である。なお、警察・検察や官庁、企業などによるリーク、広報、プレスリリースなどを中心とする報道は発表報道という。
概要[編集]
日本では、近代新聞の発行が始まった明治以降にこの概念が持ち込まれたが、大東亜戦争(太平洋戦争・第二次世界大戦)までは時の政府に対する調査報道は極めて難しく、財界や大物経済人のスキャンダル(不正行為・汚職)にほぼ限定されていた。これは、検閲制度により政府・与党・軍部に不利な発表は排除されていたことと、取材する側も明治憲法で天皇の神聖不可侵が定められたことにより、天皇を輔弼する内閣総理大臣や閣僚の私生活および裏事情に迫ることは任命権者たる天皇への不敬になる恐れがあるとして、憚られたことによる。
戦後(主権回復後)も官公庁などに記者クラブがあるため、大手マスコミすら発表報道偏重に陥りやすく、調査報道をしようとするフリージャーナリストが取材活動しづらいと指摘されている。
また、各種の報道におけるタブーの存在により、明らかになった新事実が日の目を見ない、もしくは握り潰されることもある。例えばジャニーズ事務所創業者であるジャニー喜多川による性加害問題は、喜多川の生前は話題になることが少なく、死後4年以上経った2023年頃から問題視されることとなった。
事例[編集]
海外[編集]
●アイダ・ターベルによるen:The History of the Standard Oil Company ●ソンミ村虐殺事件 - フリージャーナリストシーモア・ハーシュがザ・ニューヨーカー紙に出稿。ピューリッツァー賞受賞。 ●ウォーターゲート事件 - ワシントン・ポストの記者2人が調査報道を積み重ね、その結果第37代アメリカ大統領リチャード・ニクソンを辞任に追い込んだ。日本[編集]
新聞社・テレビ局による調査報道は日本新聞協会賞・日本記者クラブ賞特別賞や国際ニュースではボーン・上田賞を受けることが多いためそちらも参照されたい。本項では、新聞協会賞の選考から漏れた、または選考対象にならない雑誌媒体による調査報道のうち、特に秀逸とされた案件を紹介する。
インターネット上での調査報道を採用している媒体[編集]
2018年1月に西日本新聞社が開始した調査報道企画﹁あなたの特命取材班﹂の成功を機に、新聞社を中心に﹁あなたの特命取材班﹂と同種の調査報道企画を採用している報道機関が増えている。いずれの報道機関も、読者からインターネット経由で情報提供を受けて、記者が取材を行い、ニュース化しているのが特徴である[15][16]。 ●2024年2月時点。 表中﹁JOD﹂は﹁あなたの特命取材班﹂と提携しているメディア︵JODパートナーシップ参加媒体︶。詳細は、公式サイトの︽JODの理念とパートナー一覧︾を参照。なお、東奥日報のように通常記事閲覧が有料のウェブサイトにおいても、当該記事は基本的に閲覧制限が設定されていない。 ﹁NHK﹂は各地のNHK放送局︵全ての局で調査報道を実施している訳ではない︶。詳細と参加局の一覧はNHK NEWS WEB内の﹁声を聴かせて!あなたのお困りごとをNHKが調べます﹂も参照。 ●表中で﹁︵東京新聞、NHK︶﹂のようにカッコ書きで媒体名が記載され﹁連携﹂欄が﹁△﹂の場合、県域紙やローカル局でなく県内を頒布対象とするJOD参加のブロック紙、もしくはNHK首都圏局がカバーしていることを表す。﹁-﹂はその媒体で独自に調査報道を行っているが、JODには非参加。﹁採用媒体なし﹂で﹁×﹂の場合、県域紙やローカル局では調査報道を行っていない︵全国紙のみフォロー︶。 ●海外については、西日本新聞の自社支局があるアメリカ・タイ・韓国・中国において﹃あなたの海外特派員﹄というタイトルで同様の企画が行われており、その取材結果は西日本新聞のWebサイトやSNSを通じてフィードバックされる。脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ 取材源の秘匿はジャーナリズムの大原則であるが、それに反しない形でテーブルに出すことになる。
- ^ 一説にはジョージ・オーウェルの言葉だとされている。
出典[編集]
関連項目[編集]
- ジャーナリスト
- センター・フォー・パブリック・インテグリティ
- オープン・ソース・インテリジェンス
- 発表報道
- 国別にみた情報公開法
- 日本新聞協会賞 - 編集部門賞は調査報道の成果が授賞対象となることが多い
- あなたの特命取材班
- 潜入報道(アンダーカバー・ジャーナリズム(英語))
- コタツ記事