プラグインハイブリッドカー
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EV走行時の最大航続距離約96 km(59.7マイル)
EV走行時の最大航続距離約64 km(39.8マイル)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/1/15/Toyota_Prius_Plug-In_Hybrid_IAA_2009.jpg/200px-Toyota_Prius_Plug-In_Hybrid_IAA_2009.jpg)
EV走行時の最大航続距離約23.4 km(14.5マイル)
EV走行時の最大航続距離約44.0 km(27.3マイル)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/e5/Volvo_XC90_%2829547145265%29.jpg/200px-Volvo_XC90_%2829547145265%29.jpg)
EV走行時の最大航続距離約35.0 km(22.7マイル)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/9/9c/4838397_at_Tian%27anmen_%2820200825105132%29.jpg/200px-4838397_at_Tian%27anmen_%2820200825105132%29.jpg)
持続可能エネルギー |
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プラグインハイブリッドカー (plug-in hybrid car) は、既存の内燃機関︵インターナル・コンバッション・エンジン、ICE︶を積んだハイブリッド式電気自動車︵HEV︶に、充電スタンドや家庭用コンセントから差込プラグを用いてバッテリーにも充電できるようにした自動車であり、PHV (Plug-in Hybrid Vehicle) またはPHEV (Plug-in Hybrid Electric Vehicle) と略されるプラグインハイブリッド式輸送機器の一種。
概要[編集]
プラグインハイブリッドカーは、ハイブリッドカーより更に容量の大きなバッテリーを搭載し、充電ステーションや家庭用電源からプラグ︵電気機器の電源コードの先に付いている差込器具︶を利用して充電できるようにしたもので、ハイブリッドカーよりも電気モーターのみで走行できる距離が長い。給油のみで稼働する内燃機関自動車︵インターナル・コンバッション・エンジン・ビークル、ICEV︶やハイブリッドカーの利便性を残しながら、二次電池式電気自動車︵BEV︶により近いタイプのハイブリッドカーである。 二次電池式電気自動車︵BEV︶は、エネルギー効率が内燃機関自動車︵ICEV︶の数倍高く、燃費︵電費︶で圧倒的に優れ、走行中にCO2やNOxの排出が無いゼロエミッション車︵ZEV︶であることが最大のメリットであるが、同程度車格の内燃車︵満タン時︶に比べると航続距離や立ち往生時のエアコン稼働時間が短く、満充電にも時間がかかるため、長距離走行では、途中で短時間の継ぎ足し充電[1]と短距離走行とを繰り返す﹁ループ﹂に陥る。 一方、内燃機関で発電して一部を電動化した非プラグイン方式のハイブリッドカー︵HEV︶では走行用バッテリーを内燃機関の補助と割り切っており、車両自体の取り扱いは従来からの一般的な内燃機関自動車︵ICEV︶に近い性質で、航続距離の長さや給油回数の少なさなどの実用性は、同車格のICEVよりも優れている。これら双方の利点を取り込むため、従来のHEVに比べ大容量の走行用バッテリーと、十分な出力を持つ内燃機関の両方を積むことによってエネルギー効率の向上とエネルギー充填頻度および速度に関する不便さを低減させたのが、プラグインハイブリッドカー︵PHEV︶である。車両の遊休時間を利用して外部電源から走行用バッテリーに充電し、短距離であれば電気モーターのみで二次電池式電気自動車︵BEV︶と同等に走行できる。走行用バッテリーの残量が不足した場合にはHEV同様、エンジンを用いた充電しながらの走行となり、排気が発生するため、ゼロエミッション車︵ZEV︶には含まれない。 海外では2008年に中国で政府機関向けに発売された比亜迪汽車︵BYDオート︶のプラグインハイブリッドカー﹁F3DM﹂が世界初の量産型PHEVとなった。F3DMの二次電池容量は20 kWであり、最長60マイル︵約96 km︶を電池のみで走行可能である。したがって片道40キロ程度の移動距離で、冷暖房を使わず渋滞にも巻き込まれなければ、ガソリンを使わずに往復できる。F3DMの価格は14万9800元︵200万円弱︶[2]と中国における一般的なガソリン車の2倍以上もするため、販売台数は2010年12月時点で500台未満にすぎなかった。 ゼネラルモーターズは、2010年12月よりシボレー・ボルトを北米市場に投入し、2011年10月までに5,329台を販売している[3]。また、アメリカの新興自動車メーカーフィスカー︵Fisker Inc.︶は、2011年11月より100,000ドルを超える高級PHEスポーツカー、カルマの一般顧客向け販売を開始したが、走行用リチウムイオンバッテリーの生産を委託していたA123・システムズが品質不良による大量リコールを抱えて2012年10月に経営破綻、これにより、生産継続が不可能となったフィスカー社も、2013年11月、連鎖的に経営破綻している。 日本では2017︵平成29︶年度に435万台の新車乗用車が販売され、そのうち約3.4万台︵0.78 %︶がPHEVであった[4]。 レーシングカーでは2009年のニュルブルクリンク24時間において、元F1ドライバーのハインツ=ハラルド・フレンツェンが立ち上げたプロジェクトで、グンペルト・アポロをベースとする4WDのプラグインハイブリッド車両が投入されたことがある。しかしレース序盤以降はトラブルでピット (サーキット)ピットに籠もり、規定周回数を満たせなかった。 また、2022年以降の世界ラリー選手権︵WRC︶の﹁ラリー1﹂規定において、プラグインハイブリッドカーが導入された。SS︵競技区間︶とSSの間となるリエゾン︵移動区間︶の一部において、﹁一切エンジンを使用せず電気モーターのみで走行する﹂ことが義務付けられる。長所と短所[編集]
長所[編集]
●短い距離ならエンジンを稼働させずに電気のみで走る事が可能。 ●化石燃料、バイオ燃料、合成燃料に比べて電力料金は圧倒的に安く、発電方法の選択次第で環境負荷も低く抑えられる。[要出典] ●2つのエネルギー源を使えるため、フレキシビリティに富む。 ●電気のみで走行し、走行用バッテリーの残量が少なくなった場合にはハイブリッドカー︵HEV︶同様に燃料の残量があれば、エンジンで充電しながらの走行も可能。 ●燃料があれば発電できるため、荒天や災害による長時間の立ち往生に強い。また逆に災害で物流よりも電力が先に復旧した場合もEVとしての運用が可能である。二次電池式電気自動車︵BEV︶と同様に家庭や避難所では非常用電源となる場合もある。 ●2022年時点ではBEVよりも車両価格が遥かに低く、HEVより少し高い程度の金額で購入できる。同一車種でBEV、HEV、PHEVの3種類を揃えたヒョンデ・アイオニック︵北米仕様車︶の例では、2022年5月時点での車両本体価格が、BEVの33,245ドルから、HEVの23,600ドルからに対し、PHEVは26,800ドルからであった。またマツダ・MX-30(2024.04.21現在)に関してもHV(264万円から)に対するとかなり高額にはなるが、それでもPHEVが423.5万円からとピュアEVが451万円よりは安く購入できる。短所[編集]
「ハイブリッドカー#問題点」も参照
●内燃機関を搭載しているため、スパークプラグ︵ディーゼルエンジンでは不要︶、エンジンオイル、クーラントなどの消耗品は交換しなければいけない。ガソリンや油脂類の使用期限︵酸化・分解防止︶も管理しなければいけない。[5]
●エンジン、ラジエーター、トランスミッション、電気モーター、走行用バッテリーを全て搭載しているため、二次電池式電気自動車に比べて内燃車の部品が、内燃車に対しては二次電池式電気自動車の部品が、ハイブリッドカーに対しては走行用バッテリーが増えている。いずれとの比較でも室内空間や荷室容積で不利となり、車重と部品点数が大幅に増加することで、燃費、製造、メンテナンス、リサイクルを含む廃棄にかかる環境負荷とコストが高くなりがちである。ただし前述のとおり、2020年代前半においては同一車種に設定がある場合アイオニックやMX-30などのようにピュアEVよりPHEVのほうが購入コストが安くなるのが現状である。
●二次電池式電気自動車に比べて走行用バッテリーの容量が小さいため、バッテリーで走行可能な航続距離が大幅に短く、充電速度も遅い。そのため住居などの車庫に充電設備があるのが望ましい。充電環境が整っていれば、電力のみでの走行性能や利便性は二次電池式電気自動車の方が優れている。
●ガソリンエンジンを搭載し、走行時に二酸化炭素など大気汚染物質を排出するため、ゼロエミッション車には含まれない。そのため、環境規制が強化されている国や地域などでは、近い将来規制対象となる可能性がある。