文芸批評(読み)ブンゲイヒヒョウ(英語表記)literary criticism

デジタル大辞泉 「文芸批評」の意味・読み・例文・類語

ぶんげい‐ひひょう〔‐ヒヒヤウ〕【文芸批評】

文芸思潮や文芸作品に対する批評。文芸評論

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精選版 日本国語大辞典 「文芸批評」の意味・読み・例文・類語

ぶんげい‐ひひょう‥ヒヒャウ【文芸批評】

  1. 〘 名詞 〙 文芸の思潮や作品に対する批評。文芸評論。〔訂正増補新らしい言葉の字引(1919)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「文芸批評」の意味・わかりやすい解説

文芸批評 (ぶんげいひひょう)
literary criticism




 17︿綿姿3

 西literaturelittératureLiteratur17701800︿1919A.

 191219319調19

 19201︿調

 姿︿︿O.

 ︿︿姿姿姿姿姿T.S.1920︿30︿C.︿H.R.︿綿R.︿M.

 1953使


西Rhetorics and Belles Lettres187918821885-86︿188620西40︿西19西

 19104311︿1912-14︿

 ︿西西2調
 

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「文芸批評」の意味・わかりやすい解説

文芸批評
ぶんげいひひょう
literary criticism 英語
literarische Kritik ドイツ語
critique littéraire フランス語

文学作品が読者に与える印象・感動を分析し、それを創作の理想に照らして文学作品の価値判断を行うこと、およびその文章化されたもの。

[小林路易]

歴史変遷

文芸批評の歴史的変遷はきわめて複雑で、その定義づけも甚だ多岐にわたるが、その顕著な趨勢(すうせい)を取り上げると、おおよそ次の三大対立に図式化することができよう。

[小林路易]

裁断批評と印象批評

judical criticismimpressionistic criticism167417()()Prokrustes()()()19()

 ()綿Zoilos4()


効用批評と審美批評

アリストテレスは文学の効用をカタルシス(感情の浄化)にありとしたが、文学になんらかの実益を期待する視点はその後も根強く存在して批評の一角を占める。ことに政治・宗教・教育方面に携わる人たちにこの傾向が強く、彼らは自己の信条に忠実であればあるほど、文学作品に自律性よりは教化の道具をみる。毛沢東(もうたくとう)の『文芸講話』(1942)、バチカンの『禁書目録』(1564~1965)、公的権力による文学裁判・発禁、作家の国外追放などはその極端な例だが、マルクス主義的唯物論者は多く文学に現実打開の実践的方法を求め、謹厳な宗教者・教育者は猥雑(わいざつ)・非禁欲的文学に顰蹙(ひんしゅく)する。アーノルドが文化・教育に大きな関心を寄せながらも清教徒的偏見から文学を守ることをもって批評の使命としたのは、根底において彼がその対極をなす審美批評utilitarian criticism家であったからで、文学者は一般に文学を文学以外のいかなる効用的規範にも従属させることを好まない。かくして世の職業的批評家の大半は多かれ少なかれ審美批評家の範疇(はんちゅう)に属する。ただしその場合にも、より高次の効用批評aesthetic criticism的発想がついて回ることがあり、それがいわゆる「芸術のための芸術」(ゴーチエ)に対する「人生のための芸術」(トルストイ)、換言するなら芸術至上主義に対する人生至上主義ないし人道主義文学の見地である。芸術、なかんずく文学を人生の上に置くか下に置くかは大問題で、一方の極には「文学は男子一生の仕事に非(あら)ず」とした二葉亭四迷(ふたばていしめい)が、そしてその対極には「人生は一行のボードレールにも若(し)かない」とした芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)がいる。トルストイ、ベリンスキーチェルヌィシェフスキー、ロマン・ロラン、そして白樺(しらかば)派は前者に属し、ポー、ゴーチエ、ボードレール、ペイター、ワイルド、そして谷崎潤一郎、佐藤春夫、三島由紀夫らの耽美(たんび)派作家たちによるエッセイは後者に属する。

[小林路易]

伝統的批評と新批評

宿2()()

 20TS1930()()


現代

現代批評の先端的動向は依然としてこのテクスト重視派を主流とし、ことに文学作品の自己完結性否定の思想が目だつ。すなわち、テクストを創作行為と読書行為の協調によってさらに上位のテクストに移行さるべき未完成のもの、ないしは再構築すべきものとする考え方(晩年のバルトとポスト構造主義)、総合的組成物とするとらえ方(クリステバの間テクスト性)、さらには読者ひとりひとりが硬化したテクストを内的に破壊することによって初めて文学が成立するとする見地(解体批評)などである。それに、ドライデン、S・ジョンソン、サント・ブーブ、ボードレール流の在来型批評や、新文学宣言や、さらに各種批評の総合・折衷・使い分けの主張、読者論、文学快楽説、文学空間論、文学不可知論などが混在して、文芸批評の裾野(すその)はますます拡大しつつある。

[小林路易]

『カルローニ、フィルー著、平岡昇訳『文芸批評』(1956・白水社)』『リチャーズ著、岩崎宗治訳『文芸批評の原理』(1963・垂水書房)』『チボーデ著、戸田吉信訳『批評の生理学』(1969・冬樹社)』『ハイマン著、外山滋比古編『批評の方法』全12巻(1974・大修館書店)』『ブリュネル他著、平岡昇・川中子弘訳『文芸批評の新展望』(1985・白水社)』『ファイヨル著、大野桂一郎他訳『フランス・文学と批評』(1986・三修社)』『ゲーリン他著、日下洋右・青木健訳『文芸批評入門』(1986・彩流社)』『ジャン・イヴ・タディエ著、西永良成・山本伸一・朝倉史博共訳『二十世紀の文学批評』(1993・大修館書店)』『R・セルデン著、鈴木良平訳『現代の文学批評――理論と実践』(1994・彩流社)』『土田知則他著『現代文学理論 テクスト・読み・世界』(1996・新曜社)』『T・イーグルトン著、大橋洋一訳『文学とは何か 現代批評理論への招待』新版(1997・岩波書店)』『川口喬一・岡本靖正編『最新 文学批評用語辞典』(1998・研究社)』『武田悠一編『ジェンダーは超えられるか――新しい文学批評に向けて』(2000・彩流社)』

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世界大百科事典(旧版)内の文芸批評の言及

【批評】より


1219

【文学理論】より

…文芸批評と呼ぶことのできるものは,アリストテレスの《詩学》やホラティウスの《詩論》から今日のいわゆる文芸批評にいたるまで,さまざまのかたちで存在する。その文芸批評が目的とするのは,普通には,文学作品かその作者にかかわりのある諸問題について語ることである。…

※「文芸批評」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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