デジタル大辞泉
「株」の意味・読み・例文・類語
かぶ【株】
﹇名﹈
1 切り倒した木や、刈り取った稲などの、あとに残った根元の部分。切り株や刈り株。くいぜ。
2 草木の、何本にも分かれた根元。柄の部分が分かれた形のキノコにもいう。﹁菊の株を分ける﹂﹁株付きしめじ﹂
3 同種の細菌・ウイルス・培養細胞などの集まり。﹁ビフィズス菌の新株﹂﹁変異株ウイルス﹂
4 株式。株券。
5
㋐特定の身分・地位または職業上・営業上の権利・資格・格式。﹁相撲の年寄株﹂
﹁このまま家︵=芸者屋︶の―をそっくり譲ってやりたいと﹂︿荷風・腕くらべ﹀
㋑江戸時代、株仲間の一員として持つ特権。また、御(ごけ)家(に)人(ん)・名(なぬ)主(し)などの身分・地位を世襲・継続する特権。売買の対象ともなった。
6 その仲間・社会で評価を得ていること。また、その評価。﹁日本の株が上がる﹂
7 その人特有の癖。得意なわざ。現代では﹁おかぶ﹂の形で用いる。→御(おか)株(ぶ)
﹁このばあさまは…泣きごとばかりいふが―なり﹂︿滑・浮世風呂・二﹀
﹇接尾﹈
1 助数詞。
㋐根のついた草木を数えるのに用いる。﹁カンナ3株﹂
㋑細菌・ウイルス・培養細胞などを数えるのに用いる。
㋒株式・株券を数えるのに用いる。
2 名詞に付いて、その地位・資格を持つ者の意を表す。﹁兄貴株﹂﹁番頭株﹂
[類語]親株・子株・切り株・根株・根・根っこ・根もと・球根・根方・主根・側根・髭根・根毛・百合根・蓮根
しゅ︻▽株︼
﹇名﹈切り倒した木などの、あとに残った根元。かぶ。きりかぶ。
﹇接尾﹈助数詞。立ち木の数を数えるのに用いる。﹁老梅一株﹂
くいぜ〔くひぜ〕【▽株/×杭/×杙】
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かぶ【株】
(一)[1] 〘 名詞 〙
(一)① 植物の根もと。
(一)(イ) 木を切った後に残った幹または根。きりかぶ。くいぜ。
(一)[初出の実例]﹁枯れ朽た木のかぶに芝菌のくさびらがはゆるぞ﹂(出典‥玉塵抄︵1563︶一〇)
(二)(ロ) 植物の何本にもなった根もと。株立ち。
(一)[初出の実例]﹁うちのちおん院より、なんてんのかふともあまたまいる﹂(出典‥御湯殿上日記‐文明一八年︵1486︶正月八日︵頭書︶)
(二)② 他に対して占める地位、身分。
(一)(イ) 近世、官許された特定の業者仲間の組合員や御家人、名主、家主などが世襲、継続した地位、身分、格式、業務。その数が限定されて権利となり、売買・譲渡の対象となった。
(一)[初出の実例]﹁或はかね初瀬の寺に聞ゆなる 酒の家符(カフ)買の下陰﹂(出典‥俳諧・西鶴大矢数︵1681︶第一一)
(二)(ロ) 広く職業・営業上での特権、地位、資格、役職をいう。
(一)[初出の実例]﹁二年懸工みて舟を作られたり 商売替て酒の大家符﹂(出典‥俳諧・西鶴大矢数︵1681︶第二)
(三)(ハ) 一般に、身分。家柄。一族。
(一)[初出の実例]﹁旦那もまたこの土地では、名も知られた株(カブ)で居ながら﹂(出典‥人情本・清談若緑︵19C中︶二)
(三)③ その人の持ち前となっている動作、状態。特有のくせ。独特の点。得意な点。持ちまえ。おかぶ。お得意。
(一)[初出の実例]﹁中宿の女房は毒をかぶにして﹂(出典‥雑俳・川柳評万句合‐宝暦一一︵1761︶義三)
(四)④ ﹁かぶしき︵株式︶﹂﹁かぶけん︵株券︶﹂の略。また、その売買。
(一)[初出の実例]﹁会の大小に応じ財本の高を割り、何百両又は何千両を以て一株と定むべし。之を会社の株と唱ふ﹂(出典‥会社弁︵1871︶︿福地桜痴﹀諸会社取建の手続大要)
(二)[2] 〘 接尾語 〙
(一)① 根のついた植物を数えるのに用いる。︹日葡辞書︵1603‐04︶︺
(一)[初出の実例]﹁一かぶの牡丹は寒き若菜かな︿尾頭﹀﹂(出典‥俳諧・続猿蓑︵1698︶春)
(二)② 菌、バクテリア、培養細胞等を数えるのに用いる。
(三)③ 株券を数えるのに用いる。﹁本日の出来高九千万株﹂
(四)④ ( 名詞の下につけて ) そういう身分、資格を持つ者の意を表わす。
(一)[初出の実例]﹁なんでも江戸へ出で、番頭かぶとこぎつけ﹂(出典‥黄表紙・金々先生栄花夢︵1775︶)
しゅ︻株︼
(一)[1] 〘 名詞 〙 かぶ。きりかぶ。くいぜ。
(二)[2] 〘 接尾語 〙
(一)① 竹、もしくは竹製品を数えるのに用いる。
(一)[初出の実例]﹁麁筥十五合︿略﹀箸竹二百六十株﹂(出典‥延喜式︵927︶三二)
(二)② 草木の数を数えるのに用いる。
(一)[初出の実例]﹁一株磯上松、巉嵒礒勢重﹂(出典‥菅家文草︵900頃︶三・舟行五事)
(二)[その他の文献]︹蜀志‐諸葛亮伝︺
くい‐ぜくひ‥︻株・杭・杙︼
(一)〘 名詞 〙 木を切り倒したあとの根株。切り株。また、杭(くい)。
(一)[初出の実例]﹁其の中に黒き桴(クヒセ)の如き物有りて︿真福寺本訓釈 桴 クヒセ﹀﹂(出典‥日本霊異記︵810‐824︶下)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
株
かぶ
特定の集団が、その構成員を身分・資産・業務などによって限定して認めた場合、その資格が権利化したものをいう。封建的な身分制度が確立した江戸時代に、身分、格式、業務が世襲継承され固定してくると、これが株となった。株には、主として社会的理由によるものと、経済的理由によるものの2種類が考えられる。たとえば武士の御家人(ごけにん)株、郷士(ごうし)株、町人の名主株、家主株、農民の百姓株などは前者であり、商人、職人などが営業上の利益のために結成した仲間組合の株などは後者の例である。株は権利であるから売買、譲渡が行われた。しかし御家人、名主のような身分は、実質上株化して売買されていても、形式上は養子相続などの形をとり、表面には現れない。しかし商人、職人仲間の株などは領主にも公認され、株仲間などがつくられた。
﹇村井益男﹈
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
株
かぶ
おもに近世の社会集団内に占める成員の地位や資格の呼称。これが固定的・世襲的な権益として物権化し,相続や売買,譲渡の対象となった。御家人株や名主株のように,本来は世襲的な身分や業務が,人格から分離してある種の権益となり,売買の対象となった場合や,百姓株のように村落共同体の維持を目的に成立した場合もあったが,一般的には都市の諸商人・諸職人の株仲間のように,仲間規制や領主の政策によって固定化・独占化された営業権が株となる場合が多い。近代になって株式会社の制度が導入されると,企業の出資形態として用いられるようになった。現代の日本相撲協会の年寄株などに前近代の名残をみることができる。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
株
かぶ
職業,営業上の特権。また江戸時代,売買された名跡や役目をいう。農山漁村の共有の山林,原野,漁場などの利用および収入の分配権などから起った。江戸時代,社会の各分野で世襲制度が確立し,固定するとともに株は一つの権利となり,売買,譲渡の対象にもなった。両替屋株,米仲買株,御家人株,名主 (なぬし) 株などがあった。現代では株式の略称として用いられる。 (→株仲間 )
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
株
系統ともいう.共通の祖先をもつ遺伝子型の等しい動物,植物の個体群.同系交配を繰り返して純化する.微生物では菌株という場合が多い.
出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
世界大百科事典(旧版)内の株の言及
【株券】より
…株主の地位すなわち株式を表章する有価証券。株主の地位は利益配当請求権や株主総会における議決権その他の権利を伴っているので,株券とはこのような権利を表章する有価証券ということができる。…
【株式】より
…株主の地位を株式という。[株券]のことを株式ということもあるが,法律上の用語ではない。…
※「株」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」