デジタル大辞泉
「根」の意味・読み・例文・類語
こん︻根︼
1物事に飽きずに耐えうる力。気力。根気。﹁精も根もつきはてる﹂
2 ︽︿梵﹀indriyaの訳。機関・能力の意︾仏語。作用を起こす力。生命活動や感覚の原動力。感覚のもとになる眼・耳・鼻・舌・身を五根、それに思惟を起こさせる意を加えて六根という。
3
㋐方程式を成立させる未知数の値。
㋑ある数を何乗かした数に対するもとの数。﹁平方根﹂
4 イオンになりやすい基(き)。硫酸根︵SO4︶など。
[類語]根気・忍耐力・気根・精根
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ね【根】
(一)[1] 〘 名詞 〙
(一)[ 一 ] 高等植物の基本的な器官の一つ。普通は地中にあって、植物体の支持および、水と栄養分の吸収を主な機能とする。一般に先端に根冠と根毛を持つ。通常の働きをするもののほか、水根、気根、呼吸根、同化根、寄生根などの変態根がある。
(一)[初出の実例]﹁竹の泥(ネ)の 泥(ネ)足る宮 木の泥(ネ)の 泥(ネ)蔓ふ宮﹂(出典‥古事記︵712︶下・歌謡)
(二)﹁枝もなく人に折らるる女郎花ねをだに残せ植ゑし我がため︿平希世﹀﹂(出典‥後撰和歌集︵951‐953頃︶恋四・八四四)
(二)[ 二 ] 物の基礎となり、それを形づくる根本となる部分。ねもと。つけね。
(一)① 生えているものの下部。毛、歯などの生えているもとの部分。
(一)[初出の実例]﹁いとま無く人の眉(まよ)根(ね)をいたづらに掻かしめつつもあはぬ妹かも﹂(出典‥万葉集︵8C後︶四・五六二)
(二)﹁頭髪の根が痛くって仕様がないよ﹂(出典‥あきらめ︵1911︶︿田村俊子﹀七)
(二)② 立っているものが、地に接する部分。ふもと。すそ。
(一)[初出の実例]﹁譬ば海(うな)の上(うへ)に浮(うか)べる雪の根(ネ)係所(かかること)無(な)きが猶し﹂(出典‥日本書紀︵720︶神代上︵兼方本訓︶)
(二)﹁手水鉢(てうづばち)の根に金が埋めて有るから﹂(出典‥真景累ケ淵︵1869頃︶︿三遊亭円朝﹀五一)
(三)③ 髪を束ねて結ぶところ。もとどり。
(一)[初出の実例]﹁髪がとんだやぼた。どうぞもう五ぶほど、ねをあげて、はけさきを、すっと、ひっこきとしたい﹂(出典‥洒落本・遊子方言︵1770︶発端)
(四)④ やじり。
(一)[初出の実例]﹁矢三腰、同根一腰﹂(出典‥経覚私要鈔‐嘉吉四年︵1444︶一月六日)
(五)⑤ できもの、はれものなどの内部の固い部分。
(一)[初出の実例]﹁所労熱物口三分許、基底有二白物一云々。根未レ出﹂(出典‥小右記‐長元五年︵1032︶一二月二五日)
(二)﹁腫の根が益ひろごりて﹂(出典‥史記抄︵1477︶一四)
(六)⑥ 釣りや漁業で、水底にある岩礁などの障害物をいう。
(一)[初出の実例]﹁根の字もと訓、総て魚は瑰石の陰に宿す、魚の根と云心と云り﹂(出典‥河羨録︵1743頃か︶上)
(七)⑦ 地下。→根国(ねのくに)。
(一)[初出の実例]﹁急(すみや)かに底(そこつ)根(ネ)の国に適(い)ねといひて﹂(出典‥日本書紀︵720︶神代上︵兼方本訓︶)
(三)[ 三 ] 裏面にかくされた本性。また、その結果を誘引した原因。
(一)① ことの起こり。起源。もと。根本。原因。根拠。ねもと。
(一)[初出の実例]﹁同じ花の名なれど、梅は生ひ出でけむねこそ哀なれ﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶紅梅)
(二)﹁商の心ざしは、根をおさめてふとくもつ事かんようなり﹂(出典‥浮世草子・日本永代蔵︵1688︶六)
(二)② 本性。生まれつき。また、心の根本。性根。
(一)[初出の実例]﹁おのがねの心おとりせられまゐらせじとて、げざんはし候はぬぞ﹂(出典‥井蛙抄︵1362‐64頃︶六)
(二)﹁みんな根が下主(げす)でございますから﹂(出典‥滑稽本・八笑人︵1820‐49︶四)
(三)③ 心中にわだかまって、あとまで残るもの。名残り。未練。また、遺恨。
(一)[初出の実例]﹁三五兵衛様が其事を根(ネ)に思って居て﹂(出典‥洒落本・五大力︵1802︶発端)
(二)[2] 〘 接尾語 〙 ( 名詞に付く )
(一)① 生えている意、地上に立っている意などを添える。﹁岩ね﹂﹁垣ね﹂﹁木ね﹂﹁草ね﹂など。
(二)② 語調を整える。﹁杵(き)ね﹂﹁島ね﹂など。
こん︻根︼
(一)〘 名詞 〙
(二)① もと。もとい。はじめ。おこり。ね。根源。起源。淵源。
(三)② ( [梵語] indriya の訳語。能生、増上の義 ) 仏語。ある働きを起こす力をもったもの。感覚を起こさせる眼・耳・鼻・舌・身を五根、それに思惟を起こさせる意を加えて六根という。
(一)[初出の実例]﹁但衆生宿殖善微、神闇根鈍﹂(出典‥法華義疏︵7C前︶一)
(四)③ ( ②から転じて ) 忍耐力。気力。根気。精力。
(一)[初出の実例]﹁だいいち、こんがわるくなって、一ッぱい呑むとぐっとねるから﹂(出典‥洒落本・傾城買四十八手︵1790︶しっぽりとした手)
(五)④ 性器。また、男根。
(一)[初出の実例]﹁隠宮とは男女の根をきりとぢられたる刑人ぞ﹂(出典‥史記抄︵1477︶五)
(六)⑤ 方程式を満足させる値。主に一元代数方程式に対していう。解。
(七)⑥ 平方根、立方根など羃根(べきこん)の総称。︹数学ニ用ヰル辞ノ英和対訳字書︵1889︶︺
(八)⑦ 化学反応で分解しないで他の化合物に移ることの多い原子団。基(き)。︹稿本化学語彙︵1900︶︺
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根 (ね)
root
維管束植物の軸性器官で地下に向かって伸びていく部分。植物体を大地に固定させると同時に,地下から水や養分を吸収する。茎と異なる点は,屈地性︵背光性︶をもち,先端には根冠があり,内生的に分岐し,内皮にかこまれた放射中心柱があり,表面に毛や鱗片などの付属物をつけることがないなどである。
根の形状は,地上部の性質に比べると,比較的変化が乏しい。これは,多分,地下は環境として比較的安定しているために,植物の進化の過程で,地上部のように多様な変化を経ることがなかったためであろう。維管束植物のうち,マツバラン類では根は分化していないが,これが系統発生の過程でもともと根を作らなかったものか,進化の過程で退行してできなくなってしまったのかは確かめられていない。その他の維管束植物で成体に根の見当たらないものでは,いずれも根は退化してなくなったものである。ゼニゴケシダのような着生のコケシノブ科の一部,サンショウモ科などの水生植物,ネナシカズラのような寄生植物などにその例がみられる。
維管束植物の進化の過程でどのようにして根が分化してきたのかはよくわかっていない。原始陸上植物といわれるものは茎だけで植物体がつくられていたことが確かめられているので,葉や根が茎の変形として分化してきたものであることだけは確実である。
根の発生
個体発生のどの時期に根が現れてくるかは植物群によって多少異なっている。薄囊シダ類では受精卵が2回の細胞分裂を行って四細胞期になった時には,4個の細胞がそれぞれ茎頂,第1葉,あし,根に生長していくことが定まっている。しかし,その後茎が伸長していくにつれて古い部分は枯死してしまうので最初の根はやがて消滅してしまい,のちに茎から分出してくる不定根adventitious rootが,ふつうの薄囊シダ類の根である。有節植物では胚は外向的exoscopicに生長し,胚柄はつけないで,あしに隣接した部分から根が分化してくる。その他の維管束植物では胚は内向的endoscopicに生長し,茎頂や葉の分化がみられるころに,それと極性が逆の方向に根が分化してくる。裸子植物や双子葉類では幼根が伸長して主根となるが,単子葉類では幼根は顕著に伸長せず,不定根が発達してひげ根をつくる。このように,胚に形成される根︵幼根radicle︶以外で,茎などから分出してくる根を不定根と総称する。茎には通常不定根をつくる能力があり,生長促進物質,とくにオーキシンには不定根を新生させる性質があることが知られている。
根の形態
根の基本的な構造としては,︵1︶表皮,︵2︶根毛,︵3︶根冠,︵4︶皮層,︵5︶中心柱などがある。
︵1︶表皮 表皮組織は原則的には茎のものと同じであるが,地中ではクチクラが発達しなかったり,気孔が形成されなかったりする。しかし,大気にさらされる根では,茎と同じような構造を示すようになる。
︵2︶根毛 根毛は表皮起源の付属物で,根の基本的な機能である固着と吸収にたいせつな役割を果たしている。すべての表皮細胞が根毛を生じる能力をもっているものと,限られた部分の表皮だけが根毛をつくるものとがある。根の表皮は根毛以外の付属物はいっさいつくらず,その点では茎の表皮とひじょうに異なる。
︵3︶根冠 根端分裂組織の保護および根の地下への伸長を助ける組織として特殊化しているのが根冠で,これは根に特異的に発達したものである。根端から外側に向けて柔細胞を押し出すようにして形成される。根冠の一番先端の層では細胞から粘液が分泌され,そのために土壌との摩擦が減らされるらしい。また,根冠の細胞が強い構造をもつ種があることも知られている。根冠の柔細胞は生きた細胞で,ショ糖を含んでいるが,これは平常状態では養分として消化されることはなく,むしろ根の伸長方向︵向地性をもつ︶をきめる際に役だつと信じられている。
︵4︶皮層 皮層の組織も茎と比べると変化に乏しい。二次肥大生長のみられる裸子植物や双子葉類の根は柔組織細胞を主とするが,二次肥大生長のみられない単子葉類やシダ植物の根には厚膜組織がよく発達することが多い。
︵5︶中心柱 根の中心柱は茎や葉の中心柱と比べてはっきりした組織としてのまとまりをもっている。すなわち,葉隙︵ようげき︶などで乱されることがなく,全体が内皮ですっぽり包まれ,内皮の内側に内鞘︵ないしよう︶が発達し,その内側に放射状に維管束が配列している。根が分枝する場合には,維管束の部分に枝分れが生じ,それが内鞘,内皮をつき破って伸長する内生的分岐を行う。根から茎への構造上の移行は胚軸の間で行われる。中心柱以外では茎と根に本質的な差はないが,維管束の配列が根と茎では根本的に異なっており,また維管束は根と茎でつながっていないと用をなさないものであるから,胚軸の間で茎の維管束と根の維管束がどうつながっているかがたいせつな意味をもつ。
根の生態
植物の生活にとって水はたいせつな意味をもっている。植物体内への水の吸収は主として根から行われるので,根の発達の程度が生態的に重要な意味をもつ。裸子植物や双子葉類では主根を中心にそれから生じる支根が根系root systemをつくるが,根系の構造はその種の生育場所と深い関係がある。腐植土が厚く堆積し,地下水が深いところでは主根が長く伸び,支根がよく発達することが多いが,岩盤の上に土壌層が薄く堆積しただけのところでは,根系は浅く広がる傾向がある。ボルネオの熱帯降雨林では降水量が多く水に不足しないことと,強い風が吹くことがないので支持に強い力を必要とすることがないためか,地上数十mにも達する巨木でも,根系はそれほど発達していない。このようなところにまれに強風が吹くと,巨木はきわめて容易に倒れることになる。
根の変形
茎と比べれば変化の乏しい根ではあるが,植物界を広く見渡すと特殊化したものがいろいろ見つかる。支持,吸収のほかに,根は一般に物質を貯蔵する役も果たしている。根には柔組織が比較的よく発達しているが,その細胞にデンプンが貯蔵されていることが多い。養分の貯蔵が異常に発達したものが貯蔵根storage rootで,アブラナ科のものでは胚軸と主根の基部がよく発達するし,サツマイモでは根︵塊根tuber︶そのものが肥大している。根が地上に現れたものを気根といい,通気のはたらきをするものもある。熱帯では,タコノキやガジュマルなどの茎から空中に垂れ下がった気根がよくみられる。それに対して,トウモロコシの茎の下部から出る気根は主として支持のはたらきをしているもの︵支持根prop root︶である。熱帯の河口付近によく発達するマングローブを構成する種にはさまざまの形態の気根がみられる。支持の役割を果たしているものも,通気の役割を果たしているものもある。これらのうちには,地表すれすれのところを匍匐︵ほふく︶していて,ところどころで地上へ伸び出してくるものがあるが,根の屈地性がそのような特殊な場合に限って乱されているものである。
着生植物の付着のためのもの︵付着根adhesive root︶や木生シダの幹につく不定根も,気根の一型である。空気中で根が葉緑素をもつようになったものを同化根assimilation rootという。カワゴケソウ科の1種のように,葉が退化してなくなり,根が扁平で葉のような姿をとって同化器官になるものもあるが,葉や茎が同化をするうえに,根も空気中でわずかながら同化するというものも多い。気根のうち通気のために特別の構造をもつようになったものが呼吸根respiratory rootで,皮層に細胞間隙がよく発達したものなどがある。
イワヒバ科やミズニラ科には担根体rhizophoreとよばれる特殊な構造があり,根の変形とみられたり,茎の変形とみられたりする。茎の分岐点の腹側に伸び,屈地性をもつことと,内部構造については根とよく似ているが,茎から外生的に分出すること,根冠も根毛ももたないことなどでは茎と似ている。先端が大地に達すると叉状︵さじよう︶分岐をくり返す根をつくる。担根体が何であるかについては昔からいろいろ議論されてきたが,小葉植物に限ってみられることであること,小葉植物では始源的な化石植物にもすでに担根体に相当するものが認められることなどから,大葉性の植物の根とか茎とかに対比できるようなものではなくて,小葉植物では,茎,根,小葉,担根体の四つの栄養器官への分化がみられたのではないかと推論されることもある。
なお,根という語は植物学用語から転じて,一般的な用語としてもしばしば使われる。根本,根気,根拠などの表現は,植物の根が大地に植物を固定させるはたらきをもつことから受ける連想によっているのだろう。
執筆者‥岩槻 邦男
根 (こん)
サンスクリットのインドリヤindriya(元来の意味は力)の漢訳。一般にインド哲学では5種の感覚機能または器官(眼,耳,鼻,舌,身)を意味し〈五根〉と総称するが,すでにウパニシャッドの中では身体に宿る生命活動機能の一つとして〈五根〉が列挙されている。インド哲学諸派は五根を物質界(元素)に属するものと考えるが,単なる身体の一部(眼球など)とは区別する傾向が強い。仏教ではこれに意(あらゆる精神活動をつかさどる器官)を加えて〈六根〉とし,さらに広義には六根のほかに煩悩を断ち悟りに導く力(信・勤・念・定・慧の五根)や寿命(命根),男根,女根などを加えて〈二十二根〉ともいう。また利根・鈍根というように〈仏教の教えを受ける者としての資質〉を意味することもある。
執筆者:丸井 浩
根 (こん)
radical
化学用語。化学反応の過程でまとまって行動する原子団を一般に基というが,基のうちイオンになりうるものを根ということがある。たとえば,水酸根-OH,硝酸根-NO3,硫酸根-SO4などである。
執筆者‥妹尾 学
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根【ね】
シダ植物,顕花植物にあって,茎の下端に続き,植物体を固着させ,水分や養分を吸収して茎葉に送る器官。多くは地下にあり,これらを総称して地中根というが,気中に裸出する気根もある。 種子が発芽すると胚の一端の幼根は伸びて初生根となる。これが発達して根系を作るものを定根といい,しばしば主根から枝根を分けて樹枝状となるが,シダ植物,単子葉植物では茎から2次的に生じる不定根が主となってひげ根を作る。根には通常,根冠があって,内部の生長点︵頂端分裂組織︶を保護し,生長点からわずかに離れた表皮には根毛が密生,水分,養分を吸収する。皮層は一般に厚く最内層は明瞭な内皮となり,維管束は中央に集まって放射中心柱を作る。また樹木などでは茎と同様に形成層の働きによって材が作られ,年輪を重ねる。根系の構造は生育環境と密接に関係し,地下水が深いところでは主根が発達し,岩盤上などでは浅く広がる傾向がある。 肥大してデンプン,イヌリンなどをたくわえる貯蔵根には,主根が肥大したごぼう根︵ゴボウ,ダイコン,タンポポ︶と不定根が肥大する塊根︵サツマイモ,ダリア︶がある。このほか宿主から養分を奪う寄生植物の寄生根,葉状となって光合成を営む同化根などがあり,またマメ科植物のように根粒をつけるものもある︵根粒菌︶。
根︻こん︼
解とも。数学では,方程式を満足する未知数の値をその方程式の根という。f︵x︶=0でf︵a︶=0ならばx=aはf︵x︶=0の根。根を求めることを,方程式を解くという。
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根
こん
root
数学用語。解 solutionともいう。方程式 f(x)=0 に対して f(a)=0 となるような aを,この方程式 f(x)=0 の根または解という。また一般に体 Kの上の多項式 f(x) において,f(a)=0 であるような a∈K を,f の根 (または零点) という。それで,f の根 a,f(x)=0 の解 aというように,﹁根﹂と﹁解﹂を使い分ける人もあるが,通常は混用する。特に代数方程式に対して,伝統的に使われる。
根
ね
root
維管束植物の地下器官で,茎や葉とともに主要な器官の一つとなっている。地中に伸びて植物体の地上部を支え,また土壌から水分とこれに溶存する無機物を吸収する。デンプンその他の養分貯蔵の役割を果すものも多い。多くの双子葉植物では,胚の一端である幼根が発芽とともに伸び,生長して主根となり,多数の側根を出し複雑に分枝した根系をつくる。単子葉植物では一般に主根の発達が悪く,茎の基部に多くの不定根がつくられ,いわゆるひげ根となる。根の先端には根冠があり,内部にある生長点を保護している。根は生長点における細胞増殖と,少し離れた部分の細胞伸長により生長するが,この部分では表皮に無数の根毛がつくられ,表面積を増して能率よく水分を吸収する。根はその働きにより貯蔵根,支柱根,呼吸根,付着根,寄生根などいろいろな種類がある。
根
こん
indriya
一般には,能力,増上,機関という意味であると解される。仏教では6つの感覚器官である眼,耳,鼻,舌,身,意を六根と呼んでいるが,これは,これらの器官が感覚させる能力をもっているところから根と名づけられた。また信も,その増上力 (すぐれた力) によって悟りに向わせようとするから,信根と呼ばれている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
根
海中にある岩礁。溶岩性のもの、サンゴでできたもの、巨大なもの、人間より小さいものなどなど各種あるが、ダイビングのターゲットとなるものをひっくるめてこう呼んでいる。
出典 ダイビング情報ポータルサイト『ダイブネット』ダイビング用語集について 情報
根
土橋治重による詩集。1991年刊行︵土曜美術社︶。1992年、第25回日本詩人クラブ賞を受賞。
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世界大百科事典(旧版)内の根の言及
【解】より
…微分方程式の場合のように,解が関数である場合もある。代数方程式の解は根とも呼ばれるが,根と解とには,考え方に差異があるので,その説明から始めよう。
﹇根﹈
係数が複素数の多項式f(x)=a0xn+a1xn-1+……+an(a0≠0)は,
と因数分解する。…
【六境】より
…仏教では,認識作用の対象(対境)を︿境︵きよう︶﹀という。認識する感覚器官とその働きを合わせて︿根︵こん︶﹀といい,眼︵げん︶(見る),耳︵に︶(聞く),鼻︵び︶(嗅ぐ),舌︵ぜつ︶(味わう),身︵しん︶(触れる)の五根にはそれぞれ対応する対象があり,それらを順次に色境︵しききよう︶(いろ・かたち),声境︵しようきよう︶(声や音),香境︵こうきよう︶(香りや臭気),味境︵みきよう︶(甘・辛などの味),触境︵しよくきよう︶(触覚による冷・暖,堅・軟など)の五境とする。これら五根・五境のほか,意根の対象として法境︵ほうきよう︶を立て,合して六根・六境とする。…
【化学】より
…まったく性質が異なるのに同一組成をもつ化合物がJ.F.vonリービヒとウェーラーによって発見され,これらは互いに異性体であるといわれるようになった。彼らはまた,多くの有機物に共通して含まれる原子団(基)があり,これらは簡単な無機物における根の役割を果たすことを認めた。︿基﹀(根ともいう)の発見は有機物の構造理論の最初の手がかりとなった。…
※「根」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」