デジタル大辞泉 「決り」の意味・読み・例文・類語 きまり【決(ま)り/▽極まり】 1物事が決まること。問題になっていたり面倒だったりした物事の終わり。決着。おさまり。﹁これで話は―だ﹂﹁仕事に―を付ける﹂ 2 よりどころとして定められている事柄。規則。通則。﹁―を破る﹂﹁―に従う﹂ 3 一定していること。いつものこと。定例。﹁散歩が朝の―だ﹂ 4 ︵多く﹁おきまり﹂の形で︶言動がいつも同じで新鮮味がないこと。また、きまり文句。﹁お―の自慢話﹂ 5 面目。体裁。 ﹁文三はお勢よりは―を悪がって口数をきかず﹂︿二葉亭・浮雲﹀ 6 万事首尾よくいっていること。明和・安永︵1764~1781︶ころの江戸の流行語。 ﹁﹃朧(おぼ)月(ろづき)と五色丹前を買って参りやした﹄﹃おお―﹄﹂︿洒・辰巳之園﹀ 7 遊里で、客と遊女が恋仲になること。また、その相手や間柄。 ﹁今夜のぬしの客衆はとんだ―だの﹂︿咄・くだ巻﹀ [類語]︵2︶規則・規約・規程・規定・規律・ルール・本則・総則・通則・細則・付則・定則・概則・おきて・定め・決定・制度・約束/︵4︶お定まり・お決まり・単調・平板・類型的・没個性的・一本調子・千編一律・モノトーン・ワンパターン・マンネリ・ステレオタイプ・平凡・ありきたり・並・凡俗・俗・ありふれる・普通・一般・一般的・尋常・通常・平常・通例・標準・標準的・平均的・常(つね)・只(ただ)・当たり前・常並み・世間並み・十人並み・月並み・凡庸・日常茶飯・日常茶飯事・平平凡凡・常套・紋切り型・芸がない・ノーマル・レギュラー・スタンダード さくり︻▽決り/×抉り/×刳り︼ 1土を掘り起こした所。また、その溝。うね。 2 流(やぶ)鏑(さ)馬(め)や笠(かさ)懸(がけ)などの騎射のとき、馬を走らせる道として馬場に掘る浅い溝。馬(うま)決(ざく)り。 しゃくり︻▽決り︼ ︽﹁さくり﹂の音変化︾ 1 中がくぼむように削ること。しゃくること。 2 おだてること。そそのかし操ること。 ﹁是もやっぱり―かと気で気をとり直しては﹂︿洒・籬の花﹀ 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「決り」の意味・読み・例文・類語 きまり【決・極】 (一)〘 名詞 〙 ( 動詞﹁きまる︵決︶﹂の連用形の名詞化 ) (二)① 決定。決着。 (一)[初出の実例]﹁それぢゃア確定(キマリ)だ﹂(出典‥当世書生気質︵1885‐86︶︿坪内逍遙﹀六) (三)② きちんとしていること。秩序。しまり。 (一)[初出の実例]﹁遊の節々に極(キマリ)なければ﹂(出典‥滑稽本・風来六部集︵1780︶里のをだ巻評) (四)③ 規則。制度。 (一)[初出の実例]﹁又、地券の御制度(キマリ)を設けられしも﹂(出典‥開化のはなし︵1879︶︿辻弘想﹀初) (五)④ 一定していること。いつもそうであること。定例。 (一)[初出の実例]﹁貴様ははでな表具でどこへいき給ふ、きまりの御筋か﹂(出典‥咄本・聞上手二篇︵1773︶染の介) (六)⑤ 一定の額。 (一)[初出の実例]﹁定額(キマリ)だけ進(あ)げて置いた上はもう進げられません﹂(出典‥付焼刃︵1905︶︿幸田露伴﹀一) (七)⑥ きまり文句。 (一)[初出の実例]﹁善六さん極(キマ)りを云ってらア﹂(出典‥真景累ケ淵︵1869頃︶︿三遊亭円朝﹀二〇) (八)⑦ ( ﹁きまりがわるい﹂﹁きまりのわるい﹂の形で用いることが多い ) 他人に対する気持。面目。 (一)[初出の実例]﹁気まりを悪がって口数をきかず﹂(出典‥浮雲︵1887‐89︶︿二葉亭四迷﹀一) (九)⑧ 客と遊女が恋に陥ること。色事が成立すること。 (一)[初出の実例]﹁今夜のぬしの客衆は飛んだきまりだの﹂(出典‥咄本・くだ巻︵1777︶客の噂) (十)⑨ 物事がきちんと思い通りにまとまること。﹁しめた﹂﹁うまい﹂の気持で感動詞のように用いることもある。明和・安永︵一七六四‐八一︶頃の流行語。 (一)[初出の実例]﹁ヲヲ、きまり。粋(すひ)め。重さんどうでも、はだしじゃはだしじゃ﹂(出典‥洒落本・辰巳之園︵1770︶) さくり︻決・抉・刳︼ (一)〘 名詞 〙 ( 動詞﹁さくる︵決︶﹂の連用形の名詞化 ) (二)① 掘ること。また、掘った所。特に、鍬で土を打ち返した所。また、その溝。うね。 (一)[初出の実例]﹁山里のさくりの上にしりかけて小稲(をしね)こく間に雨ぞ降りぬる﹂(出典‥行宗集︵1140頃︶) (三)② 流鏑馬(やぶさめ)や笠懸(かさがけ)などの騎射(うまゆみ)のとき、馬を走らせるために馬場に設けた埒(らち)の間の道筋。 (一)[初出の実例]﹁今日騎射馬决浅馬頻走上﹂(出典‥宇槐雑抄‐保延三年︵1137︶九月二四日) (四)③ 馬などが通ったあとに、地面にできるくぼみ。また、その足跡。 (一)[初出の実例]﹁身を何となすのの原に顕はれ出しを狩人の、追つまくつつさくりにつけて﹂(出典‥光悦本謡曲・殺生石︵1503頃︶) (五)④ 敷居(しきい)や鴨居(かもい)などに設けた戸をすべらせる溝。︹日葡辞書︵1603‐04︶︺ しゃくり︻決・抉︼ (一)〘 名詞 〙 ( 動詞﹁しゃくる︵決︶﹂の連用形の名詞化 ) (二)① 中がくぼむようにえぐること。 (三)② うまいことを言って、人を欺いたり、そそのかしたり、おだてたりすること。 (一)[初出の実例]﹁桶ぶせといつは遣(やり)手がしゃくりなり﹂(出典‥雑俳・川柳評万句合‐明和元︵1764︶仁一) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例