「エウリピデス」の版間の差分
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{{Infobox 作家 |
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| name = エウリピデス |
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| image = Euripides Pio-Clementino Inv302.jpg |
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| image_size = 200px |
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| birth_date = [[紀元前480年]]頃 |
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| birth_place = [[アッティカ]] |
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| death_date = [[紀元前406年]]頃 |
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| death_place = [[マケドニア]] |
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| language = [[古代ギリシア語]] |
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| occupation = [[詩人]] |
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| genre = [[ギリシア悲劇|悲劇]] |
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⚫ | | notable_works = 『[[メディア (ギリシア悲劇)|メデイア]]』、『[[アンドロマケ (エウリピデス)|アンドロマケ]]』 |
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[[File:ディオンの劇場.jpg|thumb|晩年のエウリピデスが「バッコスの信女」を上演したとされる[[ディオン (ギリシア)|ディオン]]劇場]] |
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性格は厳しく非社交的、哲学的な新思想の持ち主で﹁舞台の哲人﹂と呼ばれ、当時の市民としては珍しく公職に就かず軍務にも服したことがなかった。結婚生活にも問題があった。二人の妻を持ったが、二人ともが不貞を働き、古代においてはそれによって女嫌いになったと言われた。
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性格は厳しく非社交的、哲学的な新思想の持ち主で﹁舞台の哲人﹂と呼ばれ、当時の市民としては珍しく公職に就かず軍務にも服したことがなかった。結婚生活にも問題があった。二人の妻を持ったが、二人ともが不貞を働き、古代においてはそれによって女嫌いになったと言われた。
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==作風== |
== 作風 == |
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同時代のソポクレスと対照的に、革新的で新思考的であった。様式面では既に縮小傾向にあった[[コロス|合唱隊]]の役割をさらに小さくしたこと、それに伴って俳優が短い文章によって応酬する場面を多く用いたこと、そして﹁[[デウス・エクス・マキナ|機械仕掛けの神]]﹂を多用したことが特徴である。﹁機械仕掛けの神﹂は、これに類するものを含めると現存する19篇のうち11篇で用いられている。しかし、しばしば批判されるように、物語の収 |
同時代の[[ソポクレス]]と対照的に、革新的で新思考的であった。様式面では既に縮小傾向にあった[[コロス|合唱隊]]の役割をさらに小さくしたこと、それに伴って俳優が短い文章によって応酬する場面を多く用いたこと、そして﹁[[デウス・エクス・マキナ|機械仕掛けの神]]﹂を多用したことが特徴である。﹁[[機械仕掛けの神]]﹂は、これに類するものを含めると現存する19篇のうち11篇で用いられている。しかし、しばしば批判されるように、物語の収拾がつかなくなってこの仕掛けに頼ったのではないことは、各作品を見れば明らかである。観客がそれを待ち望んでいたためだけにそれを出現させることもあったという<ref>丹下 98P</ref>。
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内容面では、作品の主題を神話から取りながらも、その行動においてはもはや神々や英雄というより市井の人間のような人物を描き、細やかな心理描写を得意とした。これは後の |
内容面では、作品の主題を神話から取りながらも、その行動においてはもはや神々や英雄というより市井の人間のような人物を描き、細やかな心理描写を得意とした。これは後の新喜劇につながる特徴でもある。エウリピデスの女性の描写は有名で、﹃[[アルケスティス (ギリシア悲劇)|アルケスティス]]﹄で貞淑の鑑を書いたかと思えば﹃[[ヒッポリュトス (エウリピデス)|ヒッポリュトス]]﹄ではパイドラが淫乱に過ぎると非難され、﹃メディア﹄においては激烈な怒りに動かされる女性と、様々な性質を深く考察して書いている。一方で筋書きについては、時には明らかな破綻をも露呈するほどの冒険をしており、ここには新たな可能性の追求を妥協をし得ない学究的な性格が表れている。<ref>﹃ギリシア悲劇3 エウリピデス︵上︶﹄解説</ref>
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様々な革新を行ったエウリピデスであるが、同時に愛国的な作品も多い。『ヘラクレスの子供たち』や『救いを求める女たち』では直接に[[アテナイ]]が舞台とされているし、『ヘラクレス』や『メディア』においてもアテナイの英雄が作中において救済者的な役割を果たしている。 |
様々な革新を行ったエウリピデスであるが、同時に愛国的な作品も多い。﹃[[ヘラクレスの子供たち]]﹄や[[救いを求める女たち (エウリピデス)|﹃救いを求める女たち]]﹄では直接に[[アテナイ]]が舞台とされているし、﹃ヘラクレス﹄や﹃メディア﹄においてもアテナイの英雄が作中において救済者的な役割を果たしている。
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== 現存する作品 == |
== 現存する作品 == |
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悲劇18篇と[[サテュロス劇]]1篇が現存するほか、多数の断片が存在する。三大詩人の他に比べて現存する作品が多いのはひとつには古代に「悲劇傑作」として選定されたのが10作品と他の2人(各7作品)より多いのと、題名のアルファベット順に並べられた「全集」のうち、Η・Ιの部分が幸いに散逸を免れたためである。 |
悲劇18篇と[[サテュロス劇]]1篇が現存するほか、多数の断片が存在する。三大詩人の他に比べて現存する作品が多いのはひとつには古代に「悲劇傑作」として選定されたのが10作品と他の2人(各7作品)より多いのと、題名のアルファベット順に並べられた「全集」のうち、[[Η]]・[[Ι]]の部分が幸いに散逸を免れたためである。 |
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* [[アルケスティス (ギリシア悲劇)|アルケスティス]] |
* [[アルケスティス (ギリシア悲劇)|アルケスティス]] |
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* [[メディア (ギリシア悲劇)|メデイア]] |
* [[メディア (ギリシア悲劇)|メデイア]] |
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* [[ヘラクレスの子供たち]] |
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* [[ヒッポリュトス (エウリピデス)|ヒッポリュトス]] |
* [[ヒッポリュトス (エウリピデス)|ヒッポリュトス]] |
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* [[ヘカベ (エウリピデス)|ヘカベ]] |
* [[ヘカベ (エウリピデス)|ヘカベ]] |
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* [[救いを求める女たち (エウリピデス)|救いを求める女たち]] |
* [[救いを求める女たち (エウリピデス)|救いを求める女たち]] |
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* [[ヘラクレス (エウリピデス)|ヘラクレス]] |
* [[ヘラクレス (エウリピデス)|ヘラクレス]] |
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* [[イオン (エウリピデス)|イオン]] |
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* [[トロイアの女]] |
* [[トロイアの女]] |
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* [[エレクトラ (エウリピデス)|エレクトラ]] |
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* [[タウリケのイピゲネイア]] |
* [[タウリケのイピゲネイア]] |
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* [[キュクロプス (エウリピデス)|キュクロプス]](サテュロス劇) |
* [[キュクロプス (エウリピデス)|キュクロプス]](サテュロス劇) |
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== 日本語訳 == |
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⚫ | * 『ギリシア悲劇全集』 [[岩波書店]]、1990-92年、復刊2007-08年。編集委員:[[久保正彰 (西洋古典文学者)|久保正彰]]・[[松平千秋]]・[[岡道男]] |
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⚫ | *『ギリシア悲劇 |
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*『 |
** 『第5巻 エウリーピデース1』 ISBN 400091605X。[[中務哲郎]]・[[逸身喜一郎]]ほか訳 |
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* |
** 『第6巻 エウリーピデース2』 ISBN 4000916068 |
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⚫ | * 『ギリシア悲劇全集』 |
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** 『第5巻 エウリーピデース1』 ISBN 400091605X |
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** 『第6巻 エウリーピデース2』 ISBN 4000916068 |
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** 『第7巻 エウリーピデース3』 ISBN 4000916076 |
** 『第7巻 エウリーピデース3』 ISBN 4000916076 |
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** 『第8巻 エウリーピデース4』 ISBN 4000916084 |
** 『第8巻 エウリーピデース4』 ISBN 4000916084 |
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** 『第9巻 エウリーピデース5』 ISBN 4000916092 |
** 『第9巻 エウリーピデース5』 ISBN 4000916092 |
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** 『第12巻 エウリーピデース断片』 ISBN 4000916122 |
** 『第12巻 エウリーピデース断片』 ISBN 4000916122 |
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* 『エウリピデス 悲劇全集』全5巻、[[丹下和彦]]訳、[[京都大学学術出版会]]〈[[西洋古典叢書]]〉、2012-2016年 |
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⚫ | * 『ギリシア悲劇 III・IV エウリピデス』 [[ちくま文庫]]、初版1986年 ISBN 4480020136、ISBN 4480020144 |
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** 元版『[[世界古典文学全集]](9) エウリピデス』 [[筑摩書房]]、初版1965年、復刊2005年。[[田中美知太郎]]・[[柳沼重剛]]ほか訳 |
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* 『ギリシア悲劇全集 第3・4巻 エウリピデス』 [[人文書院]]、初版1960年。[[呉茂一]]・[[高津春繁]]ほか訳 |
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* 『古典劇大系 第二卷・希臘篇(2)』 村松正俊訳、近代社、1925年 |
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* 『世界戯曲全集 第一卷・希臘篇』 同上、近代社、1927年 |
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* 『希臘悲壯劇 エウリーピデース篇(上)』 [[田中秀央]]・内山敬二郎 共訳、世界文学社、1949年 |
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* 『ギリシャ悲劇全集 III・IV エウリーピデース編』 [[内山敬二郎]]訳、鼎出版会、1977-78年、改訳 |
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==脚注== |
== 脚注 == |
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{{脚注ヘルプ}} |
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==参考文献== |
== 参考文献 == |
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*[[高津春繁]] |
* [[高津春繁]]『古代ギリシア文学史』岩波書店、新版2008年 |
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*[[丹下和彦]] |
* [[丹下和彦]]『ギリシア悲劇ノート』[[白水社]]、2009年 |
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*「エウリピデス」の項目。『[[ブリタニカ国際大百科事典]]』フランク・B・ギブニー編、[[TBSブリタニカ]] |
* 「エウリピデス」の項目。『[[ブリタニカ国際大百科事典]]』フランク・B・ギブニー編、[[TBSブリタニカ]]、1998年(第3版) |
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==関連項目== |
== 関連項目 == |
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{{Commonscat|Euripides}} |
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*[[アイスキュロス]] |
* [[アイスキュロス]] |
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*[[ソポクレス]] |
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*[[古代ギリシアの演劇]] |
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[[Category:古代ギリシアの詩人]] |
[[Category:古代ギリシアの詩人]] |
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[[Category:蔵書家]] |
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[[Category:サラミス島]] |
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[[Category:紀元前480年代生]] |
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2024年5月17日 (金) 09:50時点における最新版
エウリピデス | |
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誕生 |
紀元前480年頃 アッティカ |
死没 |
紀元前406年頃 マケドニア |
職業 | 詩人 |
言語 | 古代ギリシア語 |
ジャンル | 悲劇 |
代表作 | 『メデイア』、『アンドロマケ』 |
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![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/9/9e/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%81%AE%E5%8A%87%E5%A0%B4.jpg/220px-%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%81%AE%E5%8A%87%E5%A0%B4.jpg)
生涯[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/43/Euripides_Statue.jpg/200px-Euripides_Statue.jpg)