「巨椋池」の版間の差分
→秀吉の伏見築城期から明治まで: 鴨川の砂による砂州形成、明治終期の淀川改修による通水阻害の影響を明治期によるものとし、さらに﹁その口﹂としてどこを指すか不明確な記載を行うなど、的確でない情報である。またマラリアのことは後述しており、不必要な記載であり削除。 |
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'''巨椋池'''︵おぐらいけ︶は、[[京都府]]の南部、現在の[[京都市]][[伏見区]]・[[宇治市]]・[[久世郡]][[久御山町]]にまたがる場所にかつて存在した[[池]]。規模からいえば池よりも﹁[[湖]]﹂と呼ぶ方がふさわしく、現在﹁池﹂と呼んでいる最大の池である[[湖山池]]よりも広かった。
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'''巨椋池'''︵おぐらいけ︶は、[[京都府]]の南部、現在の[[京都市]][[伏見区]]・[[宇治市]]・[[久世郡]][[久御山町]]にまたがる場所にかつて存在した[[池]]。規模からいえば池よりも﹁[[湖]]﹂と呼ぶ方がふさわしく、現在﹁池﹂と呼んでいる最大の池である[[湖山池]]よりも広かった。
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形成されたのは縄文前期頃と比較的新しく、それより古い時代に存在した山城湖の名残でできたものではない<ref name="data">{{Cite web |
形成されたのは[[縄文時代|縄文]]前期頃と比較的新しく、それより古い時代に存在した山城湖の名残でできたものではない<ref name="data">{{Cite web|和書|author=|url=https://www.pref.kyoto.jp/kankyo/rdb/geo/db/sur0005.html|title=京都府レッドデータブック2015 巨椋池 |publisher= 京都府|accessdate=2022-11-13}}</ref>。
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⚫ | [[豊臣秀吉]]による[[伏見城]]築城期の築堤をはじめとする土木工事などにより時代によって姿を変え、最終的には[[1933年]]([[昭和]]8年)から[[1941年]](昭和16年)にかけて行われた[[干拓]]事業によって634haの農地に姿を変えた<ref name="data" />。干拓前の巨椋池は周囲約16キロメートル、水域面積約8平方キロメートルで、当時 |
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[[ファイル:Oguraikein20s.jpeg|thumb|300px|戦前の京都南部(部分)。1945年に米軍が日本の戦前の地図から転写]] |
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⚫ | [[豊臣秀吉]]による[[伏見城]]築城期の築堤をはじめとする土木工事などにより時代によって姿を変え、最終的には[[1933年]]([[昭和]]8年)から[[1941年]](昭和16年)にかけて行われた[[干拓]]事業によって634haの農地に姿を変えた<ref name="data" />。干拓前の巨椋池は周囲約16キロメートル、水域面積約8平方キロメートルで、当時京都府で最大の面積を持つ[[淡水湖]]であった。 |
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[[ファイル:巨椋池航空写真.svg|サムネイル|350px|干拓前の巨椋池の空中写真]] |
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== 巨椋池の姿の変遷 == |
== 巨椋池の姿の変遷 == |
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巨椋池の形態に大きな変化を与えた事業によって、いくつかの段階に分けて考えることができる。 |
巨椋池の形態に大きな変化を与えた事業によって、いくつかの段階に分けて考えることができる。 |
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=== 明治から干拓まで === |
=== 明治から干拓まで === |
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[[File:Ogura-Ike.JPG|thumb|300px| |
[[File:Ogura-Ike.JPG|thumb|300px|昭和初期の巨椋池]] |
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[[1868年]]︵[[明治]]元年︶に[[木津川 (京都府)|木津川]]の堤防が決壊したことで、[[京都府庁|京都府]]は[[淀藩]]との共同事業によって木津川の宇治川との合流点を下流側に付け替えた。これは木津川から巨椋池に向けての洪水時の逆流を少なくすることになった。
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[[1868年]]︵[[明治]]元年︶に[[木津川 (京都府)|木津川]]の堤防が決壊したことで、[[京都府庁|京都府]]は[[淀藩]]との共同事業によって木津川の宇治川との合流点を下流側に付け替えた。これは木津川から巨椋池に向けての洪水時の逆流を少なくすることになった。
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このような状況の中での地元の働きかけもあり、国の食糧増産事業として国営第1号の干拓事業が実施されることになった。 |
このような状況の中での地元の働きかけもあり、国の食糧増産事業として国営第1号の干拓事業が実施されることになった。 |
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[[ファイル:Oguraikein20s.jpeg|thumb|300px|1945年に発行された米軍による京都一帯の地図(部分)<br />日本の戦前の地図から転写したため巨椋池は残っているが既に干拓は完了し実際には池は消滅している]] |
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=== 干拓以降 === |
=== 干拓以降 === |
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干拓事業は、国営・府営・組合営の分担により行われた。 |
干拓事業は、国営・府営・組合営の分担により行われた。 |
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巨椋池においては[[内水面漁業]]、沿岸では[[水田]]耕作等の農業が営まれた。 |
巨椋池においては[[内水面漁業]]、沿岸では[[水田]]耕作等の農業が営まれた。 |
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巨椋池の漁業は、東一口村︵現・久御山町︶、弾正町︵現・京都市伏見区︶、[[小倉村 (京都府)|小倉村]]︵現・宇治市︶の3地域が、池の沿岸を除いて独占的な漁業の権利を有した。この権利は干拓まで続いた。漁業では、[[魞漁]]︵えり漁、魚を誘い込んで逃げ場をなくして捕獲する漁法︶をはじめとして[[浸木漁]]、網漁などさまざまな漁法が用いられた。
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巨椋池の漁業は、[[東一口村]]︵現・久御山町︶、弾正町︵現・京都市伏見区︶、[[小倉村 (京都府)|小倉村]]︵現・宇治市︶の3地域が、池の沿岸を除いて独占的な漁業の権利を有した。この権利は干拓まで続いた。漁業では、[[魞漁]]︵えり漁、魚を誘い込んで逃げ場をなくして捕獲する漁法︶をはじめとして[[浸木漁]]、網漁などさまざまな漁法が用いられた。
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巨椋池は、その周辺の洪水調整機能を引き受けたため、洪水時には湖岸約数千ヘクタールが長期に渡り浸水した。そのため、農業は3年に一度を平作とするほど洪水に左右されるものだった。
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巨椋池は、その周辺の洪水調整機能を引き受けたため、洪水時には湖岸約数千ヘクタールが長期に渡り浸水した。そのため、農業は3年に一度を平作とするほど洪水に左右されるものだった。
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== 現在の巨椋池 == |
== 現在の巨椋池 == |
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干拓地は、京都・大阪に近接した一大農業地帯として、[[米]]や[[野菜]]が生産されている。 |
干拓地は、[[近郊農業|京都・大阪に近接した一大農業地帯]]として、[[米]]や[[野菜]]が生産されている。 |
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干拓地や宇治川河川敷は[[渡り鳥]]の飛来地となっている。また干拓地の北側にある宇治川[[堤防#堤防の構造|堤外]]地の源内は、[[西日本]]では有数のヨシ群落で、[[植生]]の面でも貴重である。ここは日本有数の[[ツバメ]]のねぐらといわれ、8月から9月に掛けての最盛期には、数万羽のツバメを見ることができる。
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干拓地や宇治川河川敷は[[渡り鳥]]の飛来地となっている。また干拓地の北側にある宇治川[[堤防#堤防の構造|堤外]]地の源内は、[[西日本]]では有数のヨシ群落で、[[植生]]の面でも貴重である。ここは日本有数の[[ツバメ]]のねぐらといわれ、8月から9月に掛けての最盛期には、数万羽のツバメを見ることができる。
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[[京都競馬場]]の馬場の中央にある池は、かつての巨椋池の名残りを残した池だと考えられてきた。1999年︵[[平成]]11年︶に、京都府によって池中の生物の生態調査が実施されている<ref>{{Cite web|url=http://www.pref.kyoto.jp/kankyo/rdb/eco/gt/ss_11.html|archiveurl=https://web.archive.org/web/20050910184323/http://www.pref.kyoto.jp/kankyo/rdb/eco/gt/ss_11.html|publisher=京都府|title=レッドデータブック 京都競馬場調査|archivedate=2005-09-10|accessdate=2021-01-11}}</ref>。
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[[京都競馬場]]の馬場の中央にある池は、かつての巨椋池の名残りを残した池だと考えられてきた。1999年︵[[平成]]11年︶に、京都府によって池中の生物の生態調査が実施されている<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.pref.kyoto.jp/kankyo/rdb/eco/gt/ss_11.html|archiveurl=https://web.archive.org/web/20050910184323/http://www.pref.kyoto.jp/kankyo/rdb/eco/gt/ss_11.html|publisher=京都府|title=レッドデータブック 京都競馬場調査|archivedate=2005-09-10|accessdate=2021-01-11}}</ref>。
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南北方向には、従来の[[国道1号]]や[[国道24号]]に加えて[[第二京阪道路]]、東西方向には[[京滋バイパス]]が通っており、[[久御山ジャンクション]]でつながり、現代的な自動車交通の要衝となっている。巨椋池干拓地内に位置する第二京阪道路の[[インターチェンジ]]には、﹁[[巨椋インターチェンジ]]﹂という名称が付けられている。
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南北方向には、従来の[[国道1号]]や[[国道24号]]に加えて[[第二京阪道路]]、東西方向には[[京滋バイパス]]が通っており、[[久御山ジャンクション]]でつながり、現代的な自動車交通の要衝となっている。巨椋池干拓地内に位置する第二京阪道路の本線料金所には﹁[[巨椋池本線料金所]]﹂、[[インターチェンジ]]には、﹁[[巨椋池インターチェンジ]]﹂が、京滋バイパスには﹁[[巨椋インターチェンジ]]﹂という名称が付けられている。
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== 脚注 == |
== 脚注 == |
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== 関連項目 == |
== 関連項目 == |
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* [[奈良線]] - 巨椋池があったため桃山駅 - 新田駅の間で大きく東に迂回している |
* [[奈良線]] - 巨椋池があったため[[桃山駅]] - [[新田駅 (京都府)|新田駅]]の間で大きく東に迂回している。 |
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* [[近鉄京都線]] - 向島駅周辺の線路は、秀吉の小倉堤に沿って敷設されている。 |
* [[近鉄京都線]] - [[向島駅]]周辺の線路は、秀吉の小倉堤に沿って敷設されている。 |
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* [[ごはん (映画)]] - [[京滋バイパス]][[久御山ジャンクション]]東北側の巨椋池干拓改良区の水田などで2013年から撮影された、[[稲作]]を題材にした2017年の日本映画。 |
* [[ごはん (映画)]] - [[京滋バイパス]][[久御山ジャンクション]]東北側の巨椋池干拓改良区の水田などで2013年から撮影された、[[稲作]]を題材にした2017年の日本映画。 |
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* [[テスココ湖]] - 巨椋池と同様に盆地内にあって、現在は埋め立てられて陸地化されている。 |
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== 外部リンク == |
== 外部リンク == |
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* [http://www.maff.go.jp/kinki/seibi/midori/kanryou/oguraike/ 「農」の新しい歴史を刻む-国営巨椋池農地防災事業-近畿農政局] |
* [http://www.maff.go.jp/kinki/seibi/midori/kanryou/oguraike/ 「農」の新しい歴史を刻む-国営巨椋池農地防災事業-近畿農政局] |
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* [https://suido-ishizue.jp/kokuei/kinki/Prefectures/2601/2601.html 京都府 巨椋池干拓事業―水土の礎] |
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* [https://web.archive.org/web/20120527003759/http://www.interq.or.jp/mars/omr/m03a_coastline/m03a_oguraike/oguraike.htm 巨椋池干拓と周辺河川の治水(個人サイト)] |
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[[Category:近畿地方の湖|旧おくらいけ]] |
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[[Category:京都府の地形]] |
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[[Category:宇治市の地理]] |
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[[Category:宇治市の歴史]] |
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[[Category:久御山町]] |
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[[Category:伏見区の地理]] |
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[[Category:伏見区の歴史]] |
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[[Category:現存しない湖]] |
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巨椋池の姿の変遷[編集]
巨椋池の形態に大きな変化を与えた事業によって、いくつかの段階に分けて考えることができる。古代から秀吉の伏見築城期まで[編集]
宇治川が京都盆地に流れ込むところは、京都盆地の中でも最も低いところに位置しており、琵琶湖から流れ出る唯一の河川である宇治川は、京都盆地へ流入する宇治から、京都盆地の西端にあった木津川、桂川との合流点の上流側にかけて広大な遊水池を形成していた。これがこの時代の巨椋池である。 平安京と平城京の間に位置しており、古代、中世を通じて、水上交通の中継地として大きな役割を果たした。また陸上交通は、巨椋池を避けるように盆地の外縁部を通っていた。 巨椋池の東側には多くの島州が形成されていた。現在も残る槇島や向島や中書島などの地名はそれらが巨椋池の水面に浮かぶ島々だったことに由来する。またこれらを一望にする景勝地は貴族の別荘として、宇治には藤原頼通によって平等院が、指月の丘︵現在の桃山丘陵南麓︶には頼道の子・橘俊綱によって伏見山荘が営まれた。秀吉の伏見築城期から明治まで[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/5e/Ogura_Lake.jpg/300px-Ogura_Lake.jpg)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/3/35/Uji-gawa_Taiko-zutsumi-ato%2C_sekihi.jpg/220px-Uji-gawa_Taiko-zutsumi-ato%2C_sekihi.jpg)
明治から干拓まで[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/9/99/Oguraikein20s.jpeg/300px-Oguraikein20s.jpeg)