ふかひれ
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/c/c5/SharkFinTin9.jpg/220px-SharkFinTin9.jpg)
ふかひれ︵鱶鰭︶は、大型のサメ︵鱶︶のひれ︵鰭︶︵主に尾びれや背びれ部分︶を乾燥させた中華料理の食材。中国語では﹁魚翅﹂と言う。
![](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/2/27/Fukahire01.JPG/220px-Fukahire01.JPG)
ふかひれの天日干し︵気仙沼︶
生のふかひれを茹でるか鉄板で加熱してから、表面の鮫肌をブラシでこすり取り除く。油脂分を落とし天日干しにして、乾燥品が完成する。皮付きのまま乾燥にした加工品もある。
概要[編集]
中国でふかひれが食べられだしたのは明の時代と言われている。潮州料理など、中華料理の高級食材として利用される。ほぐれた状態のふかひれをスープや点心の具として使うほか、ヒレの形のまま煮込む料理などがある。ジンベエザメ、ウバザメのものが最も高級とされ、アオザメ、イタチザメなどのものも高級である。一般的には、ヨシキリザメのものが使用されることが多い。 日本は世界有数のふかひれ生産国であり、江戸時代にはナマコ、アワビと共に中国︵明、清︶へ輸出されていた[1]が、近年ではシンガポールやインドネシアの生産量の方が上回っている。日本では気仙沼の水揚げが最も多いが、この多くはマグロ延縄漁業の際に釣れたサメからとられたものである。日本の気仙沼産が有名で且つ高級品として扱われるのは、加工技術が優れているためと言われる。日本は世界有数のふかひれ生産国ではあるが、最近では日本の漁船に従事する人にはフィリピン人やインドネシア人等が多くなり、彼らの国にも日本漁船が寄航する機会が増えた。この時に漁に従事したフィリピン人やインドネシア人が、ふかひれを持って下船する例が増えたために日本国内へ持ち帰られるふかひれは以前よりかなり減ったと言われている[要出典]。 フカヒレ漁ではシャークフィニングと呼ばれる漁法が動物愛護の観点から広く問題視されている。これは、サメからヒレだけを切り取り、その後サメを再び海に戻すという方法で、しばしば生きたままで戻され、泳ぐことができないため、そのまま死んでしまう[2]。 また、フカヒレの国際取引のために捕獲されるサメ種の70%以上が絶滅の危機にある[3]。乾燥品の製法[編集]
調理法[編集]
100 gあたりの栄養価 | |
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エネルギー | 1,431 kJ (342 kcal) |
1.6 g | |
飽和脂肪酸 | 0.17 g |
一価不飽和 | 0.12 g |
多価不飽和 | 0.16 g |
83.9 g | |
ビタミン | |
ナイアシン (B3) |
(3%) 0.5 mg |
パントテン酸 (B5) |
(5%) 0.24 mg |
ビタミンB6 |
(2%) 0.02 mg |
葉酸 (B9) |
(6%) 23 µg |
ビタミンB12 |
(38%) 0.9 µg |
ビタミンD |
(7%) 1.0 µg |
ビタミンE |
(3%) 0.4 mg |
ミネラル | |
ナトリウム |
(12%) 180 mg |
カリウム |
(0%) 3 mg |
カルシウム |
(7%) 65 mg |
マグネシウム |
(26%) 94 mg |
リン |
(5%) 36 mg |
鉄分 |
(9%) 1.2 mg |
亜鉛 |
(33%) 3.1 mg |
銅 |
(3%) 0.06 mg |
他の成分 | |
水分 | 13.0 g |
コレステロール | 250 mg |
ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[5]。別名: さめひれ、きんし | |
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%はアメリカ合衆国における 成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。 |
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排翅を使ったふかひれの姿煮
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散翅を使ったふかひれスープ
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魚翅(胸びれ)を使ったふかひれスープ
調理する際は、乾燥したふかひれをまずネギやショウガとともに茹で、さらに蒸した上で皮を剥き、水にさらす。このように下処理をしてから上手に煮込むと臭みが消え、軟骨魚特有の柔らかなゼラチン質の食感が楽しめる珍味となる。ふかひれ自体に味はほとんどない。
種類[編集]
ふかひれは形状と大きさにより価格が大きく異なる。形状により味が異なるわけではないが、一般的には元のヒレの形を保ったふかひれが高級品とされている。これは排翅の入手が困難である理由と、形状が保たれている排翅の方が加工済みの魚翅より品質を見極めやすい理由による。
●散翅︵サンチー, sǎnchì︶- 最初からバラバラにほぐれたヒレ。缶詰やレトルトパックでも販売されており、一番安価で手ごろに食べられる。
●魚翅︵ユイチー, yúchì︶- 中国語でのふかひれの総称。または手のひら程度の小ぶりの物や、一本一本バラバラにほぐれた散翅を指すこともある。基本的にスープとして提供される。主に胸びれが使われる。排翅と比べると値段は安い。
●排翅︵パイチー, páichì︶- 扇のような形状を保った丸ごとの大ぶりなヒレ。基本的に姿煮として提供される。主に背びれと尾びれが使われる。大きさ・形・厚さで値段が大きく変わる。
●天九翅︵ティェンジュウチー, tiānjiǔchì︶- 最高級品。ジンベエザメとウバザメの背びれのみ天九翅になる。一本ずつの繊維がモヤシより太い。ジンベエザメとウバザメは捕獲と取引が国際的に規制されているため、天九翅は稀少である。特に形の良い天九翅は、しばしば料理店の権威を表す店頭ディスプレイとして展示される。
人工ふかひれ[編集]
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数百円程度の廉価で販売されている﹁ふかひれ﹂は、エイのヒレで代用したものや、春雨や湯葉を使って本物に似せた﹁人工ふかひれ﹂である。本場中国を謳う料理店の出す﹁姿煮﹂にも人工ふかひれが使用されているケースがある。
中国・山東省では、工業用にかわをホルムアルデヒドで浸した偽ふかひれが摘発されたことがある。
サメの乱獲によるふかひれの供給不足や中国におけるふかひれの需要の増加などのため、天然ふかひれは価格が高騰しており、人工ふかひれの需要が日本でも本場中国でも高まっている。日本では豚のゼラチンなどを原料とした人工ふかひれの製造販売も行なわれている。
贅沢品としての規制[編集]
2013年12月、中国の習近平政権は、綱紀粛正の一環として公務接待に関する管理規定を提示。この中で具体的にふかひれ、ツバメの巣を挙げて、高級食材を利用した料理を公務接待︵官官接待など︶の宴席に供することを禁じた[6]。原材料となるサメを保護する動き[編集]
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イギリスがフカヒレ取引を禁止[編集]
イギリス政府は2021年8月15日、フカヒレの輸出入を禁止する新しい法律を制定した[7]。缶詰のフカヒレスープなど、フカヒレが使われている製品はすべて対象となる。イギリスは、フカヒレを広範囲で規制する︵2021年10月時点で︶世界初の国となった。イギリスでは、サメのヒレだけ切り取って残りを海を捨てる︵しばしばサメは生きたままで投棄されるため、泳げずに死に至る︶[2]シャークフィニングを20年以上前から禁止してきたが、フカヒレの交易を認めることは、間接的にこのような漁法に加担することから、今回の立法に至った。