AT4 (携行対戦車弾)
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![]() AT-4 | |
概要 | |
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種類 | 個人携帯対戦車弾 |
製造国 |
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設計・製造 | FFV |
性能 | |
口径 | 84mm |
使用弾薬 | 翼安定成形炸薬弾 |
装弾数 | 1発 |
全長 | 101.6cm |
重量 | 6.7kg |
銃口初速 | 285m/秒 |
有効射程 | 300m |
AT-4は、スウェーデンのサーブAB社が開発した単発使い捨ての滑腔式無反動砲である。アメリカ軍などNATO加盟国の間でM72 LAWの後継装備品として採用されている。
歩兵部隊に対装甲車戦闘能力を与える目的で開発された。弾薬は、あらかじめ発射器に装填された状態で製造され、発射器は射撃後に廃棄される。
現在はサーブ社が旧ボフォース社を買収して生まれた﹁サーブ・ボフォース・ダイナミクス社﹂が製造・販売している。
なお、名称のAT-4はその弾頭口径の84mmの英語読み﹁エイティ・フォー﹂に由来する。
![](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/a7/AT-4_live-fire.jpg/200px-AT-4_live-fire.jpg)
実弾射撃訓練でAT-4を使用するアメリカ海兵隊兵士。射手右掌の後 方に、撃発位置へ引き起こされたコッキングレバーが見える。飛散しているのは発射の衝撃で巻き上げられた薬莢や分離式弾帯。
AT-4は、1960年代にスウェーデン軍が装備していた60mm Pskott m/68の発展型である。m/68と同じく、FFV社が設計を担当している。AT-4がスウェーデンに採用される以前より、アメリカ軍の新しい個人携行対戦車弾の競争入札に参加していた。候補はAT-4とドイツ製のArmbrustで、米軍はAT-4に興味を示すと改良要求を出し、これに基づき照準器と負い紐が改修された。その結果、AT-4は米軍に採用され、M136の型式番号を与えられた。
1990年代初頭、口径120mmのタンデム弾頭が、現用戦車の正面装甲を貫通できるかどうかの試験が行われた。しかし、新型弾頭の開発はソ連の解体による防衛予算の縮小によって中止されることとなった。
![](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/53/AT4_image.jpg/200px-AT4_image.jpg)
AT-4と砲弾。AT-4の向かって左側が砲口である
AT-4の構造原理は、無反動砲である。前方に射出される砲弾による反動は、発射器後方から砲弾と同じ程度の運動量のガスを放出することで相殺される。射撃時の反動がほとんどないことから、他の構造の個人携行火器では射撃できない大口径の弾薬でも射撃でき、砲自体の軽量化も可能である。この構造の欠点は、射撃時に後方に噴出されるガスによる危険区域があることであり、射手の近くにいる味方や時として射手自身も火傷などを負う危険がある。
この後方爆風の問題は、改良型のAT-4 CSで改善された。この改良型は、射撃時にガスのかわりに発射筒後部に封入した塩水を放出する。この改良によって掩蓋内でも射撃できるようになり、射手は敵火に身をさらすことなく装甲車や戦車を攻撃できるようになった。
射撃の手順は、射手はまず後方の危険区域に味方の人員や機材がないかを確認する。伏せ撃ちの場合ならば、射手は自分の足を危険区域外に置かなければならない。発射器後方の安全ピンを外すと、撃発装置を操作できるようになる。射手が折り畳み式の肩当てを開き、発射器を右肩に担いで、前後照準器の保護カバーをずらすと、それぞれの照準器が起き上がる。後部照準器の後ろに位置する、砲身の左側︵射手側︶を向いた小レバーを前方へ押し出し、砲身の上側を通って右側へ回転させると撃発装置のばねが圧縮されて発射可能状態となる。射手は左手で砲身を支えるか、砲身の負い紐を握り、最終的な射撃姿勢を取る。そして後部照準器の右側にある赤い安全レバーを右手の人差し指から小指で押し下げつつ、親指でやはり赤い発射ボタンを押し込むと撃発装置が解放されて、砲弾が発射される。照準用のオプションとして夜間照準具も用意されている。AT-4は少ない訓練で使用できる汎用性のある火器で、外面には操作方法についての簡単な説明書きが記されている。訓練用に口径9mmと20mmの曳光弾による訓練キットも用意されている。
![](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4d/US_Army_AT4_CS_live-fire_training.jpg/300px-US_Army_AT4_CS_live-fire_training.jpg)
AT-4 CSの射撃時。ランチャー後部から塩水が勢いよく飛散して いる。
AT-4 CS︵Confined Space︶は、AT-4の派生型で、市街地戦闘用に設計された。とくに、室内や路地裏といった閉所でのバックブラストの問題に対応するため、クルップ式から下記のようなデイビス式に変更した。
通常型のAT-4は、その後方に排出される爆風のために閉所からの射撃は非常に危険であった。発射器後方15m以内に壁などがあれば、爆風はそれに反射して射手自身に火傷をもたらす危険がある。CS型では放出される爆風に対するカウンター・マスとして、封入されている塩水を飛散させ、爆風を吸収する。塩水は真水より比重の点で有利であり、これにより噴射された蒸気が数mで減衰しやすく、閉所からの射撃時に後方の壁から反射した爆風を射手が受けにくくなり、基本型のAT-4よりもはるかに安全である。また、塩水を含む溶液は凝固点が低いため凍りにくく、さらに他の多くの物質と異なり食塩は温度で溶解度がさほど変わらないため、ある程度の寒冷地でも安定して使用可能である。加えて衝撃を抑えられ、夜間使用時においては派手な発熱・発光をともなうバックブラストで敵に居場所を悟られる可能性も低くなった。
開発[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/a7/AT-4_live-fire.jpg/200px-AT-4_live-fire.jpg)
構造[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/53/AT4_image.jpg/200px-AT4_image.jpg)
弾薬[編集]
AT-4には何種類か弾薬があるが、単発の使い捨て兵器であり、弾薬は製造時に装填されたもの以外は使用できない。HEAT[編集]
成形炸薬弾で、420mmの装甲を貫通できる。AST︵HEDP︶[編集]
市街戦向けであり、掩体壕や構築物に対して使用される。この信管は瞬発と遅発どちらかに設定できる。 建物の壁面に大きな突入口を空けたり、簡易バンカーを貫通した後バンカー内部で起爆し、爆風でバンカーを丸ごと粉砕するための弾頭である。HP[編集]
爆発反応装甲や空間装甲に対応するように改良した成形炸薬弾で、極めて高い貫通力を持ち、500-600mmの装甲を貫通できる。AT-4 CS[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4d/US_Army_AT4_CS_live-fire_training.jpg/300px-US_Army_AT4_CS_live-fire_training.jpg)
運用する国と地域[編集]
- アイルランド SRAAW(Short Range Anti Armour Weapon)
- アメリカ M136 AT4
- イギリス L2A1(HP弾頭AT-4 CSのみ)
- インド
- ウクライナ
- オランダ
- コロンビア
- スウェーデン Pansarskott m/86
- 台湾
- チリ
- デンマーク
- ブラジル
- フランス ABL(Anti Blindé Léger)
- ベネズエラ
- リトアニア
登場作品[編集]
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