デジタル大辞泉 「希有」の意味・読み・例文・類語 け‐う【▽希有/×稀有】 ﹇名・形動﹈ 1 めったにないこと。とても珍しいこと。また、そのさま。まれ。﹁―な︵の︶出来事﹂ 2 不思議なこと。また、そのさま。 ﹁ここに―なは﹃いるまん﹄の﹃しめおん﹄じゃ﹂︿芥川・奉教人の死﹀ 3 とんでもないこと。けしからぬこと。 ﹁―のわざする男かなと、ののしるときに﹂︿宇治拾遺・二﹀ 4 ︵﹁希有の命﹂の形で︶危うく死を免れること。 ﹁平氏の大将維盛、通盛、―の命生きて加賀国へ引き退く﹂︿平家・七﹀ [類語]又と無い・又無い・無二・無比・無双・無類・比類ない・類がない・並びない・たぐいまれ・又と・二度と・二度と再び・めった・千載一遇・盲(もう)亀(き)の浮(ふぼ)木(く)・一(いち)期(ごい)一(ち)会(え)・見せ場・決め所・思いがけない・思いがけず・待てば甘露の日(ひよ)和(り)あり・折よく・僥(ぎょ)倖(うこう)・ここぞ・一(いっ)世(せ)一代・最初で最後・図らずも・決定的瞬間・契機・珍しい・貴重・珍重・得難い・貴い・稀・高貴・大切・重要・異色・異彩・珍貴・珍稀・大(だい)事(じ)・肝要・肝心・緊要・枢要・要(かなめ)・肝(きも)・肝心要・有意義・意義深い・千金・耳寄り・掛け替えのない・奇跡的・奇しくも・期せずして・まぐれ・偶(たま)・未曽有・空前絶後・前代未聞・不可思議 き‐ゆう〔‐イウ〕【希有/×稀有】 [名・形動]⇒けう(希有) 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「希有」の意味・読み・例文・類語 け‐う【希有・稀有】 (一)〘 名詞 〙 ( 形動 )( ﹁け﹂﹁う﹂は﹁希﹂﹁有﹂の呉音 ) (二)① めったにないこと。珍しいこと。 (一)[初出の実例]﹁但聞レ是希故云二希有一﹂(出典‥勝鬘経義疏︵611︶歎仏真実功徳章) (二)﹁﹃琉球風炉に、チンカラ、なぞといふがありヤス﹄﹃ハテけうな名じゃな﹄﹂(出典‥洒落本・文選臥坐︵1790︶東北の雲談) (三)[その他の文献]︹孔叢子・雑訓︺ (三)② 不思議なこと。 (一)[初出の実例]﹁是に希有の想を発して禅師に白して言はく﹂(出典‥日本霊異記︵810‐824︶上) (二)﹁いとあやしうけうのことをなんみ給へし﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶手習) (三)[その他の文献]︹法華経‐序品︺ (四)③ ( 多く悪い事について ) 意外であること。とんでもないこと。 (一)[初出の実例]﹁御房は希有(けうの)事云ふ者かな﹂(出典‥今昔物語集︵1120頃か︶二四) (二)﹁こは希有の狼籍かな﹂(出典‥徒然草︵1331頃︶一〇六) 希有の語誌 (1)仏典を通じて受け入れられた語か。 (2)中世には﹁希有の命を生きる﹂のような慣用句が生じて、九死に一生を得るの意味で、軍記物語に多く用いられている。 き‐ゆう‥イウ︻希有・稀有︼ (一)〘 名詞 〙 ( ﹁きゆう﹂は﹁希有﹂の漢音 ) 存在がまれであること。めったに出現しないこと。普通は呉音で﹁けう﹂という。︹広益熟字典︵1874︶︺ (一)[初出の実例]﹁﹃浅草寺縁起﹄の序文に︿略﹀爾来当山は一千三百余年の久しきにわたり、皇国希有(キイウ)の霊刹(れいさつ)﹂(出典‥浅草紅団︵1929‐30︶︿川端康成﹀二一) け‐ぶ︻希有・稀有︼ (一)〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( ﹁けう︵希有︶﹂の変化した語 ) ふしぎなさま。奇妙なさま。 (一)[初出の実例]﹁ヤア米屋へ米を売るとは、ムム払ひ米か、どれどれ、ハアしたがこいつ、けぶな米じゃわい﹂(出典‥咄本・軽口大黒柱︵1773︶一) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
普及版 字通 「希有」の読み・字形・画数・意味 【希有】けう めったにない。きわめて珍しい。︹老子、七十四︺夫(そ)れ大匠に代りて(き)るは、其の手を傷つけざることること希(まれ)なり。 字通﹁希﹂の項目を見る。 出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報