戦時歌謡
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戦時歌謡︵せんじかよう︶とは、﹁軍歌﹂の枠組みを根底に幅広く捉えた、十五年戦争期に発表された流行歌の総称[1]。使用者により意味が異なる曖昧で[1][2]統一した客観的な基準に乏しい便宜上の呼称である[2]。
西條八十主宰、大島博光編集の総合文芸誌﹃蝋人形﹄︵昭和13年12月号︶には、読者の投稿作品を詩、童謡、短歌などとともに、﹁戦時歌謡﹂のジャンルを設けて分類している。昭和16年の同誌︵12巻12号︶には﹁戦時歌謡﹂として﹁来たぞ国民徴用令︵郡山・谷玲之介︶﹂﹁従軍畫家に與ふる歌︵熊谷・瀧村春介︶﹂が掲載されており、﹁戦時歌謡﹂という呼称が広く全国に浸透していることが窺われる。
長田暁二によると、﹁戦時歌謡﹂は昭和36年の自身による造語である、という[3]。戦後、明治百年を契機とする復古基調や懐メロブームの中で、テレビ番組やレコードなどで、﹁軍歌﹂﹁戦時歌謡﹂﹁軍国歌謡﹂などの総称で受容された[1]。櫻本富雄によると、1970年代頃に、﹁愛国歌﹂﹁愛国流行歌﹂﹁軍歌流行歌﹂﹁軍国歌謡﹂などが、﹁戦時歌謡﹂という名称に定着した、という[4]。
脚注[編集]
出典[編集]
(一)^ abc戸ノ下達也﹁軍歌・戦時歌謡﹂吉田裕・森武麿・伊香俊哉・高岡裕之編﹃アジア・太平洋戦争辞典﹄吉川弘文館、二〇一五年 (平成二十七) 十一月十日 第一版第一刷発行、ISBN 978-4-642-01473-1、171頁。
(二)^ ab戸ノ下達也﹁電波に乗った歌声﹂﹃音楽を動員せよ 統制と娯楽の十五年戦争 ︿越境する近代5﹀﹄青弓社、2008年2月7日 第1刷、ISBN 978-4-7872-2024-0、144頁。
(三)^ 長田曉二﹃戦争が遺した歌: 歌が明かす戦争の背景﹄全音楽譜出版社、2015年6月15日 第1版第1刷、ISBN 978-4-11-880232-9、凡例。
(四)^ 櫻本富雄﹃歌と戦争 みんなが軍歌をうたっていた﹄アテネ書房、2005年3月、ISBN 4-87152-235-0、17頁。
関連項目[編集]