国花
国名
正式名称は英語で、United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland︵ユナイテッド・キングダム・オヴ・グレイト・ブリテン・アンド・ノーザン・アイルランド︶。
日本語では、﹁グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国﹂とする場合︵法文など︶と﹁グレートブリテン及び北アイルランド連合王国﹂とする場合︵条約文など︶がある。
英語での略称は﹁United Kingdom﹂、﹁UK﹂、﹁Britain﹂。日本語における一般的な通称は﹁イギリス﹂もしくは﹁英国﹂︵英と略称される︶であるが、稀に﹁United Kingdom﹂の直訳である﹁連合王国︵れんごうおうこく︶﹂が用いられることもある。現在の公用文では﹁英国﹂が使用されており、﹁イギリス﹂は口語で用いられることが多い[注釈1]。﹁連合王国﹂は2003年まで法文において用いられていた[10]。
﹁イギリス﹂は、イングランドに関連するポルトガル語の形容詞﹁inglez, inglês︵イングレス、イングレシュ︶﹂が語源で、戦国時代にポルトガル人が来航した事に起源を持つ。原義にかかわらず連合王国全体を指して使われており、連合王国の構成体たる﹁イングランド﹂とは区別される。江戸時代には、オランダ語の形容詞﹁engelsch, engels︵エンゲルス︶﹂を語源とする﹁エゲレス﹂という呼称も広く使用された[11]。幕末から明治・大正期には﹁英吉利︵えいぎりす︶﹂や﹁大不列顛︵大不列顚、だいふれつてん、大ブリテン︶﹂と漢字で表記されることもあったが、前者が﹁英国﹂という略称の語源である。ただし﹁英国﹂は、狭義に連合王国全体でなくイングランド︵英格蘭︶のみを指す場合もある[注釈2]。
1707年合同法においては、イングランド王国およびスコットランド王国を一王国に統合すると宣言する。同法において、新国家名称は﹁グレートブリテン王国﹂または﹁グレートブリテン連合王国﹂および﹁連合王国﹂とすると述べている[12][13]。しかしながら、﹁連合王国﹂という用語は18世紀における非公式の使用にのみ見られ、﹁長文式﹂でない単なる﹁グレートブリテン﹂であった1707年から1800年まで、同国はごくまれに正式名称である﹁グレートブリテン連合王国﹂と言及された[14][15][16][17][18]。1800年合同法では、1801年にグレートブリテン王国とアイルランド王国が統合し、グレートブリテン及びアイルランド連合王国が成立した。現在の正式国名である﹁グレートブリテン及び北︵部︶アイルランド連合王国﹂は、北アイルランドのみが連合王国の一部としてとどまった1922年のアイルランド自由国独立およびアイルランド分裂︵英語版︶後に採用された[19]。
イギリスは主権国家として国であるが、イングランド、スコットランド、ウェールズ、それほどの段階ではないが北アイルランドも、主権国家ではないが﹁国﹂︵country︶と呼ばれる[20][21]。スコットランド、ウェールズ、北アイルランドは、権限の委譲による自治権を有する[22][23]。イギリス首相のウェブサイトでは、連合王国の説明として﹁1国内の国々﹂という言葉が用いられていた[2]。イギリスの12のNUTS1地域︵英語版︶統計のような複数の統計的概要において、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドを﹁region﹂と言及している[24][25]。北アイルランドは﹁province﹂とも言及される[20][26]。北アイルランドに関しては、記述名の使用が﹁多くの場合、個人の政治的選好を明らかにする選択で議論の的になり得る﹂[27]。
英語では﹁Britain﹂という言葉は、連合王国の同義語として頻繁に用いられる。一方、﹁Great Britain﹂という言葉は、連合王国全体の緩い同義語として用いられる場合もあるが[28][29]、本来はイングランド、スコットランドおよびウェールズを指すものであり、北アイルランドを含む︵すなわち、イギリス全体を指す︶場合には用いるべきでないとされる[30][31][32]。
"GB"及び"GBR"は、イギリスの標準国名コード (ISO 3166-2及びISO 3166-1 alpha-3を参照) であり、その結果として国際機関がイギリスに言及する際に用いられることがある。さらに、イギリスのオリンピックチームは﹁Great Britain﹂もしくは﹁Team GB﹂の名称を用いる[33][34]。
形容詞の﹁British﹂は、イギリスに関する事項への言及によく用いられる。﹁British﹂に明白な法的含意はないが、イギリスの市民権及び国籍に関する事項︵英語版︶への言及に法律上用いられる[35]。イギリスの国民は、自らの国民性を表現するのに多数の異なる用語を用い、自らをイギリス人であるか、イングランド人、スコットランド人、ウェールズ人、北アイルランド人、アイルランド人[36] であるか、またはその両方であると見なし得る[37]。
2006年、英国旅券に新デザインが導入された。新パスポートの1ページ目には、英語、ウェールズ語、スコットランド・ゲール語で正式国名が記載されている[38]。ウェールズ語での正式国名は﹁Teyrnas Unedig Prydain Fawr a Gogledd Iwerddon﹂であり、政府のウェブサイト上での略名は﹁Teyrnas Unedig﹂であるが[39]、通常は語形変化した形﹁Y Deyrnas Unedig﹂から﹁DU﹂と略される。スコットランド・ゲール語での正式国名は﹁Rìoghachd Aonaichte Bhreatainn is Èireann a Tuath﹂であり、略名は﹁Rìoghachd Aonaichte﹂である。
歴史
政治
国際関係
国家安全保障
イギリスの軍隊は、1707年にグレートブリテン連合王国の軍隊としてイングランド軍とスコットランド軍の合併によって設立された。
名称は﹁イギリス軍 (British Armed Forces)﹂または﹁陛下の軍 (His/Her Majesty's Armed Forces)﹂として知られている。しかし、公式の場では﹁アームド・フォーシーズ・オブ・ザ・クラウン (Armed Forces of the Crown)﹂︵慣例がないため未翻訳︶と呼ばれる[55]︵クラウンは冠、王冠の意︶。全軍の最高司令官はイギリスの君主であるが、それはあくまで名目上に過ぎず、国王大権は首相ないし内閣の助言に従い行使されるため、首相が事実上の指揮権を有している。軍の日常的な管理は国防省に設置されている国防評議会︵英語版︶によって行われている。
イギリス軍の幅広い活動能力にもかかわらず、最近の国事的な国防政策でも協同作戦時に最も過酷な任務を引き受けることを想定している[60]。イギリス軍が単独で戦った最後の戦争はフォークランド紛争で、全面的な戦闘が丸々3か月続いた。
現在はボスニア紛争、コソボ紛争、アフガニスタン侵攻、イラク戦争など、アメリカ軍やNATO諸国との連合作戦が慣例となっている。イギリス海軍の軽歩兵部隊であるイギリス海兵隊は、水陸両用作戦の任務が基本であるが、イギリス政府の外交政策を支援するため、軽歩兵部隊の特性を生かして海外へ即座に展開できる機動力を持つ。
アメリカ軍の駐留と問題
地理
地方行政区分
連合王国の地方行政制度は次の各地方によって異なっている。
このほか、連合王国には含まれないものの、連合王国がその国際関係について責任を負う地域として、海外領土および王室属領が存在する。
主要都市
イギリスは四つの非独立国であるイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドより構成される。それぞれの国は首都を持ち、ロンドン︵イングランド︶、エディンバラ︵スコットランド︶、カーディフ︵ウェールズ︶、ベルファスト︵北アイルランド︶がそれである。中でもイングランドの首都であるロンドンは、イギリス連合王国の首都としての機能も置かれている。
イングランドの首都ロンドンは、ヨーロッパ第2の規模の都市的地域及びユーロスタットによれば欧州連合最大の約1,400万人の人口を有する都市圏であり、重要な世界都市及び金融センターである[68][69]。
ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの首都は各々カーディフ、エディンバラ、ベルファストである。
イギリスの主要都市
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ロンドン バーミンガム
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#
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都市名
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行政区画
|
人口
|
#
|
都市名
|
行政区画
|
人口
|
リーズ グラスゴー
|
1 |
ロンドン |
イングランド |
8,908,081 |
11 |
コヴェントリー |
イングランド |
366,785
|
2 |
バーミンガム |
イングランド |
1,141,374 |
12 |
カーディフ |
ウェールズ |
362,800
|
3 |
リーズ |
イングランド |
789,194 |
13 |
ベルファスト |
北アイルランド |
340,200
|
4 |
グラスゴー |
スコットランド |
626,410 |
14 |
レスター |
イングランド |
329,839
|
5 |
シェフィールド |
イングランド |
582,506 |
15 |
ノッティンガム |
イングランド |
321,500
|
6 |
マンチェスター |
イングランド |
547,627 |
16 |
ニューカッスル・アポン・タイン |
イングランド |
300,196
|
7 |
ブラッドフォード |
イングランド |
537,173 |
17 |
プリマス |
イングランド |
263,100
|
8 |
リヴァプール |
イングランド |
494,814 |
18 |
ウルヴァーハンプトン |
イングランド |
262,008
|
9 |
エディンバラ |
スコットランド |
488,050 |
19 |
キングストン・アポン・ハル |
イングランド |
260,645
|
10 |
ブリストル |
イングランド |
463,400 |
20 |
ストーク・オン・トレント |
イングランド |
255,833
|
4位以下の都市人口が僅差であり順位が変わりやすい。2006年以降はロンドン、バーミンガム、リーズ、グラスゴー、シェフィールドの順となっている。
経済
IMFによると、2015年のイギリスのGDPは2兆8584億ドルであり、世界5位、欧州ではドイツに次ぐ2位である[70]。同年の一人当たりのGDPは4万3902ドルである[70]。人間開発指数は世界第14位で﹁非常に高い﹂に分類される。
ロンドンは2016年に発表された﹁世界の都市総合力ランキング﹂において、世界1位と評価された[71]
首都ロンドンは2016年時点でニューヨークを上回る世界一の金融センターと評価されている[72]。ロンドンのシティには、世界屈指の証券取引所であるロンドン証券取引所がある。イギリスの外国為替市場の1日平均取引額はアメリカを上回り、世界最大である[73]。富裕層人口も非常に多く、金融資産100万ドル以上を持つ富裕世帯は約41万世帯と推計されており、アメリカ、日本、中国に次ぐ第4位である[74]。また、金融資産1億ドル以上を持つ超富裕世帯は1,125世帯と推計されており、アメリカに次ぐ第2位である[74]。
18世紀の産業革命以降、近代において世界経済をリードする工業国で、造船や航空機製造などの重工業から金融業やエンターテイメント産業に至るまで、様々な産業が盛んである。歴史的に造船業は特筆に値し、三段膨張機関が登場してから第一次世界大戦勃発までは世界の船の三分の二を生産した[75]。
しかしながら、19世紀後半からはアメリカ合衆国、ドイツ帝国の工業化により世界的優位は失われた。イギリスを含む世界金融資本がイギリス製造業への投資より、ドイツ・アメリカおよび植民地への投資を選好したためである。イギリス製造業はしだいにドイツ・フランスやアメリカ合衆国に立ち後れるようになってゆく。20世紀に入るころより国力は衰え始め、二度の世界大戦はイギリス経済に大きな負担を与えた。各地の植民地をほとんど独立させた1960年代後半には経済力はいっそう衰退した。
戦後の経済政策の基調は市場と国営セクター双方を活用する混合経済体制となり、左派の労働党は﹁ゆりかごから墓場まで﹂と呼ばれる公共福祉の改善に力を入れ、保守党も基本的にこれに近い政策を踏襲、1960年代には世界有数の福祉国家になった。しかし、オイルショックを契機とした不況になんら実用的な手立てを打たなかったために、継続的な不況に陥り、企業の倒産やストが相次いだ。20世紀初頭から沈滞を続けたイギリス経済は深刻に行き詰まり、﹁英国病﹂とまで呼ばれた。
1979年に登場したサッチャー政権下で国営企業の民営化や各種規制の緩和が進められ、1980年代後半には海外からの直接投資や証券投資が拡大した。この過程で製造業や鉱業部門の労働者が大量解雇され、深刻な失業問題が発生。基幹産業の一つである自動車産業の殆どが外国企業の傘下に下ったが、外国からの投資の拡大を、しだいに自国の産業の活性化や雇用の増大に繋げて行き、その後の経済復調のきっかけにして行った︵ウィンブルドン現象︶。
その後、1997年に登場したブレア政権における経済政策の成功などにより、経済は復調し、アメリカや他のヨーロッパの国に先駆けて好景気を享受するようになったが、その反面でロンドンを除く地方は経済発展から取り残され、貧富の差の拡大や不動産価格の上昇などの問題が噴出してきている。
さらに、2008年にはアメリカ合衆国のサブプライムローン問題の影響をまともに受けて金融不安が増大した上に、資源、食料の高騰の直撃を受け、アリスター・ダーリング財務大臣が﹁過去60年間で恐らく最悪の下降局面に直面している﹂と非常に悲観的な見通しを明らかにしている[76]。2012年02月時点で失業率は8%を超えるまでに悪化した状態にあったが、その後は回復の兆しを見せている。しかし、2023年にはG7加盟国で唯一マイナス成長の見通しとなった[77]。
鉱業
イギリスの鉱業は産業革命を支えた石炭が著名である。300年以上にわたる採炭の歴史があり、石炭産業の歴史がどの国よりも長い。2002年時点においても3193万トンを採掘しているものの、ほぼ同量の石炭を輸入している。北海油田からの原油採掘量は1億1000万トンに及び、これは世界シェアの3.2%に達する。最も重要なエネルギー資源は天然ガスであり、世界シェアの4.3%︵第4位︶を占める。有機鉱物以外では、世界第8位となるカリ塩 (KCl) 、同10位となる塩 (NaCl) がある。金属鉱物には恵まれていない。最大の鉛鉱でも1000トンである。
農業
最も早く工業化された国であり、現在でも高度に工業化されている。農業の重要性は低下し続けており、GDPに占める農業の割合は2%を下回った。しかしながら、世界シェア10位以内に位置する農産物が8品目ある。穀物ではオオムギ︵586万トン、世界シェア10位、以下2004年時点︶、工芸作物では亜麻︵2万6000トン、5位︶、テンサイ︵790万トン、9位︶、ナタネ︵173万トン、5位︶、ホップ︵2600トン、6位︶である。家畜、畜産品では、ヒツジ︵3550万頭、7位︶、羊毛︵6万5000トン、5位︶、牛乳︵1480万トン、9位︶が主力。
貿易
イギリスは産業革命成立後、自由貿易によって多大な利益を享受してきた。ただし、21世紀初頭においては貿易の比重は低下している。2004年時点の貿易依存度、すなわち国内総生産に対する輸出入額の割合は、ヨーロッパ諸国内で比較するとイタリアと並んでもっとも低い。すなわち、輸出16.1%、輸入21.3%である。
国際連合の2003年国際機関の貿易統計︵International Trade Statistics Yearbook 2003︶によると、品目別では輸出、輸入とも工業製品が8割弱を占める。輸出では電気機械︵15.2%、2003年︶、機械類、自動車、医薬品、原油、輸入では電気機械 (16.3%)、自動車、機械類、衣類、医薬品の順になっている。
貿易相手国の地域構成は輸出、輸入ともヨーロッパ最大の工業国ドイツと似ている。輸出入とも対EUの比率が5割強。輸出においてはEUが53.4%︵2003年︶、次いでアメリカ合衆国15.0%、アジア12.1%、輸入においてはEU52.3%、アジア15.1%、アメリカ合衆国9.9%である。
国別では、主な輸出相手国はアメリカ合衆国︵15.0%、2003年︶、ドイツ (10.4%)、フランス (9.4%)、オランダ (5.8%)、アイルランド (6.5%)。輸入相手国はドイツ (13.5%)、アメリカ合衆国 (9.9%)、フランス (8.3%)、オランダ (6.4%)、中華人民共和国 (5.1%) である。
不動産
イギリスの不動産は人口の約1%の約25,000人の貴族や大企業などがイングランドの土地の48%を保有しており、未申告は貴族が家族間で秘密裏に管理していた土地と考えられている。
法人企業
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18
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銀行の経営者・寡頭政治家
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17
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公的機関
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8.5
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住宅保有者
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5
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慈悲団体
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2
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王室
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1,4
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イングランド教会
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0.5
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未申告
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17
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エネルギー政策
イギリスの原子力発電に対する中華人民共和国の投資と技術協力を積極的に推進することで、エネルギー政策と経済力の強化に取り組んでいる[78]。2016年には、中国からの投資による原子炉の建造を承認した[79]。
通貨
スターリング・ポンド (GBP) が使用されている。補助単位はペニーで、1971年より1ポンドは100ペンスである。かつてポンドはUSドルが世界的に決済通貨として使われるようになる以前、イギリス帝国の経済力を背景に国際的な決済通貨として使用された。イギリスの欧州連合加盟に伴い、ヨーロッパ共通通貨であるユーロにイギリスが参加するか否かが焦点となったが、イギリス国内に反対が多く、通貨統合は見送られた。イングランド銀行が連合王国の中央銀行であるが、スコットランドと北アイルランドでは地元の商業銀行も独自の紙幣を発行している。イングランド銀行の紙幣にはエリザベス女王が刷られており︵2022年10月以降はチャールズ新国王の紙幣が発行される予定︶、連合王国内で共通に通用する。スコットランド紙幣、北アイルランド紙幣ともに連合王国内で通用するが、受け取りを拒否されることもある。
2016年06月24日、1993年に加盟した欧州連合︵EU︶の脱退が、国民投票によって正式に決定した。
企業
交通
科学技術
国民
国民性
イギリスは伝統的価値観を重視する保守的な国であり[81]、国民性としては伝統的価値観を重視する保守的な面と音楽やアートに代表される斬新性と独自性の両面を持ち合わせている[82]。国柄として、古くからの伝統的なものを残存させながらも時代とともにゆっくりと変容させていく特徴が認められる。イギリス国民の保守性は、産業革命後に台頭した二大階級を次々と体制内化し、諸改革によって社会的危機を回避し漸進的で温和な社会の発展を行うことで、民族・人種や生活様式および価値観の異なる階級層が存在しても国を分断させることなく共存している点にある。また、イギリスは世界各国と比較して階級間の社会移動が少なく、多くの国民が親と同様の職業に就業する階級帰属意識も保守性の一つとして挙げられる[83]。
言語
世界の英語圏地域。濃い青色は英語が公用語または事実上の公用語になっている地域。薄い青色は英語が公用語であるが主要な言語ではない地域。
婚姻
移住
宗教
保健
医療
イギリスの医療は各地域それぞれの地方分権型であり、公的医療とプライベート診療が存在する。公的医療は国民保健サービス︵NHS︶によりすべてのイギリス人に提供され、医学的必要性が認められる治療は大部分は自己負担なしであり、費用は一般税収を原資としている︵公費負担医療︶。NHSにはイギリス国家予算の25.2%が投じられている[89]。
国全体にかかわる規制は、総合医療評議会︵英語版︶や看護助産評議会︵英語版︶や、またロイヤル・カレッジなどの外部機関が行っている。しかし政策や現業の責務は、各地方行政区である4つの女王陛下の政府、北アイルランド政府、スコットランド政府、ウェールズ政府がそれぞれになっている。それぞれの運営するNHSは、各々の政策や優先度を持ち、施政に違いをもたらしている[90][91]。
英国はGDPの8.5%を医療に支出しており、これはOECD平均と比べて-0.5%、EU平均と比べて-1%の値であった[92]。1979年に保健支出が急増したことにより、その値はEU平均に近くなってきている[93]。WHOは2000年に英国の医療制度を欧州で15位、世界で18位と評している[94][95]。
教育
イギリスの学校教育は地域や公立・私立の別により異なるが、5歳より小学校教育が開始される。
またイギリスの大学は、中世からの伝統を受け継ぎ、カレッジ制を採用する世界的に有名なオックスフォード大学・ケンブリッジ大学・ダラム大学をはじめ、現在では100以上の大学が存在している。イングランドの大学では、通常、学士の学位には3年、修士の学位には学士取得後1~2年、博士の学位には同じく修士取得後3年が必要とされる場合が多い。
治安
イギリスの治安は欧州の中で比較的良好だが、日本と比べると発生件数・検挙数はかなり高い[96]。ロンドンは英国で最も治安の悪い地域であり、逆に最も治安の良い地域はロンドンを除く南東部である[97]。犯罪の内容を種類別としても、イングランド及びウェールズにおける凶悪犯・粗暴犯の件数は日本の約29倍、性犯罪は約10倍、窃盗は約3.5倍、強盗は約55倍である。
また、2019年に警察に報告のあったイングランド及びウェールズにおける犯罪の総数は約580万件であり、日本における2019年の刑法犯総数の7.7倍となっている。誘拐事件においては2018年度のイングランド及びウェールズにおける同内容の事件数が5,223件︵前年度比15%増︶であり、このほか16歳未満の子供に対する同事件数が1,268件︵前年度比7%増︶であった[98]。
法執行機関
警察
人権
メディア
通信
イギリスでは、ヒースロー空港などにある自動販売機でSIMカードが購入できる。プリペイド式となっており、スーパーなどで、通話・通信料をチャージして使う。
おもな通信業者
文化
食文化
文学
哲学
音楽
ポピュラー音楽
映画
コメディ
イギリス人はユーモアのセンスが高いと言われている。また、コメディアンの多くは高学歴である。
被服・ファッション
英国全土で着用されている伝統衣装の形式は、主にイングランドのものに関連しており、英国の紳士と女性の区別化を示すために着用されることが多い。特に女性の伝統衣装はイングリッシュドレス(フランス語版)と呼ばれるもので占められており、他のヨーロッパの伝統的なドレス類に比べて簡素に仕上げられているのが特徴ともなっている。
現代においてはロンドン・コレクション開催で先進的なデザインを発表するなど、米国や日本、イタリアに並ぶファッション業界の牽引役を代表する国の一つとされている。
建築
世界遺産
イギリス国内には、ユネスコの世界遺産リストに登録された文化遺産が21件、自然遺産が5件ある。
祝祭日
祝祭日は、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの各政府により異なる場合がある。
銀行など多くの企業が休みとなることから、国民の祝祭日をバンク・ホリデー (Bank holiday)︵銀行休業日︶と呼ぶ。
日付 |
日本語表記 |
現地語表記 |
備考
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1月01日 |
元日 |
New Year's Day |
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1月02日 |
元日翌日 |
- |
スコットランドのみ
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3月17日 |
聖パトリックの日 |
St. Patrick's Day |
北アイルランドのみ
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3月 - 4月 |
聖金曜日 |
Good Friday |
移動祝日
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3月 - 4月 |
復活祭月曜日 |
Easter Monday |
移動祝日
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5月第1月曜日 |
五月祭 |
Early May Bank Holiday |
移動祝日
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5月最終月曜日 |
五月祭終り |
Spring Bank Holiday |
移動祝日
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7月12日 |
ボイン川の戦い記念日 |
Battle of the Boyne (Orangemen's Day) |
北アイルランドのみ
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8月第1月曜日 |
夏季銀行休業日 |
Summer Bank Holiday |
移動祝日、スコットランドのみ
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8月最終月曜日 |
夏季銀行休業日 |
Summer Bank Holiday |
移動祝日、スコットランドを除く
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12月25日 |
クリスマス |
Christmas Day |
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12月26日 |
ボクシング・デー |
Boxing Day |
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- 聖金曜日を除く移動祝日は原則的に月曜日に設定されている。
- ボクシング・デー後の2日も銀行休業日であったが2005年を最後に廃止されている。
スポーツ
イギリスはサッカー、ラグビー、クリケット、ゴルフ、ボクシングなど多くの競技が発祥もしくは近代スポーツとして整備された地域であり、国技としても定着している。年間観客動員数は4000万人以上を集めるサッカーが他を大きく凌いでおり、競馬の600万人、ユニオンラグビーの300万、クリケット200万がそれに続く。
このうち団体球技︵サッカー、ラグビー、クリケット︶は、発祥地域の伝統的な配慮から国際競技団体ではイギリス単体ではなく、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド︵ラグビーに関してはアイルランドにまとめている︶の4地域それぞれの加盟を認めているが、サッカーが公式なプログラムとして行われている近代オリンピックでは、単一国家としての出場が大原則であるため長年出場していなかった。しかし2012年に開催されたロンドン五輪では、4協会が一体となった統一﹁イギリス代表﹂として参加を果たした。また、イギリスの首都・ロンドンで夏季オリンピックを行ったのは、1948年大会以来64年ぶり3度目である。
サッカー
数多くのスポーツを誕生させたイギリスでも取り分け人気なのがサッカーである。イギリスでサッカーは﹁フットボール﹂と呼び、近代的なルールを確立したことから﹁近代サッカーの母国﹂と呼ばれ、それぞれの地域に独自のサッカー協会がある。イギリス国内でそれぞれ独立した形でサッカーリーグを展開しており、中でもイングランドのプレミアリーグは世界的に人気である。イングランドサッカー協会︵FA︶などを含むイギリス国内の地域協会は全て、国際サッカー連盟︵FIFA︶よりも早くに発足しており、FIFA加盟国では唯一特例で国内の地域単位での加盟を認められている︵以降、FIFAは海外領土など一定の自治が行われている地域協会を認可している︶。
イギリスはFIFAや欧州サッカー連盟︵UEFA︶が主宰する各種国際大会︵FIFAワールドカップ・UEFA欧州選手権・UEFAネーションズリーグ・UEFAチャンピオンズリーグ・UEFAヨーロッパリーグ・UEFAヨーロッパカンファレンスリーグ・UEFAユースリーグ︶には地域協会単位でのクラブチームやナショナルチームを参加させており、さらには7人いるFIFA副会長の一人はこの英本土4協会から選ばれる、サッカーのルールや重要事項に関しては、FIFAと英本土4協会で構成する国際サッカー評議会が決定するなど特権的な地位が与えられている。また、サッカー選手や監督がプロ競技における傑出した実績によって一代限りの騎士や勲爵士となることがある︵デビッド・ベッカム、スティーヴン・ジェラード、ボビー・ロブソン、アレックス・ファーガソンなど︶。
また、サッカーはもともとラグビーと同じく中流階級の師弟が通うパブリックスクールで近代競技として成立したが、その後は労働者階級の娯楽として発展していった。ただ、当時のイギリスの継続的な不況からくる労働者階級の人口の割合と、それ以外の階級者も観戦していたということを注意しなければならない。労働者階級がサッカーを好んでいたことは、フーリガンと呼ばれる暴力的なファンの存在にも顕れる。相次ぐフーリガン絡みの事件や事故を重く見た政府は1980年代にフーリガン規制法を制定し、スタジアムの大幅な安全基準の見直しなどを行った。各スタジアムの試合運営スタッフがスタジアムの至る所に監視カメラを設置し、特定のサポーターに対する厳重な監視や入場制限を行っている。そのような取り組みの末、スタジアムではそれまで頻発していたフーリガン絡みの事件や事故の件数が大幅に減少した。
クリケット
競馬
近代競馬発祥の地でもある。18世紀ゴルフに次いでスポーツ組織としてジョッキークラブが組織され、同時期にサラブレッドも成立した。どちらかと言えば平地競走よりも障害競走の方が盛んな国であり、"Favourite 100 Horses"︵好きな馬100選︶ではアークルを初め障害馬が上位を独占した。障害のチェルトナムフェスティバルやグランドナショナルミーティングは15~25万人もの観客動員数がある。特に最大の競走であるG3グランドナショナルの売り上げは700億円近くになり、2007年現在世界で最も馬券を売り上げる競走になっている。平地競走は、イギリスダービー、王室開催のロイヤルアスコット開催が知られ、こちらも14~25万人の観客を集める。ダービーは、この競走を冠した競走が競馬を行っている国には必ずと言っていい程存在しており世界で最も知られた競走といって良いだろう。エリザベス女王も競馬ファンとして知られており、自身何頭も競走馬を所有している。
イギリスでは、日本などと違い競馬など特定の競技だけでなく全てのスポーツがギャンブルの対象となるが、売り上げはやはり競馬とサッカーが多い。競馬は1970年代を頂点に人気を失いつつあったが、後に急速に観客動員数が持ち直す傾向にある。売上高も2兆円を超え、人口当りの売り上げは香港を除けばオーストラリアに次ぐ。しかし、売り上げの多く︵2003年で97.1%︶が主催者側と関係のないブックメーカーに占められるという構造的な課題がある。なお、イギリス人はどんな小さな植民地にも大抵の場合は競馬場を建設したため、独立後も旧イギリス領は競馬が盛んな国が多い。また、馬術も盛んであり、馬術のバドミントンは3日間で15万人以上の観客動員数がある。
モータースポーツ
自転車競技
その他の競技
著名な出身者
脚注
注釈
出典
(一)^ 英国︵グレートブリテン及び北アイルランド連合王国︶|外務省
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関連項目
外部リンク