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[[File:ディオンの劇場.jpg|thumb|晩年のエウリピデスが「バッコスの信女」を上演したとされる[[ディオン (ギリシア)|ディオン]]劇場]] |
[[File:ディオンの劇場.jpg|thumb|晩年のエウリピデスが「バッコスの信女」を上演したとされる[[ディオン (ギリシア)|ディオン]]劇場]] |
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'''エウリピデス'''︵{{翻字併記|grc|'''Εὐριπίδης'''| |
'''エウリピデス'''︵{{翻字併記|grc|'''Εὐριπίδης'''|Eurīpídēs|n|区=、}}、 [[紀元前480年]]頃 - [[紀元前406年]]頃︶は、古代[[アテナイ]]の[[ギリシア悲劇]]における[[三大悲劇詩人]]の1人である。'''エウリーピデース'''と[[長母音]]で表記されることもある。現代にも大きな影響を及ぼしている。代表作は﹃[[メディア (ギリシア悲劇)|メデイア]]﹄、﹃[[アンドロマケ (エウリピデス)|アンドロマケ]]﹄など。
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[[紀元前455年]]に﹃ペリアスの娘たち﹄などからなる四部作で[[ディオニューシア祭|ディオニュシア祭]]に最初の出場を果たしたが、それから初の優勝を得るまで14年もかかっている。50年間に及ぶ芸歴の中で92の作品を書き22回の上演をしたと[[スーダ辞典]]に伝えられているが、優勝は生前に4回、死後に1回、合わせて5回だけであった。しかし、それをもってエウリピデスが同時代人からの評価を受けていなかったとは言えない。むしろ、﹃[[蛙 (喜劇)|蛙]]﹄に表れているように、賞等を決める保守的な層に嫌われたことが大きな原因であると言うべきだろう。
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[[紀元前455年]]に﹃ペリアスの娘たち﹄などからなる四部作で[[ディオニューシア祭|ディオニュシア祭]]に最初の出場を果たしたが、それから初の優勝を得るまで14年もかかっている。50年間に及ぶ芸歴の中で92の作品を書き22回の上演をしたと[[スーダ辞典]]に伝えられているが、優勝は生前に4回、死後に1回、合わせて5回だけであった。しかし、それをもってエウリピデスが同時代人からの評価を受けていなかったとは言えない。むしろ、﹃[[蛙 (喜劇)|蛙]]﹄に表れているように、賞等を決める保守的な層に嫌われたことが大きな原因であると言うべきだろう。
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性格は厳しく非社交的、哲学的な新思想の持ち主で﹁舞台の哲人﹂と呼ばれ、当時の市民としては珍しく公職に就かず軍務にも服したことがなかった。結婚生活にも問題があった。二人の妻を持ったが、二人ともが不貞を働き、古代においてはそれによって女嫌いになったと言われた。
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性格は厳しく非社交的、哲学的な新思想の持ち主で﹁舞台の哲人﹂と呼ばれ、当時の市民としては珍しく公職に就かず軍務にも服したことがなかった。結婚生活にも問題があった。二人の妻を持ったが、二人ともが不貞を働き、古代においてはそれによって女嫌いになったと言われた。
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==作風== |
== 作風 == |
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同時代の[[ソポクレス]]と対照的に、革新的で新思考的であった。様式面では既に縮小傾向にあった[[コロス|合唱隊]]の役割をさらに小さくしたこと、それに伴って俳優が短い文章によって応酬する場面を多く用いたこと、そして﹁[[デウス・エクス・マキナ|機械仕掛けの神]]﹂を多用したことが特徴である。﹁[[機械仕掛けの神]]﹂は、これに類するものを含めると現存する19篇のうち11篇で用いられている。しかし、しばしば批判されるように、物語の収拾がつかなくなってこの仕掛けに頼ったのではないことは、各作品を見れば明らかである。観客がそれを待ち望んでいたためだけにそれを出現させることもあったという<ref>丹下 98P</ref>。
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同時代の[[ソポクレス]]と対照的に、革新的で新思考的であった。様式面では既に縮小傾向にあった[[コロス|合唱隊]]の役割をさらに小さくしたこと、それに伴って俳優が短い文章によって応酬する場面を多く用いたこと、そして﹁[[デウス・エクス・マキナ|機械仕掛けの神]]﹂を多用したことが特徴である。﹁[[機械仕掛けの神]]﹂は、これに類するものを含めると現存する19篇のうち11篇で用いられている。しかし、しばしば批判されるように、物語の収拾がつかなくなってこの仕掛けに頼ったのではないことは、各作品を見れば明らかである。観客がそれを待ち望んでいたためだけにそれを出現させることもあったという<ref>丹下 98P</ref>。
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== 現存する作品 == |
== 現存する作品 == |
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悲劇18篇と[[サテュロス劇]]1篇が現存するほか、多数の断片が存在する。三大詩人の他に比べて現存する作品が多いのはひとつには古代に「悲劇傑作」として選定されたのが10作品と他の2人(各7作品)より多いのと、題名のアルファベット順に並べられた「全集」のうち、Η・Ιの部分が幸いに散逸を免れたためである。 |
悲劇18篇と[[サテュロス劇]]1篇が現存するほか、多数の断片が存在する。三大詩人の他に比べて現存する作品が多いのはひとつには古代に「悲劇傑作」として選定されたのが10作品と他の2人(各7作品)より多いのと、題名のアルファベット順に並べられた「全集」のうち、[[Η]]・[[Ι]]の部分が幸いに散逸を免れたためである。 |
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* [[アルケスティス (ギリシア悲劇)|アルケスティス]] |
* [[アルケスティス (ギリシア悲劇)|アルケスティス]] |
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* [[メディア (ギリシア悲劇)|メデイア]] |
* [[メディア (ギリシア悲劇)|メデイア]] |
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* [[キュクロプス (エウリピデス)|キュクロプス]](サテュロス劇) |
* [[キュクロプス (エウリピデス)|キュクロプス]](サテュロス劇) |
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==日本語訳== |
== 日本語訳 == |
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* 『ギリシア悲劇全集』 [[岩波書店]]、1990-92年、復刊2007-08年 |
* 『ギリシア悲劇全集』 [[岩波書店]]、1990-92年、復刊2007-08年。編集委員:[[久保正彰 (西洋古典文学者)|久保正彰]]・[[松平千秋]]・[[岡道男]] |
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** 『第5巻 エウリーピデース1』 ISBN 400091605X |
** 『第5巻 エウリーピデース1』 ISBN 400091605X。[[中務哲郎]]・[[逸身喜一郎]]ほか訳 |
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** 『第6巻 エウリーピデース2』 ISBN 4000916068 |
** 『第6巻 エウリーピデース2』 ISBN 4000916068 |
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** 『第7巻 エウリーピデース3』 ISBN 4000916076 |
** 『第7巻 エウリーピデース3』 ISBN 4000916076 |
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** 『第8巻 エウリーピデース4』 ISBN 4000916084 |
** 『第8巻 エウリーピデース4』 ISBN 4000916084 |
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** 『第9巻 エウリーピデース5』 ISBN 4000916092 |
** 『第9巻 エウリーピデース5』 ISBN 4000916092 |
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** 『第12巻 エウリーピデース断片』 ISBN 4000916122 |
** 『第12巻 エウリーピデース断片』 ISBN 4000916122 |
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*『エウリピデス 悲劇全集 |
* 『エウリピデス 悲劇全集』全5巻、[[丹下和彦]]訳、[[京都大学学術出版会]]〈[[西洋古典叢書]]〉、2012-2016年 |
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*『ギリシア悲劇III・IV エウリピデス』 [[ちくま文庫]]、初版1986年 ISBN 4480020136、ISBN 4480020144 |
* 『ギリシア悲劇 III・IV エウリピデス』 [[ちくま文庫]]、初版1986年 ISBN 4480020136、ISBN 4480020144 |
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**元版『[[世界古典文学全集]](9) |
** 元版『[[世界古典文学全集]](9) エウリピデス』 [[筑摩書房]]、初版1965年、復刊2005年。[[田中美知太郎]]・[[柳沼重剛]]ほか訳 |
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*『ギリシア悲劇全集 |
* 『ギリシア悲劇全集 第3・4巻 エウリピデス』 [[人文書院]]、初版1960年。[[呉茂一]]・[[高津春繁]]ほか訳 |
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*『ギリシャ悲劇全集 III・IV エウリーピデース編』 鼎出版会、1977-78年 |
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*『 |
* 『世界戯曲全集 第一卷・希臘篇』 同上、近代社、1927年 |
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* 『希臘悲壯劇 エウリーピデース篇(上)』 [[田中秀央]]・内山敬二郎 共訳、世界文学社、1949年 |
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*『 |
* 『ギリシャ悲劇全集 III・IV エウリーピデース編』 [[内山敬二郎]]訳、鼎出版会、1977-78年、改訳 |
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== 脚注 == |
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⚫ | *「エウリピデス」の項目。『[[ブリタニカ国際大百科事典]]』フランク・B・ギブニー編、[[TBSブリタニカ]] |
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==脚注== |
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== 参考文献 == |
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⚫ | * 「エウリピデス」の項目。『[[ブリタニカ国際大百科事典]]』フランク・B・ギブニー編、[[TBSブリタニカ]]、1998年(第3版) |
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== 関連項目 == |
== 関連項目 == |
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* [[アイスキュロス]] |
* [[アイスキュロス]] |
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* [[ソポクレス]] |
* [[ソポクレス]] |
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* [[古代ギリシアの演劇]] |
* [[古代ギリシアの演劇]] |
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== 外部リンク == |
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{{Theatre of ancient Greece}} |
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[[Category:古代ギリシアの詩人]] |
[[Category:古代ギリシアの詩人]] |
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[[Category:蔵書家]] |
[[Category:蔵書家]] |
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[[Category:サラミス島]] |
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[[Category:紀元前480年代生]] |
[[Category:紀元前480年代生]] |
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[[Category:紀元前400年代没]] |
[[Category:紀元前400年代没]] |
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エウリピデス | |
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誕生 |
紀元前480年頃 アッティカ |
死没 |
紀元前406年頃 マケドニア |
職業 | 詩人 |
言語 | 古代ギリシア語 |
ジャンル | 悲劇 |
代表作 | 『メデイア』、『アンドロマケ』 |
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![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/9/9e/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%81%AE%E5%8A%87%E5%A0%B4.jpg/220px-%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%81%AE%E5%8A%87%E5%A0%B4.jpg)
生涯[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/43/Euripides_Statue.jpg/200px-Euripides_Statue.jpg)