「東急7600系電車」の版間の差分
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高さは車両によって異なり、複雑化するので除去。東洋電機技報から追加記述 |
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| 全幅 = 2,744 mm<br />2,740 mm(デハ7673のみ)<ref name="PIC1995-10EX"/> |
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| 全高 = 4,076 mm(クハ7600形)<br>4,067 mm(デハ7661・7662)<br>4,085 mm(デハ7653・7681・7682)<br>4,100 mm(デハ7673)<ref name="PIC1995-10EX"/> |
| 全高 = 4,076 mm(クハ7600形)<br>4,067 mm(デハ7661・7662)<br>4,085 mm(デハ7653・7681・7682)<br>4,100 mm(デハ7673)<ref name="PIC1995-10EX"/> |
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| 床面高さ = |
| 床面高さ = |
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| 車体 = [[ステンレス鋼]] |
| 車体 = [[ステンレス鋼]] |
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| 台車 = 軸ばね式ダイレクトマウント[[空気ばね]]台車<br>TS-831形・TS-839形 |
| 台車 = 軸ばね式ダイレクトマウント[[空気ばね]]台車<br>TS-831形・TS-839形 |
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== 改造内容 == |
== 改造内容 == |
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電装品は同時期に新造された9000系と同等の、最新の[[かご形三相誘導電動機|三相交流かご形誘導電動機]]と[[ゲートターンオフサイリスタ|GTOサイリスタ]][[半導体素子|素子]]による[[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御装置]]が用意された。ただし、9000系の制御装置は[[日立製作所]]製で、1基で1両分4個の電動機を制御する「1C4M」方式であるのに対し、7600系の制御装置は[[東洋電機製造]]製で、1基で2両分8個の電動機を制御する「1C8M」方式とされた。 |
電装品は同時期に新造された9000系と同等の、最新の[[かご形三相誘導電動機|三相交流かご形誘導電動機]]と[[ゲートターンオフサイリスタ|GTOサイリスタ]][[半導体素子|素子]]による[[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御装置]]が用意された。ただし、9000系の制御装置は[[日立製作所]]製で、1基で1両分4個の電動機を制御する﹁1C4M﹂方式であるのに対し、7600系の制御装置は[[東洋電機製造]]製で、1基で2両分8個の電動機を制御する﹁1C8M﹂方式とされた。電動車化にあたっては、[[東急8000系電車|8000系]]同様の[[界磁チョッパ制御]]とし、1C4M制御方式や1C8M制御方式が検討されたが、最終的にはVVVFインバータ制御化することが決定した<ref name="Fan1985-8">交友社﹃鉄道ファン﹄1986年7月号﹁東急ニュース VVVF車第2弾 7600系登場﹂pp.56 - 60。</ref>。
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当時、VVVFインバータ制御は自車のみ制御する方式(1C4M制御など)方式が主流であり、自車と隣り合う電動車とユニットを組む方式(1C8M制御)は日本国内では初めての方式である<ref name="ToyoDenkiTechnology67>東洋電機製造『東洋電機技報』第67号(1987年2月)「東京急行電鉄納7600系電車用VVVFインバータ制御システム」pp.57 - 67。</ref> |
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。このVVVFインバータ制御による1C8M制御方式は当形式の大きな特徴となっていた<ref name="ToyoDenkiTechnology67/>。基本的には[[東急6000系電車 (初代)#VVVFインバータ制御の実用化試験|初代6000系]]デハ6002号車に試験搭載した東洋電機製造製VVVFインバータ装置、主電動機とほとんど同一の機器となっている<ref name="ToyoDenkiTechnology67/>。 |
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装置は東洋電機製造 ATR-H8110-RG614形で、素子には4,500 V - 2,000 A のGTOサイリスタを使用している<ref name="ToyoDenkiTechnology67/>︵ただし、1988年に納入した7661・7662号車用のVVVFインバータ装置はATR-H4110-RG617B形である<ref name="ToyoDenkiTechnology74">東洋電機製造﹃東洋電機技報﹄第74号︵1989年8月︶﹁1988年 総集編﹂pp.4 - 14。</ref>︶。主な機能として[[定速運転|定速制御]]、安定した[[坂道発進|勾配起動]]ができる -Fi︵マイナス エフアイ︶制御方式などがある<ref name="ToyoDenkiTechnology67/>。
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屋根にも改造が加えられ、2両に1両の割合で集電用の[[集電装置|パンタグラフ]]が2基設置された。その際、屋根上スペースの都合で小型のPT44S-DまたはPT44S-Eを採用した。加えて1両あたり4基の[[エア・コンディショナー|冷房装置]]搭載が行われた。その一方で車内は冷房風洞の設置を除いて大きな改造は行われなかった。
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屋根にも改造が加えられ、2両に1両の割合で集電用の[[集電装置|パンタグラフ]]が2基設置された。その際、屋根上スペースの都合で小型のPT44S-DまたはPT44S-Eを採用した。加えて1両あたり4基の[[エア・コンディショナー|冷房装置]]搭載が行われた。その一方で車内は冷房風洞の設置を除いて大きな改造は行われなかった。
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先頭車の前面には1989年に7200系とともに赤帯が貼付された。7700系が改造種車の[[東急7000系電車 (初代)|7000系]]と帯太さが変えられたのに対し、7600系は7200系と同じ太さとされた。 |
先頭車の前面には1989年に7200系とともに赤帯が貼り付けされた。7700系が改造種車の[[東急7000系電車 (初代)|7000系]]と帯太さが変えられたのに対し、7600系は7200系と同じ太さとされた。 |
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'''改造当初'''の編成構成は以下の通り。 |
'''改造当初'''の編成構成は以下の通り。 |
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* 中野良男 「東京急行電鉄7200系インバータ電車」『電気車の科学』1986年5月号(通巻457号)、電気車研究会。 |
* 中野良男 「東京急行電鉄7200系インバータ電車」『電気車の科学』1986年5月号(通巻457号)、電気車研究会。 |
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* 荻原俊夫 「東急ニュース VVVF車第2弾7600系登場」『[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]]』1986年7月号(通巻303号)、交友社。 |
* 荻原俊夫 「東急ニュース VVVF車第2弾7600系登場」『[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]]』1986年7月号(通巻303号)、交友社。 |
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* 東洋電機製造『東洋電機技報』第67号(1987年2月)「東京急行電鉄納7600系電車用VVVFインバータ制御システム」 |
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== 関連項目 == |
== 関連項目 == |
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* [[東急7700系電車]] |
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{{commonscat|Tōkyū 7600 series}} |
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2024年2月25日 (日) 06:17時点における版
東急7600系電車 | |
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![]() | |
基本情報 | |
運用者 | 東京急行電鉄 |
種車 | 7200系 |
改造所 | 東急車輛製造・東横車輌電設(共同工事)[1] |
改造年 | 1986年 - 1990年 |
改造数 | 3編成9両 |
運用開始 | 1986年5月1日 |
運用終了 | 2015年2月10日 |
廃車 | 2015年3月 |
投入先 | 大井町線・目蒲線・池上線・東急多摩川線 |
主要諸元 | |
編成 | 3両編成 |
軌間 | 1,067 mm(狭軌) |
電気方式 |
直流1,500V (架空電車線方式) |
最高運転速度 |
85 km/h(池上線) 80 km/h(東急多摩川線) |
設計最高速度 | 110 km/h |
起動加速度 | 3.2 km/h/s |
減速度(常用) | 3.5 km/h/s |
減速度(非常) | 4.5 km/h/s |
編成定員 |
375(座席135)人 または377(座席136)人 |
車両定員 |
先頭車122(座席44)人 中間車7680番台131(座席47)人 7673号133(座席48)人[2] |
自重 |
クハ7600形:29.6t デハ7650形:33.2t デハ7673号:32.7t デハ7681・82号:32.8t[2] |
編成重量 | 95.6 tまたは95.5 t |
全長 | 18,000 mm |
全幅 |
2,744 mm 2,740 mm(デハ7673のみ)[2] |
全高 |
4,076 mm(クハ7600形) 4,067 mm(デハ7661・7662) 4,085 mm(デハ7653・7681・7682) 4,100 mm(デハ7673)[2] |
車体 | ステンレス鋼 |
台車 |
軸ばね式ダイレクトマウント空気ばね台車 TS-831形・TS-839形 |
主電動機 |
かご形三相誘導電動機 TKM-85形(東洋電機製造 TDK6220-A形) |
主電動機出力 | 110 kW |
駆動方式 | 中空軸平行カルダン駆動方式 |
歯車比 | 85:14 ≒ 6.07 |
編成出力 | 880 kW |
制御方式 | GTOサイリスタ素子VVVFインバータ制御 |
制御装置 | ATR-H8110-RG614形(東洋電機製造) |
制動装置 |
回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ (改造当初は回生ブレーキ併用電磁直通ブレーキ) |
保安装置 | 東急形ATS・TASC |
登場の経緯
東横線への9000系導入に伴う大規模な転属に伴い、老朽化した初代3000系や初代5000系の置き換えとして7200系を大井町線から目蒲・池上両線に転用したが、その際編成構成をMT比1:1の6両編成から2:1の3両編成に変更したため、モーターのない制御車︵クハ7500形︶が余剰となり、逆にそれを動かすための電動車が不足した。そこで、余剰車を電装して新たな編成を組成し、車両を有効活用することになった。改造内容
電装品は同時期に新造された9000系と同等の、最新の三相交流かご形誘導電動機とGTOサイリスタ素子によるVVVFインバータ制御装置が用意された。ただし、9000系の制御装置は日立製作所製で、1基で1両分4個の電動機を制御する﹁1C4M﹂方式であるのに対し、7600系の制御装置は東洋電機製造製で、1基で2両分8個の電動機を制御する﹁1C8M﹂方式とされた。電動車化にあたっては、8000系同様の界磁チョッパ制御とし、1C4M制御方式や1C8M制御方式が検討されたが、最終的にはVVVFインバータ制御化することが決定した[3]。 当時、VVVFインバータ制御は自車のみ制御する方式︵1C4M制御など︶方式が主流であり、自車と隣り合う電動車とユニットを組む方式︵1C8M制御︶は日本国内では初めての方式である[4] 。このVVVFインバータ制御による1C8M制御方式は当形式の大きな特徴となっていた[4]。基本的には初代6000系デハ6002号車に試験搭載した東洋電機製造製VVVFインバータ装置、主電動機とほとんど同一の機器となっている[4]。 装置は東洋電機製造 ATR-H8110-RG614形で、素子には4,500 V - 2,000 A のGTOサイリスタを使用している[4]︵ただし、1988年に納入した7661・7662号車用のVVVFインバータ装置はATR-H4110-RG617B形である[5]︶。主な機能として定速制御、安定した勾配起動ができる -Fi︵マイナス エフアイ︶制御方式などがある[4]。 主電動機はTKM-85形︵東洋電機製造の形式はTDK6220-A形︶で、1時間定格は出力 110 kW・電流 1,130 V・電流 73 A・周波数 40.9 Hz・回転数 1,180 rpm・重量 710 kgである[4]。電動車化に伴い、台車は製造時より装備のバッド社製﹁パイオニアIII型﹂台車から、8000系などと同等の新製した﹁TS-831形﹂に交換された。 屋根にも改造が加えられ、2両に1両の割合で集電用のパンタグラフが2基設置された。その際、屋根上スペースの都合で小型のPT44S-DまたはPT44S-Eを採用した。加えて1両あたり4基の冷房装置搭載が行われた。その一方で車内は冷房風洞の設置を除いて大きな改造は行われなかった。 先頭車の前面には1989年に7200系とともに赤帯が貼り付けされた。7700系が改造種車の7000系と帯太さが変えられたのに対し、7600系は7200系と同じ太さとされた。 改造当初の編成構成は以下の通り。↑大井町・目黒 | ||
形式 | 詳細 | |
---|---|---|
デハ7600形 | クハ7500形から改造された制御電動車で、改造時に方向転換も実施した。 静止形インバータ (SIV) と空気圧縮機 (CP) などの補機類を搭載し、デハ7650形とユニットを組む。 | |
デハ7650形 | クハ7500形から改造された制御電動車。 パンタグラフや主制御器などの走行機器を搭載し、デハ7600形とユニットを組む。 | |
↓二子玉川園(当時)・蒲田 |
ワンマン運転対応工事
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/c/c6/Tokyu7600cab.jpg/240px-Tokyu7600cab.jpg)
歴史
当初6両が改造され、デハ7600形 - デハ7650形の2両編成3本が組成された。このうち第1・2編成は長津田検車区に配置され、未改造の7200系クハ7500形2両とMT比2:1の6両編成を組んで引き続き大井町線で、第3編成は雪が谷検車区奥沢班に配置され、7200系デハ7200形と全電動車の3両編成を組んで目蒲線で使用された。←大井町 | ||||||||||
デハ7601 | - | デハ7651 | > | ※クハ7503 | + | デハ7602 | - | デハ7652 | > | ※クハ7510 |
←目黒 | ||||||||||
※デハ7255 | < | デハ7603 | - | デハ7653 |
- +は先頭車同士の連結部、<・>は中間に組み込まれる先頭車(例えば<7603-は目黒側に運転台がある先頭車)を示す。
- ※は7200系車両。
←五反田 | ||||
*クハ7601 | - | デハ7651 | > | *デハ7661 |
*クハ7602 | - | デハ7652 | > | *デハ7662 |
※デハ7255 | < | デハ7603 | - | デハ7653 |
- *が変化のあった車両
←目黒 | ||||
*デハ7201 | < | デハ7601 | - | デハ7651 |
*デハ7212 | < | デハ7602 | - | デハ7652 |
- *は7200系車両。
←五反田 | ||||
クハ7601 | - | デハ7651 | > | デハ7661 |
クハ7602 | - | デハ7652 | > | デハ7662 |
クハ7603 | - | デハ7673 | - | デハ7653 |
←五反田 | ||||
クハ7601 | - | デハ7681 | > | デハ7661 |
クハ7602 | - | デハ7682 | > | デハ7662 |
クハ7603 | - | デハ7673 | - | デハ7653 |
- 第1編成(2015年2月運用離脱)、第2編成(2014年7月廃車)[6]。
↑五反田 | |||
形式 | 車両番号 | 詳細 | |
---|---|---|---|
クハ7600形 | 7601 7602 | 1988年にデハ7600形から再改造された制御車。 1988年にモーターが撤去され、SIV、CPなどの補機類のみを搭載する。 | |
デハ7670形(7680番台) | 7681 7682 | デハ7650形から再改造された中間電動車。 1988年にCPの追加、1994年に運転台の撤去と現番号への変更が行われた。 | |
デハ7650形(7660番台) | 7661 7662 | 1988年にクハ7500形から改造された制御電動車。 主制御器のみを搭載し、デハ7670形から給電を受ける。 | |
↓蒲田 |
- 第3編成
- 2010年3月廃車
↑五反田 | |||
形式 | 車両番号 | 詳細 | |
---|---|---|---|
クハ7600形 | 7603 | 1990年にデハ7600形から再改造された制御車。 第1編成、第2編成と同一。 | |
デハ7670形(7670番台) | 7673 | 1990年にデハ7400形から改造された中間電動車。 パンタグラフ、主制御器、CPを搭載する。 1994年まではデハ7400形に区分されていた。 | |
デハ7650形(7650番台) | 7653 | 制御電動車。2007年現在、唯一改造時の形式・番号で残る。 1990年に五反田側のパンタグラフが撤去された。 この編成はシングルアーム式のパンタグラフに交換されている。 | |
↓蒲田 |
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蒲田側からみた第1編成
パンタグラフはデハ7670形に2基でデハ7670形は先頭車形状 -
蒲田側からみた第2編成
パンタグラフはデハ7670形に2基で、デハ7670形は先頭車形状 -
蒲田側からみた第3編成
パンタグラフはデハ7650形とデハ7670形に1基ずつで、デハ7670形は中間車形状
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デハ7670形(7680番台)・デハ7650形(7660番台)の連結部
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デハ7670形(7680番台)の連結部からデハ7650形(7660番台)を見る
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デハ7650形(7660番台)の連結部からデハ7670形(7680番台)を見る