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セクションの書法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

sectional writing2使[1]

[]

セクショナル・ハーモニーの基本構造

1 sectional harmonization  sectional harmony 



Lead part: 

Support part: 

Bottom part: 

Outer voce: 2

Inner voice: 2

243

 part writing [1]1 : 1

1



[1]

稿3[2]稿#

[]


調[3]

[4][5]

調[3]18

36[3]

[3]214
フルートのセクショナル・ハーモニーを含む声部書法
フルートのセクショナル・ハーモニーを含む声部書法

しかし、第2フルートは、第1フルートとほとんど同じ動きをしており、旋律としての独立性を持たず、真の声部であるとは言えない[3]。第2フルートは第1フルートに和声的な厚みや色合いを添えているに過ぎない。つまり2本のフルートが2声のセクショナル・ハーモニーを奏しているのである。

上の譜例は、実質的には次のような3声から成る音楽であると言える。

実声部のみで書かれた声部書法
実声部のみで書かれた声部書法

このような実質的な声部のことを実声部 a real part と呼ぶ[6]

バスーンをセクショナルにハーモナイズすることもできる。このようにしても実質的な声部は3声であることに変わりはない。

バスーンのセクショナル・ハーモニーを含む声部書法
バスーンのセクショナル・ハーモニーを含む声部書法

実例[編集]


340338346988 double duet[ 1][ 2]

2[]


2222

使36[8]36 similar motion 36363676使2 reharmonization

完全協和音程[編集]


 perfect unison 

8 perfect octave 使

8 hidden octave8

5 perfect fifth 365使567 contrary motion 55 horn fifth 使[8]

4 perfect forth 2

[]


2[8]

2 an appoggiatura an expressive appoggiatura  a rhythmic appoggiatura 2

 便
2声のセクショナル・ハーモニーの倚音の処理A
表情を豊かにするための倚音 an expressive appoggiatura(*印)は、不協和音をそのまま保持するか、不協和を強めるようにボイシングをするとよい[8]2 voice sectional harmony how to resolve expressive appoggiaturas.mid 再生[ヘルプ/ファイル]
2声のセクショナル・ハーモニーの倚音の処理B
リズミックな効果を狙った倚音 a rhythmic appoggiatura(*印)は倚和音 an appoggiatura chord でサポートすると効果的である[8]2 voice sectional harmony how to resolve rhythmic appoggiaturas.mid 再生[ヘルプ/ファイル]

3声のセクショナル・ハーモニー[編集]


3使322

[]


 close voicing使

 open voicing



376使9 9th  root 使

[]


32 a perfect duet [2]56 a non-chord tone=66[2]
並行6度でなめらかに進行する3声のセクショナル・ハーモニー
並行6度でなめらかに進行する3声のセクショナル・ハーモニー。外声に和声外音(非和声音 *印)を用いて並行6度を保っている。このようなボイシングはある程度の速さを持つフレーズに適し、ゆったりとしたフレーズには適さない。3 voice sectional harmony in parallel sixths.mid 再生[ヘルプ/ファイル]
並行6度でなめらかに進行する3声のセクショナル・ハーモニー
同じフレーズを和音の流れを重視してボイシングしたもの。和音の垂直な構造はより正確だが、横の流れがぎこちない。3 voice sectional harmony not in parallel sixths.mid 再生[ヘルプ/ファイル]

横のライン[編集]


32 transference [2]
3声のセクショナル・ハーモニーにおけるトランスファーランス
3transferenceTransference in three voice sectional harmomy.mid [/]


4[]


43使

[]


447 seventh 6 sixth 4 an added note 使[7]76調67 a chord tone  a tension使
4声のセクショナル・ハーモニゼーションで用いる基本的な和音
476

[]


4 way close[9] 

4

 

(一)21 drop 2 [7][9]

(二)31 drop 3 [9]

(三)241 drop 2 &4 [9]

1


4声のセクショナル・ハーモニー。クローズ・ボイシング。
クローズ・ボイシング4 way close としても知られる。4 voice sectional harmony in close voicing MIDI.mid 再生[ヘルプ/ファイル]
4声のセクショナル・ハーモニー。Drop 2 によるオープン・ボイシング。
Drop 2 によるオープン・ボイシング。新しい第2声は、テンションに変更できる音は変更される[9]青い音符)。4_voice_sectional_harmony_in_drop_2_MIDI.mid 再生[ヘルプ/ファイル]
4声のセクショナル・ハーモニー。Drop 3 によるオープン・ボイシング。
Drop 3 によるオープン・ボイシング。第3声をドロップし、第2声がリード・ラインと並行3度をなすように変更される[9]青い音符)。3度の連続が不可能な場合は、部分的にdrop 2でボイシングされたり(橙の音符)、リハーモナイズreharmonization(和声の付け直し)されたりする(トランペット・パートの青い音符)。トロンボーン・パートの青い音符は声部の流れをスムーズにするために変更されているが、リハーモナイズではない(根音の代理音でありGm7のテンションでもある第9音に転位しただけなので和音としては同じものである)。4 voice sectional harmony in drop 3 MIDI.mid 再生[ヘルプ/ファイル]
4声のセクショナル・ハーモニー。Drop 2 & 4によるオープン・ボイシング。
Drop 2 & 4 によるオープン・ボイシング。第2声と第3声の両方を1オクターブ下げる。4 voice sectional harmony in drop 2 & 4 MIDI.mid 再生[ヘルプ/ファイル]

横のライン[編集]


4 similar motion  oblique motion  contrary motion 使



[7]

[7]
リード・パートの独立性
ほどよい独立性を持つリード・パート。Independent lead part in 4 voice sectional harmony.mid 再生[ヘルプ/ファイル]
ボトム・パートの独立性
下声部に独立性を持たせた4声のハーモニー。独立性を持つ下声部(青い音符)に注意が向けられ、セクショナルな効果は失われる。このため頻繁には行われない。Independent bottom part in 4 voice sectional harmony.mid 再生[ヘルプ/ファイル]

5声のセクショナル・ハーモニー[編集]


5554使[10]

5

  a voice 1

4使[]


5541[10]4

54
5パート4声のセクショナル・ハーモニー。クローズ・ボイシング。
4声のクローズなセクショナル・ハーモニーの1オクターブ下でリード・パートを重複している(青色)。よく用いられるボイシングである。5 part 4 voice sectional harmony in close.mid 再生[ヘルプ/ファイル]
5パート4声のセクショナル・ハーモニー。オープン・ボイシング。
4声のオープンなセクショナル・ハーモニーの1オクターブ下でリード・パートを重複している(青色)。クローズ・ボイシングよりは用いられないが、響きはいくらか豊かになる。5 part 4 voice sectional harmony in open.mid 再生[ヘルプ/ファイル]

[]


 clarinet lead Miller lead 54[10]

14221st42nd1
グレン・ミラー楽団で有名なクラリネット・リード
 clarinet lead  Miller lead 1826 - 18642nd

5声のハーモニー[編集]

ボイシング[編集]


5[10]使使
5声のセクショナル・ハーモニー。クローズ・ボイシング。
55 voice sectional harmony in close voicing.mid [/]

55調95376[10]145
5声のセクショナル・ハーモニー。オープン・ボイシング。
55 voice sectional harmony in open voicing.mid [/]



5 a substitute chord  tonicization a chromatic chord 

138

[]


511[10]


[]


[10]


バリトン・サックスの独立したベース・ライン
バリトンに独立性を持たせた5パートのサクソフォーン・セクション。バリトン・サックスはベース・ラインを、残りの4本のサクソフォーンは上声部で4声のセクショナル・ハーモニーを奏でている。終止部は響きを豊かにするために声部が拡げられている(赤枠部)。
バリトンを上外声と反行させた例。
バリトンを上外声と反行させた例。

このほかにも、オルガン・ポイントやオスティナート、フィルイン fill-in といった手法でも独立性を発揮する。

バリトン・サックスと同様な性質を持つ低音楽器なら、この方法が適用できる。たとえば、クラリネット・セクションにおけるバス・クラリネット木管セクションにおけるバスーンにである。[10]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ ダブル・デュエットとは、ある2声のセクショナル・ハーモニーを、同度または異なるオクターブで重複したものである[7]。ここでは、第1および2ヴァイオリンによる2声のセクショナル・ハーモニーを、ヴィオラおよびチェロの2声が1オクターブ下でまるまる重複している。
  2. ^ 小節番号は次の版のスコアに付けられたものを使用した。Чайко́вский, Пётр『チャイコフスキー「胡桃割人形」組曲』(第21刷)音楽之友社、1986年5月20日(原著1953年8月20日)、95-99, 110-116頁。 

出典[編集]



(一)^ abcDelamont, Gordon  13-12-41︿Composing/Arranging19881301965ISBN 4-7549-1324-8 

(二)^ abcdDelamont, Gordon  613-12-41︿Composing/Arranging1988130196569,75ISBN 4-7549-1324-8 

(三)^ abcdePiston, Walter19 3020119301967225ISBN 978-4-276-10690-1 

(四)^ 35201012311955625ISBN 978-4-276-10500-3 

(五)^ 4 220133312012920ISBN 978-4-276-10542-3 

(六)^ Piston, Walter22 3020119301967225ISBN 978-4-276-10690-1 

(七)^ abcdeDelamont, Gordon  713-12-41︿Composing/Arranging1988130196588-89,92,97ISBN 4-7549-1324-8 

(八)^ abcdeDelamont, Gordon  513-12-41︿Composing/Arranging1988130196553,55-58ISBN 4-7549-1324-8 

(九)^ abcdef1.2JAZZ THEORY WORKSHOP - JAZZ 調3-47-6︿JAZZ THEORY WORKSHOP19801021,42-43 

(十)^ abcdefghDelamont, Gordon  813-12-41︿Composing/Arranging19881301965103,105,115-118ISBN 4-7549-1324-8 

関連項目[編集]