パッション (1982年の映画)
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パッション | |
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Passion | |
ジェルジーたちが再現しようとする | |
監督 | ジャン=リュック・ゴダール |
脚本 | ジャン=リュック・ゴダール |
製作 |
レ・フィルムA2 フィルム・エ・ヴィデオ・プロデュクシオン ラジオ・テレヴィジオン・スイス・ロマンド サラ・フィルム ソニマージュ |
製作総指揮 | アラン・サルド |
出演者 |
イザベル・ユペール ハンナ・シグラ ミシェル・ピコリ イェジー・ラジヴィオヴィッチ |
音楽 |
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン アントニン・ドヴォルザーク ガブリエル・フォーレ ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト |
撮影 | ラウール・クタール |
編集 | ジャン=リュック・ゴダール |
配給 |
パラフランス フランス映画社 ザジフィルムズ 再映 |
公開 |
1982年5月26日 1983年3月4日 1983年11月19日 2002年7月27日 再映 |
上映時間 | 88分 |
製作国 |
フランス スイス |
言語 |
フランス語 ドイツ語 ポーランド語 |
﹃パッション﹄︵Passion、﹁情熱﹂あるいは﹁受難﹂の意︶は、1981年製作、1982年公開の、ジャン=リュック・ゴダール監督によるフランス・スイス合作の長篇劇映画である。
概要[編集]
1979年、長篇劇映画﹃勝手に逃げろ/人生﹄で商業映画に復帰したゴダールの復帰第2作である。前作に引き続き、フランスのスター女優イザベル・ユペールとドイツのスター女優ハンナ・シグラを迎え、ポーランド派・アンジェイ・ワイダ監督の﹃大理石の男﹄︵1977年︶に主演したイェジー・ラジヴィオヴィッチを﹁映画監督﹂役に起用した。 本作は、本作と同タイトルのビデオ映画﹃パッション﹄をスイスで撮影する、というもので、映画内映画では、レンブラント・ファン・レイン、ウジェーヌ・ドラクロワ、フランシスコ・デ・ゴヤらの絵画を実際のセット、コスチューム、人物で再現しようという挑戦が行われている[1]。 映画内映画﹃パッション﹄が活人画映画の対象とする絵画は、レンブラントの﹃夜警﹄、ゴヤの﹃裸のマハ﹄、同﹃5月3日の銃殺﹄、同﹃カルロス4世の家族﹄、ドミニク・アングルの﹃小浴女﹄、ドラクロワ﹃十字軍のコンスタンティノープル入場﹄、同﹃天使と闘うヤコブ﹄、アントワーヌ・ヴァトーの﹃シテール島への船出﹄である。⇒#ギャラリー ﹃勝手に逃げろ/人生﹄にひきつづきゴダールの初期映画群を支えた撮影監督・ラウール・クタールが映画内でも撮影監督を演じている。照明技師役のジャン=フランソワ・ステヴナンは、本業はフランソワ・トリュフォーの共同作業者として知られる映画監督であり、ハンガリー出身のプロデューサーを演じるラズロ・サボはゴダールの長篇第2作﹃小さな兵隊﹄以来のゴダール組の常連俳優で、﹃恋のモンマルトル﹄︵1975年︶等の監督としても知られる。アニエス・バンファルヴィはハンガリーの女優である。 1982年5月14日から同26日に開催された第35回カンヌ国際映画祭でコンペティション作品として正式出品され、撮影監督のクタールが技術大賞を獲得した。1983年のセザール賞で、最優秀作品賞、最優秀監督賞︵ゴダール︶、最優秀撮影賞︵クタール︶にノミネートされたが、賞は逃した。 日本では1983年︵昭和58年︶11月19日、東京・六本木に同日開場した映画館シネ・ヴィヴァン六本木のオープニング作品として、フランス映画社の配給により公開された。19年を経て、ザジフィルムズが上映権を獲得、2002年︵平成14年︶7月27日から再映された。 メイキングとして撮影、ゴダールが監督・編集したビデオ映画﹃﹁パッション﹂のためのシナリオ﹄がのちに発表された。ギャラリー[編集]
スタッフ[編集]
- 監督・脚本・編集 : ジャン=リュック・ゴダール
- 撮影監督 : ラウール・クタール
- 録音 : フランソワ・ミュジー、ベルナール・ル・ルー
- 音楽 : ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン、アントニン・ドヴォルザーク、ガブリエル・フォーレ、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
- ビデオ撮影 : ジャン=ベルナール・ムヌー
- スチル写真 : アンヌ=マリー・ミエヴィル
- 助監督 : ベルナール・トゥーベ
- 製作主任 : ルート・ヴァルトブルゲール、ダニエル・シュヴァリエ
- プロデューサー : アラン・サルド
- 製作 : レ・フィルムA2、フィルム・エ・ヴィデオ・プロデュクシオン、ラジオ・テレヴィジオン・スイス・ロマンド、サラ・フィルム、ソニマージュ
キャスト[編集]
- イザベル・ユペール (女工イザベル役)
- ハンナ・シグラ (ホテル経営者ハンナ役)
- ミシェル・ピコリ (工場主ミシェル・ブーラール役)
- イェジー・ラジヴィオヴィッチ (映画監督ジェルジー役)
- ラズロ・サボ (プロデューサー・ラズロ役)
- ジャン=フランソワ・ステヴナン (照明技師役)
- パトリック・ボネル (助監督パトリック・ボネル役)
- ソフィ・リュカシェフスキ (スクリプター・ソフィ役)
- バルバラ・ティシエ
- マガリ・カンポ (エキストラ女優マガリ役)
- ミリアム・ルーセル (ミリアム役)
- セルジュ・デザルナノス
- アニエス・バンファルヴィ
- エジオ・アンブロゼッティ
- マニュエル・バルタザール
- サラ・ボーシェーヌ (ホテルのメイド・サラ役)
- ベルナール・トゥーベ
- サラ・コアン=サリ (サラ役)
- カトリーヌ・ヴァン・コヴェンベルジュ
- ソフィ・マリー
- コルネラ・マンドリー
- カティ・マルシャン
- マリー=アニック・アブグラル
- ルネ・マンノチエ
- フランティゼック・マンディック
- アッティラ・ボコール
ストーリー[編集]
1981年、スイスの小村にあるスタジオで、ビデオ映画を撮影するチームがいる。ポーランド人の監督ジェルジー︵イェジー・ラジヴィオヴィッチ︶、ハンガリー出身のプロデューサー・ラズロ︵ラズロ・サボ︶、スイス人の助監督パトリック︵パトリック・ボネル︶、フランス人の撮影監督クタールたちが、撮ろうとしている映画のタイトルは﹃パッション﹄、﹁情熱﹂という意味と﹁受難﹂という意味をもつ。レンブラント、ドラクロワ、ゴヤ等の名画を俳優で再現することがそのテーマである。
撮影はうまくいっていない。クランクイン以来4か月が経過しているが、光がなっていないと監督がダメ出しをつづけているのだ。予算は膨大に超過し、中止のしようもない状態に陥っていた。
同年12月13日、ポーランドで戒厳令が発令される。その直後の冬の日、イザベル︵イザベル・ユペール︶は工場から解雇を言い渡される。工場主ミシェル・ブーラール︵ミシェル・ピコリ︶は違約金を払わず、労働者による抗議集会が準備される。イザベルは撮影隊に集会への参加を訴えるが、独立自主管理労働組合﹁連帯﹂の国からきたはずのジェルジーは冷淡だ。撮影チームの宿泊先のホテルの経営者ハンナ︵ハンナ・シグラ︶は、ジェルジーとイザベルの仲を怪しみ、ハンナの夫の工場主ミシェルは、ハンナとジェルジーの仲を怪しんでいる。イザベルの家で行われた抗議集会は不発に終わる。
ついに撮影は崩壊、プロデューサーのラズロはジェルジーにアメリカへ行けと迫る。ミシェルは工場を閉鎖、廃業する。ハンナも、イザベルも、ジェルジーも雪道を去っていく。