彼女について私が知っている二、三の事柄
彼女について私が知っている 二、三の事柄 | |
---|---|
Deux ou trois choses que je sais d'elle | |
ブローニュ=ビヤンクールの団地 | |
監督 | ジャン=リュック・ゴダール |
脚本 | ジャン=リュック・ゴダール |
原案 | カトリーヌ・ヴィムネ |
製作総指揮 |
アナトール・ドーマン ラウール・レヴィ |
出演者 |
ジョゼフ・ジェラール マリナ・ヴラディ |
音楽 | ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン |
撮影 | ラウール・クタール |
編集 |
フランソワーズ・コラン シャンタル・ドラットル |
製作会社 |
アヌーシュカ・フィルム アルゴス・フィルム パルク・フィルム |
配給 |
UGC フランス映画社 / 創造社 |
公開 |
1967年3月17日 1970年10月3日 |
上映時間 | 90分 |
製作国 |
フランス イタリア |
言語 | フランス語 |
﹃彼女について私が知っている二、三の事柄﹄︵かのじょについてわたしがしっているにさんのことがら、仏語 Deux ou trois choses que je sais d'elle︶は、1966年︵昭和41年︶製作、ジャン=リュック・ゴダール監督によるフランス・イタリア合作の長篇劇映画である。
概要[編集]
本作は、週刊誌﹃ル・ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール﹄に掲載されたカトリーヌ・ヴィムネによるアンケート記事に想を得て、ゴダールが脚本を執筆し製作された[1]。HLM︵低賃貸住宅︶で起きている主婦売春の話である。1966年8月8日にクランクイン、同年9月8日クランクアップした。イーストマンカラー、テクニスコープ作品[2]。 アメリカ人ジョン・ヴォーガス役で出演しているラウール・レヴィは本作のプロデューサーで、撮影後の同年12月31日、フランス・サントロペのホテルで拳銃自殺しており、本作が遺作となった。製作主任としてのちの映画監督のクロード・ミレールが参加しており、のちに助監督から脚本家、映画監督になるジャン=パトリック・ルベルと共に、それぞれ﹁ブヴァール﹂役と﹁ペキュシェ﹂役で出演しているが、この役名はギュスターヴ・フローベールの未完の遺作﹃ブヴァールとペキュシェ﹄からの引用である。 ほとんどの俳優・女優が、本作以前に映画出演作がなく、本作がデビュー作となっている。主演のマリナ・ヴラディの息子役・娘役は、俳優のアントワーヌ・ブルセイエの息子クリストフ・ブルセイエ、娘マリー・ブルセイエ︵現在のマリー・サラ︶である。 日本では、1970年︵昭和45年︶10月3日、柴田駿のフランス映画社と大島渚の創造社が共同で主催した﹁ゴダール・マニフェスト﹂の一環として、劇場公開された。1971年︵昭和46年︶11月20日にスタートした﹁日活ロマンポルノ﹂の第1作、西村昭五郎監督の﹃団地妻 昼下りの情事﹄に深い影響を与えた。日本での本作のDVDは、1998年と2003年にハピネット・ピクチャーズ、2008年にはデジタルリマスター版がギャガ・コミュニケーションズから発売されている。ストーリー[編集]
1966年8月、パリ郊外では、新首都圏拡張整備計画に従い公団住宅︵HLM - 標準賃貸住宅︶の建設が進んでいる。ジュリエット・ジャンソン︵マリナ・ヴラディ︶は、そんな公団住宅に夫のロベール︵ロジェ・モンソレ︶、息子のクリストフ︵クリストフ・ブルセイエ︶と娘のソランジュ︵マリー・ブルセイエ︶とともに住んでいる。子どもたちはまだ幼く、ガソリンスタンドに勤める夫はアマチュア無線家で、友人のロジェ︵ジャン・ナルボニ︶と朝から交信している。 ジュリエットは夫のいない昼間、売春をしている。ジェラール氏の売春宿に子どもを預け、買い物やカフェでの客の物色をする。その日も、若い男をホテルに連れ込み、仕事をし、その後でワンピースを買って、美容院へ向かった。美容院に勤めるマリアンヌ︵アニー・デュプレー︶に誘われ、アメリカ人︵ラウール・レヴィ︶の滞在するホテルへと遊びに行く。アメリカ人たちは、彼女たちに大金を振舞うのだ。 夫ロベールは、用事が終わるまで妻をカフェで待っている。近くの席では、女子学生︵ブランディーヌ・ジャンソン︶と作家︵ジャン=ピエール・ラヴェルヌ︶が論争している。やがて妻ジュリエットが現れ、夫婦そろって家に帰る。ベッドでのふたりは、口論を繰り返し、それぞれ読書をするのだった。スタッフ[編集]
●監督・脚本 : ジャン=リュック・ゴダール ●原案 : カトリーヌ・ヴィムネ ●音楽 : ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン ●撮影 : ラウール・クタール ●録音 : ルネ・ルーヴェル ●編集 : フランソワーズ・コラン、シャンタル・ドラットル ●スクリプター : シュザンヌ・シフマン ●助監督 : シャルル・L・ビッチ、イザベル・ポンス ●製作主任 : クロード・ミレール、フィリップ・サンネ ●プロデューサー : アナトール・ドーマン、ラウール・レヴィ ●製作 : アヌーシュカ・フィルム、アルゴス・フィルム、パルク・フィルムキャスト[編集]
●ジョゼフ・ジェラール ︵ジェラール氏役︶ ●マリナ・ヴラディ ︵ジュリエット・ジャンソン役︶ ●アニー・デュプレー ︵マリアンヌ役︶ ●ロジェ・モンソレ ︵ロベール・ジャンソン役︶ ●ラウール・レヴィ ︵アメリカ人ジョン・ヴォーガス役︶ ●ジャン・ナルボニ ︵ロジェ役︶ 以下アルファベット順 ●イヴ・ブネトン ︵若い男役︶ ●ジュリエット・ベルト ︵ロベールに話しかける女役︶ ●エレナ・ビエリシック ︵浴室にいる女役︶ ●クリストフ・ブルセイエ ︵クリストフ・ジャンソン役︶ ●マリー・ブルセイエ ︵ソランジュ・ジャンソン役︶ ●マリー・カルディナル ●ロベール・シュヴァシュー ︵計測人役︶ ●ジャン=リュック・ゴダール ︵ナレーション︶ ●ブランディーヌ・ジャンソン ︵女子学生役︶ ●バンジャマン・ジュール=ロゼット ︵地下の男役︶ ●ジャン=ピエール・ラヴェルヌ ︵作家役︶ ●ジャン=パトリック・ルベル ︵ペキュシェ役︶ ●アンナ・マンガ ︵地下の男役︶ ●クロード・ミレール ︵ブヴァール役︶ ●エレーヌ・スコット ︵ピンボールに興じる女役︶評価[編集]
レビュー・アグリゲーターのRotten Tomatoesでは32件のレビューで支持率は94%、平均点は8.10/10となった[3]。関連事項[編集]
- ジャン=リュック・ゴダール監督作品一覧
- ル・ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール (en:Le Nouvel Observateur、fr:Le Nouvel Observateur)
- テクニスコープ (en:Techniscope)
- ブヴァールとペキュシェ (en:Bouvard et Pécuchet、fr:Bouvard et Pécuchet)
- HLM (en:HLM)
- 団地妻
- 団地妻 昼下りの情事
註[編集]
- ^ キネマ旬報DBサイト内の「彼女について私が知っている二三の事柄」の記述を参照。
- ^ Roberto Chiesi, Jean-Luc Godard, Roma : Gremese, ISBN 888440259X, p.104.
- ^ “Two or Three Things I Know About Her”. Rotten Tomatoes. Fandango Media. 2022年9月19日閲覧。