パトローネ
略歴・概要[編集]
1913年︵大正2年︶の最初の試作機を経て1925年︵大正14年︶に発売されたドイツの写真機﹁ライカ﹂は、映画用フィルムのスタンダードであった35mmネガフィルムを短く切り出し、スプールに巻いて使用していたが、まずアグフア︵現在のアグフア・ゲバルト︶が1932年︵昭和7年︶、世界で初めてパトローネに詰めた形で生フィルムを売り出した。1934年︵昭和9年︶、ドイツコダック︵かつてのナーゲル、1931年買収︶が開発したライカ判写真機﹁レチナ﹂とともに、コダックが発表したフィルム規格が﹁135フィルム﹂であり、これが現在の﹁パトローネ入り35mmネガフィルム﹂である[5]。1996年(平成8年)4月に製造販売が開始された「APSフィルム」(アドバンストフォトシステム)では、「135フィルム」のようにパトローネ(カートリッジ)側面にコードが印刷されておらず、フィルムに磁気が塗布されておりその磁気面に、撮影時の設定、日付・時間、プリントサイズ・枚数指定、コメント等が記録される。
フィルムカートリッジ全般[編集]
ロールフィルム[編集]
パトローネ入りの「135フィルム」の登場以降に発表された、それよりもフィルム幅の小さな超小型写真のためのフィルムは、使い捨てタイプで、フィルムの送出側・巻取側の両方が一体となったフィルムカートリッジが主流であった。
1938年(昭和13年)に発表された超小型写真機ミノックスの専用フィルムは、小型映画用の9.5mmフィルムを、専用カートリッジに詰めたもので、カートリッジを写真機に装填して撮影、捕りきり後もフィルムを巻き戻す必要がなく、カートリッジを取り外して現像に出す。1947年(昭和22年)に出現したコーナン16やその後継機のミノルタ16、マミヤ16の専用フィルムも16mmフィルムを専用カートリッジに詰めたもので、ミノックスと同様のシステムである。
1963年(昭和38年)にコダックが発表したインスタマチックシステムのための「126フィルム」も、ミノックス同様、一体型カートリッジに35mmフィルムよりもやや幅の狭いフィルムを詰めたものであった。その後継として同社が1971年(昭和46年)に発表したポケットインスタマチックシステムのための「110フィルム」は、16mmフィルムを一体型カートリッジに詰めたものであった。
シートフィルム[編集]
ポラロイドやフォトラマ等のインスタントフィルムは、シートフィルムと印画紙が一体化したものであり、10枚あるいは12枚を1つのカートリッジに詰めたものを「パックフィルム」と呼ぶ。
1982年(昭和57年)にコダックが発表したディスクフィルムは、これまでのロールフィルムと異なり、直径65mmの円形シートフィルムに放射線状に15フレームがついたもので、平面状のカートリッジに包まれたものであった。
ギャラリー[編集]
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エディクサ16の超小型カートリッジ。
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マミヤスーパー16の専用カートリッジ。
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110フィルムの一体型カートリッジ。
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126フィルムの一体型カートリッジ。
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APSフィルムのパトローネ型カートリッジ。
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コダックディスクフィルムの平面型カートリッジ(1982年発売)。
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ポラロイドのパックフィルムのカートリッジ。
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同裏側。
脚注[編集]
参考文献[編集]
- McKeown's Price Guide to Antique and Classic Cameras, James M. & Joan C. McKeown, 12th Edition, Centennial Photo Service, 2004年 ISBN 0931838401