ペルシア人
ペルシア人︵ペルシアじん、ペルシア語: فارس、英語: persian︶は、中東のイランを中心に住み、ペルシア語を話す人々。イラン系民族の一つ。
ペルシア語の話者の分布図
アケメネス朝ペルシアの最大版図
紀元前550年 - 紀元前330年
アケメネス朝ペルシアの初代国王・キュロス2世
﹁ペルシア人﹂の民族名称が指し示す範囲は時代、地域、文脈などによってさまざまに伸縮する。
もっとも広義には、歴史的なイラン地域および中央アジア方面に住み、主にペルシア語を語る人々のことを漠然と指す。狭義にはイラン・イスラーム共和国籍を有する人︵イラン人︶のうち、もっぱら定住生活をとり、ペルシア語を主に語る集団を指す民族名称ファールスィー︵後述︶の訳語である。
なお、﹁ペルシア人﹂を意味する他称をもつ人々として、アフガニスタンのファールスィーワーンやインドのゾロアスター教徒であるパルスィーが存在しているが、欧米の諸言語や日本語では彼らを﹁ペルシア人﹂とは呼ばない。
ポロをする人々︵ペルシア細密画、1524年頃︶
中世の東ローマ帝国で、ギリシャ語で﹁ペルシア人﹂という語を用いるときは、しばしば小アジア︵アナトリア︶から東方に住む民族を指して用いられた。このためセルジューク朝、ルーム・セルジューク朝やオスマン朝のトルコ系民族も﹁ペルシア人﹂に含まれ、﹁ペルシア人﹂は必ずしもペルシア語を話す民族を指していない。
これは、東ローマの知識人が古代ギリシャの古典文化を尊ぶ傾向があり、周辺の異民族に対しては、古代ギリシャ時代にその地にいた民族の名前をあえて使用することを好んだためである。他にも、彼らはルーシの人々を﹁スキタイ人﹂と呼んでいたりすることもある。
ペルシア絨毯
以下では、主に現代の日本において、歴史研究、歴史叙述で﹁ペルシア人﹂という言葉が用いられるとき、それは各時代のどのような集団を指して用いられるかを論じる。