レイン (ビートルズの曲)
「レイン」 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ビートルズの楽曲 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
英語名 | Rain | |||||||||||||||||||||||||||||||||
リリース | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
規格 | 7インチシングル | |||||||||||||||||||||||||||||||||
A面 | ペイパーバック・ライター | |||||||||||||||||||||||||||||||||
録音 |
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ジャンル | サイケデリック・ロック[1][2] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
時間 | 2分59秒 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
レーベル | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
作詞者 | レノン=マッカートニー | |||||||||||||||||||||||||||||||||
作曲者 | レノン=マッカートニー | |||||||||||||||||||||||||||||||||
プロデュース | ジョージ・マーティン | |||||||||||||||||||||||||||||||||
チャート順位 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
後述を参照
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﹁レイン﹂︵Rain︶は、ビートルズの楽曲である。1966年5月に発売されたシングル盤﹃ペイパーバック・ライター﹄のB面曲で、﹁ペイパーバック・ライター﹂と同様にアルバム﹃リボルバー﹄のセッション中にレコーディングされたが、いずれも同作には未収録となった。レノン=マッカートニー名義となっているが、主にジョン・レノンによって書かれた楽曲で、レノンは﹁常に天気に一喜一憂している人々について歌ったもの﹂と語っている[3]。
本作はレコード化された楽曲としては初めてリズムトラック、ベース、バッキング・ボーカルをテープ速度を操作して録音した楽曲である[4]。ポール・マッカートニーは歌うようなベースラインを弾き、ジョージ・ハリスンはギターでインド風のフレーズを演奏している[5]。なおリンゴ・スターは、本作のドラミングをベストプレイとしている[6]。ミュージック・ビデオは3種類制作された。
背景・曲の構成[編集]
1964年6月11日、ビートルズはニール・アスピノールと共に、オーストラリアのシドニーに訪れたが、当日は雨が降っていた[7]。レノンは﹁こんなにひどい雨はタヒチで見て以来だ﹂と語り、本作について﹁歌詞は常に天気に一喜一憂している人々について歌ったもの﹂と説明している[3]。なお、歌詞に出てくる﹁Rain﹂と﹁Sun﹂が、LSDのトリップ時に体験する現象の1つであることから、薬物に対する言及という解釈もなされている[8]。 ﹁レイン﹂はシンプルな構成となっており、キーはGメジャーに設定されている。ギターのイントロの後にスネアドラムが入り、ヴァースへと続く。ヴァースは9小節長で、4分の4拍子となっている。最初の2小節はGコードで、3小節目と4小節目でCコードに移行したのち、5小節目と6小節目でGコードに戻る。4番のヴァースとリフレインの後にドラムソロとギターソロが入り、1拍ブレイクする。これに続いて逆回転させたレノンのボーカルが入る[9]。音楽学者のウォルター・エヴェレットは、本作のエンディングについて﹁ビートルズが﹃フェードインフェードアウトを使用したコーダ﹄の先駆者であることを示す例﹂と述べている[10]。 音楽評論家のアラン・コジンは、マッカートニーのベースについて﹁指板をくまなく使った独創的な対位法﹂﹁レノンとマッカートニーがほのかに中近東を思わせるメロディーを4分の1拍子で奏でている間、マッカートニーはまずHigh-Gを打ち鳴らし、20ビートを安定させたまま弾くことで、曲のドローンを表現している﹂と評している[11]。レコーディング[編集]
﹁レイン﹂のレコーディングは、EMIレコーディング・スタジオで1966年4月14日から16日にかけて行われた[12][13]。ビートルズは、後に発売されたアルバム﹃リボルバー﹄で見られるようなADTの導入やテープ・エフェクトの使用など、レコーディングで実験を行うことに夢中になっていた[14]。バッキング・トラックはテープの回転速度を通常よりも速めB♭で録音され[15]、レノンのボーカルは逆に遅くして録音された。これにより、通常再生するとレノンの声が高く聴こえるようになった[16]。 最後のヴァースでは、レノンのボーカルの一節が逆回転になっており、逆に再生された音源がレコード化された最初の例となった[17]。1980年の﹃プレイボーイ﹄誌のインタビューで、レノンは﹁スタジオから家に帰ってきて、あの時はちょっとマリファナで酔っていたのかな。とにかくいつものようにその日にレコーディングしたテープをプレイバックしようとしていたんだけど、たまたまテープを逆にセットしちゃってて…。翌日スタジオに着いてから﹁これ使えるかもしれないから聴いてみて﹂って言って逆再生させたんだ。フェードアウト部分はギターも歌も逆再生になってる。︵歌い出す︶"Sharethsmnowthsmeanss!"…って感じでね。これはマリファナの神が与えたもうたものだ﹂[17][18][19]と語っているが、ジョージ・マーティンは﹁私はいつもテープを扱っていて、ジョンの声で何か特別なことができないものかと考えていた。そこで、私はジョンのリード・ボーカルの一部を4トラックから抜き出して、別のスプーリングに入れて逆回転させてから、うまく合うように調整した。その時外出していたジョンが戻ってきて、たいそう驚いていた﹂と語っている[15]。 本作での使用楽器は、1965年製のグレッチ・ナッシュビル︵レノン︶、1964年製のリッケンバッカー・4001︵ポール・マッカートニー︶、ギブソン・SG︵ジョージ・ハリスン︶、ラディック・ムッサーのドラムセット︵リンゴ・スター︶[20][13]。リリース・評価[編集]
﹁レイン﹂は、アメリカで1966年5月30日にキャピトル・レコードより発売されたシングル盤﹃ペイパーバック・ライター﹄のB面に収録され、イギリスでは6月10日に発売された。その後コンピレーション・アルバム﹃パスト・マスターズ Vol.2﹄に収録され、アメリカでは1970年に発売されたキャピトル編集盤﹃ヘイ・ジュード﹄や﹃レアリティーズ Vol.2﹄にも収録された[13]。 B面曲ながら、アメリカでは1966年7月9日付のBillboard Hot 100で最高位23位を記録[21]し、﹃ローリング・ストーン﹄誌が発表した﹁オールタイム・グレイテスト・ソング500﹂では463位にランクインした[22]。アメリカのラジオ局WAXQのランキング﹁THE TOP 1,043 CLASSIC ROCK SONGS OF ALL TIME: DIRTY DOZENTH EDITION﹂では382位にランクインした[23]。 スターは、本作におけるドラミングをベストプレイとして挙げており、1984年にスターは﹁これまでバンドが作ったどのレコードよりもすごい。﹃レイン﹄には驚かされる。左チャンネルから僕の演奏が聴こえるんだけど、そこに僕の﹃レイン﹄があるんだ﹂と語っている[24]。 本作におけるスターのドラミングについては、音楽評論家のイアン・マクドナルドや﹃ローリング・ストーン﹄誌も称賛しているほか[20][25]、﹃オールミュージック﹄のリッチー・アンタ―バーガーは﹁創造的なドラムブレイク﹂と評している[26]。 音楽評論家のジム・デロガティスは、本作について﹁ビートルズ初の素晴らしいサイケデリック・ロック・ソング﹂と評している[27]。プロモーション・フィルム[編集]
﹁レイン﹂のプロモーション・フィルムは3種類制作された[28]。これらのフィルムは、初期のミュージック・ビデオの先駆けとされており[29]、ジョージ・ハリスンは映像作品﹃ザ・ビートルズ・アンソロジー﹄で﹁ある意味じゃMTVは僕らの発明かもしれないね﹂と冗談めかして語っている[30]。 3種類のプロモーション・フィルムは、いずれもマイケル・リンゼイ=ホッグが監督を務めたもので、1つは1966年5月20日に撮影したチジック・ハウスの庭園や温室でメンバーが演奏しているもので[28][31]、残りの2つは1966年5月19日に撮影したサウンド・ステージでメンバーが演奏している様子で構成されている[注釈 1][28][31]。撮影の半年前にマッカートニーは、バイク事故で前歯を折っていたため、歯を見せないように意識して歌っている[32][31]。 制作されたプロモーション・ビデオのうち2種類が、映像作品﹃ザ・ビートルズ・アンソロジー﹄や﹃ザ・ビートルズ 1+﹄に収録された。クレジット[編集]
※出典[20]- ジョン・レノン - リード・ボーカル、バッキング・ボーカル、リズムギター
- ポール・マッカートニー - バッキング・ボーカル、ベース
- ジョージ・ハリスン - バッキング・ボーカル、リードギター
- リンゴ・スター - ドラム、タンバリン
チャート成績[編集]
チャート (1966年) | 最高位 |
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ベルギー (Ultratop 50 Wallonia)[33] | 12 |
US Billboard Hot 100[21] | 23 |
主なカバー・バージョン[編集]
●ペトゥラ・クラーク - 1966年に発売されたアルバム﹃I Couldn't Live Without Your Love﹄に収録。 ●ホセ・フェリシアーノ - 1969年にシングル盤として発売し、B面には同じくビートルズのカバー曲﹁シーズ・ア・ウーマン﹂が収録された[34]。 ●ハンブル・パイ - 1975年に発売されたアルバム﹃ストリート・ラッツ﹄に収録。 ●トッド・ラングレン - 1976年に発売されたアルバム﹃誓いの明日﹄に収録[35]。 ●ポリロック - 1981年に発売されたアルバム﹃Changing Hearts﹄に収録[36]。 ●ザ・ガンツ - 1988年に発売されたアルバム﹃I Wonder﹄に収録[37]。 ●グレッグ・オールマン - オールマン・ブラザーズ・バンドが1989年に発売されたボックスセット﹃Dreams﹄に収録[38]。 ●少年ナイフ - 1991年に発売されたアルバム﹃712﹄に収録[39]。 ●ザ・ジャム - 2010年に発売されたアルバム﹃サウンド・アフェクツ (デラックス・エディション)﹄に収録。脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ こちらのみカラー映像とモノクロ映像が2種類制作されており、『エド・サリヴァン・ショー』ではカラー映像、イギリスの音楽番組ではモノクロ映像が放送された。
出典[編集]
(一)^ Willams, Stereo (2017年4月13日). “The Beatles’ ‘Revolver’ Turns 50: A Psychedelic Masterpiece That Rewrote the Rules of Rock”. Daily Beast 2020年8月31日閲覧。
(二)^ “The 50 Best Beatles songs” (英語). Time Out London. Time Out Group (2019年5月17日). 2020年9月1日閲覧。
(三)^ abThe Beatles 2000, p. 212.
(四)^ Reising & LeBlanc 2009, pp. 94, 95.
(五)^ ビートルズと60年代 1996, p. 229.
(六)^ Miles 1997, p. 280.
(七)^ The Beatles 2000, p. 140.
(八)^ MacDonald 2005, pp. 196–197.
(九)^ Pollack 1993.
(十)^ Everett 2009, p. 154.
(11)^ Kozinn, Allan (1995). The Beatles. London: Phaidon. p. 143
(12)^ Lewisohn 1988, p. 74.
(13)^ abcFountenot 2008.
(14)^ Lewisohn 1988, p. 70.
(15)^ abEmerick & Massey 2006, p. 117.
(16)^ Lewisohn 1988, p. 83.
(17)^ abジョンとヨーコ ラスト・インタビュー 1990.
(18)^ Sheff 2000, p. 217.
(19)^ Gilliland 1969, show 37, track 4.
(20)^ abcMacDonald 2005, p. 196.
(21)^ ab“The Hot 100 Chart”. Billboard (1966年7月9日). 2020年9月1日閲覧。
(22)^ Rolling Stone 2004b.
(23)^ “The Top 1,043 Classic Rock Songs of All Time: Dirty Dozenth Edition”. Clear Channel Media and Entertainment. 2020年9月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月1日閲覧。
(24)^ “Ringo's Greatest Hit”. Rolling Stone. Penske Media Corporation (2010年4月14日). 2020年9月1日閲覧。
(25)^ Rolling Stone 2004a.
(26)^ Unterberger, Richie. Rain - The Beatles | Song Info - オールミュージック. 2020年9月1日閲覧。
(27)^ DeRogatis 2003, p. 43.
(28)^ abcNeaverson 2009.
(29)^ BBC 2008.
(30)^ The Beatles 2000, p. 214.
(31)^ abcRitchie 2008.
(32)^ Miles 1998.
(33)^ "Ultratop.be – The Beatles – Rain" (in French). Ultratop 50. 2020年10月27日閲覧。
(34)^ “Rain / She's A Woman - RCA Victor - USA - 47-9757 - José Feliciano”. 45cat. 2020年9月1日閲覧。
(35)^ Faithful - Todd Rundgren | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年9月1日閲覧。
(36)^ “Polyrock - Changing Hearts (1981, Vinyl)”. Discogs. Zink Media. 2020年9月1日閲覧。
(37)^ I Wonder - The Gants | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年9月1日閲覧。
(38)^ Dreams - The Allman Brothers Band | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年9月1日閲覧。
(39)^ Planer, Lindsay. 712 - Shonen Knife | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年9月1日閲覧。