ローン・ジョッキー
ローン・ジョッキー︵英語: lawn jockey︶は、前庭に置かれる騎手の服装をした男性の像である。もとは馬をつなぐ柱として使われたが、後にその役割は失われ、装飾的なものとして使われるようになった。像は人の背丈の半分またはそれより小さく、馬の手綱を取るように片手を持ち上げ、その先に金属の輪やランタンなどを提げている。像はコンクリート製が多いが、鉄など他の素材で作られることもある。
21クラブに飾られたローン・ジョッキー
●フラナリー・オコナーの短編小説﹁人造黒人﹂︵en︶では、ローン・ジョッキーが象徴的な役割を果たしている。
●マンハッタンのレストラン21クラブのバルコニーには、常連客や競馬関係者から贈られた数十体のローン・ジョッキーが飾られている。像は著名な競走馬の服の色に塗られている[2]。
種類[編集]
ローン・ジョッキーにはいくつかの型があるが、よく作られたのは短身の﹁ジョコー﹂︵英: jocko︶と長身の﹁カヴァリエ・スピリット﹂︵英: cavalier spirit︶である。 ジョコー ジョコーはずんぐりした体型で身をかがめた姿勢をとり、右手を挙げている。若い黒人男性をカートゥーン風に描いたデザインで、顔立ちが強調され、白目の描かれた大きな目に大きな赤い唇、大きく平たい鼻、縮れた髪の毛などが現されている。これらの部位はけばけばしい色で描かれ、肌は光沢のある黒色に塗られた。後にこれらの像は人種差別的であるとされ、多くの像の肌がピンク色に塗り直された。 カヴァリエ・スピリット カヴァリエ・スピリットはすらりとした体型で直立の姿勢をとり、左手を挙げている。若い男性の外観を誇張なく描いたデザインで、はっきりとした色合いで塗られ、肌は光沢のある黒色やパステルピンクに仕上げられた。白い七分丈ズボンに黒いブーツ、明るい赤色や濃い緑色のベストや帽子を身に付けている。背景[編集]
リバー・ロード・アフリカン・アメリカン博物館︵en︶によると、ローン・ジョッキーはアフリカ系アメリカ人の若者ジョコー・グレイヴス︵英: Jocko Graves︶の伝説に起源を持つという。グレイヴスはアメリカ独立戦争時のトレントンの戦いで、ジョージ・ワシントン将軍の命令を守って馬の番をし、明かりを掲げて軍の戻りを待っていたが、凍え死んでしまう。将軍はグレイヴスを追悼し、彼の像を作ったという。しかし、この話の典拠としてよく引用される﹃Mammy and Uncle Mose﹄︵Indiana University Press, 1994︶の著者ケネス・W・ゴーイングス︵英: Kenneth W. Goings︶は、この言い伝えを疑わしいものとして見ている。 テンプル大学アフロ・アメリカン・コレクションの名誉キュレーターで﹃Hippocrene Guide to the Underground Railroad﹄︵Hippocrene Books, 1994︶の著者チャールズ・L・ブロックソンは、黒人奴隷の逃亡を支援した組織﹁地下鉄道﹂でローン・ジョッキーが利用されたと主張する。﹁像の腕に緑色のリボンが結ばれた場合は安全を示し、赤色の場合は止まらずに進み続けることを意味した﹂という[1]。大衆文化におけるローン・ジョッキー[編集]
脚注[編集]
- ^ “A guide to freedom: Jockey statues marked Underground Railroad”. The History of Loudoun County, Virginia. 2017年7月16日閲覧。
- ^ “'21' Jockey Collection”. '21' Club. 2017年7月16日閲覧。