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内乱の一世紀

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内乱の1世紀から転送)
紀元前218年から紀元117年にかけてのローマの拡張

内乱の一世紀(ないらんの1せいき)とは、共和政ローマ後期における、紀元前133年ティベリウス・グラックスとローマ元老院(セナトゥス)の対立によるグラックスの死から、紀元前30年オクタウィアヌスプトレマイオス朝を滅ぼし地中海世界を統一するまでの、およそ100年をさす。英語などでは共和政ローマの危機(Crisis of the Roman Republic)と呼ばれる。

グラックス改革以降の激化する政争、同盟市戦争の結果としてのイタリア半島統合、3度の内乱、東方世界とガリアの併合、地方司令官の中央への介入など、帝政ローマへと向かう最終段階と言える[1]

前史[編集]

紀元前218年までのローマの拡張

「・・・人の住むかぎりほとんどの全世界が、いったいどのようにして、そしてどのような国家体制によって、わずか五三年にも満たない間[注釈 1]に征服され、ローマというただひとつの覇権のもとに屈するにいたったのか、史上かつてないこの大事件の真相を知りたいと思わないような愚鈍な人、あるいは怠惰な人がいるだろうか。

ポリュビオス、『歴史』1.1.5-6(城江良和訳)[2]

87[3]5092300494
2

[4]28[5][6][7][8][9]

264-241167[10]149[11][ 2]

139133130

展開[編集]

グラックス改革[編集]


[ 3]
キケロ、『弁論家について』1.38(大西英文訳)[13]

使133[14]

133123121[15][16]

マリウス時代[編集]

マリウス

「さあ諸君、よく考えてみて欲しい。実行と言葉とはどちらが勝るのかを。彼ら[注釈 4]は私の新奇さを軽蔑する。私は彼らの怠慢を軽蔑する。私は偶然を攻撃され、彼らは恥ずべき振舞いを攻撃される。私は人の天性は一つであって万人に共通するものと考えるが、しかし最も勇敢な者こそが最も高貴だと考える。」

サッルスティウス、『ユグルタ戦争』85(栗田伸子訳)[17]

2[18][19]

107[20]105104100104[21]

調[22][23]

同盟市戦争[編集]

紀元前218年頃のローマ公有地(赤)、同盟市領(緑)、植民市領(グレー)

91[24]

[25]使[26][27]

[28][29] ()[30]

[31] (90)[ 5]87[33]退[34]

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辿18
ウァレリウス・マクシムス、『有名言行録』5.2.9

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886[37][38][ 6]

[40]

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6

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[]



プルタルコス、『対比列伝』クラッスス、6(伊藤貞夫訳)[47]

83[48][49][50]

82 (95)[51]6

[]


[ 7][ 8]
サッルスティウス、『カティリーナの陰謀』51.31-32、カエサルの演説より(合阪・鷲田訳)[52]

82[53]600

第一回三頭政治とカエサル[編集]

第三次奴隷戦争



7371663
19

63pater patriae603

60595325851

4913

746

44

第二回三頭政治と帝政のはじまり[編集]


3

4240西36

73130300

姿27

[]


Imperator Caesar Augustus

ポプラレスとオプティマテス[編集]




populares

optimates


脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 紀元前220年から紀元前168年の間
  2. ^ 不当利得返還請求に関するカルプルニウス法(Lex Calpurunia de repetundis)[12]
  3. ^ 紀元前95年の執政官で当代一の雄弁家。三頭政治のクラッススとは別人
  4. ^ ノビレス(新貴族)
  5. ^ ラテン人と同盟市への市民権付与に関するユリウス法(Lex Iulia de civitate Latinis et sociis danda)[32]
  6. ^ この事例は、よく「マリウスの軍制改革」によって、ローマ軍団が私兵化した結果とされるが、進軍したのはスッラだけでなく同僚執政官も共にであり、ローマ市では激しい抵抗を受けたものの、既存の枠組みから外れているとは言い切れない[39]
  7. ^ スッラ派長老議員を殺害したプラエトル
  8. ^ プロスクリプティオの対象者

出典[編集]

  1. ^ 砂田(2018), pp. 2–3.
  2. ^ 城江, p. 4.
  3. ^ ブライケン, p. 224.
  4. ^ ブライケン, pp. 8–9.
  5. ^ ブライケン, p. 10.
  6. ^ ブライケン, p. 167.
  7. ^ ブライケン, p. 168.
  8. ^ ブライケン, pp. 169–170.
  9. ^ ブライケン, p. 225.
  10. ^ 志内, p. 1.
  11. ^ 志内, pp. 1–4.
  12. ^ Rotondi, p. 292.
  13. ^ 大西 上, p. 30.
  14. ^ 砂田(2008), pp. 1–2.
  15. ^ 足立, pp. 31–32.
  16. ^ 砂田(2018), p. 20.
  17. ^ 栗田, p. 135.
  18. ^ ブライケン, p. 170.
  19. ^ ブライケン, pp. 170–173.
  20. ^ 砂田(2018), pp. 55–57.
  21. ^ 宮嵜(1), pp. 81–87.
  22. ^ 砂田(2018), pp. 54–57.
  23. ^ 砂田(2018), pp. 57–58.
  24. ^ Salmon, p. 107.
  25. ^ Salmon, p. 108.
  26. ^ Salmon, pp. 118–119.
  27. ^ Salmon, pp. 108–109.
  28. ^ Salmon, pp. 109–110.
  29. ^ Salmon, pp. 111–113.
  30. ^ Salmon, pp. 113–115.
  31. ^ MRR2, pp. 29–30.
  32. ^ Rotondi, p. 338.
  33. ^ 砂田(2018), pp. 1–2.
  34. ^ 砂田(2018), pp. 4–5.
  35. ^ 砂田(2018), pp. 15–16.
  36. ^ 砂田(2018), pp. 46–47.
  37. ^ MRR2, pp. 39–40.
  38. ^ 砂田(2018), pp. 18–19.
  39. ^ 砂田(2018), pp. 20–21.
  40. ^ 砂田(2018), p. 22.
  41. ^ 砂田(2018), pp. 24–25.
  42. ^ 砂田(2018), pp. 25–26.
  43. ^ 砂田(2018), pp. 27–29.
  44. ^ 砂田(2018), pp. 31–32.
  45. ^ 砂田(2018), pp. 32–33.
  46. ^ 砂田(2018), pp. 34–35.
  47. ^ プルタルコス, p. 349.
  48. ^ 砂田(2018), p. 37.
  49. ^ 砂田(2018), pp. 37–40.
  50. ^ 砂田(2018), pp. 41–43.
  51. ^ 砂田(2018), pp. 43–46.
  52. ^ 合阪・鷲田, p. 109.
  53. ^ 砂田(2018), pp. 58–59.

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 1︿西2004ISBN 978-4876981564 

 
西  ︿2005ISBN 4003361148 

西  ︿2005ISBN 4003361156 

 
 2008ISBN 9784872592740 

  ︿2019ISBN 978-4003349915 

 ︿231966ISBN 4-480-20323-0 

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 : 29西2015doi:10.15083/00077190 

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