麻雀牌
萬子(マンズ/ワンズ) |
---|
筒子(ピンズ) |
索子(ソウズ) |
四風牌 / 風牌 |
三元牌 |
花牌 |
材質[編集]
歴史[編集]
麻雀の用具は骨牌を始祖としており、古くは牛骨、鯨骨のものが主流であった。骨牌の背は竹であった︵これを竹牌と呼ぶ︶が、竹牌は欠けやすく、牌ごとに木目が微妙に異なることから、ガン牌ができる懸念もあり、昭和後期頃に、ねり牌と呼ばれるプラスチック製が普及しだすと衰退した。現在では職人もいなくなり、国内での骨牌・竹牌の生産は途絶した。プラスチック牌も様々な素材が試され、主に耐久性の点で現在の材質に落ち着いた。 全自動卓では、前の局の競技中に全自動卓内で次局の山が積まれるため、ひとつの全自動卓において背の部分の色が異なる2組の牌︵緑の組と青の組、青の組と黄色の組など︶を使用し、間違いや不正を防止している。牌の大きさ[編集]
現在、日本で主に使われている牌の大きさは、縦26mm×横20mm×厚み16mm 程度である。全自動卓などでは、縦28mm×横21mm×厚み16mm〜縦30mm×横22mm×厚み17mm牌が使われていることが多い。通常、牌の縦横比は4‥3である。麻雀牌は、製造年代や製造業者によってわずかに大きさが異なる。全自動卓用の牌は、手積み用の牌よりも若干牌や図柄が大きいものが多い︵見やすいため︶。歴史的には、牌は少しずつ大きくなってきている︵見やすく扱いやすく、またイカサマを防止するために﹁隠しにくく﹂︶。 中国や香港などで一般的に使われている麻雀牌は、日本の牌の1.5〜2倍くらいの大きさがある。日本ではこれをゲタ牌と呼んでいる。大きいものでは、ゲタ牌よりももっと大きい牌もある。小さい牌は、普通の牌の半分〜1/3の大きさのミニ牌がある。デザイン[編集]
麻雀牌のデザインは、大まかには以下の紹介における画像と一致する。 ただしこれは中国風のデザインであり、他にもいくつかのバリエーションがある。
- 日本や欧米で使われている牌では、五萬の「五」はにんべんの付いた「伍」の字が一般的である。
- 三元牌の白は、日本では無地のものが一般的であるが、日本以外ではフレームのようなものが書かれているのが一般的である。一部の牌では文字で白と書かれていたり、フレーム・縁どりのようなものが書かれていることもある。特に牌全体が同一色になっている特殊な牌セットでは、牌の背も牌の腹も無地だと表裏の区別が付きにくいため、牌の腹になんらかの加工が施されている。
子+矢の發 |
牌の種類[編集]
麻雀の牌はいくつかのグループに分かれ、役などに深く関係している。主な分類を以下に示す。么九牌 | 中張牌 | |||
---|---|---|---|---|
字牌 | 老頭牌 | |||
数牌 | 萬子 | ― | ||
筒子 | ― | |||
索子 | ― | |||
字牌 | 風牌 | ― | ― | |
三元牌 | ― | ― |
- 萬子・筒子・索子の3種が数牌に該当し、字牌は風牌と三元牌に分かれる。
- あとの節でも詳述するが、么九牌とは「字牌7種と老頭牌6種の総称」であり、老頭牌は么九牌に含まれる。
数牌[編集]
萬子[編集]
萬子︵ワンズ/マンズ︶とは、一萬から九萬までの9種類の牌の総称である。﹁萬﹂とは金銭単位をモチーフとしている[8]。﹁ワンズ﹂﹁マンズ﹂両方の言い方が一般に流通している。赤ドラ等でない限り、一から九までの漢数字は黒色、﹁萬﹂は赤色が一般的である。 牌譜上の略号では漢数字、または1m、2mといった表記をする。筒子[編集]
索子[編集]
中張牌[編集]
中張牌︵チュンチャンパイ︶とは、麻雀牌のうち、数牌の2から8まで︵二萬から八萬まで、二筒から八筒まで、二索から八索まで︶の21種類の総称である。 断么九︵タンヤオチュー︶に使用される牌であることからタンヤオ牌とも呼ばれる。 右にも左にも数字が繋がるので順子として使いやすいが、么九牌に比べると大きな役には絡みにくい。老頭牌[編集]
老頭牌︵ラオトウパイ/ロウトウハイ︶とは、麻雀牌のうち、数牌の1と9︵一萬、九萬、一筒、九筒、一索、九索︶の6種類の総称である。一九牌︵いちきゅうハイ︶とも言う。 老頭牌と字牌を合わせて么九牌と呼ぶ。 順子に使えるが、一方にしか数字が繋がらないため中張牌に比べると使いにくい。 全ての面子に老頭牌を絡めると純全帯么九という役になり、老頭牌のみで手を作ると清老頭という役満になる。字牌[編集]
字牌︵ツーパイ、ジハイ︶とは、麻雀牌のうち、数字と関係のない風牌と三元牌の7種類の牌の総称である。 順子に使用できないため数牌よりは使いにくいが、役に絡みやすく多く集められれば大きな点数が得やすい。例えば字牌だけで手を作ると字一色という役満になるほか、字牌と一色の数牌で手を作れば混一色という役が付く。 役の分類では、字牌を含むものには﹁混﹂、含まないものには﹁清﹂が付く。 例えば1色の牌と字牌のみで作る役を混一色と言い、1色の牌のみで作る役を清一色と言う。混老頭と清老頭の対応もある︵純全帯么九/全帯么九は例外︶。風牌[編集]
風牌︵フォンパイ、カゼハイ︶とは、字牌のうち、東︵トン、ひがし︶、南︵ナン、みなみ︶、西︵シャー、にし︶、北︵ペー、きた︶の4種類の牌の総称である。四風牌︵スーフォンパイ、すーふうはい︶とも言う。圏風牌[編集]
圏風牌︵チャンフォンパイ、荘風牌、場風牌、場風とも︶は役牌の一種で、場と同じ牌︵東場なら東、南場なら南、西場なら西、北場なら北︶のことをいう。圏風牌を刻子もしくは槓子とすると1飜役となる。また、雀頭にした場合2符となる。平和における雀頭としては認められない。ルールによっては、半荘で決着が付かず、延長戦が長くなった場合に風牌以外の牌が圏風牌となる場合もある︵白場、發場、中場など︶。門風牌[編集]
門風牌︵メンフォンパイ︶は役牌の1種で、自らの門風︵親を東とし、反時計まわりに南西北とする︶と同じ牌である。自風牌︵じかぜはい、自風︶とも呼ばれる。 圏風牌︵場風︶と同じく、門風牌を刻子もしくは槓子にすると1飜役となる。また、雀頭にした場合2符となる。平和における雀頭としては認められない。連風牌[編集]
連風牌(リェンフォンパイ、レンフォンパイ)は役牌の一種で、門風牌であり、かつ圏風牌でもある牌である。ダブ東・ダブ南(・ダブ西・ダブ北)とも呼ばれる。連風牌を刻子もしくは槓子とすると、圏風牌と門風牌を合わせて2飜となる。また、雀頭にした場合2符になるルールと、4符になるルールがある。
客風牌[編集]
三元牌[編集]
三元牌︵サンゲンパイ︶とは、字牌のうち、白︵ハク、しろ︶、發︵ハツ、あお、漢字は発の旧字︶、中︵チュン、なか、あるいはあか︶の3種類の牌の総称である。場風や門風によらず、刻子もしくは槓子にすると1飜役︵役牌︶が成立するほか、大三元や小三元などの役において役の成立条件となっている。対子として雀頭にした場合は符点2符が付くため、三元牌を雀頭にすると平和が成立しなくなる。中国語では箭牌︵ヂェンパイ︶と言い、英語ではDragon Tiles、あるいは単にDragonと称される。なお、日本麻雀におけるドラは、英語圏で三元牌を意味するドラゴンから来たとされる︵ドラは元々は懸賞牌と言われていた︶。么九牌[編集]
么九牌︵幺九牌、ヤオ九牌、ヤオチューパイ︶とは、麻雀牌のうち老頭牌と字牌をまとめた13種の牌の総称である。一九字牌︵いちくじはい、いちきゅうじはい︶とも呼ばれる。 ヤオは﹁小さい﹂→﹁一﹂の意味であり、本来は老頭牌を指す用語だったが、適切な老頭牌と字牌を合わせた総称がないということでこの意味に流用されている。中国語では今も老頭牌の意味である。 么九牌を含まない和了が断么九、雀頭と全ての面子に么九牌を含む和了が混全帯么九︵字牌がない場合は、純全帯么九︶、么九牌だけで作った対々和・七対子が混老頭︵字牌がない場合は、清老頭︶、全種類の么九牌を集めて内1種を対子にした和了が国士無双である。么九牌を刻子・槓子にすると中張牌のそれの2倍の符が付く。ちなみに中国麻雀では、混老頭は混么九、清老頭は清么九、国士無双は十三么九と呼ばれ、役名から么九牌が関連していることが分かるようになっている。ヤオの漢字について[編集]
﹁么九牌﹂の﹁么﹂[注 3]は、﹁幺﹂の異体字である。かつては表示できない日本語環境も少なくなかったので、カタカナで﹁ヤオ﹂と表記されることもままある。 なお、現在の中国では幺の字が使われ、么は別字︵麼の簡体字︶として扱われている。花牌[編集]
- 四季
- 四君子
赤牌[編集]
図柄の彫り込み部分全体を赤く着色した牌を赤牌︵あかはい︶という。常時ドラとして扱われるため、赤ドラとも呼ぶ。一般的には、赤牌として五萬・五筒・五索を各1枚ずつ、通常の牌と入れ換えて用いる。一部では、赤五筒を2枚用いて、赤牌を4枚にすることもある。「五」以外の牌を赤牌として用いることもある。
赤字牌[編集]
ごく稀に赤字牌またはドラ字牌付きを一枚入れて、それを赤ドラと同義とする場合もある。北の赤牌(赤北)、白の赤牌(白ポッチ)を採用するローカルルールもある。
白ポッチ[編集]
白(白板)の中央に赤い点(または宝石)を刻み込んだ牌を白ポッチ(しろポッチ)という。4枚ある白のうち1枚と入れ換えて使用する。白ポッチを入れて遊ぶ場合、リーチ一発ツモで白ポッチを引いた時に限りツモ和了を宣言することができ、ツモった白ポッチをオールマイティとして扱うことができる。リーチ一発ツモ以外の局面では白ポッチは単なる白として扱われる。フリー雀荘等でごくまれに採用されている。
ジョーカー[編集]
ジョーカーは、任意の牌の代用として使用可能な牌。日本の麻雀ではほぼ採用されることがないが、上海・マレーシア・シンガポール・アメリカ・ベトナムなどの麻雀で使用される。アメリカ麻雀では8枚のジョーカー牌が使用される。シンプルに「ジョーカー」と呼称されるが、中国語の百搭(パイター)という言い方も見られる。百搭は直訳すると「百の搭子」である(古い竹牌の「百搭」)。マレーシア人やシンガポール人は「飛牌」と呼んでいる。
上海もマレーシアもシンガポールのルールでは4枚のジョーカーを用いる。アメリカ式と同じく、すべての牌をジョーカーで代用することができる。
ベトナムにおいては、萬子・筒子・索子・風牌・三元牌・花牌・字牌と花牌・全牌のそれぞれに対するジョーカーがある。
牌の表記法[編集]
●漢字で表記する場合 ●萬子: 漢数字 + 萬︵万︶ → 一萬・二万 ●筒子: 漢数字 + 筒 → 三筒・四筒 ●索子: 漢数字 + 索 → 五索・六索 ●字牌: 東、南、西、北、白、發︵発︶、中 ●半角英数字で表記する場合 ●萬子: 半角数字 + m → 1m・2m ●筒子: 半角数字 + p → 3p・4p ●索子: 半角数字 + s → 5s・6s ●風牌: E, S, W, N または 1z・2z・3z・4z ●三元牌: D, H, T︵プログラム記述などの場合に多い︶ または P, F, C︵インデックスなど︶ または 5z・6z・7z ●風牌の表記は英語表記の頭文字(East, South, West, North)、三元牌の表記は白(Pai)、発(Fa)、中(Chung)の頭文字と考えられる。 通常、数牌は半角英数字、字牌は漢字で表記する。 123m456p789s東東東中中 萬子を漢数字、筒子を丸付き数字または丸括弧でくくった算用数字︵丸付き数字が機種依存文字のため︶、索子を算用数字︵アラビア数字︶で表記する例もある。 一二三(4)(5)(6)789東東東中中 筒子全体をまとめて(456)などと表記する場合もある。採譜記号[編集]
麻雀の進行を記録する牌譜を実戦で採取する際は、速記のため上にある記号をいくつか組み合わせて、また、専用の記号を取り入れて使用する。1例を示す: ●萬子: 漢数字 → 一・二・三・四・五・六・七・八・九 ●筒子: 丸付き数字 → ①・②・③・④・⑤・⑥・⑦・⑧・⑨ ●索子: アラビア数字 → 1・2・3・4・5・6・7・8・9 ●風牌: T, N, 西, 北 ●三元牌: 白, R, 中 これは日本国内で主に用いられるので、風牌︵のうち、漢字の画数が多い東と南︶は英語の略である 'E' 'S' ではなく、﹁トン﹂﹁ナン﹂﹁シャー﹂﹁ペー﹂の頭文字を取るなどしている。また、ここで使用される 'R' は緑發の略である。Unicode[編集]
Unicode の U+1F000 - U+1F02B は麻雀牌 (Mahjong Tiles) の絵柄である。記号 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 名称 |
---|---|---|---|---|
🀀 | U+1F000 |
- |
🀀 🀀 |
麻雀牌 東 East Wind |
🀁 | U+1F001 |
- |
🀁 🀁 |
麻雀牌 南 South Wind |
🀂 | U+1F002 |
- |
🀂 🀂 |
麻雀牌 西 West Wind |
🀃 | U+1F003 |
- |
🀃 🀃 |
麻雀牌 北 North Wind |
🀄 | U+1F004 |
- |
🀄 🀄 |
麻雀牌 中 Red Dragon |
🀅 | U+1F005 |
- |
🀅 🀅 |
麻雀牌 發 Green Dragon |
🀆 | U+1F006 |
- |
🀆 🀆 |
麻雀牌 白 White Dragon |
🀇 | U+1F007 |
- |
🀇 🀇 |
麻雀牌 一萬 |
🀈 | U+1F008 |
- |
🀈 🀈 |
麻雀牌 二萬 |
🀉 | U+1F009 |
- |
🀉 🀉 |
麻雀牌 三萬 |
🀊 | U+1F00A |
- |
🀊 🀊 |
麻雀牌 四萬 |
🀋 | U+1F00B |
- |
🀋 🀋 |
麻雀牌 伍萬 |
🀌 | U+1F00C |
- |
🀌 🀌 |
麻雀牌 六萬 |
🀍 | U+1F00D |
- |
🀍 🀍 |
麻雀牌 七萬 |
🀎 | U+1F00E |
- |
🀎 🀎 |
麻雀牌 八萬 |
🀏 | U+1F00F |
- |
🀏 🀏 |
麻雀牌 九萬 |
🀐 | U+1F010 |
- |
🀐 🀐 |
麻雀牌 一索 |
🀑 | U+1F011 |
- |
🀑 🀑 |
麻雀牌 二索 |
🀒 | U+1F012 |
- |
🀒 🀒 |
麻雀牌 三索 |
🀓 | U+1F013 |
- |
🀓 🀓 |
麻雀牌 四索 |
🀔 | U+1F014 |
- |
🀔 🀔 |
麻雀牌 五索 |
🀕 | U+1F015 |
- |
🀕 🀕 |
麻雀牌 六索 |
🀖 | U+1F016 |
- |
🀖 🀖 |
麻雀牌 七索 |
🀗 | U+1F017 |
- |
🀗 🀗 |
麻雀牌 八索 |
🀘 | U+1F018 |
- |
🀘 🀘 |
麻雀牌 九索 |
🀙 | U+1F019 |
- |
🀙 🀙 |
麻雀牌 一筒 |
🀚 | U+1F01A |
- |
🀚 🀚 |
麻雀牌 二筒 |
🀛 | U+1F01B |
- |
🀛 🀛 |
麻雀牌 三筒 |
🀜 | U+1F01C |
- |
🀜 🀜 |
麻雀牌 四筒 |
🀝 | U+1F01D |
- |
🀝 🀝 |
麻雀牌 五筒 |
🀞 | U+1F01E |
- |
🀞 🀞 |
麻雀牌 六筒 |
🀟 | U+1F01F |
- |
🀟 🀟 |
麻雀牌 七筒 |
🀠 | U+1F020 |
- |
🀠 🀠 |
麻雀牌 八筒 |
🀡 | U+1F021 |
- |
🀡 🀡 |
麻雀牌 九筒 |
🀢 | U+1F022 |
- |
🀢 🀢 |
麻雀牌 梅 Plum |
🀣 | U+1F023 |
- |
🀣 🀣 |
麻雀牌 蘭 Orchid |
🀤 | U+1F024 |
- |
🀤 🀤 |
麻雀牌 竹 Bamboo |
🀥 | U+1F025 |
- |
🀥 🀥 |
麻雀牌 菊 Chrysanthemum |
🀦 | U+1F026 |
- |
🀦 🀦 |
麻雀牌 春 Spring |
🀧 | U+1F027 |
- |
🀧 🀧 |
麻雀牌 夏 Summer |
🀨 | U+1F028 |
- |
🀨 🀨 |
麻雀牌 秋 Autumn |
🀩 | U+1F029 |
- |
🀩 🀩 |
麻雀牌 冬 Winter |
🀪 | U+1F02A |
- |
🀪 🀪 |
麻雀牌 百搭 Joker |
🀫 | U+1F02B |
- |
🀫 🀫 |
牌の裏面 Back |
関連項目[編集]
- 麻雀
- トランプ類税
- Unicode バージョン5.1からU+1F000-1F02Fに麻雀牌が割り当てられた。これに対応するフォント(例:Symbola[14])をインストールすれば文字として麻雀牌を表示することができる。
- 上海 (ゲーム):麻雀牌を利用したコンピューターゲーム。
- 四川省 (ゲーム):麻雀牌を利用したコンピューターゲーム。
- 鷲巣麻雀牌 - 福本伸行原作の『闘牌伝説アカギ』鷲巣麻雀編に登場する特殊な麻雀牌。4個の牌のうち3つが透明の材質でできているタイプで、手牌の大部分が他家から丸見えになる。