耐震
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建築における耐震︵たいしん、英: earthquake resistant︶とは、地震に対する建築構造物や土木構造物の破壊や損傷を防ぐ措置[注釈 1]を言う。目的は同じだが類似の用語の制震や免震とは区別される。
概要[編集]
地震が起きると、建築物は、その地震の強さやその構造によっては大きな被害︵震害︶を受けることがある。その震害を減らしたり防いだりすることを目的とした建築物等に対する設計を耐震設計︵earthquake-resistant design︶と呼ぶ。 一般に、建築物が大きな被害を受ける可能性がある地震の強さは、加速度で100 gal︵cm/s2︶以上であると言われる[注釈 2]。 建築構造物の耐震設計においては、一般に建物の供用期間中に数回起こる可能性のある中規模の地震に対しては大きな損傷はしない、建物の供用期間中に一度起こるか起こらないかの大地震に対しては居住者の生命を守る︵倒壊しない︶ことを目標としている。すなわち、大地震に対しては倒壊しない程度の損傷は許容しており、また損傷を受けても安定性を損なわないようにすることが求められる。そのため、橋梁などの土木構造物によくみられる一本柱のような構造は、柱の根元が損傷を受けた場合に即座に不安定構造になるため建築では用いられない。 中地震︵80から100gal︶ : 多少亀裂が生じても、使用上支障をきたさないように設計する︵1次設計︶。 大地震︵300から400gal︶ : 人命の安全を確保するため、崩壊、転倒を起こさないように設計する︵2次設計︶。 ただし、原子力発電所など極めて重要な建物に関しては一般的な構造物より高レベルの設計目標が課されている。耐震設計[編集]
道路橋示方書Ⅴ耐震設計編による耐震設計は、橋の場合その重要度に応じて必要とされる耐震性能を確保することを目標として行うこととなっているが、橋の重要度は道路種別や橋の機能・構造に応じて、重要度が標準的な橋と特に重要度が高い橋の2つに区分する。 重要度が標準的な橋は、橋の供用期間中に発生する確率が高い地震動に対しては健全性を損なうことなく、また、橋の供用期間中に発生する確率は低いが大きな強度を持つ地震に対して致命的な被害を防止することを目標としている。 特に重要度が高い橋は、橋の供用期間中に発生する確率が高い地震動に対しては健全性を損なうことなく、また橋の供用期間中に発生する確率は低いが大きな強度を持つ地震に対しては限定された損傷にとどめることを目標とする。ここで、橋の供用期間中に発生する確率は低いが大きな強度を持つ地震動というのは、プレート境界型の大規模な地震を想定したタイプⅠの地震動および内陸直下型地震を想定したタイプⅡの地震動の2種類を考慮したものである。 具体的な耐震設計は、原則として﹁震度法﹂及び﹁地震時保有水平耐力法﹂という設計法によって行われる。 震度法によるものは、橋の供用期間中に発生する確率が高い地震動に対して、であり、許容応力度、許容支持力、許容変位、安全率、またはこれらの組み合わせによって耐震設計を行っている。地震時保有水平耐力法によるものは、橋の供用期間中に発生する確率は低いが大きな強度を持つ地震に対してであり、地震時保有水平耐力および許容塑性率、残留変位、またはこれらの組み合わせによって耐震設計を行っている。 地震時の挙動が複雑な橋は、動的解析を行う。その結果を設計に反映させている。耐震設計にあたっては、地形・地質・地盤条件、立地条件などを考慮し、耐震性の高い構造形式を選定すると同時に、個々の上下部構造の設計に対してのみならず、支承部や落橋防止システムも含めて、橋全体系が耐震性を有するように配慮しなければならない。脚注[編集]
注釈[編集]
参考文献[編集]
●大崎順彦﹃地震と建築﹄岩波書店︿岩波新書﹀、1983年。
●大地羊三﹃耐震計算法入門 付・マイコンによる計算プログラム﹄鹿島出版会、1984年。
●武藤清﹃耐震計算法﹄丸善︿耐震設計シリーズ﹀、1963年。
●武藤 清﹃構造物の動的設計﹄丸善︿耐震設計シリーズ/応用編﹀、1977年。
関連項目[編集]
- 構造力学 - 耐震工学 - 地震工学
- 耐震基準
- 制震 - 免震
- 耐震工事 - 耐震補強
- 応急危険度判定士
- 千葉県立市川工業高等学校 - 建築科の耐震診断活動
- 品川シェルター
- E-ディフェンス
- 構造計算書偽造問題