「右側に気をつけろ」の版間の差分
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ゴダールは本作を「俳優とキャメラと録音機のための17もしくは18景のファンタジー」<ref name="cinematopics">[[cinematopics]]サイト内の「[http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=3671 右側に気をつけろ]」の項の記述を参照。</ref>と呼び、映画館の外で町を観ても、空を見上げても、理解しようとは思わずにただ感じるだけなのと同じに観るべきだという旨の発言をしている<ref>[[allcinema]]サイト内の「[http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=22654 右側に気をつけろ]」の項の記述を参照。</ref>。 |
ゴダールは本作を「俳優とキャメラと録音機のための17もしくは18景のファンタジー」<ref name="cinematopics">[[cinematopics]]サイト内の「[http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=3671 右側に気をつけろ]」の項の記述を参照。</ref>と呼び、映画館の外で町を観ても、空を見上げても、理解しようとは思わずにただ感じるだけなのと同じに観るべきだという旨の発言をしている<ref>[[allcinema]]サイト内の「[http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=22654 右側に気をつけろ]」の項の記述を参照。</ref>。 |
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タイトルの『右側に気をつけろ』は、ボクシング用語<ref name="cinematopics" />で、『[[ぼくの伯父さんの休暇]]』の[[ジャック・タチ]]主演、[[ルネ・クレマン]]監督の短篇映画『[[左側に気をつけろ]]』(''Soigne ta |
タイトルの『右側に気をつけろ』は、ボクシング用語<ref name="cinematopics" />で、『[[ぼくの伯父さんの休暇]]』の[[ジャック・タチ]]主演、[[ルネ・クレマン]]監督の短篇映画『[[左側に気をつけろ]]』(''Soigne ta gauche''、旧題『左の拳を鍛えておけ』)に関係がある<ref name="cinematopics" />。 |
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物語のメインストリームはゴダール本人が演じる「白痴公爵殿下」だが、ゴダールの『[[子どもたちはロシア風に遊ぶ]]』(1993年)でも同じ役柄を演じている。殿下が手にする[[フョードル・ドストエフスキー]]『[[白痴 (ドストエフスキー)|白痴]]』の主人公ムイシュキン公爵からの引用である<ref name="cinematopics" />。[[ロランス・マスリア]]と[[ブリュノ・ヴォルコヴィッチ]]が演じる「古典的な恋する男女」の会話は、[[ジャン・ラシーヌ]]の戯曲『[[ベレニス]]』の台詞である<ref name="cinematopics" />が、これは、ゴダールの『[[恋人のいる時間]]』(1964年)で、舞台俳優役の[[ベルナール・ノエル]]とその恋人で人妻[[マーシャ・メリル]]が読み合わせするシーンにも登場する作品である。[[ミシェル・ガラブリュ]]演じる提督が乗客に朗誦させるのは、[[ロートレアモン伯爵]]の『[[マルドロールの歌]]』(1868年 - 1869年)である<ref name="cinematopics" />。[[ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ]]の『寓話』(1668年)のなかの『蟻と蝉』も、[[ジェーン・バーキン]]が登場するくだりで引用されている<ref name="cinematopics" />。 |
物語のメインストリームはゴダール本人が演じる「白痴公爵殿下」だが、ゴダールの『[[子どもたちはロシア風に遊ぶ]]』(1993年)でも同じ役柄を演じている。殿下が手にする[[フョードル・ドストエフスキー]]『[[白痴 (ドストエフスキー)|白痴]]』の主人公ムイシュキン公爵からの引用である<ref name="cinematopics" />。[[ロランス・マスリア]]と[[ブリュノ・ヴォルコヴィッチ]]が演じる「古典的な恋する男女」の会話は、[[ジャン・ラシーヌ]]の戯曲『[[ベレニス]]』の台詞である<ref name="cinematopics" />が、これは、ゴダールの『[[恋人のいる時間]]』(1964年)で、舞台俳優役の[[ベルナール・ノエル]]とその恋人で人妻[[マーシャ・メリル]]が読み合わせするシーンにも登場する作品である。[[ミシェル・ガラブリュ]]演じる提督が乗客に朗誦させるのは、[[ロートレアモン伯爵]]の『[[マルドロールの歌]]』(1868年 - 1869年)である<ref name="cinematopics" />。[[ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ]]の『寓話』(1668年)のなかの『蟻と蝉』も、[[ジェーン・バーキン]]が登場するくだりで引用されている<ref name="cinematopics" />。 |
2012年4月24日 (火) 07:52時点における版
右側に気をつけろ | |
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Soigne ta droite | |
監督 | ジャン=リュック・ゴダール |
脚本 | ジャン=リュック・ゴダール |
製作 |
ゴーモン JLGフィルム ザナドゥ・フィルム ラジオ・テレヴィジオン・スイス・ロマンド(RTSR) |
出演者 |
ジェーン・バーキン ジャック・ヴィルレ ジャン=リュック・ゴダール レ・リタ・ミツコ |
音楽 | レ・リタ・ミツコ |
編集 |
ジャン=リュック・ゴダール クリスティーヌ・ブノワ |
配給 |
ゴーモン フランス映画社 ハピネット・ピクチャーズ / アニー・プラネット 再映 |
公開 |
1987年12月30日 1989年1月28日 1991年5月31日 2001年1月5日 2003年4月5日 再映 |
上映時間 | 81分 |
製作国 | フランス / スイス |
言語 | フランス語 |
概要
ゴダールは本作を﹁俳優とキャメラと録音機のための17もしくは18景のファンタジー﹂[1]と呼び、映画館の外で町を観ても、空を見上げても、理解しようとは思わずにただ感じるだけなのと同じに観るべきだという旨の発言をしている[2]。 タイトルの﹃右側に気をつけろ﹄は、ボクシング用語[1]で、﹃ぼくの伯父さんの休暇﹄のジャック・タチ主演、ルネ・クレマン監督の短篇映画﹃左側に気をつけろ﹄︵Soigne ta gauche、旧題﹃左の拳を鍛えておけ﹄︶に関係がある[1]。 物語のメインストリームはゴダール本人が演じる﹁白痴公爵殿下﹂だが、ゴダールの﹃子どもたちはロシア風に遊ぶ﹄︵1993年︶でも同じ役柄を演じている。殿下が手にするフョードル・ドストエフスキー﹃白痴﹄の主人公ムイシュキン公爵からの引用である[1]。ロランス・マスリアとブリュノ・ヴォルコヴィッチが演じる﹁古典的な恋する男女﹂の会話は、ジャン・ラシーヌの戯曲﹃ベレニス﹄の台詞である[1]が、これは、ゴダールの﹃恋人のいる時間﹄︵1964年︶で、舞台俳優役のベルナール・ノエルとその恋人で人妻マーシャ・メリルが読み合わせするシーンにも登場する作品である。ミシェル・ガラブリュ演じる提督が乗客に朗誦させるのは、ロートレアモン伯爵の﹃マルドロールの歌﹄︵1868年 - 1869年︶である[1]。ジャン・ド・ラ・フォンテーヌの﹃寓話﹄︵1668年︶のなかの﹃蟻と蝉﹄も、ジェーン・バーキンが登場するくだりで引用されている[1]。 1987年︵昭和62年︶9月19日、カナダのトロントで行なわれたトロント国際映画祭で上映されている。同年9月25日 - 10月4日、東京で行なわれた第2回東京国際映画祭のインターナショナル・コンペティションに出品され[3]、かつて存在した東急文化会館内の渋谷パンテオンで上映された。1953年︵昭和28年︶の﹃ぼくの伯父さんの休暇﹄でジャック・タチが受賞したルイ・デリュック賞を、同年、ゴダールは本作で受賞した。スタッフ
●監督・脚本 : ジャン=リュック・ゴダール ●撮影監督 : カロリーヌ・シャンプティエ ●録音 : フランソワ・ミュジー、ベルナール・ルルー、マルク=アントワーヌ・ベルダン ●編集 : ジャン=リュック・ゴダール、クリスティーヌ・ブノワ ●音楽 : レ・リタ・ミツコ ●製作主任 : エルヴェ・デュアメル ●製作 : ゴーモン、JLGフィルム、ザナドゥ・フィルム、ラジオ・テレヴィジオン・スイス・ロマンド︵RTSR︶キャスト
本作では、キャストは男女に分れ、それぞれ﹁マドモアゼル/ムッシュ+姓﹂でクレジットされた。 ●マドモアゼル・バーキン : ジェーン・バーキン ︵蝉︶ ●マドモアゼル・ラヴァナン : ドミニク・ラヴァナン ︵提督夫人︶ ●マドモアゼル・ラフォン : ポーリーヌ・ラフォン ︵ゴルフする女︶ ●マドモアゼル・ダルラン : エヴァ・ダルラン ︵乗客の女︶ ●マドモアゼル・サドワイヤン : イザベル・サドワイヤン ︵祖母︶ ●マドモアゼル・バロンヌ : カリーナ・バローン ︵アメリカ人の女︶ ●マドモアゼル・ウセー : カトリーヌ・ウセー ︵第一客室乗務員︶ ●マドモアゼル・セネク : アニー・セネク ︵第二客室乗務員︶ ●マドモアゼル・ボーヌ : エロイーズ・ボーヌ ︵ママン︶ ●マドモアゼル・マスリア : ロランス・マスリア ︵古典的な恋する女︶ ●マドモアゼル・スールドリヨン : アニエス・スールドリヨン ︵キャンプする女︶ ●マドモアゼル・シャルティエ : メリッサ・シャルティエ ︵少女︶ ●マドモアゼル・モラ : ヴァレリー・モラ ︵小間使いの女︶ ●ムッシュ・ヴィルレ : ジャック・ヴィルレ ︵個人の男、蟻︶ ●ムッシュ・ペリエ : フランソワ・ペリエ ︵人間の男︶ ●ムッシュ・ガラブリュ : ミシェル・ガラブリュ ︵提督︶ ●ムッシュ・リュフュス : ジャック・リュフュス ︵刑事︶ ●ムッシュ・ゴダール : ジャン=リュック・ゴダール ︵白痴公爵殿下︶ ●ムッシュ・コルサン : フィリップ・コルサン ︵乗客の男︶ ●ムッシュ・ルロー : フィリップ・ルロー ︵ゴルフする男︶ ●ムッシュ・ドパール : ラファエル・ドパール ︵実業家の男︶ ●ムッシュ・ドラムール : ジャン=ピエール・ドラムール ︵客室乗務員の男︶ ●ムッシュ・グレコー : ジャン・グレコー ︵平均的フランス人の男︶ ●ムッシュ・ヴォルコヴィッチ : ブリュノ・ヴォルコヴィッチ ︵古典的な恋する男︶ ●ムッシュ・ラブルース : マルク・ラブルース ︵キャンプする男︶ ●ムッシュ・プナ : ジャック・プナ ︵パパ︶ ●ムッシュ・メゾン : ギイ・メゾン ︵黒人その1︶ ●ムッシュ・カデール : カデール・カダ ︵アラブ人の男︶ ●レ・リタ・ミツコ : カトリーヌ・ランジェ ︵本人︶ ●レ・リタ・ミツコ : フレッド・シシャン ︵本人︶ストーリー
- ひとつの場所を Une place
- 地上に sur la terre
関連事項
関連書籍
- 木村浩訳、新潮文庫、1970年、上巻 ISBN 4102010033、下巻 ISBN 4102010041
- 米川正夫訳、岩波文庫、1970年、上巻 ISBN 4003261402、下巻 ISBN 4003261410
- ジャン・ラシーヌ『ブリタニキュス / ベレニス』、渡辺守章訳、岩波文庫、2008年2月15日 ISBN 4003251156
- ロートレアモン伯爵『ロートレアモン全集』、石井洋二郎訳、ちくま文庫、2005年2月9日 ISBN 4480420460
- ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ『ラ・フォンテーヌの寓話』、窪田般弥訳、現代教養文庫、1987年9月 ISBN 4390112066
註
外部リンク
- Soigne ta droite - IMDb
- Soigne ta droite - BiFi (仏語)