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管弦楽法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

管弦楽法(かんげんがくほう、オーケストレーション、: orchestration)とは、音楽上のアイディアを、最も合理的かつ効果的な方法によって管弦楽団(オーケストラ)で表現する手段を研究し[1]体系化する学問である。

管弦楽法の要素

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基礎技法

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調














楽器法

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オーケストラに使われる各楽器についての知識である。

編曲法

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旋律を複数の楽器がユニゾンオクターブでなぞるときの効果について、また、和声学的にさまざまな声部を組み合わせるときの方法についての知識である。

  • 楽器編成
  • 楽器の組み合わせ
    • 弦楽器同士の組み合わせ
    • 管楽器同士の組み合わせ
    • 弦楽器と管楽器の組み合わせ
    • 管楽器と打楽器の組み合わせ
    • その他の組み合わせ
  • セクションごとの合奏の特質
  • 旋律奏と伴奏
  • オーケストラの様々な習慣についての知識 - オーケストラは多くの人間の集まりである。オーケストラを効率よく運営するための様々な習慣がある。そのことを無視してオーケストレーションは成り立たない。
  • オーケストラの中の独唱・合唱について

管弦楽法の歴史

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中世〜バロック期

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使




古典派音楽

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18

20

グルック

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使1779Iphigénie en Aulide2使使

ベートーヴェン

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使使12使15調調73調16調84調調使92調調341 pp2 pp53

使32

使3

3

初期ロマン派

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初期ロマン派ではオーケストレーションの拡張の試みが徐々に行われていたが、同時に楽器の性能そのものも徐々に向上していったため、現代のオーケストラにおいては特に音量バランスにおいて作曲者が当時意図した響きとは異なるかもしれないことがままある。例えばシューマンの諸作品やショパンの2つのピアノ協奏曲などのオーケストレーションは、現代において過小評価する論調も見られるが、これは当時の楽器の性能を考えると必ずしも悪い例ではなく、時代楽器のオーケストラで演奏すると現代のオーケストラよりもすっきりまとまって響くこともある。

フランス革命

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180018007149221

ベルリオーズ

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194使128101036

1844(Grand traité d'instrumentation et d'orchestration1905


楽器の発達とオーケストレーション

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19使1840使

ワーグナー

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344BA

リムスキー=コルサコフ

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[chushaku 1]


ドビュッシー

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ドビュッシーはひとつひとつの楽器の特性を十分に生かすことに主眼を置き、新たな音響を作り出した。またオーケストラをいくつかの群に分けて別々のリズムや動きを担当することにより、多層的とも遠近法的とも言える立体的なオーケストレーションを生み出した。これは初期の『牧神の午後への前奏曲』の特に中間部で嬰ハ長調の主題が出てくる部分で効果的に聴こえるほか、オペラ『ペレアスとメリザンド』や『』など様々な場面で見ることが出来る。

リヒャルト・シュトラウス

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リヒャルト・シュトラウスは管弦楽法の大家としてよりも、「管弦楽技法」の大家として著名である。初期の交響詩を始め、中期の交響曲や後期のオペラなどにおいて、物事をオーケストラで描写する実力を如実に示した。そのピアノ譜によるデッサンを弾くのは難解ではあるが、オーケストラで音を出す段階になると、比較的容易で効果的な色彩管弦楽法を見せてくれる。

ラヴェル

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[]


新ウィーン楽派

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3110[][][]

[][]

その他の近代

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使

現代

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34







IRCAM

楽器

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以下、管弦楽の各楽器に関する概説を述べる。詳細は各楽器の記事を参照のこと。

弦楽器

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12使161412108

52


木管楽器

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使4nn3使22[2]24223

2138412992

2444

1844233使使34使

金管楽器

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34332+111145682+

22[3]



使

打楽器

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2123442使使10

鍵盤楽器

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使

2使3使1

使使

西西3

撥弦楽器

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使

26使2

2

使6

打弦楽器

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使使使

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使332

電子楽器

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使

33使

使



調

IRCAM4X使

1970

1980MIDI使

1990Max/MSPIRCAM220002006

編曲法

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管弦楽法の学習としては、まずそれぞれの楽器の特徴を知ることが大事であるが、それらの楽器を複数組み合わせることによって、初めて管弦楽やアンサンブルにおける複数の楽器を有効に使いこなすことが出来る。これらはそれぞれの楽器にとって無理なく演奏できることはもちろん、音色を打ち消すようなことなく(意図的である場合を除く)それぞれの響きが最大限効果的に発揮されるよう、いくつかの特徴的な配置についても作曲家は熟知しておくことが望ましい。

楽器の組み合わせ

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木管楽器(場合によっては金管楽器も含む)に対して推奨とされるいくつかの特徴的な組み合わせがある。これらは通常、下から順にファゴット、クラリネット、オーボエ、フルートの順で積み重ねられ、これを「積み重ね法」と言う。対して、二管編成以上の場合、内声部の楽器に対し上下の外声部に違う楽器を当てはめることにより、この積み重ね法とは異なる音色を得ることも出来る。これを「囲い込み」と言う。また密集配置の和音には4つの楽器を混ぜないなど、慣習として忌避される書法もある。これは三管編成以降は徐々になくなっていく。

音色混合

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278

使2

脚注

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注釈

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  1. ^ しかし、彼は『管弦楽法原理』の序文で「オーケストレーションに上手下手はない。それは作品の魂の一つだ。色彩的な曲を書く作曲家がオーケストレーションが上手いということになれば、ブラームスは下手な作曲家ということになってしまう。」というようなことを述べている。

出典

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(一)^  1   4宿6-30201210312008316ISBN 978-4-276-10683-3 

(二)^  199327

(三)^ /R.

参考文献およびリンク

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/ 2006

 2008





Alexander Books, ISBN 0939067730



DTM
DTM 2002

DTM 2005