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[[熊谷氏]]の一族であり、[[武蔵国]][[熊谷郷]]に拠っていたが、[[熊谷直実]]の5代後の子孫である[[熊谷直鎮]] <ref group="注釈">熊谷正直とする書籍もある。</ref>が[[元弘]]元年︵[[1331年]]︶に足利高氏︵尊氏︶に従って上洛し<ref group="注釈">ただし、﹃姓氏家系大辞典﹄第2巻︵[[太田亮]]、姓氏家系大辞典刊行会、1935年、2135頁︶には直鎮の上洛は元弘3年︵[[1333年]]︶とされる。</ref>、[[元弘の乱|六波羅の合戦]]での武功により[[三河国]][[八名郡]]の[[地頭|地頭職]]を与えられた<ref name="kohokota74">幸田町史編さん室﹁ふるさとの今昔(3) 高力邑と高須郷﹂﹃広報こうた﹄昭和49年1月1日号、幸田町、1974年、6頁。</ref>。直鎮は八名郡に地頭職として居住した後、彼の6代後にあたる[[熊谷重実|重実]]が宇利庄に移り住み、その子・[[熊谷実長|実長]]より宇利熊谷と称して[[今川氏]]に臣従したが<ref name="okazakisisi93">新編岡崎市史編集委員会﹃新編岡崎市史20総集編﹄、新編岡崎市史編さん委員会、1993年、381、382頁。</ref>、[[享禄]]2年︵[[1529年]]︶<ref group="注釈">享禄3年︵[[1530年]]︶とする文献もある。</ref> 、[[松平清康]]の攻略によって[[宇利城]]が落城した<ref name="kohokota74" />。
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[[熊谷氏]]の一族で、[[武蔵国]][[熊谷郷]]に拠っていたが、[[鎌倉時代]]に[[熊谷正直]]は武功により[[足利尊氏]]から[[三河国]][[八名郡]]を賜り、姓を梁田に改めた。その子[[梁田重長|重長]]が同国[[高力郷]]に移り高力を名乗った。
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宇利城の落城により、宇利熊谷氏は同国[[額田郡]][[高力郷]]︵現・[[愛知県]]額田郡[[幸田町]]大字[[高力 (幸田町)|高力]]付近︶に落ちつき名字を高力と改めた。同地に移り住んだ時期については、実長の子・[[熊谷直安|直安]]の弟である[[熊谷正直|正直]]が高力郷に分かれ住み、その子である[[高力重長|重長]]が高力氏を名乗ったとする解釈<ref name="okazakisisi93" />、重長が移り改姓したとする解釈がある<ref name="kohokota74" />。また、高力郷に移住した正直は簗田氏を称したとされ、﹃[[寛政重修諸家譜]]﹄には重長の母は簗田与次郎某の娘と表記されている<ref name="okazakichusei">新編岡崎市史編集委員会﹃新編岡崎市史2中世﹄、新編岡崎市史編さん委員会、1989年、157、158頁。</ref><ref name="kansei725">三上参次編 国立国会図書館デジタルコレクション﹃寛政重修諸家譜 第3集﹄、国民図書、1923年、725頁。</ref>。
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以上が寛永・寛政の家譜などにみられる高力氏の出自であるが、文献によってはこれらとは異なる出自も散見される。 |
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同氏が高力郷に移った時期、姓を高力に改めた時期に関しては、この章の冒頭のように重長が移り改姓したとするもののほか<ref name="kohokota74" />、重実の孫・直安の弟である正直が高力郷に分かれ住み、その子である重長が高力氏を名乗ったとするものがある<ref name="okazakisisi93" />。前者︵﹃広報こうた﹄︶は、重長が移り住んだ経緯として、[[享禄]]2年︵[[1529年]]︶、[[松平清康]]の攻略によって宇利城が落城したため、同氏が高力城に落ちつき姓を改めたとしている<ref name="kohokota74" />。また、﹃[[寛政重修諸家譜]]﹄では、高力郷に移住した正直が梁田と称したとされ、重長の母は梁田与次郎某の娘と表記されている<ref name="kansei725">三上参次編 国立国会図書館デジタルコレクション﹃寛政重修諸家譜 第3集﹄、国民図書、1923年、725頁。</ref>。
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﹃[[藩翰譜]]﹄は、上記の出自のほか、﹁直繁﹂という人物が[[近江国]]から三河国へ逃れ来て、高力村に600石の土地を領有して高力氏を称したとする記述が﹃古今武家盛衰記﹄にみられるとし、﹁両説いかが﹂と記している<ref name="seisikakei">﹃姓氏家系大辞典﹄ 第2巻、太田亮著、上田萬年、三上参次監修、姓氏家系大辞典刊行会、1935年、1423、1424頁。</ref>。
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また、高力氏は[[簗田氏]]と同族であるとされる。簗田氏は[[下野国]][[梁田郡]][[簗田御厨]]を[[本貫]]とした[[鎌倉時代]]以来の[[足利氏]][[被官|被官衆]]であり、[[室町時代]]は[[鎌倉公方]][[奉公衆]]を務めた一族で、高力郷に住した簗田氏は同国に所領を受けた庶家であると推定される<ref name="okazakichusei" />。高力氏は[[寛正]]6年︵[[1465年]]︶、[[額田郡一揆]]に簗田氏と同じ一揆側として参加しており、﹃新編岡崎市史﹄は、出自を熊谷氏とする説には疑問があり、重長を高力氏初代とするのは正しくないとしている<ref name="okazakichusei" />。
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== 概略 == |
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*[[煎本増夫]]著、『徳川家康家臣団の事典』東京堂出版、2015年。 |
*[[煎本増夫]]著、『徳川家康家臣団の事典』東京堂出版、2015年。 |
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*幸田町史編さん室著、「ふるさとの今昔 (3) 高力邑と高須郷」『広報こうた』昭和49年1月1日号、幸田町、1974年。 |
*幸田町史編さん室著、「ふるさとの今昔 (3) 高力邑と高須郷」『広報こうた』昭和49年1月1日号、幸田町、1974年。 |
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*新編岡崎市史編集委員会編集、『新編岡崎市史総集編 |
*新編岡崎市史編集委員会編集、『新編岡崎市史 20 総集編』、新編岡崎市史編さん委員会、1993年。 |
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*{{Cite book|和書|author=[[三上参次]]編|chapter=平氏 維将流 高力|pages=724-732|origyear=1812|year=1923|title=寛政重修諸家譜 第3集|publisher=国民図書|url={{NDLDC|1082714/371}} 国立国会図書館デジタルコレクション}} |
*{{Cite book|和書|author=[[三上参次]]編|chapter=平氏 維将流 高力|pages=724-732|origyear=1812|year=1923|title=寛政重修諸家譜 第3集|publisher=国民図書|url={{NDLDC|1082714/371}} 国立国会図書館デジタルコレクション}} |
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*新編岡崎市史編集委員会編集、『新編岡崎市史 2 中世』、新編岡崎市史編さん委員会、1989年。 |
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*[[太田亮]]著、[[上田萬年]]、[[三上参次]]監修、﹃姓氏家系大辞典﹄ 第2巻、姓氏家系大辞典刊行会、1935年。
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== 脚注 == |
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2020年6月4日 (木) 12:05時点における版
高力氏(こうりきし／こうりきうじ)は、日本の氏族。三河国の国人。
出自
熊谷氏の一族であり、武蔵国熊谷郷に拠っていたが、熊谷直実の5代後の子孫である熊谷直鎮 [注釈 1]が元弘元年︵1331年︶に足利高氏︵尊氏︶に従って上洛し[注釈 2]、六波羅の合戦での武功により三河国八名郡の地頭職を与えられた[1]。直鎮は八名郡に地頭職として居住した後、彼の6代後にあたる重実が宇利庄に移り住み、その子・実長より宇利熊谷と称して今川氏に臣従したが[2]、享禄2年︵1529年︶[注釈 3] 、松平清康の攻略によって宇利城が落城した[1]。 宇利城の落城により、宇利熊谷氏は同国額田郡高力郷︵現・愛知県額田郡幸田町大字高力付近︶に落ちつき名字を高力と改めた。同地に移り住んだ時期については、実長の子・直安の弟である正直が高力郷に分かれ住み、その子である重長が高力氏を名乗ったとする解釈[2]、重長が移り改姓したとする解釈がある[1]。また、高力郷に移住した正直は簗田氏を称したとされ、﹃寛政重修諸家譜﹄には重長の母は簗田与次郎某の娘と表記されている[3][4]。 以上が寛永・寛政の家譜などにみられる高力氏の出自であるが、文献によってはこれらとは異なる出自も散見される。 ﹃藩翰譜﹄は、上記の出自のほか、﹁直繁﹂という人物が近江国から三河国へ逃れ来て、高力村に600石の土地を領有して高力氏を称したとする記述が﹃古今武家盛衰記﹄にみられるとし、﹁両説いかが﹂と記している[5]。 また、高力氏は簗田氏と同族であるとされる。簗田氏は下野国梁田郡簗田御厨を本貫とした鎌倉時代以来の足利氏被官衆であり、室町時代は鎌倉公方奉公衆を務めた一族で、高力郷に住した簗田氏は同国に所領を受けた庶家であると推定される[3]。高力氏は寛正6年︵1465年︶、額田郡一揆に簗田氏と同じ一揆側として参加しており、﹃新編岡崎市史﹄は、出自を熊谷氏とする説には疑問があり、重長を高力氏初代とするのは正しくないとしている[3]。概略
戦国時代初期、重長は松平氏に仕え、清長は掛川城攻め、姉川合戦の武功により遠江国長上郡万石村を織田信長より与えられた。天正8年︵1580年︶には、遠江国馬伏塚城、同10年(1582年)には駿河国田中城に移った。徳川家康の関東入国時には同行し、武蔵国岩槻城に拠った。子孫は後に肥前国島原城を与えられたが、失政によって改易されて旗本とされた。参考文献
●阿部猛、西村圭子著、﹃戦国人名辞典コンパクト版﹄新人物往来社、1990年。 ●森岡浩著、﹃戦国大名家辞典﹄東京堂出版、2013年。 ●煎本増夫著、﹃徳川家康家臣団の事典﹄東京堂出版、2015年。 ●幸田町史編さん室著、﹁ふるさとの今昔 (3) 高力邑と高須郷﹂﹃広報こうた﹄昭和49年1月1日号、幸田町、1974年。 ●新編岡崎市史編集委員会編集、﹃新編岡崎市史20総集編﹄、新編岡崎市史編さん委員会、1993年。 ●三上参次編﹁国立国会図書館デジタルコレクション 平氏 維将流 高力﹂﹃寛政重修諸家譜 第3集﹄国民図書、1923年︵原著1812年︶、724-732頁。 ●新編岡崎市史編集委員会編集、﹃新編岡崎市史2中世﹄、新編岡崎市史編さん委員会、1989年。 ●太田亮著、上田萬年、三上参次監修、﹃姓氏家系大辞典﹄ 第2巻、姓氏家系大辞典刊行会、1935年。脚注
注釈
出典
(一)^ abc幸田町史編さん室﹁ふるさとの今昔(3) 高力邑と高須郷﹂﹃広報こうた﹄昭和49年1月1日号、幸田町、1974年、6頁。
(二)^ ab新編岡崎市史編集委員会﹃新編岡崎市史20総集編﹄、新編岡崎市史編さん委員会、1993年、381、382頁。
(三)^ abc新編岡崎市史編集委員会﹃新編岡崎市史2中世﹄、新編岡崎市史編さん委員会、1989年、157、158頁。
(四)^ 三上参次編 国立国会図書館デジタルコレクション﹃寛政重修諸家譜 第3集﹄、国民図書、1923年、725頁。
(五)^ ﹃姓氏家系大辞典﹄ 第2巻、太田亮著、上田萬年、三上参次監修、姓氏家系大辞典刊行会、1935年、1423、1424頁。
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