日本語に由来する日本国外の地名一覧
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日本語に由来する日本国外の地名一覧︵にほんごにゆらいするにほんこくがいのちめいいちらん︶では、日本国外に存在する日本語が由来となった地名を列挙する。その多くは旧外地、とりわけ台湾に集中している。なお、千島列島およびサハリンにおいて、日本統治下にアイヌ語から採用され、ソ連占領後も改称されずに残る地名については含めない。
追分駅︵2014年︶
美濃庄の地図︵1938年︶
八田路
台湾に存在する日本語由来の地名は、日本人入植者らが命名したもののほか、日本統治時代の1920年︵大正9年︶10月に実施された地方制度改正︵行政区域の再編︶の際に﹁内地風﹂に命名・改称され、中華民国統治開始後も発音だけ中国語に改められて残ったものが多い。都市中心部の日本語町名は中華民国統治開始後にほぼ一掃されたが、永楽市場︵←永楽町︶や新富市場︵←新富町︶のように施設名などにその名を残すものもある。
●新たに命名したもの
●西門町︵台北市︶
●松山区[1]︵同上︶
●豊原区[1]︵台中市︶
●清水区[1]︵同上︶
●追分駅[2]︵同上︶
●白河区[1]︵台南市︶
●竹山鎮[1]︵南投県︶
●岡山区[1]︵高雄市︶
●寿山︵同上︶ - 現在は﹁柴山﹂という呼称も。摂政宮︵のちの昭和天皇︶の台湾行啓時にこの地で滞在したことから。
●寿山駅
●宝来温泉︵同上︶
●竹田郷︵屏東県︶
●長浜郷[3]︵台東県︶
●池上郷[3]︵同上︶
●朝日温泉︵同上︶ - 日本統治時代の表記は旭温泉。
●佐久間山 (台湾)︵花蓮県︶ - 第5代台湾総督佐久間左馬太にちなむ。
●寿峠︵屏東・台東県境︶
●森永村︵台東県︶ - 日本統治時代に森永製菓の農場があったことに由来する。
●元の地名の要素を一部取り入れたもの
●︵枋橋→︶板橋区[1]︵新北市︶
●︵金包里→︶金山区︵同上︶
●︵亀崙→︶亀山区[3]︵桃園市︶
●︵田中央→︶田中鎮︵彰化県︶
●︵龍目井→︶龍井区[3]︵台中市︶
●︵石崗仔→︶石岡区︵同上︶
●︵竹頭崎→︶竹崎郷[3]︵嘉義県︶
●︵鳥松脚→︶鳥松区[3]︵高雄市︶
●︵璞石閣→︶玉里鎮︵花蓮県︶
●︵鹿寮→︶鹿野郷[3]︵台東県︶
●日本人が発音すると近音になる別の漢字に変えたもの
●︵艋舺→︶万華区︵台北市︶
●︵三角湧→︶三峡区︵新北市︶
●︵鹹菜甕→︶関西鎮[1]︵新竹県︶
●︵茄苳脚→︶花壇郷︵彰化県︶
●︵湳仔→︶名間郷︵南投県︶
●︵木屐寮→︶木履寮駅︵嘉義県︶
●︵犁園寮→︶梨園寮駅︵同上︶
●︵噍吧哖→︶玉井区[1]︵台南市︶
●︵打貓→︶民雄郷[1]︵嘉義市︶
●︵打狗→︶高雄市[1]
●︵援剿→︶燕巣区[1]︵高雄市︶
●︵瀰濃→︶美濃区︵同上︶
●︵蚊蟀→︶満州郷[1]︵屏東県︶ - 近隣の琉球郷を意識した命名。
●︵Kasuvongan→︶春日郷︵同上︶
●︵茄苳脚→︶佳冬郷[1]︵同上︶- 近隣の恒春鎮を意識した命名。
●︵太奥魯安→荳蘭→︶田浦駅 (花蓮県)
●日本語に意訳したもの
●︵水返脚→︶汐止区[1]︵新北市︶
●︵大坵園→︶大園区[3]︵桃園市︶
●︵大庄→︶大村郷[3]︵彰化県︶
●︵査畝営→︶柳営区[1]︵台南市︶ - 誤訳の可能性が指摘されている。
●︵水堀頭→︶水上郷︵嘉義県︶
●︵港仔墘→︶小港区[1]︵高雄市︶
●︵羌仔寮→︶鹿谷郷[1]︵南投県︶
●その他
●瑞穂郷[4]︵花蓮県︶ - ﹁水尾﹂という地名を訓読みにした上で近音の瑞祥地名にしたもの。
●哈瑪星︵高雄市︶ - 日本人が使っていた通称地名﹁濱線︵はません︶﹂が台湾語に音訳されて定着したもの。
●寿豊郷︵花蓮県︶ - 日本人移民集落の豊田村と林田村が存在し、合わせて寿村と命名されていた地区。戦後、﹁寿﹂と豊田の﹁豊﹂から現在の地名が合成された。
●人名
●八田路︵台南市官田区︶ - 烏山頭ダムの技師八田與一の功績を称えるために命名された。
●湯徳章紀念公園︵台南市中西区︶ - 日台混血の元警察官、弁護士で二二八事件の犠牲者坂井徳章︵台湾名‥湯徳章︶の功績を称えるために元の民生緑園から改称された。造成時は﹁児玉公園﹂︵児玉源太郎にちなむ︶という計画だったが当時の元号により﹁大正公園﹂として開園している。
●小笠原山︵嘉義県阿里山郷︶ - 阿里山山脈開発時にこの地を最初に踏破した日本人技師小笠原富次郎に由来。
松島駅︵2012年︶
内地風に命名・改称された地名はほとんど残っていないが、日本統治時代、固有語の地名が漢字語化されたり︵大田広域市など︶、由来を無視して平易な漢字に改められたり︵江原道楊口郡亀岩里→九岩里[5]など︶した例は各地にある。中央日報によれば、鳳凰山と呼ばれていた山をニワトリに格下げした例︵大田広域市の鶏足山︶や、住民の気を弱めるために﹁龍﹂の字を除いた例︵慶尚北道青松郡の周王山の滝︶などもあるという︵﹁創地改名﹂参照︶[6]。
台湾[編集]
朝鮮半島[編集]
●松島洞・松島新都市︵仁川広域市︶ - 防護巡洋艦松島に由来。仁川には他にも日本の軍艦や海軍提督にちなむ町名が40か所あったが、松島は行楽地名として住民から親しまれていたため、改称されずに残った[7]。
●蔚崎灯台︵蔚山広域市︶ - 韓国併合前の1904年に日本海軍が命名したもので、岬に﹁崎﹂の漢字を当てるのは朝鮮語にはない用法[7]。現在は同音異字の﹁蔚氣﹂に変更されている。
南極[編集]
「日本の南極観測」も参照
1912年︵明治45年︶1月16日、白瀬矗が南極上陸を果たした際に上陸地点を﹁開南湾﹂と命名したのを皮切りに、南極には日本に関係した地名がいくつか存在する。
●開南湾 - 白瀬の命名。開南丸にちなむ。
●大和雪原 - 白瀬の命名。国際的には認知されていない。
●大隈湾 - 白瀬の命名。大隈重信にちなむ。
●白瀬海岸・白瀬氷河・白瀬堆 - 白瀬にちなむ。
●やまと山脈 - 国際的には﹁クイーン・ファビオラ山脈﹂と呼ぶのが主流。やまと山脈西方にはやまと氷河と命名された氷河がある。
●福島岳 - やまと山脈の最高峰。南極で遭難死した地球物理学者の福島紳にちなむ。
●永田山 - 永田武にちなむ。
●みずほ高原 - 国際的には認知されていない。
その他[編集]
●千倉岳︵幌筵島︶ - ソ連占領後も﹁チクラチキ山﹂と呼ばれている。 ●天皇海山群 - 明治海山など、12の海山が歴代天皇にちなんだ名称を持つ。日本史に関心のあったロバート・シンクレア・ディーツによる命名。 ●廈門高崎国際空港 - この地を占領した日本によって建設。 ●ミカーワ︵アメリカ合衆国テキサス州ヒューストン︶ - 前川真平にちなむ。 ●リトル・トーキョー︵アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス︶ ●マンゾウ・ナガノ山︵カナダブリティッシュコロンビア州︶ - 永野万蔵にちなむ。 ●オキナワ移住地︵ボリビアサンタクルス県︶ ●ジャルディン・ジャポン︵ブラジルサンパウロ州サンパウロ︶ - ﹁日本庭園﹂の名を持つ地区。地区内の通りは日本の地名にちなんで命名されている。 ●バゴ・オシロ︵フィリピンミンダナオ島ダバオ︶ - 大城孝蔵にちなむ[8]。 ●バンザイクリフ︵北マリアナ諸島サイパン島︶ ●Via Daijiro Kato/加藤大治郎通り︵エミリア=ロマーニャ州リミニ県ミザーノ・アドリアーティコ︶ - ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリの入場道路名。二輪ライダーの加藤大治郎にちなむ︵北緯43度57分38.9秒 東経12度41分14.1秒 / 北緯43.960806度 東経12.687250度︶。 ●ミカド (サスカチュワン州) - 帝のこと。明治天皇を指す。 ●トウゴウ (サスカチュワン州) - 東郷平八郎に由来。 ●クロキ (サスカチュワン州) - 黒木為楨に由来。 ●いずれも日本が日露戦争において勝利したことを称えてウクライナ系[9]移民が名付けた[要出典]。 ●日向礁 - 軍艦日向が接触したことで発見された暗礁。中国では現在でも日向礁と呼ぶ。 ●サツマ︵アラバマ州︶-九州から持ち帰った温州みかんを移植栽培に由来。脚注[編集]
(一)^ abcdefghijklmnopqr水越幸一﹁市郡の區域稱呼其所在地並街庄の稱呼等に就て﹂﹃臺灣時報﹄第十六號、大正9年。
(二)^ 戴震宇﹃台灣的老火車站﹄遠足文化出版、2003年、第52頁。
(三)^ abcdefghi安倍明義編﹃臺灣地名研究﹄杉田書店、昭和13年。
(四)^ 台湾総督府編﹃官營移民事業報告﹄、台湾総督府、大正8年、61頁。
(五)^ 呉明哲 (2005年3月1日). “﹇オピニオン﹈創地改名”. 東亜日報. 2017年12月14日閲覧。
(六)^ “﹁竜や鳳凰は使うな﹂…日本の“創地改名”の事例”. 中央日報 (2009年10月9日). 2017年12月14日閲覧。
(七)^ ab“植民地時代の地名がまだあちこちに”. 中央日報 (2010年2月3日). 2017年12月14日閲覧。
(八)^ 大野俊﹁﹁ダバオ国﹂の沖縄人社会再考 -本土日本人、フィリピン人との関係を中心に-﹂﹃移民研究﹄第2号、琉球大学移民研究センター、2006年3月、1-22頁、CRID 1390857202731510528、doi:10.24564/0002010164、hdl:20.500.12000/6447、ISSN 1881-0829、2023年10月10日閲覧。
(九)^ 21世紀の現在においてもウクライナはロシアへの対立感情が強い。