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この項目では、古典落語の演目について記述しています。「短命」の語義については、ウィクショナリーの「短命」の項目をご覧ください。 |
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短命︵たんめい︶は、古典落語の演目のひとつ。東京・上方両方で広く演じられる。
縁起をかつぎ、サゲにちなんで演題を長命︵ちょうめい︶とする演者もある︵桂歌丸ら︶。﹁夫の命を縮める女性﹂というモチーフから、かつては生まれ年に関する迷信のエピソードを含めた丙午︵ひのえうま︶の題で演じられていたこともある︵橘ノ圓都ら︶。
原話は1727年︵享保12年︶の笑話集﹃軽口はなしどり﹄の中の一編﹁元腹の噂﹂。いわゆる﹁艶笑落語︵バレ噺︶﹂にカテゴライズされるが、直接的な描写が一切ないことが大きな特徴である。
かつては5代目古今亭志ん生や5代目柳家小さん、5代目三遊亭圓楽らの十八番だった。
あらすじ[編集]
八五郎が町内のご隠居︵上方では甚兵衛︶の家にやってくると、伊勢屋という質屋の婿養子が死んだ件について話し始める。伊勢屋の主人のひとり娘が男を婿に迎え、仲睦まじく暮らしていたが、その婿の顔色が日に日に青白くなっていき、やがて床に就いてほどなく死んでしまうということが三度も続いているというのだ。
ご隠居は含み笑いをしながら、おかみさんが美人なのが婿の短命の原因だと言い。訝る八五郎に夫婦の食事時の様子を見てきたように語る。﹁お膳をはさんで差し向かい。おかみさんがご飯をよそって旦那に渡そうとすると手と手が触れる。白魚を五本並べたような、透き通るようなおかみさんの手だ。そっと前を見る。ふるいつきたくなるようないい女だ﹂。そこでちょっと間をおいて﹁短命だろ﹂。
はじめはご隠居の言いたいことがまったくわからなかった八五郎だったが、﹁その当座昼も箪笥の環︵かん︶が鳴り﹂などの川柳も交えながら繰り返し説明すると、とうとう婿たちが早死にした理由を理解する。
自宅に戻った八五郎は粗暴な妻の言動に幻滅するが、甘い気分を少しでも味わってみたいと昼飯の給仕を頼む。さんざん文句を言われながら茶碗に飯をよそってもらった男が顔を上げて妻の顔を見てひとこと、﹁ああ、俺は長命だ﹂
バリエーション[編集]
●ふたり目以降の婿たちの描写が東西で異なる。東京ではふたり目の婿に﹁顔の表裏もわからない﹂色黒の醜男を迎え、3人目の描写はされない。上方では、ふたり目は体の頑丈な男、3人目が﹁ブリのアラとあだ名される﹂醜男である。
●上方では、川柳による説明が割愛されることが多い。また、婿たちの療養場所として﹁須磨の別荘﹂が登場する。