黄酒
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黄酒 | |
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紹興酒 | |
各種表記 | |
繁体字: | 黃酒 |
簡体字: | 黄酒 |
拼音: | Huángjiǔ |
注音符号: | ㄏㄨㄤˊ ㄐ|ㄡˇ |
発音: | ホアンジオウ |
黄酒︵ホアンチュウ、拼音: ︶は、中国の米を原料とする醸造酒。紹興酒は代表的な黄酒であり、老酒︵ラオチュウ︶は長期熟成させた黄酒である。
概要[編集]
アルコール度数は14~18度。日本の酒税法では、その他の醸造酒(旧法ではその他の雑酒(2))に該当する。飲用のほかに、日本酒と同様に調味料としても用いる。中国全土で造られているが、主要生産地は長江南部であり、浙江省で全生産量の半分を造っている。浙江省で造っている代表的な黄酒として紹興酒がある。味と香りは千差万別である。糖分がほとんど含まれず、ブドウ糖の重量比0.2%程度のドライなものから、28%もあるもの︵例‥丹陽封缸酒︶まである。風味も、淡白なものから、黒ビールのように苦いもの︵例‥即墨老酒︶まである。 黄酒を長期熟成させたものを老酒︵ラオチュウ、lǎojiǔ︶と呼ぶ。色の濃い黄酒も老酒と呼ぶ。中国青島市の即墨老酒は代表的な老酒︵中国本土以外の台湾・日本で作られたものも老酒と言うこともある︶。逆に色の薄いものを清酒︵チンチュウ、qīngjiǔ︶と呼ぶ。 中国の醸造酒には、黄酒のほかに紅酒と黒酒と葡萄酒があるが、黄酒以外はあまり普及していないので、黄酒は醸造酒の代名詞になっている。これに対して、醸造酒を蒸留してできる透明な酒を白酒︵パイチュウ、báijiǔ︶という。分類[編集]
黄酒は、直糖分によって4種類のタイプに分類できる︵直糖は繊維以外の甘みを感じる糖類。酒ではほとんどがブドウ糖︶。直糖分 (g/100mL) |
黄酒のタイプ | 仕込み時添加物 | 代表例 |
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0.5以下 | 乾型黄酒 | (標準とする) | 紹興元紅酒、北京元紅酒 |
0.5~3.0 | 半乾型黄酒 | + 米と麹を1割ほど増量 | 紹興加飯酒、北京加飯酒 |
3.0~10.0 | 半甜型黄酒 | 水に代えて乾型黄酒 | 紹興善醸酒、福建老酒 |
10.0以上 | 甜型黄酒 | + 麹と粕取り焼酎 | 紹興香雪酒、蜜酒 |
酒母の造り方[編集]
黄酒とその酒母は、地域によって原料と麹が異なり、製法も地域や工場によって異なっている。麹に含まれるカビや酵母が地域・工場によって異なるので、香りも千差万別になる。典型的なものを中心にして、造り方を説明する。
原料[編集]
次のものを原料として造る。 ●糯米︵もちごめ︶ 山東省から華北にかけては、黍米を用いる。江蘇省・福建省の一部と東北地方では、粳米を用いる場所もある︵清酒になる︶。 ●麦麹 …… 小麦で作った麹。クモノスカビなどを含む。 米粉とヤナギ蓼︵たで︶で作った小麹や、米麹を使う地域もある。 ●酒薬 …… 粳米粉とヤナギ蓼で作った、酵母や乳酸菌の種 ●水 ●漿水 …… 糯米を浸した後の水 糯米を精白して水に浸漬しておくと、乳酸発酵する。1~2週間たったら糯米を取り出して蒸し、原料とする。浸漬水も、“漿水”と呼んで原料として用いる。乳酸が腐敗を防ぎ、酒にコシ︵酸味︶を加える。 その他の原料として、上記の原料から造られた酒を用いる。 ●乾型黄酒 …… 半甜型黄酒に用いる。 ●酒粕から造った焼酎︵粕取り焼酎︶ …… 甜型黄酒に用いる。酒母[編集]
酒母は、たとえば次のようにして造る。 (一)糯米を蒸す。 (二)蒸した糯米を、底がすのこになっている桶に入れ、冷水をかけて冷ます。 (三)酒薬をまぶし、大甕の内部の側壁に塗りつける。 (四)3日ほどででんぷんが糖化し、底に甘酸っぱい液となって溜まる。 (五)麹と水を加え、ときどき混ぜる。これを繰り返す。 そのまま発酵させて黄酒の酒母︵母体︶とする。アルコール度数は低い。黄酒の種類と造り方[編集]
黄酒は、日本酒と同様に、でんぷんの糖化とアルコール発酵とを同時に行う並行複発酵によって造られる。ただし、糖化のために用いる麹の種類が異なる。 乾型黄酒の製法が、基本となる。中国では、このタイプの黄酒がもっとも多く飲まれている。半乾型黄酒は、乾型黄酒の原料を増量して、濃くした酒である。 半甜型黄酒と甜型黄酒は、仕込み開始時にアルコールを加えるので、みりんと同様に甘くなる。甘くなる理由は、酵母はアルコール度数が20度付近になると糖を消費してアルコールを生成する発酵を停止してしまい、それ以降は麹によってでんぷんの糖化だけが継続するからである。乾型黄酒[編集]
酒母に、漿水と水、蒸した糯米と麹を加えて造る。10日間の1次発酵の後、小さめの甕に分け入れ、蓋︵ふた︶をして、屋外で3か月弱の2次発酵をする。醸造直後のアルコール度数は約16~17度。これを濾過︵ろか︶した後、80~90℃に加熱︵煮酒︶して殺菌し、甕に詰める。その口を蓮の葉と油紙で覆い、素焼きの皿で蓋をし、竹皮で包み、粘土で塗り固める。半乾型黄酒[編集]
乾型黄酒と造り方は同じであるが、糯米と麦麹を1割ほど増量して造る。醸造直後のアルコール度数は18~19度。半甜型黄酒[編集]
半甜型黄酒は、仕込み水の代わりに乾型黄酒を使って仕込んだもの。この製法は、アルコール分を増すために工夫された、古くからある方法である。この製法の酒を、昔は“重醸酒”、“酎”︵焼酎の字源︶、“醇酒”などと呼んでいた。直糖分とエキス分が多い濃厚な酒になる。甜型黄酒[編集]
甜型黄酒は、乾型黄酒の醪︵もろみ︶に麦麹を追加し、“糟焼”︵粕取り焼酎、つまりアルコール︶を加えて、醪のまま3~4か月間おいて造ったもの。アルコール度数は20度。-
紹興花彫酒
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紹興花彫酒
参考文献[編集]
- 花井四郎『黄土に生まれた酒 - 中国酒、その技術と歴史』東方書店、1992, ISBN 4-497-92357-6.