モリサワ
本社 | |
種類 | 株式会社 |
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本社所在地 |
日本 〒556-0012 大阪府大阪市浪速区敷津東二丁目6番25号 |
設立 | 1948年12月 |
業種 | 情報・通信業 |
法人番号 | 7120001040217 |
事業内容 | デジタルフォント、ソフトウェアの開発・販売 |
代表者 | 森澤彰彦(代表取締役社長) |
資本金 | 1億円 |
売上高 | 125億円(2021年2月期) |
純利益 |
10億9718万9000円 (2021年02月28日時点)[1] |
総資産 |
135億0826万7000円 (2021年02月28日時点)[1] |
従業員数 | 340人 |
主要子会社 | モリサワ文研(株) |
関係する人物 | 森澤信夫(創業者) |
外部リンク | https://www.morisawa.co.jp/ |
特記事項:創業は1924年7月。1948年12月に写真植字機製作株式会社を設立、1954年に株式会社モリサワ写真植字機製作所、1971年に現社名へ商号変更。 東京都新宿区下宮比町2-27の自社ビルに東京本社がある。 |
株式会社モリサワ︵英: Morisawa Inc.︶は、大阪市に本社を置き、DTP用フォントや、組版ソフトウェア、オンデマンド印刷機などを開発・販売している企業。はじめて日本語PostScriptフォントを開発した会社であり、日本国内のフォント市場でトップシェアを誇る[2]。手動写植機のメーカーとして創業し、電算写植機も手掛けた。
歴史[編集]
創業から電算写植時代[編集]
創業者は森澤信夫。石井茂吉と共に﹁写真植字機研究所︵のちの写研︶﹂を設立、エンジニアとして初期の写研機の開発を支えた。のちに森澤は同社を退社︵意見の違いが原因といわれる︶、1948年、独自に﹁写真植字機製作株式会社﹂として創業したのが、現在のモリサワ︵1971年に社名変更︶である。本社は大阪市浪速区︵創業時の本社は大阪市西成区︶、最高経営責任者︵CEO︶兼代表取締役会長は森澤嘉昭︵創業者の次男︶、最高執行責任者(COO)兼代表取締役社長は森澤彰彦。 手動写植機の時代には﹁書体の写研・機械のモリサワ﹂と呼ばれ、市場において第2位の位置を占め、時代が電算写植に移ってもその地位を保った。写研よりも独自開発の書体の種類は少なかった。 電算写植では、完全に独自仕様に基づいたシステムを開発した写研に対し、モリサワはライノタイプと提携してその技術をベースとしたシステムを開発し、これが後の書体オープン化の布石となった。 1984年からは、3年に1回﹁国際タイプフェイスコンテスト モリサワ賞﹂を開催するなど、日本の書体設計を牽引する存在である。一時期モリサワによるコンテストは休止していたが、2012年には﹁タイプデザインコンペティション 2012﹂が実施された。これらのコンテストで入賞した書体の一部は、後にモリサワからリリースされている。DTP化を積極的推進[編集]
MacintoshによるDTPの波がやって来た時、写研は方針により書体をオープンにせずに独自路線を歩んだが、ここでモリサワはアドビと提携し、Macintosh用フォントとして自社の書体を販売する道を選んだ。当初は社内外から懐疑的な声も多く、またフォントのスタンダードの地位をめぐってはさまざまな戦いがあったが、1990年代を通じて同社の書体は、DTPにおけるデファクトスタンダードとして盤石の基盤を築くとともに、手動写植時代には年商ベースで業界トップであった写研を抜き去り、業界首位となっている[注 1][3]。 2002年からOpenTypeフォントをリリースし、いわゆる次世代DTPへの布石を打っている。これにより、Windows環境でも同社の人気ある書体が使用できるようになった。Windows上で同社の書体を使いたいという需要も多く、ViewフォントというWindows用ATMフォントも販売していた。これはプリンタのCIDフォントを指定する専用のスクリーンフォントであったが、意図的に輪郭線のサンプリング品質を落としたため、非PSプリンタで出力すると粗い密度の印字物しか得られなかった。また、MacintoshのPSフォントとの文字セットの違いや欧文数字のグリフの違いなど互換性が高いとは言えなかった。現在はそういった欠点などすべてがOpenTypeフォントで包括できることから、同社ではViewフォントの販売は終了、OpenTypeに移行している。 電子書籍市場の拡大、スマートデバイスの普及に鑑み、電子書籍へのオーサリングツールや印刷用データの電子配信、多言語フォントを用いた多言語配信といった分野にも参入している。PostScriptフォントの変遷[編集]
日本語PostScriptフォントは、当初OCF形式のものが販売されていた。これは1バイトの欧文PostScriptフォントを多数積み重ねた構造をしていたため、処理が重いなどの問題があり、のちに構造を簡素化するなどの対処でこれを改善したCID形式のフォントが販売された。しかし同社のCIDフォントは、OCFフォントとPostScript名が同一だった。そのため新旧のフォントを混在させるとさまざまな問題が生じた。同社としては、ユーザーがインストールしているOCFフォントをすべてCIDフォントに置き換えれば問題ないとして有料アップグレードを推奨していたが、買い替えは進まなかった。 そういった問題点を解消するため、モリサワは仕様を一部改訂した﹁New-CIDフォント﹂をリリースした。これはフォント名の先頭にA-CIDと付けることでOCFフォントと区別し共存できるようにしたほか、アウトライン抽出も可能とするなど改善が加えられている。そのため、同社のPostScriptフォントには﹁OCF﹂﹁CID (旧CID)﹂﹁New-CID﹂の3種類が存在する︵ただし、Illustratorのバージョンによっては各フォントを同時に使用していると区別がつかない場合もある︶。また、それぞれの商品を販売する段階で、アウトラインデータのバグ補修/同一文字コードにおける字形の変形︵字体変更のほか、エレメントの微調整も含む︶を行っており、互換性が完全同一とは言い難い側面もある。M&Aと協業[編集]
2010年4月にタイプバンクを子会社化︵2017年9月1日に吸収合併︶[広報 1]、2011年10月にはリョービイマジクスよりフォント事業譲渡を受ける[広報 2]、2013年9月30日にリムコーポレーションを子会社化[広報 3]、2019年3月に字游工房を子会社化するなど、同業企業のM&Aにも積極的になっている。 2021年1月18日、写研とOpenTypeフォントの共同開発で合意に至った。石井茂吉と森澤信夫が邦文写真植字機の特許の共同申請をした100周年にあたる2024年から順次リリース予定である[広報 4][広報 5]。現行のフォント製品とライセンス[編集]
パッケージ[編集]
MORISAWA Font Select Pack (1 / 3 / 5) / PLUS[4] 1 / 3 / 5はライセンス数を表し、その分だけモリサワフォント和文総合書体[5]を選んでインストールできる。 PLUSは、かな書体・欧文書体・数字書体・記号書体専用のパッケージで5ライセンス。 MORISAWA Font OpenType 基本7書体パック[6] リュウミン L-KL、太ミンA101、見出ミンMA31、中ゴシックBBB、太ゴB101、見出ゴMB31、じゅん 101。採用している文字セットは﹁Adobe-Japan1-4 (Pro)﹂準拠。 上記以外にも多種多様なパッケージフォントがラインアップされていたが、いずれも終売・サポート終了済みである。年間ライセンス[編集]
- MORISAWA PASSPORT / MORISAWA PASSPORT ONE / MORISAWA PASSPORT アカデミック版(学生・教職員向け)[7]
- 2005年に開始した年間契約フォントライセンスサービス[8]。2020年11月時点では、モリサワフォントのほか、タイプバンクフォントの一部書体、字游工房の現行全書体、ヒラギノフォント、昭和書体5書体が提供される。
モリサワの主な日本語書体[編集]
主な写植書体[編集]
ウェイト分けは「細/→/太(/→装飾系)」とする。
また日活書体や岩田書体、モトヤ書体などは含まない。
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代表的な写植、電算写植、組版編集機[編集]
(一部)
●MC-1
●MC-2
●MD
●MD-T (テレビテロップ用)
●MC-6
●MC-58
●ROBO15XY
●ROBO-STATION
●MC-2001
●MC-100
●MC-P
●ライノトロン
●MK-110
●MK-300
●MK-300P
●MK-500
●MK-700
●RISAWORD
●MC-B2
●MVP
●MC-Smart
発行物、関連出版物など[編集]
●沢田玩治﹃写植に生きる森澤信夫﹄モリサワ、2000年 ●藤田栄一編﹃写植に生き、文字に生き : 森澤親子二代の挑戦﹄ベンチャーコミュニケーションズ、1999年 ●馬渡力﹃写真植字機五十年﹄モリサワ、1974年 ●森澤信夫﹃写真植字機とともに三十八年﹄ モリサワ写真植字機製作所、1960年 ●たて組ヨコ組 … 企業広報誌。1983年から2002年まで発行された[9]。 ●人間と文字 … 1999年のCD-ROM︵廃盤︶。人類が生んだ200を超える文字の歴史を地域や時代ごとに豊富な図版と映像で解説し、文字学の基礎を学ぶことができるインタラクティブコンテンツ。 ●フォント男子! … モリサワが協力したフォント擬人化漫画。TOKYO2020オフィシャルサポーター[編集]
2018年12月、2020年東京オリンピック・パラリンピックのオフィシャルスポンサー契約締結を発表、2019年2月に発表されたTOKYO2020公式フォントの開発を手掛けた[10]。 また2015年から続く日本パラスポーツ協会や日本車いすバスケットボール連盟への協賛など、障がい者スポーツの支援に力を入れている。例えば、車いす陸上競技の佐藤友祈は、モリサワとプロ契約している[11]。脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ モリサワの年商は1998年時点で187億円、写研は175億円と逆転している。
出典[編集]
(一)^ ab株式会社モリサワ 第73期決算公告
(二)^ BCN AWARD 2020 フォントソフト部門 株式会社BCN、2022年10月9日閲覧
(三)^ ﹁﹇隠蔽﹈写研 = 下 私物化で〝斜陽〟加速﹂読売新聞1999年1月4日付朝刊30面
(四)^ Select Pack︵モリサワ︶
(五)^ UD黎ミン、UD新ゴの中国語・朝鮮語書体を含む。原則としてウエイトごとに1ライセンス。例えばリュウミン Pro L-KLとリュウミン Pro R-KLはそれぞれ1ライセンス必要。またリュウミン Proとリュウミン Pr5のように文字セットが違うものも別扱いになる。
(六)^ OpenType 基本7書体パック︵モリサワ︶
(七)^ MORISAWA PASSPORT︵モリサワ︶
(八)^ 歴史・沿革︵モリサワ︶
(九)^ 連載︿PR誌百花繚乱﹀第4回︵公益財団法人 吉田秀雄記念事業財団﹁AD STUDIES﹂Vol.52 2015︶
(十)^ “フォントの提供はモリサワでした!”. 情報保管庫 (2021年8月1日). 2022年10月9日閲覧。
(11)^ “車いす陸上競技選手の佐藤友祈氏がプロ転向”. ASCII (2021年2月24日). 2022年10月9日閲覧。
広報 [編集]
(一)^ ﹃モリサワ タイプバンクの吸収合併を発表﹄︵プレスリリース︶2017年5月10日。2022年10月9日閲覧。
(二)^ ﹃リョービ株式会社ならびにリョービイマジクス株式会社からのフォント事業譲渡を発表﹄︵プレスリリース︶2011年8月10日。2022年10月9日閲覧。
(三)^ ﹃モリサワ 株式会社リムコーポレーションの株式取得による 子会社化を発表﹄︵プレスリリース︶2013年9月27日。2022年10月9日閲覧。
(四)^ ﹃モリサワ OpenTypeフォントの共同開発で株式会社写研と合意﹄︵プレスリリース︶モリサワ、2021年1月18日。2021年1月18日閲覧。
(五)^ ﹃モリサワ 写研書体を字游工房と共同開発 2024年に﹁石井明朝﹂﹁石井ゴシック﹂の改刻フォントをリリース﹄︵プレスリリース︶モリサワ、2022年11月24日。2023年3月9日閲覧。