韓国法
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(大韓民国の法制度から転送)
韓国法︵かんこくほう︶では、大韓民国︵韓国︶の法制度の概要について論じる。大陸法の制度であり、その基礎を大韓民国憲法に置いている。
歴史[編集]
前史[編集]
大韓帝国において行政機関とは別個の司法機関が設けられたのは、甲午改革︵1894年︶及び乙未改革︵1895年︶によるものが最初であった。その後、韓国併合及び光復︵日本からの独立︶を経ることとなる。大韓民国における歴史[編集]
光復後、大韓民国においては、大韓民国第一共和国憲法の導入と独立国家としての大韓民国の組織化に至った。大韓民国が存在している間に、憲法は何度か修正され、あるいは改正された。直近の改正は1987年の第六共和国創始時になされたものである。 法院組織法は、1949年9月26日に議会を通過し、大韓民国における3層の独立した司法制度を正式に創設した。 1987年の憲法改正は、判事が弾劾、犯罪行為又は無能を除くいかなる理由であれ免職されることはない旨を保証した。これに加えて、1987年憲法は第103条で正式に司法の独立を条文化した。同条は、﹁判事は、その良心に従い、憲法及び法に適合した判断を独立して行う。﹂と規定している。 司法の独立を新たに保証したことに加えて、1987年憲法は、憲法裁判所を設立し、大韓民国は初めて合憲性審査のための活動組織を得ることになった[1]。司法制度[編集]
大韓民国の司法制度は大法院、憲法裁判所、6か所の高等法院、18か所の地方法院、並びに家庭法院及び行政法院のような専門的管轄を有するいくつかの法院からなる。これに加えて、地方法院の支院や、これと同様に市郡法院を設立することができる。大韓民国の法院は大韓民国憲法第5章及び第6章において組織され、授権されている。 大韓民国の司法制度には、陪審制や参審制は存在しなかったが2008年から陪審員が刑事訴訟に関与する国民参与裁判が導入された。 司法制度の階層としては、三審制を採用している。審級管轄は、民事事件及び刑事事件のうち、単独事件については地方法院単独判事→地方法院合議部︵控訴部︶→大法院の順であり、合議事件については地方法院合議部→高等法院→大法院の順である。行政事件については、行政法院→高等法院→大法院の順である。特許審判院の審決等に対する不服事件については、特許法院→大法院の順である。軍事事件については、普通軍事法院→高等軍事法院→大法院の順である。市郡法院[編集]
日本では簡易裁判所にあたる 市郡法院は、争われる金額が2,000万ウォンを超えない小規模な訴訟事件、又は量刑の上限が30日の拘留若しくは20万ウォンを超えない罰金であるような軽罪の即決審判といった、比較的軽微な事件について第一審裁判権のみを行使する。現在、大韓民国には103か所の市郡法院がある。地方法院[編集]
日本では地方裁判所にあたる18か所の地方法院は、ほとんどの民事及び刑事事件についての第一審裁判権を有する。これに加えて、地方法院控訴合議部が、地方法院又は市郡法院の単独判事が裁判をした事件について、控訴裁判権を行使することがある。ほとんどの事件において、単独判事が事件を審理し、判決を下すが、特に重要な又は深刻な事件は、3人の判事による合議体が事件を審理し、裁判を下すことがある。控訴合議部も、3人の地方法院判事で構成される。支院[編集]
日本では地方裁判所の支部にあたる 支院は、地方法院の下に組織され、その一部とみなされるが、管轄区域は本院と独立している。支院は、地方法院とほとんど同様の機能を有するが、上訴審の機能は有しない。現在、大韓民国には40か所の支院がある。高等法院[編集]
日本では高等裁判所にあたる6か所の高等法院は、地方法院若しくは家庭法院が合議体で裁判をした事件、又は行政法院の裁判、及び地方法院において審理され、単独判事が裁判をした民事事件であって、争われた金額が5万ウォンを超えるものについて、上訴の裁判権を有する。高等法院への上訴は、3人の高等法院判事の合議体が審理する。高等法院は、ソウル特別市、釜山広域市、大邱広域市、大田広域市、及び光州広域市にある。これに加えて、光州高等法院の特別法廷が、済州地方法院内に設けられている。大法院[編集]
詳細は「大法院 (大韓民国)」を参照
日本では最高裁判所にあたる大法院は、﹁法院組織法﹂第4条2項に基づき、大法院長︵日本の最高裁長官に相当︶を含む14人の裁判官で構成されている。大法院には、司法行政事務を管掌する法院行政処が設置されており、全裁判官の人事と、司法府の行政を管轄している。現在は、第16代大法院長の金命洙︵キム・ミョンス︶が大法院を率いている。