薩摩料理
薩摩料理︵さつまりょうり︶は、鹿児島県の一部にあたる、旧薩摩国と旧大隅国の郷土料理。九州の南端に位置し、日本の他の地方から地理的に隔絶していたこと、また奄美料理や沖縄料理の影響から、黒砂糖やかごしま黒豚などの豚肉を用いる独特の食文化が展開した。ヘチマ・苦瓜料理、落花生豆腐など、日本国内では鹿児島県はもとより奄美・沖縄でしかみられない料理も多い。
概要[編集]
きわめて温暖な気候風土と、台風の被害が大きいこと、水田稲作に不向きなシラス台地が広がり、サツマイモ︵からいも︶や雑穀を中心とした食生活を強いられたことも、薩摩料理の特異性を形成したと考えられる[独自研究?]。冬が温暖すぎるため、地酒以外の日本酒や一般的な米酢は作れず、サツマイモを原料とした焼酎文化と玄米を原料とした黒酢の醸造が発達した。 奄美群島などで取れる黒砂糖と薩摩味噌︵早なれの甘口田舎麦味噌︶、通称﹁甘露醤油﹂と呼ばれるたまりのような醤油を用いた︵九州各地で広く使われる甘口の醤油よりもさらに甘い︶、こってりした甘い味付けが特徴的。他に、芋焼酎や黒酢などを隠し味として多くの料理に満遍なく使うのも特色である。 鹿児島県内でも、奄美群島の奄美料理は蘇鉄味噌や粒味噌が基本で、風味に違いがある[1]。調味料[編集]
●薩摩味噌 ●甘露醤油 ●黒砂糖 ●黒酢︵福山酢︶ ●酢味噌 ●鰹節 ●カツオのせんじ - 鰹節を作る際の煮汁を煮詰めた調味料。 ●焼きえび - 煮干して焼いたたかえびなどを雑煮の出汁を取るのに使う。肉料理[編集]
魚介料理[編集]
イモ料理[編集]
●がね - 小麦粉または蕎麦粉の衣でサツマイモとゴボウの千切りを揚げたもの。 ●かいもんてんぷら - 薩摩芋︵からいも︶を輪切りにして天ぷらにする。 ●からいもんねったぼ - 蒸したサツマイモと餅を混ぜてつき、丸めてきな粉をつけて食べる。 ●かいもんめし - 薩摩芋と米をいっしょに炊き上げる。 ●雑煮 - 米作に不向きな土地柄で伝統的に里芋の親芋︵八つ頭︶を入れる家が多い[独自研究?]。かつては餅なし雑煮もあった程。野菜料理[編集]
汁物[編集]
練り物[編集]
●つけ揚げ - 中国福建省などにもある料理だが、語源は琉球料理である﹁チキアギー﹂だともされている。全国的には薩摩揚げと呼ばれる練り物の揚げ物の事を、土地の方言の語り口では﹁ツキアゲ﹂とか﹁チキアゲ﹂と呼ぶ。昔ながらの味は、魚のすり身のつなぎに豆腐を使い、地酒や砂糖で甘ったるく味付けしたものでものである。形状は小判型または棒型で中には何も入れないものしかなかった。幼少時代を過ごした向田邦子のエッセーには、昭和初年頃までは盛り場の露店などで客の目の前で揚立てを売っていたとの記述が見られる。 ●こがやき - 新鮮な卵と豆腐に白身魚のすり身を混ぜて焼き上げる卵焼き。南薩地域では昔からお祝い事のお重やお正月の皿盛り料理等には欠かせないお祝い料理の一品。形状や味覚などが宮崎県日南市飫肥︵旧飫肥藩︶の厚焼きに類似している[独自研究?]。薩摩菓子[編集]
●あくまき - 奄美大島にも外観が異なるものがある。 ●軽羹 ●げたんは - 黒糖を使った二等辺三角形の菓子で、下駄の歯に見立てている。 ●ふくれ菓子 - 黒糖入りの蒸しパン。奄美群島ではふくりかんなどと呼ぶ。沖縄のあがらさーとは外観が異なる。 ●りんかけ - 奄美大島のがじゃ豆に似た、落花生に砂糖をまぶした菓子。 ●かからん団子 - 柏餅に類する餅菓子。 ●黒砂糖 ●春駒 ●いこもち ●両棒餅 ●加治木饅頭 ●文旦漬け︵砂糖漬け︶ ●いも飴あくまき
軽羹
げたんは
ふくれ菓子
かからん団子
両棒餅
加治木饅頭
脚注[編集]
- ^ 原口泉、「奄美の食文化」『奄美の食と文化』pp108-109、鹿児島、南日本新聞社、ISBN 978-4-86074-185-3