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|2010 || [[スマトラ島沖地震 (2010年10月)|スマトラ島沖 (10月)]]|| 7.2<ref name = "USGS"/> || 7.8<ref name = "USGS"/> || 8.3 |
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* 1984年6月13日[[鳥島近海地震]]では、M{{sub|JMA}}5.7 であったが、Mt7.3 と津波マグニチュードが特異的に大きく八丈島八重根漁港で1.3 - 1.5 mの津波を観測している<ref>羽鳥徳太郎、「[https://hdl.handle.net/2261/12933 1984年6月13日鳥島近海地震による特異な津波]」 東京大學地震研究所彙報 60(1), p87-95, 1985, {{hdl|2261/12933}}, {{naid|120000871735}}</ref>。当時の観測記録のなかで、最も小さいマグニチュードで津波を発生させた地震である<ref>{{PDFlink|[http://cais.gsi.go.jp/YOCHIREN/report/kaihou33/07_01.pdf 1984年6月13日鳥島近海の地震(気象庁)] 地震予知連絡会 会報33巻}}</ref>。この |
* 1984年6月13日[[鳥島近海地震]]では、M{{sub|JMA}}5.7 であったが、Mt7.3 と津波マグニチュードが特異的に大きく八丈島八重根漁港で1.3 - 1.5 mの津波を観測している<ref>羽鳥徳太郎、「[https://hdl.handle.net/2261/12933 1984年6月13日鳥島近海地震による特異な津波]」 東京大學地震研究所彙報 60(1), p87-95, 1985, {{hdl|2261/12933}}, {{naid|120000871735}}</ref>。当時の観測記録のなかで、最も小さいマグニチュードで津波を発生させた地震である<ref>{{PDFlink|[http://cais.gsi.go.jp/YOCHIREN/report/kaihou33/07_01.pdf 1984年6月13日鳥島近海の地震(気象庁)] 地震予知連絡会 会報33巻}}</ref>。このイベントは、[[須美寿島|スミスカルデラ]]の火山活動に伴うカルデラ環状断層の活動によると推定されている<ref>{{cite journal |和書 |author=三反畑 ほか |date=2018 |url=https://confit.atlas.jp/guide/event-img/jpgu2018/HDS10-02/public/pdf?type=in&lang=ja |title=火山性津波地震のメカニズム Part II: 津波解析 |journal=地球惑星科学連合2018年大会 研究発表要旨 |pages=HDS-10-02 |accessdate=2020-11-30}}</ref>。 |
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; 日本国内・近海における歴史地震での例 |
; 日本国内・近海における歴史地震での例 |
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* 701年の[[大宝地震]]<!-- この地震を津波地震とする説は無い -->。[[丹波国]]︵後に丹後国に分国、現・京都府[[京都府北部地域|北部]]︶で大地震が発生し、三日に渡って揺れがあったという。[[日本三景]][[天橋立]]の北側の山中である、真名井神社の参道傍ら、﹁真名井神社﹂と書かれた石柱の後に見える祠が[[波せき地蔵堂]](京都府[[宮津市]]大垣︶である。大宝地震大津波の際、遡上高約40メートルの津波が起こり、この地点まで遡上した。<ref>続日本紀 大宝元年3月26日条</ref> <ref>丹後風土記 加佐郡凡海郷</ref> <ref>上山寺 永代記録</ref> <ref>橋木縁城寺年代記</ref>
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* 701年の[[大宝地震]]<!-- この地震を津波地震とする説は無い -->。[[丹波国]]︵後に丹後国に分国、現・京都府[[京都府北部地域|北部]]︶で大地震が発生し、三日に渡って揺れがあったという。[[日本三景]][[天橋立]]の北側の山中である、真名井神社の参道傍ら、﹁真名井神社﹂と書かれた石柱の後に見える祠が[[波せき地蔵堂]](京都府[[宮津市]]大垣︶である。大宝地震大津波の際、遡上高約40メートルの津波が起こり、この地点まで遡上した。<ref>続日本紀 大宝元年3月26日条</ref> <ref>丹後風土記 加佐郡凡海郷</ref> <ref>上山寺 永代記録</ref> <ref>橋木縁城寺年代記</ref>
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* 1605年の[[慶長地震]]。地震動の被害としては[[淡路島]]の千光寺、および[[阿波国|阿波]]宍喰の被害程度しか知られていない︵加えて、千光寺の震害記録については疑問視する見方もある<ref name="Yoshioka">吉岡敏和、水野清秀、榊原信夫、﹁[https://doi.org/10.11462/afr1985.1997.16_87 淡路島中部,先山断層の最新活動とその意義]﹂ 活断層研究 1997年 1997巻16号 p.87-94, {{doi|10.11462/afr1985.1997.16_87}}</ref>︶。ところが地震動がほとんど記録されていない[[房総半島]]から[[九州]]にかけての広範囲で沿岸を波高10 m以上の津波が襲い、溺死者5,000 - 10,000人とされている。津波襲来範囲から震源域は南海トラフと考えられて来たが<ref name="Imamura">[[今村明恒]](1943)、﹁[https://doi.org/10.14834/zisin1929.15.150 慶長九年の東海南海雨道の地震津浪に就いて]﹂ 地震 第1輯 1943年15巻6号 p.150-155, {{doi|10.14834/zisin1929.15.150}}</ref><ref name="Ishibashi1983">石橋克彦、﹁[https://ci.nii.ac.jp/naid/10027721046/ 1605 (慶長9) 年東海 南海津波地震の地学的意義]﹂ 地震学会講演予稿集 1, 96, 1983.{{naid|10027721046}} [http://historical.seismology.jp/ishibashi/archive/1605KeichoEq83.pdf 石橋克彦の歴史地震研究のページ アーカイブ]</ref><ref>{{PDFlink|[http://www.hiroi.iii.u-tokyo.ac.jp/index-genzai_no_sigoto-kaikogatajishin-nankai-torafu.pdf 地震調査研究推進本部(2001)]}} 地震調査研究推進本部 ﹁南海トラフの地震の長期評価について﹂ 2001年</ref>、波源域は伊豆・小笠原海溝付近であると仮定すれば津波が説明できるとする説<ref name="Ishibashi2013">石橋克彦, 原田智也(2013): 1605︵慶長九︶年伊豆-小笠原海溝巨大地震と1614︵慶長十九︶年南海トラフ地震という作業仮説,日本地震学会2013年秋季大会講演予稿集,D21‒03</ref>や、震源がインドネシアあたりの遠地津波も否定できないとする説<ref name="Matsuura2013">松浦律子(2013)、﹁{{PDFlink|[http://www.histeq.jp/kaishi_29/HE29_263_263_Matsuura.pdf 1605年慶長地震は南海トラフの地震か?]﹂}} 第30回歴史地震研究会︵秋田大会︶, ﹃歴史地震﹄ 2014年29号 p.263, 歴史地震研究会</ref>など、 |
* 1605年の[[慶長地震]]。地震動の被害としては[[淡路島]]の千光寺、および[[阿波国|阿波]]宍喰の被害程度しか知られていない︵加えて、千光寺の震害記録については疑問視する見方もある<ref name="Yoshioka">吉岡敏和、水野清秀、榊原信夫、﹁[https://doi.org/10.11462/afr1985.1997.16_87 淡路島中部,先山断層の最新活動とその意義]﹂ 活断層研究 1997年 1997巻16号 p.87-94, {{doi|10.11462/afr1985.1997.16_87}}</ref>︶。ところが地震動がほとんど記録されていない[[房総半島]]から[[九州]]にかけての広範囲で沿岸を波高10 m以上の津波が襲い、溺死者5,000 - 10,000人とされている。津波襲来範囲から震源域は南海トラフと考えられて来たが<ref name="Imamura">[[今村明恒]](1943)、﹁[https://doi.org/10.14834/zisin1929.15.150 慶長九年の東海南海雨道の地震津浪に就いて]﹂ 地震 第1輯 1943年15巻6号 p.150-155, {{doi|10.14834/zisin1929.15.150}}</ref><ref name="Ishibashi1983">石橋克彦、﹁[https://ci.nii.ac.jp/naid/10027721046/ 1605 (慶長9) 年東海 南海津波地震の地学的意義]﹂ 地震学会講演予稿集 1, 96, 1983.{{naid|10027721046}} [http://historical.seismology.jp/ishibashi/archive/1605KeichoEq83.pdf 石橋克彦の歴史地震研究のページ アーカイブ]</ref><ref>{{PDFlink|[http://www.hiroi.iii.u-tokyo.ac.jp/index-genzai_no_sigoto-kaikogatajishin-nankai-torafu.pdf 地震調査研究推進本部(2001)]}} 地震調査研究推進本部 ﹁南海トラフの地震の長期評価について﹂ 2001年</ref>、波源域は伊豆・小笠原海溝付近であると仮定すれば津波が説明できるとする説<ref name="Ishibashi2013">石橋克彦, 原田智也(2013): 1605︵慶長九︶年伊豆-小笠原海溝巨大地震と1614︵慶長十九︶年南海トラフ地震という作業仮説,日本地震学会2013年秋季大会講演予稿集,D21‒03</ref>や、震源がインドネシアあたりの遠地津波も否定できないとする説<ref name="Matsuura2013">松浦律子(2013)、﹁{{PDFlink|[http://www.histeq.jp/kaishi_29/HE29_263_263_Matsuura.pdf 1605年慶長地震は南海トラフの地震か?]﹂}} 第30回歴史地震研究会︵秋田大会︶, ﹃歴史地震﹄ 2014年29号 p.263, 歴史地震研究会</ref>など、諸説ある。
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* 1677年の[[延宝房総沖地震]]。震源の位置ははっきりしていないが、津波遡上高を元にした波源解析によって震源は房総沖で、推定されるマグニチュード (M6 - 6.6) に対して津波マグニチュード (Mt) は8.0<ref name="Abe1999"/>。 |
* 1677年の[[延宝房総沖地震]]。震源の位置ははっきりしていないが、津波遡上高を元にした波源解析によって震源は房総沖で、推定されるマグニチュード (M6 - 6.6) に対して津波マグニチュード (Mt) は8.0<ref name="Abe1999"/>。 |
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* 1771年の[[八重山地震]]。推定されるマグニチュード (M7.4) に対し津波が大きく、津波マグニチュード (Mt) は8.5と推定する説がある<ref name="Abe1999"> 阿部勝征(1999)、「[https://doi.org/10.4294/zisin1948.52.3_369 遡上高を用いた津波マグニチュードMtの決定 -歴史津波への応用-]」『地震 第2輯』 1999年 52巻 3号 p.369-377, {{doi|10.4294/zisin1948.52.3_369}}, 日本地震学会</ref>。黒島海丘で生じた[[海底地すべり]]によって大きな津波を発生させたとする研究<ref>今村文彦、吉田功、アンドリュー ムーア、「[https://doi.org/10.2208/proce1989.48.346 沖縄県石垣島における1771年明和大津波と津波石移動の数値解析]」 『海岸工学論文集』 2001年 48巻 p.346-350, {{doi|10.2208/proce1989.48.346}}</ref>や、Mw8.7程度のプレート間の断層を仮定すれば津波が説明できるとする説 |
* 1771年の[[八重山地震]]。推定されるマグニチュード (M7.4) に対し津波が大きく、津波マグニチュード (Mt) は8.5と推定する説がある<ref name="Abe1999"> 阿部勝征(1999)、「[https://doi.org/10.4294/zisin1948.52.3_369 遡上高を用いた津波マグニチュードMtの決定 -歴史津波への応用-]」『地震 第2輯』 1999年 52巻 3号 p.369-377, {{doi|10.4294/zisin1948.52.3_369}}, 日本地震学会</ref>。黒島海丘で生じた[[海底地すべり]]によって大きな津波を発生させたとする研究<ref>今村文彦、吉田功、アンドリュー ムーア、「[https://doi.org/10.2208/proce1989.48.346 沖縄県石垣島における1771年明和大津波と津波石移動の数値解析]」 『海岸工学論文集』 2001年 48巻 p.346-350, {{doi|10.2208/proce1989.48.346}}</ref>や、Mw8.7程度のプレート間の断層を仮定すれば津波が説明できるとする説<ref>{{PDFlink|[http://www2.jpgu.org/meeting/2014/session/PDF/S-SS34/SSS34-P27.pdf 中村衛(2014): 1771年八重山津波の断層モデルの再検討]}} 日本地球惑星科学連合 2014年大会講演要旨,SSS34-P27.</ref>など、諸説ある。 |
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; 日本国外における例 |
; 日本国外における例 |
2020年11月30日 (月) 11:46時点における版
概要
海底において地震が発生し、海底面に地震断層による地殻変動が現れると、それは海水の上下動を呼び起こし、津波を発生させる。通常は、津波を発生させる地震は大規模な地震であり、体感もしくは強震動地震計などにより、津波を引き起こした地震による揺れ︵地震動︶を感知することができる。一般的に断層運動の大きさ︵モーメントマグニチュード︶が大きいほど、地震動も津波の規模も大きくなる[注 1]。 しかしながら、地震動と津波の大きさがリンクしないことがあり、体感もしくは地震計によって観測した地震動は比較的小規模であるにも拘わらず、大きな津波が発生する場合もある。このタイプの地震を津波地震と呼称する。 津波の波高が大きいことから、海水の上下動の差 = 地殻の変動量自体は大きい。大きな地殻変動が通常の地震よりも長い時間をかけて発生する︵スロースリップ︶ことで、有感となるような短周期の地震動をあまり生じさせることなく大きな津波を発生させ、津波地震となる。また、海溝軸付近でのすべり量が大きいと津波が大きくなる[2]。一般に地震断層の破壊伝播速度は、通常の地震ではおおむね秒速2.5 - 3 km程度であるとされる。しかし津波地震では秒速1 km程度の場合が多い。このような地震では強震動をあまり生じさせないが、津波の波源域は津波が拡散するよりも早く数分以内の短い時間で広がるため、津波が大きくなる。破壊伝播速度がこれよりさらに十分遅い場合は、津波の波源域が広がる前に津波が拡散してしまい、大きな津波も発生しなくなる。 地震の揺れ自体が小さいにもかかわらず大きな津波を発生させる津波地震の特性から、地震発生直後の避難が難しく被害が拡大する危険性をはらんでいる。津波地震の顕著な例として知られる1896年の明治三陸地震では、2万人以上の死者を出した。 2011年の東北地方太平洋沖地震では、プレート境界の陸地側の深い部分のすべりにより短周期の強い地震動が発生し、沖合いの海溝側の浅い部分のすべりにより長周期の地震動と強大な津波を発生したと推定され、この陸地側と海溝側の断層破壊が往復する形で発生したと推定される。これにより広範囲で発生した海溝型地震と津波地震が連動して、津波もより巨大化された可能性がある[3]。また、明治三陸地震は主にプレート境界の海溝側の浅い部分で断層破壊が発生し、長周期の地震動と強大な津波を発生したと理解される[4][5]。東京大学の古村孝志らも明治三陸地震や同じく津波地震である慶長地震は海溝側の浅い部分で発生した地震と推定している[6]。 地震学では一般的に、実体波マグニチュードに対してモーメントマグニチュードや津波マグニチュードが1以上大きくなるような地震が津波地震に分類される[注 2]。津波地震の例
年 | 地震名 | 表面波マグニチュード () |
モーメントマグニチュード () |
津波マグニチュード () |
---|---|---|---|---|
1896 | 明治三陸 | 7.2 | 8.0 - 8.1 | 8.2 - 8.6 |
1923 | 択捉島沖[8] | 7.1 | 8.1 | |
1932 | ハリスコ (6月22日)[9] | 6.9 | 7.7 | |
1946 | アリューシャン | 7.4 | 8.1 | 9.3 |
1960 | ペルー沖[10] | 6.75 | 7.6 - 7.8 | |
1963 | 択捉島沖 (10月20日)[8] | 7.1 | 7.8 | 8.0 |
1975 | 北海道東方沖[8] | 6.9 - 7.0 | 7.5 | 7.95 |
1992 | ニカラグア | 7.2 | 7.6 - 7.7 | 7.9 |
1993 | 北海道南西沖 | 7.6 | 7.7 | 8.1 |
1994 | ジャワ島南東沖[11] | 6.5 | 7.8 | |
1996 | ペルー沖 | 6.6 | 7.5[12] | 7.7 |
2006 | ジャワ島南西沖[2] | 7.1[12] | 7.7[12] | 8.0 |
2010 | スマトラ島沖 (10月) | 7.2[12] | 7.8[12] | 8.3 |
類似の地震
脚注
注釈
(一)^ 断層運動によって地震動︵揺れ︶と津波︵海底面の地殻変動による海水の上下動︶がそれぞれ生じるのであって、地震動が津波を引き起こすわけではない。地震動と津波は原因は同じだが別の現象であるともいえる。 (二)^ この目安は概ねM5 - M7程度で適用される。実体波マグニチュードが8以上になると、マグニチュードの﹁頭打ち﹂によりモーメントマグニチュードとの差が大きくなるが、このことをもって津波地震と判断されることはない。出典
関連項目
- 防災 - ハザードマップ
- スロースリップ(ゆっくり地震)
- マグニチュード#津波マグニチュード
- 大津波
外部リンク
- 柿沼太郎、「津波地震がもたらす幾つかの地変形態を対象とした津波形成過程の数値解析」 『海岸工学論文集』 2006年 53巻 p.191-195, doi:10.2208/proce1989.53.191
- 武村雅之、小山順二、「低周波地震のスケーリングモデル 津波地震と中小規模低周波地震の関係」 『地震 第2輯』 1983年 36巻 3号 p.323-336, doi:10.4294/zisin1948.36.3_323