和食 |
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無形文化遺産 |
![](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/1/18/Osechi_001.jpg/250px-Osechi_001.jpg) 『和食:日本の伝統的な食文化、特に新年祝賀』によれば、和食は魚・野菜・食用野草など地域の食材を使った自然を尊ぶ心との結びつきは、天然資源の持続可能な利用にも通じる。特に新年祝賀では餅をつき、意味のこもった美しい料理を用意し共同体で分けられている。
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登録基準 | R1, R2, R3, R4, R5 [1] |
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参照 | 869 |
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登録史 |
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登録年 | 2013 |
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日本産の農林水産物・食品の輸出も2013年から右肩上がりに伸びている。2016年は7,502億円と2012年の4,497億円から1.7倍に増え、2017年は8,000億円台に乗せた。日本国政府(農林水産省)は1兆円を目標としており[6]、海外における日本食レストランの増加と日本食材輸出を推進している[7]。また、国内においては和食文化の保護・継承を図っている[8]。
日本の定食。茶碗蒸し・汁物・惣菜・漬物などがバランス良く並べている。
日本語の﹁料理﹂を意味するところは、家庭の台所や飲食店の厨房などで行われる﹁食品加工の最終段階﹂を指すことが多い。
現在では食品工場などで広く行われる脱穀・精米・豆腐・かまぼこの製造なども、地域・時代・集団によっては料理の範疇である。米の量をはかりどれだけ食べてどれだけ種籾とするかなど、家庭や国家の献立や食料計画をも意味する。また焼けた獣骨の遺物の発見から北京原人などと呼ばれるホモ・エレクトスの火の利用や、宮崎県幸島のニホンザルの群れがサツマイモを海水で洗い味つけして食べるということも、料理と考える場合もある[3][4]。
尚、料理の概念は言語や国によって大きな異なりがある。中国語では﹁烹飪﹂と﹁菜餚﹂が料理の意味を表し、採集した野菜を烹で煮ることを意味する。英語でも﹁cooking﹂と﹁dish﹂二つの言葉がある。cookingは加熱することを意味し、加熱しない生のものを﹁raw﹂と区別している一方、dishは一つのお皿に盛り込みのことを表す。フランス語の﹁cuisine﹂は台所や厨房をあらわし、また調理や食品の料理もあらわす[11][12][13]。また、ユネスコによる世界無形文化遺産登録以降、中国での簡体字ネット環境を中心に、﹁日本料理と和食の基本は中国の陰陽五行思想にあり﹂と言った何の一次史料や論理的な根拠を伴わない、文化の包摂活動が展開されている。この﹁陰陽五行説﹂は日本語環境下でも拡散が進んでいており、自明の前提として語られ始めている[14]。
日本料理の一例、懐石料理。食材本来の美しさを生かして、日本の旬や季節感を表現する。
平安時代に登場する﹁料理﹂という言葉は物事をはかりおさめる、うまく処理するという意味である。現在に通じる調理やそれによってできる食品を意味するようになる[2][15]。
﹃世界大百科事典﹄によれば、原始時代の日本料理は米と魚を中心とし、獣肉と油脂の使用がきわめて少ないという特徴がある。平安時代にまでさかのぼると、大饗料理では椅子と円卓に散蓮華と言った大陸文化の影響があったが、平安時代の中盤以降は急速に和風化が進み、消えていった。鎌倉・室町時代に入ると、天ぷらのような西洋伝来した技術も取り入れ、出汁の旨味も重視し、ご飯を中心に日本料理としての形が作られた。特に御持て成し料理としての二汁五菜が定着していて、日本の家庭料理はご飯を中心にした一汁三菜の日常の食にある[16]。これ以降には日本料理の基礎が固まり、江戸時代後期には日本料理の枠組みが殆ど完成した。
「料」は「米」と「斗」とから構成される会意文字で、「はかる」を意味する単語を表記する[17]。
「理」は音を表す「里」と意味を示す「玉」の原字からなる形声文字で、「おさめる」を意味する単語を表記する[18]。
日本では、野菜・果物・魚介類・海藻などの食材が量も種類も非常に豊富である[19]。これは日本が置かれている幾つかの地理条件が関係している。
●周囲をプランクトンが豊富な海洋に囲まれている。特に三陸沖・オホーツク海沿岸を中心とする北西太平洋海域は、寒流の親潮と暖流の黒潮が合流する世界有数の大規模な漁場である。
●島嶼やリアス海岸が多いため海岸線が複雑で長い︵世界第6位︶。また海岸は砂浜が少なく岩場が多い。結果、魚類が産卵しやすい環境となっている。
●国土の大半が温帯湿潤気候に属する。四季による気温差、昼夜の寒暖差が大きく、年間を通して降水量が多いため植物が育ちやすい。
●国土が細長く、さらにその7割が山岳地帯であるため河川は水源から河口までの距離が短く、また急勾配を流れるため水流が速い。結果として水循環が生まれやすい。
●山地の大部分が広葉樹林に覆われていることで、水・土壌の養分が豊富である。
●国土が南北に広く、亜寒帯から亜熱帯までを含む。
ほとんどの料理は、ご飯に対するおかずという位置づけであり、米と酒に調和する[3]。
歴史的に肉食が禁止され、長きにわたり乳製品等の家畜製品は普及しなかった[20]︵乳製品には蘇と醍醐が例外的にあるだけで欠如した︶。食用油の使用も中世までは発展せず、例外的に唐菓子があり、南蛮料理に由来する天ぷらによって、油の使用が急速に普及していった[3]。このため、肉や油脂に代わる味つけとしてだしが発達した[20]。こうした背景が淡白な味つけを生んでいる[3]。強い香辛料はあまり使われず、旬の味、素材の持ち味が生かされる[3]。主要な調味料である味噌や醤油は大豆を発酵させた調味料で、これもうま味を伴う。甘みづけには水飴・みりんが使われ、現在は砂糖が多用される。
現在の日本では流通が発達したため世界中の食品や調味料が入手でき、日本料理への応用も行われている[21]。
漬物は日本にざっと600種はあり[要出典]、日本の食生活とともにあった。奈良時代の天平年間︵710年から794年︶の木簡にウリの塩漬けの記録があり、平安時代に成立した﹃延喜式﹄には酢漬け、醤漬け、粕漬けなどの記載がある。室町時代から江戸時代にかけて全国に漬物屋ができ、江戸時代には種類を増やし各地方の名物となった。
納豆は大陸から伝来してから日本人の技術で改良され、古くは納豆菌ではない奈良時代の発酵大豆﹁くさ﹂があった。納豆は京都の大徳寺、天竜寺で作られ寺納豆、浜名湖の大福寺の浜納豆とも言われ、糸引き納豆は室町時代中期に生まれている。
鰹節と昆布
ダシは、鰹節・昆布・椎茸が三大である。煮干しも使われる。
日本国外では味は、五味として甘辛酸苦鹹と説明してきたが、日本人は鰹節のうま味を加えて六味としてきた。日本料理以外の鶏ガラなどのように油脂が浮くことがない。こうしたダシは、日本料理の方向を決定する要因となり、粋、優雅、上品さ、質素で格調高い、淡白で奥深い味が精進、懐石、侘び寂び料理を生み出してきた。鰹節の原型は、平安時代﹃延喜式﹄に素干しの保存食の堅魚︵かたうお︶があるが、今のように燻したのは江戸時代の1674年である。
調味料については、塩︵食塩︶は20世紀末に自由化されると非常に多様な種類が流通するようになった。日本列島は親潮・黒潮が流れる5つの海域に囲まれている[35]。6世紀ごろになると海藻を焼いてその灰を使った灰塩ではなく、海藻を煮詰める藻塩が生まれ、﹃万葉集﹄に詠まれた。奈良時代になると塩田や釜が製塩に使われるようになり、揚浜式︵8世紀︶、入浜式︵中世︶の塩田が各地に海浜に造られた。1952年からイオン交換膜式を用いた塩専売法による食塩事業を国が始めたことで塩田は消滅した。昔ながらの塩田を求めて起こった1971年からの自然塩運動により、1997年に新たに塩事業法が施行され、製塩は自由となった[35]。イオン交換膜式では塩化ナトリウム99%以上となり塩辛さだけが際立つが、それ以外の製法ではマグネシウムの苦味、カリウムの酸味、カルシウムの甘味が複雑な味を醸し出す[35]。料理の基本は、塩梅、ダシ、火加減とされ、多様な調味料がない昔には、塩と梅干しのサジ加減が重要であった[35]。日本では基本的に岩塩は取れないとされる。
酢は、酸味とともに抗菌作用があり重宝されてきた。古くは﹃万葉集﹄に醤酢︵ひしおす︶の記述がみられ、奈良時代にはナスの酢漬けがあり、中世には酢飯が開発された。歴史的には米酢が使われてきた。
醤油は、伝来したものを日本人が独自に作りあげた。大豆と小麦と塩を発酵させたもので、中国の醤︵じゃん︶など大陸のものとは微生物、製法が大きく異なる。アジアが起源と言われるが確認はされておらず、その元となった比之保︵ひしお︶は弥生時代から大和時代に日本に伝来したとされ、平安時代には広く浸透し魚を使ったものがもっとも普及し、魚醤のようなものとして伝来したと考えられる。
味噌は、701年の﹃大宝令﹄には未醤︵みしょう︶が記載され、日本で造られた﹁噌﹂の字を後に当てたとされ、生産地の名をつけ各地の気候や風土、農産物、土地の者の嗜好を反映している。
飴は、もち米などのデンプンを糖化したもので、﹃日本書紀﹄﹃延喜式﹄にも記載がある甘味料である[38]。砂糖は奈良時代にも薬として伝来し、室町時代には菓子にも使われたが、輸入量が大きく増加するのは江戸時代である[39]。18世紀前後になると輸入された砂糖が菓子に広く使われるようになり[38]、次第に調味料となっていった。砂糖・塩・酢・醤油・味噌で﹁さしすせそ﹂とする近代の語呂合わせがある。
薬味には、ワサビ・生姜・唐辛子・山椒・ネギ・シソなどがある。
季節感が重視される。旬の食品は美味しく、また市場に豊富に出回り値段も安く栄養価も高くなるため、味を楽しむ好機と考えられている。七草がゆのように、野草特有の自然なあく強さや苦味も味わう。また初鰹のような季節を先取りする﹁走り﹂、落ち鮎のような翌年まで食べられなくなる直前の﹁名残﹂など、同じ食品でも走り、旬、名残と3度の季節感が楽しまれる。
季節の表現は切り方や色でも表現される。春は淡いウドなどをサクラの花びらに見立てて切る。夏は青みのシロウリやキュウリを雷や蛇腹に切る。秋は鮮やかなニンジンなどをモミジやイチョウの葉に切る。冬や新年はユズを松葉に切ったり、ニンジンを梅の花に切ったり、ダイコンとニンジンで紅白を表現したりする[9][10][40][41]。
また山水盛りや吹き寄せ盛りのように、自然そのものを表した盛りつけもなされる[9][10]。
調理場を﹁板場﹂、料理人や料理長を﹁板前﹂[2]とまな板と関連づけて呼び、切ること自体を煮炊きから独立した調理のひとつとしている。﹁切る﹂ことを重視する姿勢は﹁割主烹従︵かっしゅほうじゅう︶﹂と呼ばれ、包丁を使って﹁割く︵切る︶﹂ことが主で、﹁烹る︵火を使う︶﹂ことが従とされ[42]、食品そのものの味を重視することにつながる。また﹁割主烹従﹂から﹁割烹﹂という言葉も生まれ、日本料理そのものやそれを提供する店を表す[2]。
日本料理の椀物(吸物)と刺身は、合わせて「椀刺」や「椀差」と呼ばれ、重視される[43][44][45][46][47]。その味によって腕前を確かめられるともされる[42]。
膳と食器
日本料理の献立やメニューは、米を中心とした穀物に生理的熱量や栄養を依存するものであった。穀物は飯などに料理されて食事の主たる主食として扱われる。主食に対する副食の惣菜は、飯を食べるための食欲刺激として用いられ、御飯の友などという概念もある。また飯の代わりに米による日本酒伴う宴会などでは、惣菜がそのまま肴(さかな)としても用いられる。飯と汁物に惣菜からなる、一汁一菜や一汁三菜など複数の料理から成ることが多い。[3][20]伝統的に左を上位とする風習があるため、主たる飯を左側に置いたり、魚の頭を左向きに置いたりして配膳することが多い。日常の食事などでは、これらの料理は一度にまとめて配膳されることが多いが、懐石料理などでは、一品︵あるいは一膳︶ずつ順番に配膳される。
大乗仏教では肉を食べることおよび一部のネギ属の植物が忌避されており︵禁葷食︶、この戒律を守るため精進料理がある。江戸時代まで、仏教の考え方から獣肉食は一部の地域を除いて一般的ではなかったが、明治時代以降に獣肉食は国内で広く広がった。現在の日本料理は精進料理を除いて食のタブーは弱いと思われるが、羊肉やアヒル肉など普及の問題であまり一般的ではない肉がある。
正月に食べる雑煮と御節料理
七草粥
けんちん汁
芋の炊き合せ
ホウレンソウのゴマ和え
Hibachiでの玉ねぎ火山
●寿司 - カリフォルニアロール、スパイダーロール、スパイシーツナロールなど、果物や日本では使わない食品、調理法で構成された新しい寿司。酢飯が使われない例も多い。
●照り焼き - 多くの場合、焼き方の一種のことではなく、醤油味を基本とした﹁テリヤキソースを使った付け焼きグリル料理﹂のことをテリヤキと称する。
●魚肉練り製品 - Surimi︵すり身︶の名称で、カニカマを中心にして欧米の消費量が急上昇している。
●鉄板焼き - ﹁焼きごて捌き﹂や﹁玉ねぎ火山﹂といった調理人の演出要素がふんだんに盛り込まれた鉄板焼き。
●味噌汁 - チーズやカリフラワー、レモンの輪切りといった日本ではあまり使用されない食品で構成された新しい味噌汁が生まれている。
かつては生魚やゴボウの根など世界的には少数派の食材を使用するため、直江津捕虜収容所事件のような誤解も発生していた。現代では日本食の普及にともない解消されつつある。
2007年に発刊された高級レストランガイド﹃ミシュラン﹄の東京版では、150軒の掲載店舗のうち、約6割が日本料理店であり、日本料理店も含めて、掲載されたすべての店舗に1つ以上の星がついた︵ミシュランの掲載店舗の中には星がつかない店もあり、全ての店舗に星がついたのは、ミシュランでは初めてのことである︶。また、150軒の掲載店舗に合計190以上の星がつき、それ自体も過去最高であった。
2011年、日本はフランスを抜いて、ミシュランの3つ星レストランが最も多い国になった。[80]
2017年に来日した、当時FAO事務局長だったジョゼ・グラジアノ・ダ・シルバは、日本は先進国の中でも肥満率は4%と低く、日本の伝統的な食事である和食は、健康の改善と長寿に貢献しているとし。﹁Japan is a global model for healthy diets︵日本は健康的な食事と栄養の世界的なモデルである[注2]︶﹂と述べている[81][82]。
一方、英語学者の視点から論ぜられた文化論においては﹁日本人の多くがスシやサシミを好みますが、生の魚をそのままぺろぺろと食べて、うまいうまいといっている民族の方が、この地球上で絶対少数派であるという自覚はしっかりもつべきでしょう﹂﹁我々日本人だけが、世界60億人の味覚の優劣を測るモノサシを一手に独占していると考えることほど、恐ろしい思い上がりはありません﹂という意見もある[83]。実際、中学・高校時代をアメリカで過ごしていた実業家の松田公太は、刺身を食べていることを指して現地民から野蛮人扱いされた(当時アメリカは寿司ブーム到来前であったため、無理からぬことであった)というエピソードを明かしている[84]。
2022年、非常に厳密な学術誌﹃Nutrients﹄のメタ分析によれば、日本食は当然ながら世界から見て健康的である[85]。
食事を通じて健康などに働きかけるマクロビオティック(正食)を通じて紹介された日本料理や調味料が多く、ヨーロッパやアメリカの一部で正食が評価された地域では、日本では一般に使われていない特殊な調理法や食品が使われている場合がある(味噌はパンに塗って食べる場合もある)。企業の大量生産品も一般的であるが、醤油、味噌、豆腐などは古来の製法で作られることも多く、日本で市販されるものとは風味や栄養価が異なる場合もある。アメリカではたまりも流通している。
農林水産省と外務省の調査・集計によると、海外にある日本食を提供するレストランの総数は約11万8,000店︵2017年10月時点︶である[86]。2013年1月時点調査に比べ2倍以上である。和食だけでなく、ラーメン店や日本風カレー店なども含む[87]。2019年には約15万6,000店とさらに増えた[88]。現地の企業などが運営する︵本来の日本食と異なる︶﹁なんちゃって日本食﹂と評しうる店が多いが、一方で日本滞在経験で日本食のよさを知った外国人向けに本物・高級志向の日本食店も増えている[89]。
2007年に、正統的な日本料理店に認証を与える「日本食レストラン推奨制度」を日本貿易振興機構(JETRO)がフランスで始められた。制度の目的として、道標の提供と日本食文化の認知度向上・普及・浸透、正統的日本料理レストランにチャレンジする機会の提供、日本の食品などジャパン・ブランド輸出促進を挙げている。制度の対象は、日本で一般に「和食」のカテゴリーに入る食事がメニューのほぼすべてを占めるレストランで、その料理は懐石、寿司、天ぷら、うなぎ、焼き鳥、そば、うどん、丼物、その他伝統の日本食(フランスで創作されたそれに準拠するものも含む)としている[90]。
- 日本料理コンペティション[91]
- 和食ワールドチャレンジ - 日本人以外の調理師による日本料理コンテスト[92]。
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- ^ 引用者翻訳
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