「阪神5700系電車」の版間の差分
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|主電動機=[[永久磁石同期電動機|全閉自冷式永久磁石同期電動機]] (PMSM) |
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'''阪神5700系電車'''(はんしん5700けいでんしゃ)は、[[阪神電気鉄道]]が[[2015年]]に導入した[[各駅停車]]用の[[通勤形車両 (鉄道)|通勤形電車]]。「'''ジェット・シルバー5700'''」の愛称がある<ref>{{Cite web|url=http://rail.hobidas.com/rmn/archives/2015/07/5700_1.html|title=【阪神】5700系試乗会開催|RMニュース|鉄道ホビダス|publisher=ネコ・パブリッシング|date=2015-07-28|accessdate=2016-03-18}}</ref>。 |
'''阪神5700系電車'''(はんしん5700けいでんしゃ)は、[[阪神電気鉄道]]が[[2015年]]に導入した[[各駅停車]]用の[[通勤形車両 (鉄道)|通勤形電車]]。「'''ジェット・シルバー5700'''」の愛称がある<ref>{{Cite web|url=http://rail.hobidas.com/rmn/archives/2015/07/5700_1.html|title=【阪神】5700系試乗会開催|RMニュース|鉄道ホビダス|publisher=ネコ・パブリッシング|date=2015-07-28|accessdate=2016-03-18}}</ref>。 |
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2021年12月14日 (火) 16:26時点における版
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阪神5700系電車 | |
---|---|
大物駅に進入する5700系 (2017年7月) | |
基本情報 | |
運用者 | 阪神電気鉄道 |
製造所 | 近畿車輛 |
製造年 | 2015年 - |
製造数 | 9編成36両 |
運用開始 | 2015年8月24日 |
投入先 | 本線・神戸高速線 |
主要諸元 | |
編成 | 4両編成 |
軌間 | 1,435 mm(標準軌) |
電気方式 |
直流1,500V (架空電車線方式) |
最高運転速度 | 91 km/h |
設計最高速度 | 110 km/h |
起動加速度 | 4.0 km/h/s |
減速度 | 4.5 km/h/s |
車両定員 |
先頭車:140人 中間車:150人 |
全長 |
先頭車:18,980mm 18,880 mm |
全幅 | 2,800 mm |
車体 | ステンレス鋼 |
台車 | FS-581M, FS-581T |
主電動機 |
全閉自冷式永久磁石同期電動機 (PMSM) (形式:SEA545) |
主電動機出力 | 190 kW |
駆動方式 | TD平行カルダン駆動方式 |
歯車比 | 97:16 (6.06) |
制御方式 | IGBT素子VVVFインバータ制御(形式:SVF102-E0) |
制動装置 | MBSA 回生制動併用全電気指令式空気制動、抑速制動 |
保安装置 | 阪神・山陽・阪急形ATS |
備考 | 4in1×2群 |
概要
旧型ジェットカー(5001形, 5131形・5331形)の置き換えを目的として登場した[2]。2015年8月24日に営業運転を開始した[3]。 普通系車両として5500系以来20年ぶりのフルモデルチェンジが行われた。形式としては2010年に5550系が登場しており[4]、5700系はジェットカーとしては13形式目にあたる[5]。 車体は急行系の1000系を基本とし、電装品はグループである阪急電鉄の1000系・1300系で採用された要素も取り入れ[6][7]、﹁人と地球へのやさしさ﹂を追求し、サービス向上と新技術などの導入で環境負担の低減が図られている[2]。その一例として、車両に搭載されている全ての照明器具にはLEDが使用されている[8]。2016年には鉄道友の会よりブルーリボン賞(第59回)を阪神の車両として初受賞した[9][10][11]。
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5700系ブルーリボン賞受賞記念ラッピング列車
(2016年10月9日 大物駅) -
運転台仕切に設置されたブルーリボン賞エンブレム
外装
編成
車体
車体はレーザー溶接で組み立てられたステンレス無塗装構造で[2]、構造・工法とも1000系と共通となっている[15]。試作車として製造された5201形 (5201・5202) 以来、ジェットカーとしては約半世紀ぶりにステンレス車体を採用した[12]。補修性を考慮し、前面部は普通鋼製で塗装仕上げとなっている[2]。 前照灯周りは1000系と共通しているが、新色のカインドブルーを配している[12]。尾灯は車体下部に縦に設置されている[2]。前面ガラスは熱線吸収強化合わせガラスが採用され、飛散防止中間膜の他新たに赤外線カット膜が追加されている[16]。側面窓は従来車より6ミリメートル厚い熱線吸収強化ガラスを採用し、巻き上げ式のフリーストップカーテンを設置する[12]。 側面は、ドア周りに﹁一期一駅﹂のおもてなしの心と青い地球をシンボリックにイメージした青い大円のグラフィックを配している[12]。これはドアの位置を容易に把握しやすくさせるとともに普通用車両の﹁やさしさ﹂を表現している[12]。側面の行先表示器は関西の鉄道車両では初めて次駅表示に対応している[17]。台車・電装品
台車は新日鐵住金製[17]のモノリンク式ボルスタ付台車のFS-581M︵電動台車︶・FS-581T︵付随台車︶を装着する[16]。1000系や1995年登場の5500系ではモノリンク式ボルスタレス台車を装着していたが、本形式ではボルスタ付台車に戻っている[13]。これは普通列車が待避線に入線する事が多い事と、ランニングコストを考慮しての判断によるものである[16]。 騒音低減を目的として、主電動機には定格出力190キロワットの東芝製全閉自冷式永久磁石同期電動機 (PMSM) を採用している[18][19]。制御装置はIGBT素子を用いた2レベル方式のVVVFインバータ制御装置である[18]。これにより抵抗制御車の5001形に比べて約50パーセントほど消費電力を削減している[8]。補助電源装置はスイッチング素子にハイブリッドSiCインバータを用いた高効率の装置を両先頭車に搭載している[12][18]。出力が異なる装置を各車2台搭載し、1台停止してもサービス維持のために必要な電力を供給できるようM1車に受給電装置を設置している[18]。駆動装置は低騒音化を図った歯車と[16]、風切音を低減した新形式のTD継手を採用している[18]。 ブレーキ装置は、MBSA形回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキを採用している[18]。常用ブレーキと非常ブレーキの他、直通予備ブレーキを搭載する[18]。Mc-M車の2両を制御するブレーキ受信装置がM車に搭載されている[18]。常用ブレーキ時は1両単位でブレーキシリンダーの圧力を調整し、回生ブレーキ作動時はM台車のみでブレーキ力を負担するが、それだけで不足する場合は全台車均等に補足空気ブレーキが掛かるようになっている[18]。内装
室内
インテリアデザインは、吊り革、座席、床など、摂津灘をイメージした水模様が施されている[12]。これは、車内でも一目で普通列車だと判るようにもなっている[12]。 全車両に優先席と車椅子・ベビーカースペースを設けており、これらのスペースを明確にするために優先席の表地や吊革は緑色となっている[16]。また、車椅子利用者に配慮して横手摺りと非常通話装置が設置されている[16]。座席は片持ち式のオールロングシートで、出入口付近のスペースを拡大するために座席数はこれまでの8席から7席に減少している[12]。衝突時の二次衝突の軽減効果を狙いそれぞれ2・3・2席単位で仕切られている[12]。出入口側には大型の袖仕切を設置している[12]。この仕切りは出入口側に向けて出っ張り、座席側が窪んでいる構造であり、立客の腰当てとなるほか着席する乗客の肘当てにもなる[12]。第1編成の梅田方先頭車︵5701号車︶には短時間の乗車に対応して乗降しやすいように座面を30ミリメートル高めた﹁ちょい乗りシート﹂が試験的に設置されていた[12]。これは第2編成︵5703F︶以降、本格採用され、第1編成でも4両全車に設置する改造を施した。 各袖仕切りには立客の姿勢保持のためにスタンションポールが併設されている[12]。急停車時や事故などに備えて枕木方向に吊り手が、座席間には握り棒が増設された[12]。背の低い乗客に配慮し、これまでより低い吊り手も設置している[12]。乗降扉は2001年以降の製造車両と同様に幅は1300ミリメートルとし、ガラスにはUVカットの複層ガラスが採用されている[16]。戸袋への吸い込み対策として、ブロック状のCR皮膜付きのスポンジゴムが取り付けられている[16]。また、扉の車内側には車内乗車位置表示板が貼られている[16]。扉上部には阪急1000系と同じ東芝製のハーフサイズ32インチLCD式車内案内表示装置が各車両3箇所千鳥設置されている[17][18][20]。日本語・英語・中国語・韓国語の4か国語で表示し、全画面で駅名を表示するほか、静止画・動画コンテンツと運行情報を分割しての2画面表示も行う[18]。なお、静止画では停車駅に近づいた際、その駅にちなんだスポットの画像が表示される。 この他、ドアチャイム、扉開閉予告灯と誘導鈴が設けられている[16]。安全性と視認性の向上のために車外のステップと車内の水切り部に黄色の識別帯を引いている[16]。また、車椅子の乗降をスムーズにするために、車椅子スペース付近のドアはタイヤの通行部分に合わせて下レールの一部が切り欠いている[16]。 空調装置は24.4キロワットのセミ集中式クーラーを1両につき2台搭載し、低騒音型のラインフローファンを併用し体感温度を下げることで冷房効果を向上させている[18]。暖房装置は各座席下に吊り下げられている[18]。空調の制御にはマイコン制御方式を採用し、外の天候や車両の状態を加味し、更に体感温度を考慮してきめ細かく制御される[12]。 長時間停車する駅での車内保温対策として、関西の大手私鉄では初めて各扉に半自動ドアボタンを設置している[16]。-
車内
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座席(2人掛け座席はちょい乗りシート)
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半自動ドア開閉ボタン
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車内LCD。停車駅に近づいた際、その駅にちなんだスポットの画像が表示される(写真は甲子園駅のもの)。
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扉上の路線図の下にある5700系のポスター
乗務員室
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運転台
車種構成
← 大阪 神戸 → | ||||
形式 | 5701形 | 5801形 | 5801形 | 5701形 |
車種 | Mc1 | M1 | M2 | Mc2 |
搭載機器 | SIV, CP | VVVF, BT | VVVF, BT | SIV, CP |
自重 | 34.0 t | 37.0 t | 37.0 t | 34.0 t |
主電動機出力 | 190 kW×2 | 190 kW×4 | 190 kW×4 | 190 kW×2 |
定員(座席) | 124 (41) | 133 (45) | 133 (46) | 124 (41) |
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5703
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5803
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5804
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5704
運用
テレビ番組での登場
﹃ザ!鉄腕!DASH!!﹄︵日本テレビ系︶の20周年記念企画として、初期に行われていた﹃電車リレー対決﹄の復刻版﹁TOKIOvs阪神電車 リレー対決﹂が2015年11月8日に放送され、打出駅にて本系式とTOKIOの5人が50メートル×5人のリレー方式で250m競走を行った[30][31]。5500系を用いて行われた1998年以来、17年ぶりの対決となった[30]。編成表
2020年6月10日現在の編成を基本に記す[32]。← 梅田 |
竣工 | 注釈 | |||
---|---|---|---|---|---|
Mc1 | M1 | M2 | Mc2 | ||
5701 | 5801 | 5802 | 5702 | 2015年6月25日[33] | |
5703 | 5803 | 5804 | 5704 | 2017年3月21日[34] | |
5705 | 5805 | 5806 | 5706 | 2017年6月15日[35] | |
5707 | 5807 | 5808 | 5708 | 2017年7月11日[35] | |
5709 | 5809 | 5810 | 5710 | 2019年3月22日[36] | |
5711 | 5811 | 5812 | 5712 | 2019年12月19日[37] | |
5713 | 5813 | 5814 | 5714 | 2020年2月3日[37] | |
5715 | 5815 | 5816 | 5716 | 2021年4月22日 | |
5717 | 5817 | 5818 | 5718 | 2021年6月10日 |
出典
参考文献
●岡本正史﹁新車ガイド 阪神電気鉄道5700系﹂﹃鉄道ファン﹄2015年9月号・通巻653号、交友社。58-62頁。 ●﹁阪神電気鉄道普通用車両5700系 ジェット・シルバー 5700﹂﹃鉄道ジャーナル﹄第588号、鉄道ジャーナル社、2015年10月、90 - 93頁。 ●﹁MODELERS FILE 阪神電鉄 5700系電車﹂﹃とれいん﹄2016年1月号︵通巻493号︶、プレス・アイゼンバーン。39-45頁。 ●﹁阪神電気鉄道株式会社5700系車両用電機品﹂ ﹃東洋電機技報﹄第135号、東洋電機製造、2017年4月 ●岡本正史﹁5700系新型車両“ジェット・シルバー5700”の紹介﹂﹃SUBWAY﹄206号、2015年8月、日本地下鉄協会。44-48頁。外部リンク
- 5700系車両の運行スケジュールについて - 阪神電気鉄道公式ウェブサイト、2015年9月5日閲覧。
- 車両のご案内 普通5700系 - 阪神電気鉄道公式ウェブサイト、2016年8月5日閲覧。
- HANSHIN“たいせつ”活動 ジェット・シルバー5700 - 阪神電気鉄道公式ウェブサイト、2016年8月5日閲覧。
- 編集長敬白:阪神5700系登場。 - 鉄道ホビダス
- 日本地下鉄協会『SUBWAY』2021年2月号特集「快適な車内環境づくりの取り組み(その3)」「阪神電車における快適な車内環境づくり - 人に優しい車両設計 - 」 (PDF) (pp.26 - 29掲載)