吊りスカート
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吊りスカート︵つりスカート︶は、ウエスト部分に取り付けた一対の紐で肩から吊り下げるようにして着用するスカートの総称である。
ブラックウォッチタータン
2007年になると、ハイウエストのタイトシルエット系の吊りスカートが大人のファッションとして取り込まれ、特に20代から30代女性のOLにターゲットを絞ったセレブファッションとしても扱われている。これらは黒や灰色、あるいはブラックウォッチなどのタータン系のシックな柄を用いて製作され、フォーマルな用途にも対応している。デザイン的にもボタンを中央に3つあるいは、左右に3つずつ並べただけのシンプルなスタイルが主流である。また、このタイプのハイウエスト吊りスカートは、子供っぽいイメージを払拭するために、吊り紐が前ウエストの比較的外側に付いたデザインとなっているものが多い。通常、このように紐が外側に寄っていると、紐が肩から落ち易いものだが、これらの新しい吊りスカートでは、吊り紐は身長に合わせて短くし、背中で大きく十文字に交差させて着るようになっているので、紐が肩から落ちることも少ない。若者向けのローライズに穿き、長い吊り紐をわざとずり落としたりするパンク系やルーズ系の吊りスカートとは、明らかに一線を画する大人の女の吊りスカートである。2020年頃になると左右でサスペンダーの太さが異なるものやワンショルダー(片側だけ)の吊りスカートが出てきている。
ババリア地方のレーダーホーゼン
スイスの女性用民族衣装の一例
かつて、中学、高校に普通に見られた標準服のシンプルな吊りスカート
日本でも服飾デザインの世界で、ベーシックなタイプのプリーツスカートは、このようなH型の吊り紐が付いたものが一つの標準パターンになっていた時代もあり、過去において、しばしばH型吊り紐の吊りスカートが登場している。戦時中の女子青年団の制服もこのようなH型吊り紐付きの紺色のプリーツスカートであった。中原淳一が﹁ジュニアそれいゆ﹂に発表したファッションデザインには吊りスカートが多く見られ、H型吊り紐付きも見られるのは当時の流行を物語っている。
スカートに付いた吊り紐は、バックルで紐丈の調節ができるようになったものもあるが、ほとんどはボタンがけして留めるデザインである。そしてかつては、吊り紐はボタンがけされない一方の先端部分︵ほとんどの場合、背中側︶はスカート本体に縫い込んだり、綴じ付けてあって紐の取り外しのできないデザインが主流であった。紐がスカート本体に固定されていると、着た時のシルエットも綺麗で、ウエスト部分が引き攣れたりすることも無いが、流行が変わったり、気分的に吊りをするのに飽きたような場合には、スカート本体に綴じ付けられた吊り紐はハサミで切って取らねばならない。リサイクルショップなどに出ている吊りスカートには、吊り紐をハサミで切り落としたものが多く見られるが、これにより生地を傷める原因となる場合も多い。このためか最近のものでは、前後共にボタンがけで吊り紐の取り外しができ、好みで吊りをしたり外したりできるデザインが主流となっている。これでは普通のスカートに別パーツのサスペンダーを付けて着用するのと変わりがないと思われるが、吊り紐が取り外せるタイプのスカートでも、共布の紐が付属している場合にはそのスカートは吊りスカートのカテゴリに含まれる。なお、アメリカでは商品の解説に吊り紐の取り外しができるタイプには、必ず︵detachable shoulder strap︶の表記がある。
吊りスカートを商業的に多くデザインしたデザイナーとしては、金子功が挙げられる。彼の立ち上げたピンクハウスやインゲボルグなどのブランドには、多くの吊りスカートがある。
神戸海星女子学院高校制服︵冬服︶の吊りスカート
福岡海星女子学院高校制服︵冬服︶の吊りスカート
香蘭女学校の旧制服の吊りスカート
旧安田信託銀行女子行員制服︵冬服︶の吊りスカート
吊りスカートを制服として採用した学校、企業には次のところがあった。