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性 (文法)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
女性名詞から転送)

: gendergrammatical gender[1][2][3]

[4][2][5][6]

[]


3
ロシア語の例(a)[7]
Журнал лежал на столе.
雑誌(男性) あった(男性) の上に テーブル
ロシア語の例(b)[7]
Книга лежала на столе.
本(女性) あった(女性) の上に テーブル
ロシア語の例(c)[7]
Письмо лежало на столе.
手紙(中性) あった(中性) の上に テーブル

動詞のほかに、形容詞限定詞数詞・焦点標識などが性の一致をする言語がある[7]

性の分け方[編集]



[]



意味による性の付与の例(タミル語
意味 和訳
男性と男神 男性名詞 ஆண் (āṇ) 「男」
சிவன் (civaṉ) シヴァ
女性と女神 女性名詞 பெண் (peṇ) 「女」
காளி (kāḷi) カーリー
その他 中性名詞 வீடு (vīṭu) 「家」
மரம் (maram) 「木」

タミル語ではほぼ例外なく、意味と性が対応している。

一方、コンゴ民主共和国スーダン中央アフリカ共和国などで話されているザンデ語でも、名詞は意味によって性を付与されるが、例外が存在する。

意味による性の付与の例(ザンデ語
意味 和訳
男性 男性名詞 kumba 「男」
女性 女性名詞 dia 「妻」
その他の有生性 動物名詞 nya 「獣」
その他 中性名詞 bambu 「家」

80

diwiwangu

bandetongo

abangbebaundu

mbasabadupo

ze


[]



[]




3

отец дядялев 

мать тётяльвица


実物には性別がないものを指すロシア語の名詞の性
男性 女性 中性
  • журнал(雑誌)
  • дом(家)
  • чай(紅茶)
  • автомобиль(車)
  • вечер(夕方)
  • флаг(旗)
  • закон(法律)
  • газета(新聞)
  • школа(学校)
  • вода(水)
  • машина(車)
  • ночь(夜)
  • эмблема(紋章)
  • гласность(開放)
  • письмо(手紙)
  • здание(建物)
  • вино(ワイン)
  • такси(タクシー)
  • утро(朝)
  • знамя(旗じるし)
  • доверие(信頼)

このように、性別を持たないものを指すロシア語の名詞は意味的には似ていても違う性が付与される。性別を持たないものを意味する名詞を分類する基準は曲用のタイプという形態論的なものである。

ロシア語の単数名詞の曲用
I II III IV
主格 закон школ-а кость вин-o
対格 закон школ-у кость вин-o
生格 закон-а школ-y кост-и вин-а
与格 закон-у школ-е кост-и вин-у
造格 закон-ом школ-ой кость-ю вин-ом
前置格 закон-е школ-е кост-и вин-е
закон「法律」 школa「学校」 кость「骨」 вино「ワイン」

ロシア語には大きく分けて4つの曲用のタイプがあり、タイプ I は男性名詞、タイプ II とタイプ III は女性名詞、それ以外は中性名詞である。ただし、曲用のタイプよりも意味的な基準が優先するため、タイプ II にも男性名詞が存在する。このような、曲用のタイプと性との強い相関はインド・ヨーロッパ語族にはめずらしくない。

音韻論による分類[編集]

意味的な基準が適用できない場合に、音韻的な基準によって性を付与する言語もある。

例えばアファル語では、人間の男性と動物の雄を表す名詞は男性名詞、人間の女性と動物の雌を表す名詞は女性名詞に分類される。

  • 男性や雄→男性名詞:bàxa「息子」、toobokòyta「兄弟」、barisèyna「男の先生」、kùta「雄犬」、abbà「父」
  • 女性や雌→女性名詞:baxà「娘」、toobokoytà「姉妹」、bariseynà「女の先生」、kutà「雌犬」、gabbixeèra「腰の細い女性」

それ以外の名詞は音韻的に性が決まる。強勢のある母音で終わる名詞は女性名詞であり、その他は男性名詞である。

  • 強勢のある母音で終わる→女性名詞:catò「助け」、karmà「秋」
  • そのほか→男性名詞:cedèr「夕食時」、gilàl「冬」、tàmu「味」、baànta「トランペット」

性の数[編集]

性の数

  なし (56.4%)
  2つ (19.5%)
  3つ (10.1%)
  4つ (4.7%)
  5つ以上 (9.3%)

257調145250326412524

西



223245201315

印欧語族の性[編集]

 
:  
: / 
: / 
: / 
: //

33

3



das Mädchen chen[8]

 pianista ︿ -a [9]

 merch  y ferch  y ferch fawr   y mab mawr

[10]

[]


2ةةة ال (al)ה

7شجرshajar: شجرةshajara: طريقtarīqسكينsikkīn使

[]


428

[]


2

[]


221101518

[]


調

脚注[編集]

  1. ^ Hockett, Charles F. A Course in Modern Linguistics. New York: Macmillan. 1958: 231
  2. ^ a b Corbett 1991: 1
  3. ^ 「性」『言語学大辞典:第6巻 述語編』三省堂 1996
  4. ^ Corbett 1991: 10, 146
  5. ^ Dixon 1982
  6. ^ Corbett 1991: 136-137
  7. ^ a b c d Corbett 2011
  8. ^ ドイツ語 文法 010: 名詞の性:解説”. www.coelang.tufs.ac.jp. 2023年3月8日閲覧。
  9. ^ 複数形は男性人間型変化となる。なお、〈女性ピアニスト〉は指小辞の付いた pianistkaという形となる。
  10. ^ 本来の過去形である未完了過去、アオリストは人称と数によって変化するが、南スラブ系の一部を除いてこれらは(ほぼ)廃れ本来現在完了形である「コピュラ動詞現在+能動完了分詞(結果分詞・L分詞などとも呼ばれる)」がそれらに代わった。分詞は形容詞とも考えられるので主語に性数一致する。ロシア語においてはコピュラ動詞の現在形は一部の用法以外は省略されるので動詞が性数変化するように見えるのである。

参考文献[編集]

  • Corbett, Greville G. 1991. Gender. Cambridge: Cambridge University Press.
  • Corbett, Greville G. 2011. “Number of Genders”. Dryer, Matthew S. & Haspelmath, Martin (eds.) The World Atlas of Language Structures Online. Munich: Max Planck Digital Library, chapter 30. 2011-09-04閲覧
  • Dixon, R. M. W. 1982. ‘Where Have All the Adjectives Gone?’ and Other Essays in Semantics and Syntax. Berlin: Mouton de Gruyter

関連項目[編集]