国王陛下万歳
God Save the King | |
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和訳例:国王陛下万歳 | |
1745年10月15日の「The Gentleman's Magazine」に掲載された初期の譜面。 掲載ページのタイトルは、 "God save our lord the king: A new song set for two voices"。 | |
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別名 |
God Save the Queen (女王陛下万歳〈君主が女性の時〉) |
作詞 | ヘンリー・ケアリー |
作曲 | 不明 |
採用時期 | 1745年9月 |
試聴 | |
概要[編集]
イギリスにおいて国歌として法律で制定されてはいないが、一般に国歌として広く認知されている。 なお、連合王国の構成国であるウェールズや北アイルランド、スコットランドでは独自の国歌を持ち、サッカーなどウェールズ、スコットランド[6]が個別に代表を出しているスポーツの試合では、﹃国王陛下万歳﹄ではなく、それぞれの国歌が演奏され歌われる︵ただし、いずれも法律上の定めはなし︶。 かつてイギリス連邦諸国︵旧イギリス帝国︶でも国歌として採用されていたが、現在は公募などによって別の歌を国歌として採用している。 ニュージーランドでは、今日でも﹃神よニュージーランドを守り給え﹄とともに国歌のひとつである。 カナダ、オーストラリア、バハマ、ジャマイカ、マン島では王室歌︵Royal Anthem︶として採用されている。 イギリス連邦非構成国ではあるが、リヒテンシュタインでは同じ旋律を流用して独自の歌詞を乗せて国歌としている。歴史上では過去に、かつてのスイス、ドイツ帝国︵現‥ドイツ連邦共和国︶、ザクセン王国︵現‥ドイツ、ザクセン州︶、ロシア帝国︵現‥ロシア連邦︶、アメリカ合衆国も同様であった。 動詞が三人称・単数・現在形で活用して﹁saves﹂とならず原形の﹁save﹂なのは、﹁神に対する加護の要請﹂を示す仮定法現在、いわゆる祈願文であるためである[7]。 公式の場で斉唱する場合であっても、国王(女王)自身が歌唱することは一切ない[8]。歴史[編集]
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歌詞[編集]
イギリスの君主に国王ではなく女王が在位している場合は、﹁King﹂の代わりに﹁Queen﹂を、﹁Father﹂の代わりに﹁Mother﹂を、﹁his/him﹂の代わりに﹁her﹂をそれぞれ用いる。また、男性君主の治世では3番の第6行の﹁"To sing with heart and voice"︵声無きも声高きも歌ひぬ︶﹂の部分が﹁"With heart and voice to sing"︵歌ふ心で歌ふ声で︶﹂となるとする主張があるが、王室の公式ウェブサイトでも"To sing with heart and voice"のまま変更されていない[10]。ジョージ6世までの﹁God Save the King﹂でも"To sing with heart and voice"で歌われている[11]。一方で、チャールズ3世の即位後に"With heart and voice to sing"で歌った例も存在する[12]。 なお、エリザベス2世の崩御によりチャールズ3世が即位し、イギリス王位継承順位は﹁ウィリアム王太子︵1位︶→ジョージ王子︵2位︶﹂となっている。順当にこの順位で王位が継承されれば3代続いて男性君主の在位となり、この期間の国歌は﹁God Save the King︵国王陛下万歳/神よ国王を守り給え︶﹂となる。 これまでの君主の性別による国歌の変遷は、以下の通りである。期間[注釈 1] | 国歌 | 国王/女王 |
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1745年9月 - 1837年6月20日 約91年9カ月間 |
「God Save the King」 (国王陛下万歳/神よ国王を守り給え) |
ジョージ2世→ジョージ3世→ジョージ4世→ウィリアム4世 |
1837年6月20日 - 1901年1月22日 63年216日間 |
「God Save the Queen」 (女王陛下万歳/神よ女王を守り給え) |
ヴィクトリア |
1901年1月22日 - 1952年2月6日 51年15日間 |
「God Save the King」 | エドワード7世→ジョージ5世→エドワード8世→ジョージ6世 |
1952年2月6日 - 2022年9月8日 70年214日間 |
「God Save the Queen」 | エリザベス2世 |
2022年9月8日 - 現在 1年259日間 |
「God Save the King」 | チャールズ3世 |
国歌として通常歌われるのは1節である。曲が短いために2コーラス歌われることがあるが、その場合、好戦的な2節ではなく、立憲君主制を想起させる3節が付け足される。2012年ロンドンオリンピックの開会式などでは1・3節が歌われた。BBCプロムスでは1・2節が歌唱される。
6番は、ジャコバイト蜂起の記憶が薄れイングランドとスコットランドの融合が進む中で、19世紀初頭にはほとんど歌われなくなった。近年になって「反逆せしスコットランド人を破らしめむ」という節がスコットランド住民を敵視するものだとして、6番を削除する案が一部議員から提出されているが、反対意見が多くまだまとまっていない。歌詞に出てくるウェイド元帥とはジャコバイト鎮圧やオーストリア継承戦争で活躍した軍人ジョージ・ウェイドのことである。
英語原詩[10] | 邦訳例[要出典] | |
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1. |
God save our gracious King, |
おお神よ我らが慈悲深き国王/女王を守りたまへ |
2. |
O Lord, our God, arise, |
おお主よ、神よ、立ち上がられよ |
3. |
Thy choicest gifts in store, |
汝が選り抜ける進物の |
4. |
Not in this land alone, |
神の御慈悲は |
5. |
From every latent foe, |
闇に潜みし敵より |
6. |
Lord grant that Marshal Wade |
主はウェイド元帥をして |
編曲[編集]
歴史の長い曲であり、著名な作曲家たちによって編曲されている。
- ヨハン・クリスティアン・バッハ - 『6つのチェンバロ協奏曲』作品1の第6番ニ長調の最終楽章に、この曲のメロディーを変奏曲仕立てにしている。
- ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン - この曲を主題にした変奏曲(ピアノ曲)を作曲している。また、交響曲「ウェリントンの勝利」においても引用している。
- フランツ・リスト - この曲を編曲している。
- ニコロ・パガニーニ - この曲を主題にしたヴァイオリン独奏による変奏曲や、管弦楽伴奏付きのヴァイオリン曲(Maestosa suonata sentimentale)を作曲している。
- クロード・ドビュッシー - 『前奏曲集 第2巻』の「ピクウィック殿をたたえて」の中で、この曲を引用している。
- エドワード・エルガー - この曲を管弦楽編曲している。
- ベンジャミン・ブリテン - この曲を管弦楽編曲している。BBCプロムスで演奏されることがある。
- チャールズ・アイヴズ - この曲を主題にした変奏曲(オルガン曲)を作曲している。
その他[編集]
批判[編集]
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ 国歌の切り替わり日は、新旧両方の曲の期間に含まれる。