気球
概要[編集]
袋状あるいはボール状の入れものの中に、空気より軽い気体が入り、浮力を得る。歴史[編集]
年表[編集]
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分類・種類[編集]
有人気球[編集]
無人気球[編集]
無人気球は、高層大気などを観測する気象観測や、X線や赤外線による天体観測やオゾン層の観測等に盛ん使用されている。酸素よりも塩素と化合しやすいナトリウム蒸気を成層圏で放出して塩素原子を吸着することによりオゾン層を修復する試みもある[5]。航空法規[編集]
国ごとに法規上の扱いに違いはある。 日本では﹁空中障害物﹂として扱われ、気球を飛行させることについての国家資格は無いが航空法に基づき、気球を飛行・浮遊させる空域によっては、飛行・浮遊させる事が禁止される場合、または飛行・浮遊させる場合に事前に国土交通大臣への届出が必要な場合がある︵制限表面︶。また、操縦装置を有する気球は有人・無人に関わらず、小型無人機等飛行禁止法により、国の重要施設等と周辺の上空は飛行を禁止される場合がある。他には、災害発生時に緊急用務空域が指定された場合、気球の飛行に際して一時的に許可または通報が必要となる。機体記号と操縦資格について国土交通省ではなく日本気球連盟が管理しており、技能証明として﹁熱気球操縦士技能証﹂を発行している。開発[編集]
気球の開発には継ぎ目等の強度を試験する為に縮尺模型に水を入れて試験を行う[6][7]。用途[編集]
軍事用気球(偵察用気球、着弾観測気球、阻害気球など)[編集]
気球はかつて盛んに軍事利用された。
『三国志』では諸葛亮孔明が発明した天灯(孔明灯)を通信のために打ち上げてたとされる[8]。モンゴル軍も参考にして、ポーランドでのワールシュタットの戦いで使用したとされる[9]。
観測気球[編集]
阻塞気球[編集]
第二次世界大戦頃まで使用された航空機妨害用の係留気球。爆撃隊の予想進路上に多数配置して攻撃を阻害する。水素ガスを入れて引火し易いようになっており(これは気嚢破壊の際に、襲撃機を爆発に巻き込んで墜落させるためである)、ナチス・ドイツの空軍は対気球用に機首へワイヤーカッターを装備したハインケル He111爆撃機さえ投入している。英本土航空戦(バトル・オブ・ブリテン)のロンドン上空や、ノルマンディー上陸作戦時の船団護衛に使用された事で有名である。阻塞気球は航空機の進入が低高度であった頃は有効だったが、後に爆撃高度が成層圏に至るまでになると意味を成さなくなった。
- 旧日本軍の気球部隊
旧日本陸軍は太平洋戦争終結まで気球部隊を運用していた(「気球連隊」参照)。
気球爆弾[編集]
気象観測用気球[編集]
気象観測に利用される気球で、無人気球であり、ラジオゾンデなどを下げて高層大気の気温・湿度・気圧などを測定するのに活用される。現代では大抵ゴム気球であり、ヘリウムガスや水素ガスを入れる。あらかじめ気球の厚みや中に入れるガスの量を調整して地上から放出・飛揚し、高度30km程度で破裂し、パラシュートで降下する。航空機によりもはるかに低コストで高高度に到達できる。気象観測用の気球は、一般の飛行船や気球とは異なる独自の発展を辿った[19]。特に1920年代末にラジオゾンデが発明されて以来、高層気象観測に欠かせないものとなっている[20]。広告用気球(アドバルーン)[編集]
広告(advertising)のために用いられる気球(balloon)を短縮して「アドバルーン」。派手な色の気球を係留して、人々が思わず見てしまうように仕向けて、バルーンの下に店名や商品名やキャッチコピーなどを下げて、人々の意識に店名・商品名・キャッチコピーなどを刷り込んでしまったり、思わず寄ってきてふと入店するように仕向ける宣伝手法。
プロパガンダ気球[編集]
プロパガンダを人々に刷り込むために利用される気球。韓国の団体によって、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の国民に対して政府への批判を醸成するためのプロパガンダ用のビラを搭載した風船を飛ばされたこともある。
惑星気球[編集]
金星や火星といった大気のある惑星に宇宙探査機で送り込む気球。様々な案が検討されている[21][22][23]。
高高度気球[編集]
宇宙線やオゾン層、気象観測等の調査に用いられる。大気の影響の少ない高高度に長時間滞在できる気球の利点を活かして赤外線やX線による天体観測も行われる。
ゼロ・プレッシャー気球[編集]
昼間、太陽光で加熱され内部の浮揚ガスが膨張した場合逆止弁を介してガスを放出する。夜間、浮揚ガスが収縮して浮力が減るとバラストを投下するこれを繰り返すことにより、一定の高度を維持する。日本軍の風船爆弾がこの機構を採用し、アメリカ本土へ到達させた。
スーパー・プレッシャー気球[編集]
FNRS-1[編集]
FNRS-1はオーギュスト・ピカールの開発した気球である。1931年5月27日、宇宙線やオゾンを研究するために、自らが設計した水素気球に乗ってドイツのアウクスブルク上空16,000 mの成層圏に達した。これは世界初の気球による成層圏到達であり、ピカールはこの業績によりハーモン・トロフィーを獲得した。この気球は直径30mと大型のもので、地上と上空の気圧の差を巧みに利用したものであった。1932年8月18日にはFNRS-1で自らの高度記録を更新している。彼はその後も気球に乗り続け、計27回の浮上の最高記録は23,000mであった。 その後、ピカールは気球の原理を応用した深々度潜水艇バチスカーフを建造している。成層圏飛行[編集]
アメリカのベンチャー企業ワールドビュー社は、6人乗りゴンドラを高度30kmの成層圏まで上昇させる気球を開発し、早ければ2019年にツアーを開始するため準備を進めている。高度100km︵カーマン・ライン︶以下であるため厳密には宇宙旅行ではないが、宇宙飛行士が見るのと近い地球を眺めることができる[26]。気球メーカー[編集]
気球のイベント[編集]
佐賀インターナショナルバルーンフェスタ[編集]
佐賀県で毎年10月下旬から11月上旬にかけての1週間に開催されるアジア最大級の気球のイベント。
バルーンイリュージョン[編集]
ツインリンクもてぎで毎年11月に開催される。
気球に関する作品[編集]
小説[編集]
児童文学[編集]
絵画[編集]
楽曲[編集]
アニメ[編集]
- 『太陽の牙ダグラム』(気球を付けて打ち上げられる、通信中継用ゾンデが登場する)
- 『カールじいさんの空飛ぶ家』(気球とは何なのかが問われる作品)
ゲーム[編集]
映画[編集]
- 『気球クラブ、その後』監督・脚本:園子温/出演:永作博美、深水元基、長谷川朝晴、川村ゆきえ
- 『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』監督:トム・ハーパー/脚本:ジャック・ソーン/出演:フェリシティ・ジョーンズ、エディ・レッドメイン、フィービー・フォックス ※1862年のジェームズ・グレーシャーの飛行が題材。
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
参考文献[編集]
- 篠田皎『気球の歴史』
- レナード・コットレル 西山浅次郎『気球の歴史』
- 『気球工学―成層圏および惑星大気に浮かぶ科学気球の技術』ISBN 9784339012262
- 西村純『気球をとばす』ISBN 9784001152043