DONET
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![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d8/RuptureAreasNankaiMegathrust.png/220px-RuptureAreasNankaiMegathrust.png)
DONETとは、Dense Oceanfloor Network system for Earthquakes and Tsunamisの略称で海洋研究開発機構により構築され防災科学技術研究所が運用管理する熊野灘沖の南海トラフで発生すると想定されている東南海地震の想定震源域の一部に敷設されている地震・津波観測監視システムのひとつ。DONET1とも表記することがある。なお、南海地震の想定震源域には、DONET2が敷設されている。
概要
観測ケーブルの基点となる陸上局は三重県尾鷲市古江町にあり、紀伊半沖合約125km先の水深約1,900〜4,300mの海底に総延長約250kmのループ上の基幹ケーブルが敷設されている。ケーブルの途中5カ所には拡張用分岐装置があり、それぞれ4つ合計20カ所の観測点が接続され、稠密に配置された観測点により地震や津波等のリアルタイム観測が高精度で行われている。 観測点には、強震計、広帯域地震計、水晶水圧計、微差圧計、ハイドロフォン、精密温度計が設置され、地殻変動のようなゆっくりした動きから大きな地振動まであらゆるタイプの海底の動きを確実に捉える。また、統合国際深海掘削計画︵IODP︶﹁南海トラフ地震発生帯掘削計画ステージ4に基づき尾鷲市から南方90km沖合の水深1,938mに、深部探査船﹁ちきゅう﹂が敷設した超深度掘削孔内の約780〜980mの深度には、歪計、温度計、間隙水圧計、広帯域地震計が設置されている。 観測データは陸上局から専用回線によりアルタイムで防災科学技術研究所、気象庁に配信され緊急地震速報、津波警報、地震の震源解析などの為に利用されている。 観測機器の敷設には、潜行深度を4,500mまで対応させたROVハイパードルフィンと支援母船として海洋調査船のかいようが使用された[1]。 (一)通信用海底ケーブル技術を用いた高信頼性能を持つ両端陸揚げの基幹ケーブルシステム。 (二)海底における科学観測を実施するために必要な機能が集約されたノード。 (三)最新鋭のセンサー群から構成される交換可能な観測装置。地震計
東南海・南海地震の想定震源域では、超低周波地震が発生している事を防災科学技術研究所の高感度地震観測網が捉えていたが、震源から離れた陸上の観測点であるため滑り箇所︵断層︶の特定までは行えていなかった。この超低周波地震で発生する周期50秒から1秒の長周期帯域の地震波の観測を、想定震源近くの複数観測で行い高品位のデータを採集することが必要とされたが、従来から海底地震計として使用されてきた自己浮上型海底地震計︵OBS︶は、長周期帯域の地震波の観測能力が無いほか、海底広帯域地震計は海底の水流の影響で揺り動かされるため、観測データはノイズに埋もれ高品位のデータは得ることが出来なかった。この問題を解決するため、地震計は海底下を約1m掘削し埋設される。特に、水深1,500mよりも浅い海域では、底引き網からケーブルと観測機器を守る必要性も生じる。
●強震計 - Metrozet TSA-100S[2]