万葉集

日本に現存する最古の和歌集
万葉時代から転送)

万葉集」(まんようしゅう、まんにょうしゅう、旧字体萬葉集)は、奈良時代末期に成立したとみられる日本に現存する最古の和歌集である[1]

元暦校本万葉集

概要

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[1]

2100[1][3][4][2]7759313075978011[1]西[6]

[1]

 [7][8]

成立

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書名の由来

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[9]鹿[][?]

25806416[10][11]

編者と成立年代

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(一)11 -53


(二)1+22


(三)3 - 15+1615
1 - 1617 - 20151617

(四)20
2783

2478525806[12][13]稿""""[10][14][11]使""

4[15] 

諸本と刊本

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595194000

519935西1751 - 18361749 - 1805

10西1

西西


古点本

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本節は特記以外は『日本古典文学大辞典』岩波書店、「万葉集」の項目(執筆者は林勉)による。

桂本

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43110916637使188114

金砂子切

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平安時代後期の書写で桂本の類である。巻13の8葉13首のみが現存する。長歌には訓がない。金砂子を散らした鳥の子紙に書かれており、この名がある。醍醐寺、石川武美記念図書館等が所蔵している。

嘉暦伝承本

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13283114721117

次点本

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藍紙本

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藍紙本万葉集
藍紙本万葉集 第9巻

9541101111

12

923

104

1827

[16]

元暦校本

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11841718635811151614261721293589131516131482011566

15141461012196184314191144614[17]MOA鹿使

金沢本

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金沢本万葉集巻第三・六残巻

[18]12541291504417913462476191043

天治本

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11242112941315581

26

1042

1410

1525

1415[19]

184525

29

104

1410

1511

174

306

伝壬生隆祐筆本

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鎌倉時代中期の書写。書写者の伝承による名称だが、確証はない。もと冊子本を巻子本にしており、巻9の前半85首を3巻にしたものと後寄りの4首の断簡が現存する。天治本と同系で、仙覚本底本系統である。四日市高尾家旧蔵で、佐佐木家を経て石川武美記念図書館が所蔵している。

尼崎本

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1611101126111

伝冷泉為頼筆本

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1183

春日本

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1243使

5242

63730

7100217

85438

98

1015

1314

1437

1916

2077

3822852


紀州本(神田本)

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全巻20巻の前半巻10までが次点本。鎌倉時代末期の寄合書きである。ただし巻7が2首を欠き、巻10で1首が重出する。鳥の子紙、元来粘葉本を綴本に改装している。訓をカタカナで漢字の右側に付すが、新点の訓が左側などに加えられている。巻10の奥書から藤原忠兼源光行行遠系統の本と見られるが、天治本とは必ずしも合致しない。後半巻11以降は室町時代後期、1542年天文11年)以前の文永三年本系新点本による補写である。後藤家を経て公益財団法人後藤報恩会昭和美術館が所蔵している。水戸徳川家の『四点万葉』に校合し、契沖の『万葉代匠記』にも引用されている。

『類聚古集』

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歌体や題材により歌を分類している。平安時代末期の書写。3834首が現存する。中山家、大谷家を経て、龍谷大学が所蔵している[20]

『古葉略類聚鈔』

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これも歌体や題材により歌を分類している。1250年建長2年)の書写で、1934首が現存する。奈良興福院と石川武美記念図書館が所蔵している。

その他の断簡類

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122



113



1913



748



9121014西



313



1014



113



312



161522110

新点本

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新点本ではほとんどの場合、傍訓形式で訓を本文の右側にカタカナで記している。うち文永本は古点、次点、新点のうち正しいと考えられた訓を多くの場合、色分けして右側に記している。それに対し寛元本では古点、次点を右側に、新点を左側に書いている。

神宮文庫本

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楮紙で袋綴じ。全巻20冊だが

  • 巻1の1葉3首
  • 巻2の1葉1首
  • 巻19末尾歌の左注以下の尾題

を欠いている。1546年天文15年)以前の室町時代後期の書写。寛元本系の現存する最古の写本である。外宮宮崎文庫を経て、現在は神宮文庫が所蔵しており、この名がある。

細井本

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楮紙で袋綴じ。全巻20冊だが、巻4の後半273首に代わって巻3の後半107首が重複して書かれている。全体は江戸時代初期に書写された寛元本であるが、巻4、5、6は室町時代末期の書写で為頼本と同系統の次点本である。1797年寛政9年)に細井貞雄が温故堂本と校合し奥書を記していることから、この名がある。木村正辞を経て、現在は東洋文庫が所蔵している。

林道春校本

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その名の通り林道春が江戸時代前期に細井本を書写したものである。現在は内閣文庫が所蔵している。後述の版本の活字無訓本はこれを底本にしている。

学習院本

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江戸時代の書写であり、基本的には寛元本系だが、巻5、6は次点本系である。学習院大学図書館所蔵で、この名がある。

今出河本

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江戸時代前期の書写である。寛元本系だが、巻4、5、6は文永本系である。現在は宮内庁書陵部が所蔵している。

西本願寺本

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西13142032.124.812663使10西19176[21]

田中本

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西本願寺本を書写したものである。題詞が低い。訓を黒、紺青、朱に書き分けるのは文永本に準ずるが、この写本では紺青を朱、黄、緑に分けている。室町時代末期の書写で、各巻は別人の筆になる。所蔵者による名称。

河野本

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16775西

金沢文庫本

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1919419

710

1284

1318

143

13311411197911121319

1199MOA

陽明文庫本

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2010152915712

温故堂本

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胡蝶装で、全20巻を合本して10帖にしている。そのうち

  • 巻6の目録の初め28首分
  • 巻10の152首
  • 巻19の1首

を欠いており、巻6は温故堂一伝の東京帝国大学本から木村正辞が補写したものである。文永十年頼直本系の陽明文庫本を書写したが、紺青訓がなくその部分は空白が多い。木村正辞から東洋文庫が所蔵している。

東京帝国大学本

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袋綴で、全巻20冊。光明寺覚雄等が温故堂本を書写した。東京帝国大学旧蔵による名称。関東大震災で焼失したが、温故堂本に欠けている部分が『校本万葉集』に校合されている。

大矢本

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20

121

196

6

7

近衛本

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江戸時代初期の書写。大型袋綴で、20冊の全本。文永十年本寂印成俊本系であるが、中院本に見られる禁裏御本巻1、20の奥書がある。大矢本と同系であるが、無訓歌は5首のみで書写字形も明瞭で、より善本である。近衛家陽明文庫所蔵で、この名がある。

京都大学本

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江戸時代初期の書写。袋綴で、20冊の全本だが巻19の1首を欠いている。文永十年本寂印成俊本系である。巻1、2、9、13、20に禁裏御本の奥書があり、全巻にわたって赤で禁裏御本と校合した書き入れがある。巻1の奥書には古万葉集序を記す中院本のひとつで、寛元本の内容を知り得る貴重な写本である。京都大学図書館が所蔵している。

その他の諸本・断簡

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11934



2012















121417551920



1012西



1012



1012西



19131978



74188411



313



416

版本

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活字無訓本

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10208×181456433

活字附訓本

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101596 - 16151615 - 1624

1

20


寛永本

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16432020

宝永本

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1709年宝永6年)の刊行であるが、寛永本の刊記だけを出雲国寺和泉掾のものとした。国会図書館などが所蔵している。

旁註本

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201789

『古万葉集』

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木版で袋綴じ、全巻20冊である。1803年享和3年)に和泉寺などによって刊行された。土佐国今村楽横田美水が宝永本に改訂を加えて本文だけを出版したもので、今村の序と横田の跋がある。内閣文庫などが所蔵している。

校異本

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2018052



構成と内容

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 - 

 - 

 - 



 - 

 - 

 - 

 - 



駿駿

3[3]
  • 短歌は、五七五七七の五句からなるもの。
  • 長歌は、十数句から二十数句までのものが普通であり、五七を長く続け、最後を特に五七七という形式で結ぶもの。長歌の後に、別に、一首か数首添える短歌は反歌と呼ばれている。
  • 旋頭歌は、短長の一回の組み合わせに長一句を添えた形を片歌といい、この片歌の形式を2回繰り返した形である。頭三句と同じ形を尾三句で繰り返すことから旋頭歌とついたといわれる。

歌数

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歌の数は4500首あまりからなるが、写本の異伝の本に基づく数え方が、歌数も種々様々の説がある。

例えば『国歌大観』によれば総歌数は4516首であるが、これには一首に2度番号を振るなど問題が多い。それらを整理した武田祐吉によると総歌数は4506首で、そのほかに「或本の歌」が57首、「一書の歌」が4首、「一本の歌」が3首、「或書の歌」が2首、「或は云はく」とある歌が3首、『古事記』の歌が1首の計70首であるという[22]

時期区分

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額田王の歌

4

1629672

2710

37335姿

47593


歌風と万葉仮名

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神坂神社にある防人歌の歌碑。万葉仮名で「ちはやぶる神の御坂に ぬさまつり いはふ命は 母父おもちちがため」とある。



使


万葉仮名で書かれた大伴家持の歌

    

    20-4467



    

    1-63

7028使使使使

使

影響

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『万葉集』と方言

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 1740171420

[4]90+5140+3



131420847755使82

1

    143483


  西  

    204420


    


日本古来の物語の原型説

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16[23]9[1][1]

[1]2[1]

元号(令和)

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201941114151 [7][24]

 27301330326[1][1]寿[1]

諸点

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巻頭と巻末の歌

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『万葉集』は全巻で20巻であるが、その巻頭の歌が雄略天皇の歌で始まり、大伴家持の歌で締めくくられている。奈良時代の人々においても雄略天皇が特別な天皇として意識されていたことを示す。

大泊瀬稚武おほはつせのわかたけ天皇の御製歌おほみうた

こもよ み持ち掘串ふくしもよ み掘串ぶくし持ち このをか菜摘なつます 家告らせ 名告らさね そらみつ 大和やまとの国は おしなべて われこそれ しきなべて われこそせ われにこそは らめ 家をも名をも(巻1・1番)
篭毛與 美篭母乳 布久思毛與 美夫君志持 此岳尓 菜採須兒 家告閑 名告紗根 虚見津 山跡乃國者 押奈戸手 吾許曽居 師吉名倍手 吾己曽座 我許背齒 告目 家呼毛名雄母
巻末 あらたしき 年の始めの 初春の 今日降る雪の いや吉事よごと

捕鯨

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万葉集には「いさな(鯨魚)」を詠んだ歌が詠われているが、いさなとは鯨魚、鯨名、勇魚、不知魚、伊佐魚とも表記していて、おもに鯨類を指す。そして「いさなとり」は、捕鯨を意味し主に海、浦、浜、灘などを表す枕詞として使われていた。

  • 巻 二
    「いさな取り」 淡海の海を 沖さけて こぎくる船 辺附きて こぎ来る船 沖つ櫂 いたくな撥ねそ 邊つ櫂 いたくな撥ねそ 若草の つまの 思ふ鳥立つ
  • 巻 三
    越の海の 角鹿の浜ゆ 大船の 真楫貫きおろし 「いさなとり」 海路に出でて
  • 巻 六
    やすみしし わが大君の あり通ふ 難波の宮は 「いさなとり」 海片附きて 玉拾ふ 浜辺を近み 朝羽振る 波のさわき 夕なぎに 櫂のおと聞ゆ あかときの 寝覚めに聞けば 海若わたつみ潮干しおひのむた 浦渚には 千鳥妻呼び 芦辺には たづとよむ 視る人の 語りにすれば 聞く人の 見まくりりする 御食みけ向かふ 味原の宮は 見れども飽かぬかも
  • 第 一六
    「鯨魚取り」 海や死する 山や死する 死ぬれこそ 海は潮干て 山は枯れすれ[注 5]

外国語との関係

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1950[25]

1980[6]調[26][27][28]

[29]

研究史

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鹿

[7]4西

仙覚

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12033740124312453124646124752

12535152

51261

1265298西

[21]

万葉集に由来する名前

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脚注

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注釈

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(一)^ [2]

(二)^ [5][]

(三)^ 163884

(四)^ 

(五)^ 

(六)^ 

(七)^ [30]

出典

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(一)^ abcdefghijk 2001

(二)^  () 201185

(三)^  2006

(四)^  2017, pp. 212220

(五)^ 20178

(六)^  219784428 

(七)^ abHTML201941https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201904/1_a.html201941 

(八)^   . NHK NEWS WEB. 20201229

(九)^  119265doi:10.11501/979062 

(十)^ ab姿1970P130.

(11)^ ab2021:320202021P95-104.

(12)^ 1998P248.

(13)^ --2019P243-249.

(14)^ --61984

(15)^ 

(16)^ . . . 202419202419

(17)^  . . 20191014

(18)^ 2009p.183

(19)^ . . . 202419202419

(20)^  - 

(21)^ ab20198

(22)^ 西

(23)^  2017, pp. 149180

(24)^ HTML201941https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2019/0401singengou.html201941 

(25)^  1︿1955 ASIN B000JBGU8Q

(26)^ 西199111ISBN 4-479-84017-6 
西︿19948ISBN 4-479-84032-X 
JICC19902ISBN 4-88063-784-X 
JICC19919ISBN 4-7966-0183-X 

(27)^ 

(28)^   R America: Land of Rising Sun 199511156-161ISBN 4-89691-166-0 

(29)^ CiNii Articles 

(30)^  2017, pp. 312

参考文献

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︿125420175ISBN 978-4480069627 

 ︿200111ISBN 978-4043574063 

78 3767-7620061 NAID 120005423685 

関連文献

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文献情報

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関連項目

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 - []30

 - 19

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外部リンク

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