「インバネスコート」の版間の差分
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[[ファイル:Man's Black Inverness Coat.jpg|サムネイル|200px|19世紀末期のインバネスコート]] |
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'''インバネスコート'''(Inverness coat)は、男性用の[[外套]]の一種。単に'''インバネス'''と呼ばれることもある。 |
'''インバネスコート'''(Inverness coat)は、男性用の[[外套]]の一種。単に'''インバネス'''と呼ばれることもある。 |
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== 概要 == |
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丈 |
丈の長いコートに、[[ケープ]]を合わせたデザイン。コート部分に袖のあるものと無いものがある。ケープの長さは、袖無しの場合は手首程度までの丈のものが多く、袖のある場合は肘から手首程度の範囲の丈のものが多い。ケープは取り外せる物と取り外せない物があり、袖無しの場合は取り外せない場合が多い。ケープの背中部分がコートの背中部分と一体化しているものもある。 |
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[[スコットランド]]の[[インヴァネス]]地方で生まれたとされているため、こう呼ばれている。雨天など過酷な気象でも[[バグパイプ]](スコットランドの楽器)を守り、演奏する |
[[スコットランド]]の[[インヴァネス]]地方で生まれたとされているため、こう呼ばれている。雨天など過酷な気象でも[[バグパイプ]](スコットランドの楽器)を守り、演奏するために作成されたといわれている。 |
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[[鹿撃ち帽]]、[[パイプ (たばこ)|パイプ]]と合わせた姿は、[[シャーロック・ホームズ]]のトレードマークとして知られている。ただし、この姿 |
[[鹿撃ち帽]]、[[パイプ (たばこ)|パイプ]]と合わせた姿は、[[シャーロック・ホームズ]]のトレードマークとして知られている。ただし、この姿は原作の中では描写されておらず、挿絵や映像作品などから二次的に生じた姿である{{efn|モーリス・ルブランの『リュパン対ホームズ』(''Arsène Lupin contre Herlock Sholmes'')第二部第2章では、ホームズ(ショルメス)がインヴァネス(macfarlane)からパイプを取り出すシーンが描かれている。}}。 |
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== ギャラリー == |
== ギャラリー == |
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⚫ | Sherlock Holmes statue at Meiringen2.jpg|[[スイス]]のマイリンゲンにあるホームズ像。 |
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|Inverness cape 07Tac 401.jpg|スコットランドの伝統衣装として[[キルト (衣装)|キルト]]の上に着用した例 |
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Bär-Sherlock Holmes.jpg|thumb|300px|[[シャーロック・ホームズ]]の格好をしたクマの人形(左側)。えんじ色のインバネスコートを身につけている。 |
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⚫ | |Sherlock Holmes statue at Meiringen2.jpg|[[スイス]]のマイリンゲンにあるホームズ像。 |
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|Bär-Sherlock Holmes.jpg|ホームズの格好をしたクマの人形(左)。えんじ色のインバネスコートを身につけている。 |
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⚫ | |Invernesscoat 1901.jpg|1901年のファッションプレートより、着こなしの一例。[[杖]]を持っている。 |
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|Invernesscoat2.jpg|1910年のファッションプレートより、着こなしの一例。[[シルクハット]]を被っている。 |
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== 日本におけるインバネスコート == |
== 日本におけるインバネスコート == |
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[[ファイル:Chrysanthemum Market (菊市場) in Japan, Taisho era (1914 by Elstner Hilton).jpg|サムネイル|下駄履きに帽 |
[[ファイル:Chrysanthemum Market (菊市場) in Japan, Taisho era (1914 by Elstner Hilton).jpg|サムネイル|360px|[[下駄]]履きに[[カンカン帽]]、[[傘#洋傘|洋傘]]を持ったとんび姿の男性(1914年)]] |
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[[ファイル:Tombi coat.png|サムネイル|150px|とんび(1903年の洋服裁縫教科書より)]] |
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日本では主に男性の[[和服|和装]]用コートとして用いられ、「'''二重回し'''」<ref>ジタル大辞泉 [[小学館]]</ref>「'''二重廻し'''」「'''二重マント'''」「'''とんび'''」<ref>精選版 日本国語大辞典</ref>「'''インバ'''」「'''エンバ'''」などと呼ばれる。一般に「インバネスコート」は袖がある |
日本では主に男性の[[和服|和装]]用コートとして用いられ、﹁'''二重回し'''﹂<ref>ジタル大辞泉 [[小学館]]</ref>﹁'''二重廻し'''﹂﹁'''二重マント'''﹂﹁'''とんび'''﹂<ref>精選版 日本国語大辞典</ref>﹁'''インバ'''﹂﹁'''エンバ'''﹂などと呼ばれる。一般に﹁インバネスコート﹂は袖があるが、﹁二重回し﹂や﹁とんび﹂には袖がない。二重回しの場合、ケープの下はベスト状になっており、ケープが肩から背中全体を覆っている。とんびの場合、ケープは肩のみで背中の部分にケープが無いことが多い。着丈は二重回しもとんびも膝下まで達する。
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これらの呼称は混乱しており、さまざまな定義が |
これらの呼称は混乱しており、さまざまな定義がなされているが、歴史的にどれかが正しいと言える物ではない。参考までに比較的よくなされる定義を記す。 |
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* 「インバネスコート」 - 袖のあるケープ付きの外套。 |
* 「インバネスコート」 - 袖のあるケープ付きの外套。 |
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* 「とんび」 - 袖が無く、ケープの背中部分がコートの背中部分と一体化している外套。 |
* 「とんび」 - 袖が無く、ケープの背中部分がコートの背中部分と一体化している外套。 |
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[[明治]]20年([[1887年]])ごろに伝わり、[[大正]]から[[昭和]]初期にかけて流行した。当時は「インバネスコート」「二重回し」「二重マント」「とんび」と呼ばれる外套は『[[富裕層|お大尽]]』だけが着ることのできるものであった。インバネスコートのデザインは和服の大きな袖が邪魔にならないため、実用性が非常に高かったことが流行の一因と思われる。和装自体が衰退した現代ではあまり見られなくなったが、現在でも和装をする際には、防寒着としてレトロでエレガントな雰囲気を持ったインバネスコートは依然需要があり、和装用の外套を扱っている店では販売している店舗も多い。 |
[[明治]]20年([[1887年]])ごろに伝わり、[[大正]]から[[昭和]]初期にかけて流行した。当時は「インバネスコート」「二重回し」「二重マント」「とんび」と呼ばれる外套は『[[富裕層|お大尽]]』だけが着ることのできるものであった。インバネスコートのデザインでは和服の大きな袖が邪魔にならないため、実用性が非常に高かったことが流行の一因と思われる。和装自体が衰退した現代ではあまり見られなくなったが、現在でも和装をする際には、防寒着としてレトロでエレガントな雰囲気を持ったインバネスコートは依然需要があり、和装用の外套を扱っている店では販売している店舗も多い。 |
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映画監督の[[伊丹十三]]は「着物にインバネスってのは、[[カレーライス|ライスカレー]]と[[福神漬け]]、と同じように和洋折衷大成功の一例である」と語っている{{要出典|date=2019年4月}}。 |
映画監督の[[伊丹十三]]は、「着物にインバネスってのは、[[カレーライス|ライスカレー]]と[[福神漬け]]、と同じように和洋折衷大成功の一例である」と語っている{{要出典|date=2019年4月}}。 |
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長崎の[[グラバー園|グラヴァー邸]]で知られる[[トーマス・ブレーク・グラバー|トーマス・グラヴァー]]を筆頭に、開国直後の、スコットランドから日本への技術伝達、訪日・友好は深く、また日本人留学生を[[アバディーン]](グラヴァーの故郷)、[[グラスゴー]]、[[エディンバラ]]などに、当時混乱の日本政府に先立って受け入れている{{要出典|date=2010年10月}}。この事により、帰郷した日本人やスコットランド人により「インバネスコート」・「蛍の光」・「ウイスキー([[竹鶴政孝]]による。妻の[[竹鶴リタ]]はスコットランド人)」などが日本に紹介・持ち込まれたと思われる。 |
長崎の[[グラバー園|グラヴァー邸]]で知られる[[トーマス・ブレーク・グラバー|トーマス・グラヴァー]]を筆頭に、開国直後の、スコットランドから日本への技術伝達、訪日・友好は深く、また日本人留学生を[[アバディーン]](グラヴァーの故郷)、[[グラスゴー]]、[[エディンバラ]]などに、当時混乱の日本政府に先立って受け入れている{{要出典|date=2010年10月}}。この事により、帰郷した日本人やスコットランド人により「インバネスコート」・「蛍の光」・「ウイスキー([[竹鶴政孝]]による。妻の[[竹鶴リタ]]はスコットランド人)」などが日本に紹介・持ち込まれたと思われる。 |
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=== 出典 === |
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== 関連項目 == |
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*[[和服]] |
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*[[スコットランド]] |
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*[[キルト (衣装)]] |
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*[[シャーロック・ホームズ]] |
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== 外部リンク == |
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2020年12月20日 (日) 01:41時点における版
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![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/75/Man%27s_Black_Inverness_Coat.jpg/200px-Man%27s_Black_Inverness_Coat.jpg)
概要
丈の長いコートに、ケープを合わせたデザイン。コート部分に袖のあるものと無いものがある。ケープの長さは、袖無しの場合は手首程度までの丈のものが多く、袖のある場合は肘から手首程度の範囲の丈のものが多い。ケープは取り外せる物と取り外せない物があり、袖無しの場合は取り外せない場合が多い。ケープの背中部分がコートの背中部分と一体化しているものもある。 スコットランドのインヴァネス地方で生まれたとされているため、こう呼ばれている。雨天など過酷な気象でもバグパイプ︵スコットランドの楽器︶を守り、演奏するために作成されたといわれている。 鹿撃ち帽、パイプと合わせた姿は、シャーロック・ホームズのトレードマークとして知られている。ただし、この姿は原作の中では描写されておらず、挿絵や映像作品などから二次的に生じた姿である[注釈 1]。ギャラリー
日本におけるインバネスコート
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/3/3e/Chrysanthemum_Market_%28%E8%8F%8A%E5%B8%82%E5%A0%B4%29_in_Japan%2C_Taisho_era_%281914_by_Elstner_Hilton%29.jpg/360px-Chrysanthemum_Market_%28%E8%8F%8A%E5%B8%82%E5%A0%B4%29_in_Japan%2C_Taisho_era_%281914_by_Elstner_Hilton%29.jpg)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/57/Tombi_coat.png/150px-Tombi_coat.png)
脚注
注釈
- ^ モーリス・ルブランの『リュパン対ホームズ』(Arsène Lupin contre Herlock Sholmes)第二部第2章では、ホームズ(ショルメス)がインヴァネス(macfarlane)からパイプを取り出すシーンが描かれている。
出典
関連項目
外部リンク
- 大正・昭和の外套 とんび - 昭和からの贈りもの