コンテンツにスキップ

「インバネスコート」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
編集の要約なし
1行目: 1行目:

{{出典の明記|date=2016-10-15}}

{{出典の明記|date=2016-10-15}}

[[ファイル:Man's Black Inverness Coat.jpg|サムネイル|インバネスコート]]

[[ファイル:Man's Black Inverness Coat.jpg|サムネイル|200px|19世紀末期のインバネスコート]]

'''インバネスコート'''(Inverness coat)は、男性用の[[外套]]の一種。単に'''インバネス'''と呼ばれることもある。

'''インバネスコート'''(Inverness coat)は、男性用の[[外套]]の一種。単に'''インバネス'''と呼ばれることもある。



== 概要 ==

== 概要 ==

長いコートに、[[ケープ]]を合わせたデザインを持つ。コート部分袖のあるものと無いものがある。ケープの長さは、袖無しの場合は手首程度までの丈のが多く、袖のある場合は肘から手首程度の範囲の丈のが多い。ケープは取り外せる物と取り外せない物があり、袖無しのは取り外せない場合が多い。ケープの背中部分がコートの背中部分と一体化しているもある。

長いコートに、[[ケープ]]を合わせたデザイン。コート部分袖のあるものと無いものがある。ケープの長さは、袖無しの場合は手首程度までの丈のものが多く、袖のある場合は肘から手首程度の範囲の丈のものが多い。ケープは取り外せる物と取り外せない物があり、袖無しの場合は取り外せない場合が多い。ケープの背中部分がコートの背中部分と一体化しているものもある。



[[スコットランド]]の[[インヴァネス]]地方で生まれたとされているため、こう呼ばれている。雨天など過酷な気象でも[[バグパイプ]](スコットランドの楽器)を守り、演奏するに作成されたといわれている。

[[スコットランド]]の[[インヴァネス]]地方で生まれたとされているため、こう呼ばれている。雨天など過酷な気象でも[[バグパイプ]](スコットランドの楽器)を守り、演奏するために作成されたといわれている。



[[鹿撃ち帽]]、[[パイプ (たばこ)|パイプ]]と合わせた姿は、[[シャーロック・ホームズ]]のトレードマークとして知られている。ただし、この姿で居る描写は原作の中ではされておらず、挿絵や映像作品などから二次的に生じた姿である{{efn|モーリス・ルブランの『リュパン対ホームズ』(''Arsène Lupin contre Herlock Sholmes'')第二部第2章では、ホームズ(ショルメス)がインヴァネス(macfarlane)からパイプを取り出すシーンが描かれている。}}。

[[鹿撃ち帽]]、[[パイプ (たばこ)|パイプ]]と合わせた姿は、[[シャーロック・ホームズ]]のトレードマークとして知られている。ただし、この姿は原作の中では描写されておらず、挿絵や映像作品などから二次的に生じた姿である{{efn|モーリス・ルブランの『リュパン対ホームズ』(''Arsène Lupin contre Herlock Sholmes'')第二部第2章では、ホームズ(ショルメス)がインヴァネス(macfarlane)からパイプを取り出すシーンが描かれている。}}。



== ギャラリー ==

== ギャラリー ==

<gallery>

{{gallery

|height=200

Sherlock Holmes statue at Meiringen2.jpg|[[スイス]]のマイリンゲンにあるホームズ像。

|Inverness cape 07Tac 401.jpg|スコットランドの伝統衣装として[[キルト (衣装)|キルト]]の上に着用した例

Bär-Sherlock Holmes.jpg|thumb|300px|[[シャーロック・ホームズ]]の格好をしたクマの人形(左側)。えんじ色のインバネスコートを身につけている。

|Sherlock Holmes statue at Meiringen2.jpg|[[スイス]]のマイリンゲンにあるホームズ像。

Invernesscoat 1901.jpg|200px|thumb|着こなしの一例。[[杖]]を持っている。

Invernesscoat2.jpg|200px|thumb|着こなしの一例[[シルクハッ]]被っている。

|Bär-Sherlock Holmes.jpg|ホームズの格好をたクマ人形(左)えんじ色のインバネスコートを身につけている。

|Invernesscoat 1901.jpg|1901年のファッションプレートより、着こなしの一例。[[杖]]を持っている。

</gallery>

|Invernesscoat2.jpg|1910年のファッションプレートより、着こなしの一例。[[シルクハット]]を被っている。


}}

== 日本におけるインバネスコート ==

== 日本におけるインバネスコート ==

[[ファイル:Chrysanthemum Market (菊市場) in Japan, Taisho era (1914 by Elstner Hilton).jpg|サムネイル|下駄履きに帽ったとんび姿の男性。大正時代]]

[[ファイル:Chrysanthemum Market (菊市場) in Japan, Taisho era (1914 by Elstner Hilton).jpg|サムネイル|360px|[[下駄]]履きに[[カンカン]]、[[傘#洋傘|洋傘]]ったとんび姿の男性(1914年)]]

[[ファイル:Tombi coat.png|サムネイル|とんび]]

[[ファイル:Tombi coat.png|サムネイル|150px|とんび(1903年の洋服裁縫教科書より)]]

日本では主に男性の[[和服|和装]]用コートとして用いられ、「'''二重回し'''」<ref>ジタル大辞泉 [[小学館]]</ref>「'''二重廻し'''」「'''二重マント'''」「'''とんび'''」<ref>精選版 日本国語大辞典</ref>「'''インバ'''」「'''エンバ'''」などと呼ばれる。一般に「インバネスコート」は袖があるもの、二重回しは袖が無くてケープの下はベスト状ケープが肩を覆っている。トンビはケープは背中ま達しておらず、背中の部分にケープが無いものを指すことが多い。着丈は二重回しもトンビも膝下まで達する。


[[|]]''''''<ref> [[]]</ref>''''''''''''''''''<ref> </ref>''''''''''''


これらの呼称は混乱しており、さまざまな定義がされているが、歴史的にどれかが正しいと言える物ではない。参考までに比較的よくなされる定義を記す。

これらの呼称は混乱しており、さまざまな定義がされているが、歴史的にどれかが正しいと言える物ではない。参考までに比較的よくなされる定義を記す。



* 「インバネスコート」 - 袖のあるケープ付きの外套。

* 「インバネスコート」 - 袖のあるケープ付きの外套。

29行目: 30行目:

* 「とんび」 - 袖が無く、ケープの背中部分がコートの背中部分と一体化している外套。

* 「とんび」 - 袖が無く、ケープの背中部分がコートの背中部分と一体化している外套。



[[明治]]20年([[1887年]])ごろに伝わり、[[大正]]から[[昭和]]初期にかけて流行した。当時は「インバネスコート」「二重回し」「二重マント」「とんび」と呼ばれる外套は『[[富裕層|お大尽]]』だけが着ることのできるものであった。インバネスコートのデザインは和服の大きな袖が邪魔にならないため、実用性が非常に高かったことが流行の一因と思われる。和装自体が衰退した現代ではあまり見られなくなったが、現在でも和装をする際には、防寒着としてレトロでエレガントな雰囲気を持ったインバネスコートは依然需要があり、和装用の外套を扱っている店では販売している店舗も多い。

[[明治]]20年([[1887年]])ごろに伝わり、[[大正]]から[[昭和]]初期にかけて流行した。当時は「インバネスコート」「二重回し」「二重マント」「とんび」と呼ばれる外套は『[[富裕層|お大尽]]』だけが着ることのできるものであった。インバネスコートのデザインは和服の大きな袖が邪魔にならないため、実用性が非常に高かったことが流行の一因と思われる。和装自体が衰退した現代ではあまり見られなくなったが、現在でも和装をする際には、防寒着としてレトロでエレガントな雰囲気を持ったインバネスコートは依然需要があり、和装用の外套を扱っている店では販売している店舗も多い。



映画監督の[[伊丹十三]]は「着物にインバネスってのは、[[カレーライス|ライスカレー]]と[[福神漬け]]、と同じように和洋折衷大成功の一例である」と語っている{{要出典|date=2019年4月}}。

映画監督の[[伊丹十三]]は「着物にインバネスってのは、[[カレーライス|ライスカレー]]と[[福神漬け]]、と同じように和洋折衷大成功の一例である」と語っている{{要出典|date=2019年4月}}。



長崎の[[グラバー園|グラヴァー邸]]で知られる[[トーマス・ブレーク・グラバー|トーマス・グラヴァー]]を筆頭に、開国直後の、スコットランドから日本への技術伝達、訪日・友好は深く、また日本人留学生を[[アバディーン]](グラヴァーの故郷)、[[グラスゴー]]、[[エディンバラ]]などに、当時混乱の日本政府に先立って受け入れている{{要出典|date=2010年10月}}。この事により、帰郷した日本人やスコットランド人により「インバネスコート」・「蛍の光」・「ウイスキー([[竹鶴政孝]]による。妻の[[竹鶴リタ]]はスコットランド人)」などが日本に紹介・持ち込まれたと思われる。

長崎の[[グラバー園|グラヴァー邸]]で知られる[[トーマス・ブレーク・グラバー|トーマス・グラヴァー]]を筆頭に、開国直後の、スコットランドから日本への技術伝達、訪日・友好は深く、また日本人留学生を[[アバディーン]](グラヴァーの故郷)、[[グラスゴー]]、[[エディンバラ]]などに、当時混乱の日本政府に先立って受け入れている{{要出典|date=2010年10月}}。この事により、帰郷した日本人やスコットランド人により「インバネスコート」・「蛍の光」・「ウイスキー([[竹鶴政孝]]による。妻の[[竹鶴リタ]]はスコットランド人)」などが日本に紹介・持ち込まれたと思われる。

41行目: 42行目:

=== 出典 ===

=== 出典 ===

{{Reflist}}

{{Reflist}}


== 関連項目 ==

*[[和服]]

*[[スコットランド]]

*[[キルト (衣装)]]

*[[シャーロック・ホームズ]]



== 外部リンク ==

== 外部リンク ==


2020年12月20日 (日) 01:41時点における版

19世紀末期のインバネスコート

Inverness coat






鹿姿姿姿[ 1]

ギャラリー

日本におけるインバネスコート

下駄履きにカンカン帽洋傘を持ったとんび姿の男性(1914年)
とんび(1903年の洋服裁縫教科書より)

[1][2]



 - 

 - 

 - 

201887退

[]

[]

脚注

注釈

  1. ^ モーリス・ルブランの『リュパン対ホームズ』(Arsène Lupin contre Herlock Sholmes)第二部第2章では、ホームズ(ショルメス)がインヴァネス(macfarlane)からパイプを取り出すシーンが描かれている。

出典

  1. ^ ジタル大辞泉 小学館
  2. ^ 精選版 日本国語大辞典

関連項目

外部リンク