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=== 国防(軍事)の「ガラパゴス化」 ===
=== 国防(軍事)の「ガラパゴス化」 ===
[[自衛隊]]は法的な制約が大きいため活動に多くの制約があるが、特に防衛装備品に関しては[[救難]][[飛行艇]]や4発エンジンの[[哨戒機]]など防衛省のニーズに合わせた専用品が多く、[[武器輸出三原則]]により輸出がほぼ不可能なため製造数が少なく価格が上昇しがちであった。また海外製装備の輸入も商社に依存していることから、世界のスタンダードとかけ離れガラパゴス化しているという指摘がある<ref>防衛破綻―「ガラパゴス化」する自衛隊装備 [[中公新書ラクレ]] [[清谷信一]] ISBN 978-4121503381]</ref>。
[[自衛隊]]は法的な制約が大きいため活動に多くの制約があるが、特に防衛装備品(=[[武器]]・[[兵器]]) に関しては[[救難]][[飛行艇]]や4発エンジンの[[哨戒機]]など防衛省のニーズに合わせた専用品が多く、[[武器輸出三原則]]により輸出がほぼ不可能なため製造数が少なく価格が上昇しがちであった。また海外製装備の輸入も商社に依存していることから、世界のスタンダードとかけ離れガラパゴス化しているという指摘がある<ref>防衛破綻―「ガラパゴス化」する自衛隊装備 [[中公新書ラクレ]] [[清谷信一]] ISBN 978-4121503381]</ref>。
== 工業製品・規格のガラパゴス化 ==
== 工業製品・規格のガラパゴス化 ==
2020年5月29日 (金) 01:01時点における版
ガ ラ パ ゴ ス 化 ︵ ガ ラ パ ゴ ス か 、 G a l a p a g o s i z a t i o n ︶ と は 日 本 で 生 ま れ た ビ ジ ネ ス 用 語 の ひ と つ で 、 孤 立 し た 環 境 ︵ 日 本 市 場 ︶ で ﹁ 最 適 化 ﹂ が 著 し く 進 行 す る と 、 エ リ ア 外 と の 互 換 性 を 失 い 孤 立 し て 取 り 残 さ れ る だ け で な く 、 外 部 ︵ 外 国 ︶ か ら 適 応 性 ︵ 汎 用 性 ︶ と 生 存 能 力 ︵ 低 価 格 ︶ の 高 い 種 ︵ 製 品 ・ 技 術 ︶ が 導 入 さ れ る と 最 終 的 に 淘 汰 さ れ る 危 険 に 陥 る と い う 、 進 化 論 に お け る ガ ラ パ ゴ ス 諸 島 の 生 態 系 に な ぞ ら え た 警 句 で あ る 。 ガ ラ パ ゴ ス 現 象 ︵ G a l á p a g o s S y n d r o m e ︶ と も 言 う 。
ガラパゴス化の背景
こ の 国 際 競 争 の 側 面 に お け る 言 葉 の 背 景 と し て は 、 オ ー プ ン ソ ー ス で あ っ て も 独 自 様 式 に 流 れ が ち な エ ン ジ ニ ア [ 1 ] や 、 日 本 市 場 で 独 自 の 進 化 を 遂 げ た 携 帯 電 話 が 世 界 標 準 か ら 掛 け 離 れ て し ま う 現 象 [ 2 ] を 指 す た め 代 名 詞 的 に 用 い ら れ て い た 。 同 時 期 に 生 ま れ た 言 葉 と し て ﹁ パ ラ ダ イ ス 鎖 国 ﹂ が あ げ ら れ る 。
ガ ラ パ ゴ ス 化 と い う キ ー ワ ー ド が 、 正 確 に い つ ご ろ 発 生 し た の か 定 か で は な い が 、 総 務 省 が 2 0 0 6 年 10 月 よ り 開 催 し た I C T 国 際 競 争 力 懇 談 会 [ 3 ] お よ び 、 そ の WG ︵ ワ ー キ ン グ ・ グ ル ー プ ︶ で は 、 携 帯 電 話 の ガ ラ パ ゴ ス 化 に つ い て の 議 論 が 行 わ れ 、 こ の 記 述 が 議 事 要 旨 [ 4 ] お よ び 最 終 と り ま と め [ 5 ] で は 、 活 字 化 さ れ て お り 、 既 に 、 携 帯 電 話 関 係 者 の 間 で は 、 あ る 程 度 、 認 識 さ れ る 用 語 と な っ て い た 。
そ の 後 、 2 0 0 7 年 12 月 の 、 野 村 総 合 研 究 所 2 0 1 5 年 プ ロ ジ ェ ク ト チ ー ム の コ メ ン ト [ 6 ] や 著 作 ﹃ 2 0 1 5 年 の 日 本 - 新 た な ﹁ 開 国 ﹂ の 時 代 へ - ﹄ [ 7 ] で も 述 べ ら れ 、 よ り 一 般 に 広 ま っ た 。
書 籍 で は 、 非 製 造 業 が 公 的 制 度 ・ 商 慣 行 面 で 日 本 市 場 に 最 適 化 し て い る 現 状 を ﹁ ガ ラ パ ゴ ス 化 現 象 ﹂ と 表 現 し 、 そ こ か ら の 脱 却 ︵ 地 域 社 会 の 開 国 、 い わ ゆ る グ ロ ー バ ル 化 ︶ を 説 い て い る 。
ガ ラ パ ゴ ス 諸 島 の 位 置 。 大 陸 か ら お よ そ 9 0 0 k m 離 れ た ガ ラ パ ゴ ス 諸 島 で は 、 独 自 の 生 態 系 が 発 達 し た 。 現 在 は 人 間 に よ る 汚 染 や 密 漁 な ど 、 多 く の 問 題 が 浮 上 し て い る 。
野 村 総 合 研 究 所 オ ピ ニ オ ン [ 8 ] は 、 以 下 の よ う に 定 義 づ け て い る 。
(一) 日 本 国 内 に は 、 独 特 な 環 境 ( 高 度 な ニ ー ズ や 規 制 な ど ) 基 づ い た 財 ・ サ ー ビ ス の 市 場 が 存 在 す る
(二) 海 外 で は 日 本 国 内 と は 異 な る 品 質 や 機 能 の 市 場 が 存 在 す る
(三) 日 本 国 内 の 市 場 が 独 自 の 進 化 を 遂 げ て い る 間 に 、 海 外 市 場 で は ﹁ デ フ ァ ク ト ス タ ン ダ ー ド ﹂ の 仕 様 が 決 ま る [ 注 釈 1 ]
(四) 気 が つ い た 時 に は 、 世 界 の 動 き か ら 大 き く 取 り 残 さ れ る
こ れ を 、 同 じ 野 村 総 研 が 製 造 業 分 野 向 け に 解 釈 し 直 し [ 9 ] 、 さ ら に 書 籍 ﹃ ガ ラ パ ゴ ス 化 す る 日 本 の 製 造 業 産 業 構 造 を 破 壊 す る ア ジ ア 企 業 の 脅 威 ﹄ ︵ 2 0 0 8 年 ︶ も 出 版 さ れ 、 一 般 に 広 ま っ た 。
こ れ に 対 し 、 任 天 堂 の DS や W i i の 世 界 展 開 へ の 成 功 例 を 挙 げ 、 国 際 的 な ﹁ デ フ ァ ク ト ﹂ と し て 成 功 し う る の で あ れ ば 、 国 内 独 自 規 格 で あ る 事 が 必 ず し も 直 ち に 不 利 で は な い と 主 張 す る 向 き も あ る 。 [ 1 0 ]
ガラパゴス化への対策
十 分 に 大 き く 単 独 で 成 立 す る 、 特 異 性 の 強 い 市 場 の 存 在 が 前 提 と な る 。 こ の 市 場 内 で 成 功 す る 戦 略 と し て 、 ロ ー カ ル な ニ ー ズ に 基 づ い た 独 自 進 化 の 推 進 が 考 え ら れ 、 特 化 し た 高 水 準 の 製 品 や サ ー ビ ス が 誕 生 す る 。 一 方 で こ れ と は 逆 に 、 よ り 多 く の 市 場 の ニ ー ズ を 同 時 に 必 要 十 分 満 た す 、 と い う 戦 略 も 成 り 立 つ 。 世 界 的 に 無 視 で き な い シ ェ ア を 得 れ ば 、 事 実 上 の 標 準 と な る 可 能 性 が 出 て く る 。
こ の 時 、 高 水 準 の 少 数 派 は 低 水 準 の 多 数 派 に 対 し 、 規 格 争 い で 不 利 と な る 。 日 本 に 限 ら ず 、 各 国 独 自 の レ ギ ュ レ ー シ ョ ン ( 法 律 ・ 規 格 ・ 法 規 な ど ) を 背 景 に 消 費 者 の ニ ー ズ が 生 ま れ て い る 例 も 多 く 、 日 本 に お い て は 発 泡 酒 や 第 三 の ビ ー ル 、 小 型 自 動 車 ( サ イ ズ L 4 . 7 x W 1 . 7 m ・ 排 気 量 2 L 以 下 ( ガ ソ リ ン の み ) の い わ ゆ る 4 / 5 ナ ン バ ー 車 ) 、 軽 自 動 車 な ど が あ る 。 し か し 、 国 際 規 格 ︵ デ ジ ュ リ ス タ ン ダ ー ド ︶ は 、 日 本 独 自 の ニ ー ズ と は 別 に 存 在 し て お り 、 規 制 回 避 に 特 化 し た 技 術 に は 競 争 力 が な い 。 た だ し そ の 一 方 で 、 国 内 規 格 の 自 動 車 が 輸 出 ま た は 現 地 生 産 [ 注 釈 2 ] さ れ て い る よ う に 、 商 品 そ の も の に 競 争 力 が あ れ ば 問 題 は 無 い 。
全 体 の 傾 向 と し て は 、 日 本 独 自 ︵ あ る い は 一 社 だ け の ︶ の 規 格 を 採 用 し た り 、 日 本 ( 人 ) 固 有 ︵ 日 本 語 や 日 本 文 化 、 日 本 の 環 境 ・ レ ギ ュ レ ー シ ョ ン な ど ︶ の ニ ー ズ に も と づ い て 商 品 を 開 発 し た り す る こ と で 日 本 の 消 費 者 を 囲 い 込 む 。 1 億 人 強 し か い な い 日 本 市 場 で の 消 費 者 を 取 り 込 ん で い る と い う 状 況 に あ る の で 、 顧 客 一 人 あ た り の 単 価 を 上 げ る こ と が 追 求 さ れ 、 高 性 能 ・ 多 機 能 ・ 高 価 格 化 が 起 こ る 。 日 本 国 外 か ら の 参 入 が 阻 ま れ 、 一 定 の 利 益 は あ が る が 、 同 じ 商 品 で 世 界 市 場 に 参 入 す る こ と は 困 難 な 状 況 に 陥 る 。 そ の 一 方 で 、 世 界 市 場 で 営 業 を 展 開 す る 商 品 は ︵ た と え 日 本 語 に 対 応 し て い て も ︶ 機 能 や 品 質 が 日 本 の 製 品 に 比 べ れ ば 劣 る 上 、 サ ポ ー ト 体 制 が 脆 弱 な た め に 日 本 国 内 で の 競 争 力 が 無 い が 、 生 産 規 模 が 膨 大 で あ る た め 安 価 で あ る 。 し か し 時 間 が 経 過 す る と 日 本 の 製 品 は 日 本 市 場 に 封 じ 込 め ら れ 、 高 機 能 ・ 高 コ ス ト 化 を 強 い ら れ る な か 、 海 外 製 品 は 世 界 市 場 で の 切 磋 琢 磨 か ら 最 終 的 に 基 本 性 能 も 国 内 仕 様 の 製 品 と 同 等 以 上 に な り 、 グ ロ ー バ ル モ デ ル が ( 全 部 で は な い に し て も 一 定 数 の ) 日 本 人 の 要 求 も 満 た す よ う に な っ て く る 。 こ の タ イ ミ ン グ で グ ロ ー バ ル モ デ ル の サ ポ ー ト 体 制 が 日 本 国 内 で も 整 え ら れ る と ﹁ 安 く て 高 性 能 、 日 本 語 に も 対 応 ﹂ の 海 外 製 の グ ロ ー バ ル モ デ ル が 一 気 に 流 入 し 、 そ れ に 太 刀 打 ち で き な い 日 本 独 自 仕 様 製 品 の 敗 北 と い う 結 末 に 結 び つ く 。 し か し 、 ガ ラ パ ゴ ス 仕 様 と し か と ら え ら れ て い な か っ た は ず の ニ ン テ ン ド ー ス イ ッ チ が 全 世 界 で 大 ブ レ イ ク す る と い っ た 、 企 業 側 と 顧 客 側 の 意 図 が 完 全 に 食 い 違 う [ 1 1 ] と い っ た 事 態 も 日 本 で は 多 く 発 生 す る 。
な お 、 特 に コ ン テ ン ツ 分 野 に お け る ガ ラ パ ゴ ス 化 に つ い て は 、 日 本 市 場 の 中 で 培 わ れ た 独 特 の 表 現 が 魅 力 に な っ て い る こ と も 事 実 で あ る 。 そ の 典 型 例 が 日 本 ア ニ メ で あ り 、 中 で も 尖 鋭 化 が 著 し い 萌 え ア ニ メ は 多 く の 日 本 人 に す ら 理 解 し が た い ﹁ 内 輪 受 け ﹂ 的 な 記 号 に 満 ち て お り 、 あ る 種 ﹁ ガ ラ パ ゴ ス 化 ﹂ の 極 北 で あ っ て 、 こ の よ う な ジ ャ ン ル は 当 然 大 き な 輸 出 コ ン テ ン ツ に は な っ て い な い 。 し か し 、 日 本 製 の キ ッ ズ ア ニ メ が 世 界 各 国 に 輸 出 さ れ フ ァ ン を 得 た こ と で 、 日 本 国 外 の 子 供 た ち が よ り 様 々 な 日 本 ア ニ メ 作 品 に 興 味 を 持 つ よ う に な り 、 ﹁ 萌 え ﹂ 的 な 記 号 を も 理 解 す る デ ィ ー プ な ア ニ メ フ ァ ン が 生 ま れ て い る 。 日 本 で は ガ ラ パ ゴ ス 化 と い う 語 を 肯 定 的 に 使 う 内 田 樹 や 五 木 寛 之 の よ う な 文 化 人 も 多 い が 、 特 に 表 現 の 分 野 に 関 す る ガ ラ パ ゴ ス 化 に つ い て は 、 そ れ が 良 い と か 悪 い と い っ た 価 値 判 断 に は 単 純 に 結 び つ く こ と は な い 。 そ の 端 的 な 一 例 が あ い ち ト リ エ ン ナ ー レ で 行 わ れ た ﹁ 表 現 の 不 自 由 展 ﹂ で あ る 。
国防(軍事)の「ガラパゴス化」
自 衛 隊 は 法 的 な 制 約 が 大 き い た め 活 動 に 多 く の 制 約 が あ る が 、 特 に 防 衛 装 備 品 ︵ = 武 器 ・ 兵 器 ︶ に 関 し て は 救 難 飛 行 艇 や 4 発 エ ン ジ ン の 哨 戒 機 な ど 防 衛 省 の ニ ー ズ に 合 わ せ た 専 用 品 が 多 く 、 武 器 輸 出 三 原 則 に よ り 輸 出 が ほ ぼ 不 可 能 な た め 製 造 数 が 少 な く 価 格 が 上 昇 し が ち で あ っ た 。 ま た 海 外 製 装 備 の 輸 入 も 商 社 に 依 存 し て い る こ と か ら 、 世 界 の ス タ ン ダ ー ド と か け 離 れ ガ ラ パ ゴ ス 化 し て い る と い う 指 摘 が あ る [ 1 2 ] 。
工業製品・規格のガラパゴス化
パーソナルコンピュータ
1 9 8 0 年 代 後 半 の 世 界 で は 、 P C / A T 互 換 機 が 業 界 標 準 と し て 普 及 し て い た が 、 日 本 語 表 示 の 出 来 な い P C / A T 互 換 機 は 日 本 で は ほ と ん ど 売 れ ず 、 日 本 で は 日 本 独 自 の 機 種 で あ る P C - 9 8 0 0 シ リ ー ズ ︵ 日 本 電 気 、 以 下 N E C ︶ が 日 本 国 内 で 圧 倒 的 シ ェ ア を 占 め て お り 、 X 6 8 0 0 0 ︵ シ ャ ー プ ︶ ・ F M T O W N S ︵ 富 士 通 ︶ な ど 日 本 独 自 仕 様 の ア ー キ テ ク チ ャ を 持 っ た パ ソ コ ン が 普 及 し て い た 。 こ れ は 日 本 語 の 表 示 デ ー タ を ハ ー ド ウ ェ ア に 組 み 込 む こ と に よ っ て 日 本 語 の 表 示 と 入 力 の 効 率 を 高 め る な ど 、 日 本 独 特 の ニ ー ズ に 応 え る 商 品 開 発 を 行 っ て い た か ら で あ る 。 こ の 結 果 、 日 本 の パ ソ コ ン は 1 9 9 0 年 代 初 頭 に は P C / A T 互 換 機 と の 価 格 差 が 顕 著 と な っ た 。 海 外 製 の パ ソ コ ン で は ソ フ ト ウ ェ ア の み で 日 本 語 の 表 示 と 入 力 ︵ ソ フ ト ウ ェ ア I M E ︶ を 実 現 し た M a c i n t o s h も 存 在 し た が 、 ハ ー ド ウ ェ ア ︵ 日 本 で は な ぜ か ア メ リ カ 以 上 に 高 値 が 付 け ら れ て い た ︶ や 、 日 本 語 に 対 応 し た ソ フ ト ウ ェ ア が 高 価 で あ っ た こ と か ら 普 及 は 進 ま な か っ た 。
と こ ろ が 、 1 9 9 0 年 代 に 入 る と D O S / V ・ M i c r o s o f t W i n d o w s の 登 場 に よ り 、 P C / A T 互 換 機 に お い て も ソ フ ト ウ ェ ア の み で の 日 本 語 表 示 が 実 現 さ れ た 。 こ れ に よ り 、 安 価 で 高 性 能 な P C / A T 互 換 機 が 一 気 に 日 本 市 場 に 流 れ 込 み 、 日 本 の 市 場 を 席 巻 す る 。 逆 に 、 W i n d o w s は あ く ま で P C / A T 互 換 機 を 基 本 に 設 計 し て い る た め 、 P C - 9 8 0 0 シ リ ー ズ で の 対 応 は 次 第 に 困 難 と な り 、 N E C か ら も P C / A T 互 換 機 の P C 9 8 - N X シ リ ー ズ が 発 表 さ れ る に 及 ん で 、 P C - 9 8 0 1 よ り 続 い た 独 自 ア ー キ テ ク チ ャ は 幕 を 引 く こ と に な っ た 。
2 0 1 0 年 代 初 頭 の 世 界 の パ ソ コ ン 市 場 で は 、 ラ ッ プ ト ッ プ に 強 い 東 芝 ︵ 後 に 同 社 の PC 事 業 は 子 会 社 の 東 芝 ク ラ イ ア ン ト ソ リ ュ ー シ ョ ン が 国 内 で は d y n a b o o k ( ← D y n a B o o k ) 、 海 外 で は ( T e c r a 、 P o r t é g é 、 S a t e l l i t e ︶ が か ろ う じ て 5 % の シ ェ ア を 占 め 、 よ う や く 5 位 の シ ェ ア を 保 っ て い た 。 な お 、 東 芝 は 1 9 8 0 年 代 か ら I B M 互 換 の ノ ー ト 型 パ ソ コ ン を 製 造 し て お り 、 逆 に 日 本 規 格 が 日 本 市 場 で 寡 占 状 態 の 時 に は 日 本 で の シ ェ ア は 少 な か っ た 。 つ ま り 、 東 芝 と い う メ ー カ ー が ガ ラ パ ゴ ス 化 し て い な か っ た た め に 2 0 1 0 年 ご ろ ま で の 世 界 シ ェ ア が あ っ た と も い え る [ 1 3 ] 。 し か し な が ら 、 同 社 は 、 円 高 の 進 展 と PC の コ モ デ ィ テ ィ 化 に 伴 う 低 価 格 化 と 競 争 激 化 に つ い て い け ず 、 そ の 後 、 PC 事 業 は 赤 字 化 し た 。 2 0 1 4 年 9 月 に は 、 一 般 消 費 者 向 け の B t o C 分 野 を 大 幅 に 縮 小 し 、 ビ ジ ネ ス 向 け の B t o B 分 野 に 注 力 す る 旨 を 発 表 し た 。 [ 1 4 ] 現 在 の パ ソ コ ン 市 場 は 、 コ モ デ ィ テ ィ 化 が 極 度 に 進 ん だ 結 果 、 ほ ぼ 中 国 を 拠 点 と す る 企 業 で 占 め ら れ て お り 、 2 0 1 5 年 1 月 の ガ ー ト ナ ー に よ る 調 査 で は 、 2 0 1 4 年 度 に お け る PC 世 界 出 荷 台 数 の ト ッ プ 5 は 、 L e n o v o 、 HP 、 D e l l 、 A c e r 、 A S U S と な っ て お り ︵ HP ・ D e l l は 米 国 資 本 、 A c e r ・ A S U S は 台 湾 資 本 だ が い ず れ も PC 事 業 の 拠 点 は 中 国 本 土 で あ る ︶ 、 も は や 東 芝 は 、 ト ッ プ 5 に は 含 ま れ て い な い 。 [ 1 5 ]
携帯電話
日本における携帯電話
SoftBank 923SH 。後に「ガラパゴスケータイ」(ガラケー)と呼ばれる超高機能携帯電話の例。日本でiPhoneが発売された2008年7月当時のフラッグシップモデルだった
日 本 に お け る 携 帯 電 話 は 、 そ の 初 期 か ら 世 界 最 先 端 の 独 自 技 術 を 多 く 採 用 し 、 そ の 性 能 や 機 能 は 世 界 最 高 水 準 で あ っ た 。 し か し 、 日 本 の 携 帯 電 話 は 海 外 市 場 で は ほ と ん ど 売 れ ず 、 そ の 特 異 現 象 か ら ガ ラ パ ゴ ス 化 と い う 用 語 が 生 ま れ そ の 原 因 と 将 来 的 帰 結 が 議 論 さ れ る よ う に な る 。
ま ず 、 日 本 の 携 帯 電 話 の ガ ラ パ ゴ ス 化 の 背 景 と し て 、 携 帯 電 話 の 普 及 と 発 展 を 奨 励 す る た め 取 ら れ た 産 業 政 策 が あ げ ら れ る 。 例 え ば 、 欧 米 の 多 く の 国 で は 携 帯 電 話 の 通 話 に 使 わ れ る 周 波 数 は 国 家 が そ の 使 用 権 を 競 売 に か け 、 そ の 収 益 を 国 の 財 源 と す る 方 式 を と っ た が 、 日 本 に お い て は 携 帯 電 話 の 通 話 に 使 う 周 波 数 を 国 が 無 償 で 携 帯 電 話 事 業 者 に 貸 与 す る 政 策 が と ら れ た 。 海 外 の 携 帯 電 話 事 業 者 は 周 波 数 の 獲 得 に 何 百 億 円 も の 費 用 を 費 や さ ね ば な ら な か っ た た め 、 そ の ぶ ん 技 術 開 発 お よ び 価 格 戦 略 に お い て 日 本 に 大 い に 遅 れ を と っ た が 、 こ の よ う な 費 用 負 担 の な い 日 本 の 携 帯 電 話 事 業 者 は 、 そ の 浮 い た 費 用 を 携 帯 電 話 網 の 設 備 更 新 や 端 末 販 売 奨 励 金 の 原 資 に 費 や す こ と が で き 、 日 本 で は 最 先 端 の 携 帯 規 格 や 技 術 が 世 界 に 先 駆 け て 普 及 し 、 通 信 事 業 各 社 が 独 自 の 規 格 を 開 発 し そ の 設 置 お よ び 普 及 に つ と め る と い う 現 象 が 起 き た 。
さ ら に 日 本 に お い て は 、 業 界 優 遇 政 策 の 一 環 と し て 携 帯 事 業 者 に よ る 消 費 者 の 囲 い 込 み が 長 ら く 許 容 さ れ て い た 。 独 占 禁 止 法 や 公 正 取 引 規 制 に よ っ て 消 費 者 の 選 択 の 自 由 を 保 護 す る 政 策 を 採 用 し た 国 で は 、 契 約 変 更 後 も 電 話 番 号 を 変 え る 必 要 が な い [ 注 釈 3 ] だ け で な く 、 同 じ 通 話 契 約 の ま ま 携 帯 電 話 の S I M カ ー ド を 他 の 携 帯 電 話 に 入 れ 替 え て [ 注 釈 4 ] 使 う な ど の 携 帯 電 話 端 末 お よ び 通 話 サ ー ビ ス の 選 択 の 自 由 が あ る ほ か 、 プ リ ペ イ ド な ど の 携 帯 サ ー ビ ス も 充 実 し て い た 。 日 本 は こ の よ う に 消 費 者 の 権 益 を 守 る 法 的 整 備 を 欠 い た た め 、 携 帯 電 話 事 業 者 が キ ャ リ ア メ ー ル 、 S I M ロ ッ ク 端 末 、 独 自 コ ン テ ン ツ サ ー ビ ス 、 携 帯 契 約 な ど の 様 々 な 障 壁 を 積 み 重 ね る こ と に よ っ て 消 費 者 を 強 固 に 囲 い 込 む こ と が 可 能 で あ り 、 結 果 と し て 既 存 顧 客 の 流 動 性 が 極 端 に 低 い 状 態 に お ち い っ た 。
こ の よ う な 背 景 の も と 、 そ れ ぞ れ の 通 話 業 者 は 顧 客 一 人 か ら の 月 間 収 入 ( A R P U ) を 上 げ て 利 益 を 上 げ る た め 高 度 で 多 機 能 な サ ー ビ ス を 提 供 す る 一 方 で 、 A R P U の 低 い プ リ ペ イ ド サ ー ビ ス な ど は 廃 止 も し く は 縮 小 さ れ て い く 。 さ ら に 通 信 事 業 者 が 消 費 者 を 強 力 に 囲 い 込 ん で い る た め 、 携 帯 電 話 メ ー カ ー が 通 信 事 業 者 に 従 属 す る と い う 状 態 の 中 で 、 メ ー カ ー は 携 帯 電 話 事 業 者 の 要 望 に 沿 い 、 多 機 能 だ が 世 界 的 に は 類 を 見 ず 、 か つ 商 品 寿 命 の 短 い 一 社 専 用 ハ イ エ ン ド 携 帯 電 話 に 重 点 を お い て 開 発 す る こ と と な り 、 日 本 国 内 の 電 話 仕 様 は 、 世 界 的 な 標 準 と は 大 幅 に 乖 離 し て い く 。 一 方 で 、 海 外 で は 周 波 数 獲 得 に 膨 大 な 費 用 が か か る こ と や 、 消 費 者 の 流 動 性 が 極 め て 高 い 状 態 に あ っ た な ど の 事 情 か ら 、 設 備 投 資 と 開 発 費 を 節 約 す る た め 通 信 の 規 格 統 一 が い ち 早 く 行 わ れ る 。 特 に 通 話 品 質 な ど で は 劣 る が 比 較 的 に コ ス ト が 安 価 で あ る G S M 陣 営 側 で は 、 通 信 基 本 仕 様 は 、 G S M で G C F ︵ グ ロ ー バ ル ・ サ ー テ フ ィ ケ ー シ ョ ン ・ フ ォ ー ラ ム ︶ を パ ス す る 、 デ ー タ 仕 様 は O M A ︵ オ ー プ ン モ バ イ ル ア ラ イ ア ン ス ︶ 仕 様 準 拠 と い う の が ス タ ン ダ ー ド で 、 そ の 標 準 仕 様 か ら そ れ ぞ れ の 事 業 者 に 応 じ た カ ス タ マ イ ズ が 可 能 で あ っ た た め 、 短 期 間 で G S M は 事 実 上 の 世 界 標 準 と な る 。 し か し 日 本 は 独 自 の P D C 方 式 に よ る 独 自 の 端 末 や サ ー ビ ス が 普 及 し て い た こ と で 、 海 外 の 携 帯 電 話 機 メ ー カ ー と 携 帯 電 話 事 業 者 の 日 本 進 出 を 阻 む と と も に 、 日 本 の 携 帯 電 話 機 メ ー カ ー に と っ て も 世 界 進 出 が 困 難 と な っ て い た 。 こ の よ う な 世 界 市 場 と の 隔 絶 お よ び 日 本 市 場 の 規 模 の 小 さ さ ︵ 年 間 4 , 0 0 0 万 台 程 度 の 端 末 需 要 を 事 業 者 が 更 に 分 割 し て 専 用 電 話 の 開 発 が 必 要 ︶ か ら 、 モ ト ロ ー ラ 、 ノ キ ア 、 ボ ー ダ フ ォ ン と い っ た グ ロ ー バ ル 市 場 を 重 要 視 す る 企 業 で は 、 日 本 か ら 撤 退 す る 動 き が 続 き 、 そ の こ と が 一 層 ガ ラ パ ゴ ス 化 の 進 展 を 促 進 し た 。
韓国における携帯電話
携帯電話等の通信規格競争
携 帯 電 話 の 通 信 規 格 の 分 野 に お い て は 、 ア ナ ロ グ 方 式 で あ る 1 G で は 各 国 独 自 の 規 格 が 展 開 さ れ て い た が 、 日 本 国 内 に お い て 2 G 以 降 、 日 本 独 自 規 格 で あ る P D C に 対 し 米 国 独 自 規 格 の c d m a O n e が 流 入 し 競 争 と な っ た 。 ま た 同 時 期 、 世 界 で の デ フ ァ ク ト ︵ 欧 州 に お け る デ ジ ュ リ ︶ は G S M で あ っ た 。 3 G 以 降 は I M T - 2 0 0 0 と し て 国 際 規 格 化 ︵ 真 の デ ジ ュ リ ︶ 化 が 図 ら れ 、 日 本 独 自 規 格 は ほ ぼ 一 掃 さ れ た 。
3 G に お い て は W - C D M A が 世 界 で デ フ ァ ク ト 化 し た が 、 こ れ は 欧 州 の 携 帯 電 話 事 業 者 と 日 本 の N T T ド コ モ が 主 導 し た 規 格 で あ る 。 米 国 由 来 の C D M A 2 0 0 0 と 派 生 規 格 は 日 本 国 内 で も 3 . 5 G ま で は 採 用 さ れ た が 、 3 . 9 G 以 降 は 方 式 に 差 異 こ そ あ れ L T E に ほ ぼ 収 斂 し た 。
簡 易 携 帯 電 話 と し て ス タ ー ト し た P H S ︵ 公 衆 モ ー ド ︶ も 日 本 独 自 規 格 で あ り 、 高 度 化 P H S 、 次 世 代 P H S ( X G P : e X t e n d e d G l o b a l P l a t f o r m ) 、 A X G P と 独 自 の 進 化 を 遂 げ た が 、 P H S ︵ 公 衆 モ ー ド ︶ が 中 国 、 台 湾 で 一 部 普 及 し た だ け で あ り ︵ い ず れ も サ ー ビ ス 終 了 ︶ 、 日 本 で も P H S ︵ 公 衆 モ ー ド ︶ お よ び 高 度 化 P H S が 2 0 1 8 年 3 月 で 新 規 契 約 受 付 終 了 と な り [ 1 7 ] 、 X G P は I T U - R M . 1 8 0 1 に 採 用 さ れ た が ほ と ん ど 普 及 せ ず 、 A X G P の み が S o t f b a n k 4 G と し て 継 続 し て い る 。
な お 、 無 線 ア ク セ ス 分 野 で は 国 際 規 格 の モ バ イ ル W i M A X ︵ お よ び 後 継 規 格 ︶ が 主 流 で あ る 。 P H S 、 高 度 化 P H S に お い て も モ バ イ ル デ ー タ 通 信 定 額 制 等 、 無 線 ア ク セ ス 的 サ ー ビ ス も 提 供 さ れ て い た 。
スマートフォンの躍進
前 述 の よ う に 日 本 の 携 帯 電 話 に お け る イ ン タ ー ネ ッ ト 接 続 サ ー ビ ス は 、 携 帯 電 話 で は 世 界 初 と な る ﹁ i モ ー ド ﹂ や 競 合 事 業 者 の 類 似 サ ー ビ ス に よ り 、 フ ィ ー チ ャ ー ・ フ ォ ン 上 に て 独 自 仕 様 と し て 提 供 さ れ て い た が 、 ス マ ー ト フ ォ ン の 流 入 に よ り 終 焉 を 迎 え る 事 に な る 。
2 0 0 7 年 6 月 に 、 ア ッ プ ル 社 が A p p ス ト ア に よ る ア プ リ ケ ー シ ョ ン 市 場 の 開 放 に よ っ て 、 ス マ ー ト フ ォ ン を 再 定 義 し た i P h o n e で 、 ま ず 北 米 で 携 帯 電 話 市 場 に 参 入 し た 。 ア ッ プ ル 社 は 、 単 に 携 帯 電 話 市 場 に 参 入 し た だ け で は な く 、 i P h o n e の 持 つ 圧 倒 的 な 商 品 力 を 背 景 に 、 携 帯 電 話 産 業 の 産 業 構 造 を 変 え る こ と に 成 功 し た 。 す な わ ち 、 リ ベ ニ ュ ー ・ シ ェ ア リ ン グ モ デ ル 、 携 帯 電 話 仕 様 決 定 権 の 事 業 者 か ら の 完 全 奪 取 、 A p p マ ー ケ ッ ト で の ビ リ ン グ お よ び 機 器 ア ク テ ィ ベ ー シ ョ ン の ア ッ プ ル 社 管 理 な ど に 代 表 さ れ る 、 従 来 の ビ ジ ネ ス 慣 行 の 完 全 な 書 き 換 え で あ る 。 こ の i P h o n e 第 一 世 代 モ デ ル は 、 G S M サ ポ ー ト の み で あ っ た た め 、 日 本 へ の 影 響 は ほ ぼ 皆 無 で あ っ た 。 し か し 、 2 0 0 8 年 7 月 に 第 二 世 代 モ デ ル で あ る i P h o n e 3 G が 世 界 同 時 発 売 さ れ 、 日 本 に お い て も ソ フ ト バ ン ク モ バ イ ル ︵ 現 ・ ソ フ ト バ ン ク ( 新 ) ︶ に よ る S I M ロ ッ ク 付 き で の 独 占 販 売 が は じ ま る と 、 i P h o n e の 普 及 が 始 ま っ た [ 注 釈 5 ] 。 ア ッ プ ル 社 は 日 本 国 内 の 出 荷 数 を 公 表 し て い な い が 、 市 場 調 査 会 社 MM 総 研 に よ れ ば 、 2 0 0 8 年 7 月 か ら 2 0 1 0 年 3 月 ま で で i P h o n e 3 G と i P h o n e 3 G S を 合 わ せ た 累 計 出 荷 数 は 約 2 3 0 万 台 で あ っ た 。 ア ッ プ ル 社 は 、 ソ フ ト バ ン ク モ バ イ ル に 対 し て も 同 じ く ビ ジ ネ ス モ デ ル の 書 き 換 え を 要 求 し 、 実 現 さ せ た 。
2 0 0 8 年 10 月 に 、 G o o g l e が 開 発 す る A n d r o i d プ ラ ッ ト フ ォ ー ム に よ る 最 初 の 携 帯 電 話 、 T - M o b i l e G 1 ︵ H T C 製 ︶ が ア メ リ カ 合 衆 国 で 発 表 さ れ た 。 日 本 で は 、 ド コ モ よ り H T - 0 3 A ︵ H T C M a g i c の ド コ モ 版 ︶ が 2 0 0 9 年 7 月 よ り 発 売 さ れ た が 、 こ の 携 帯 電 話 は N T T ド コ モ 独 自 の 仕 様 を 満 た し て お ら ず 、 逆 に 、 N T T ド コ モ は ガ ラ パ ゴ ス 色 の 抜 け た 新 サ ー ビ ス 体 系 で あ る sp モ ー ド を 導 入 す る 必 要 が あ っ た 。 A n d r o i d は オ ー プ ン ソ ー ス で あ っ た た め 、 携 帯 電 話 メ ー カ ー の 参 入 が 続 き 、 外 来 的 な A n d r o i d 携 帯 電 話 が 、 そ の 後 ソ フ ト バ ン ク モ バ イ ル と N T T ド コ モ よ り 多 数 発 売 さ れ た 。 こ れ ら の 外 来 的 A n d r o i d 携 帯 電 話 の 多 く は 、 特 定 の キ ャ リ ア の み に 通 用 す る よ う な 特 殊 仕 様 が ほ と ん ど 除 か れ て い る 。 最 後 ま で 残 っ た K D D I ・ 沖 縄 セ ル ラ ー 電 話 連 合 ︵ 各 au ︶ も 、 同 キ ャ リ ア の み の 仕 様 を 搭 載 さ せ る こ と の で き る 国 内 メ ー カ ー の 協 力 に よ り 2 0 1 0 年 11 月 26 日 に 発 売 さ れ た I S 0 3 ︵ C D M A S H I 0 3 ・ シ ャ ー プ 製 ︶ で 、 よ う や く ス マ ー ト フ ォ ン を 導 入 し た 。
三 大 事 業 者 か ら ス マ ー ト フ ォ ン が 販 売 さ れ る に 及 ん で 、 従 来 の 国 内 一 社 専 用 モ デ ル の 多 機 能 携 帯 電 話 ︵ ガ ラ パ ゴ ス ケ ー タ イ 。 以 下 ガ ラ ケ ー ︶ か ら ス マ ー ト フ ォ ン へ の 需 要 の シ フ ト は 、 よ り 鮮 明 と な っ た 。 MM 総 研 に よ る 2 0 1 0 年 度 の 国 内 携 帯 電 話 出 荷 台 数 推 計 で は 、 ス マ ー ト フ ォ ン は 総 計 8 5 5 万 台 で 、 前 年 比 3 . 7 倍 、 シ ェ ア は 2 2 . 7 % で あ っ た 。 [ 1 8 ] 同 社 で は 2 0 1 1 年 度 に つ い て 、 国 内 ス マ ー ト フ ォ ン 出 荷 台 数 総 数 は 1 9 8 6 万 台 で 、 携 帯 電 話 出 荷 総 数 4 0 5 0 万 台 に 対 し 4 9 . 0 % の 比 率 を 占 め る と 予 測 し て い る 。 さ ら に 2 0 1 5 年 度 に は 、 ス マ ー ト フ ォ ン 比 率 が 、 実 に 7 4 % に な る と も 予 測 し て い る [ 1 9 ] 。
し か し 、 ス マ ー ト フ ォ ン が 主 流 に な っ た 現 在 に お い て も 本 質 的 な 意 味 で の ガ ラ ケ ー 需 要 は な く な っ て い る と は 言 え な い 。 実 際 、 近 年 で は ス マ ホ に ガ ラ ケ ー の 特 徴 を 取 り 入 れ た ガ ラ パ ゴ ス ス マ ー ト フ ォ ン ︵ ガ ラ ス マ ︶ い う カ テ ゴ リ ー も 出 現 ︵ 逆 の 意 味 と し て ﹁ グ ロ ー バ ル ス マ ー ト フ ォ ン ﹂ が あ る ︶ し て お り 、 ス マ ホ 登 場 時 に は 搭 載 さ れ て い な か っ た ︵ ガ ラ ケ ー に 搭 載 さ れ て い た ︶ 各 種 ガ ジ ェ ッ ト 類 ︵ お サ イ フ ケ ー タ イ ︶ が 実 装 さ れ て い る 。 ま た ス マ ホ の 抱 え る 問 題 ︵ バ ッ テ リ ー の 持 ち や 維 持 費 、 タ ッ チ パ ネ ル へ の 抵 抗 感 な ど ︶ か ら 、 ガ ラ ケ ー の 需 要 は 依 然 と し て 根 強 く 残 っ て お り [ 2 0 ] 、 細 々 と で は あ る が 、 各 社 と も ラ イ ン ナ ッ プ を 残 し て い る 。
一 方 、 ガ ラ ケ ー の 長 所 は そ の ま ま に 、 A n d r o i d を 搭 載 し 、 4 G L T E 、 W i F i 、 テ ザ リ ン グ に も 対 応 す る ︵ た だ し 、 W i F i と テ ザ リ ン グ の 対 応 に 関 し て は 一 部 機 種 に 限 り 例 外 あ り ︶ な ど 、 ス マ ホ 特 有 と さ れ て い た 機 能 を 取 り 込 ん だ ﹁ ガ ラ ホ ﹂ も 登 場 し て い る [ 2 1 ] 。
Android
G o o g l e が 中 心 と な っ て 開 発 が 進 め ら れ て い る A n d r o i d を 搭 載 し た 携 帯 端 末 ︵ ス マ ー ト フ ォ ン 、 タ ブ レ ッ ト な ど ︶ が 近 年 多 く の メ ー カ ー か ら 発 売 さ れ て い る が 、 端 末 の 製 造 メ ー カ ー 側 で は 多 く の 場 合 A n d r o i d を ベ ー ス に 独 自 に カ ス タ マ イ ズ を 加 え る 。 た だ 、 最 近 は 特 に 中 国 メ ー カ ー を 中 心 に 、 他 メ ー カ ー の A n d r o i d 端 末 と 互 換 性 が な い 独 自 実 装 を 行 う ケ ー ス が 増 え て お り 、 中 に は ﹁ G o o g l e P l a y ﹂ な ど G o o g l e が A n d r o i d 向 け に 提 供 す る 各 種 サ ー ビ ス に 未 対 応 の 端 末 も 少 な く な い た め 、 こ の 点 で ガ ラ パ ゴ ス 化 が 懸 念 さ れ て い る [ 2 2 ] 。
N O T T V は 2 0 1 6 年 6 月 30 日 に サ ー ビ ス 終 了 、 撤 退 し た が 、 A n d r o i d 端 末 を ﹁ ガ ラ パ ゴ ス ス マ ー ト フ ォ ン ﹂ 化 す る 事 に よ り N O T T V 対 応 端 末 と し て い た た め 、 N T T ド コ モ が i P h o n e に 参 入 す る と 、 不 便 な 外 付 け 端 末 併 用 を 強 い る ほ か な く 、 契 約 数 が 伸 び 悩 み 撤 退 に 繋 が っ た と 言 う 。 こ れ は N O T T V そ の も の が ガ ラ パ ゴ ス 化 し た と 言 う よ り は む し ろ 、 サ ー ビ ス の 要 素 の 一 部 を ス マ ー ト フ ォ ン に 依 存 し て い た 事 が 主 因 。 [ 2 3 ]
iPhoneの逆ガラパゴス化
PHS
携 帯 電 話 の よ う に 使 え る 公 衆 P H S お よ び 固 定 回 線 電 話 機 の コ ー ド レ ス 子 機 と し て 使 え る 自 営 P H S と し て 日 本 独 自 規 格 の P H S が 展 開 さ れ た 。 し か し 家 庭 用 電 話 機 の 子 機 と し て の P H S の 利 用 は 縮 小 し 、 2 . 4 G H z 帯 デ ジ タ ル コ ー ド レ ス 電 話 や 、 デ ジ タ ル コ ー ド レ ス 電 話 の 新 方 式 と し て 、 ヨ ー ロ ッ パ の 方 式 で あ る D E C T や 、 3 . 9 G 携 帯 電 話 の 一 種 T D - L T E の 利 用 が 進 行 中 な い し 計 画 中 で あ る 。 た だ し 、 D E C T や L T E 方 式 の 場 合 に つ い て は 、 P H S 向 け の 電 波 帯 域 を 共 用 す る こ と か ら 、 日 本 向 け の 電 波 規 制 に 対 応 す べ く 、 一 部 改 修 さ れ た 日 本 国 内 規 格 に 則 っ て お り 、 日 本 国 外 の 機 器 が そ の ま ま 利 用 で き る 訳 で は な い 。 [ 2 6 ] [ 2 7 ] [ 2 8 ]
親指シフトキーボード
1 9 8 0 年 代 、 日 本 語 ワ ー ド プ ロ セ ッ サ ー が 家 電 メ ー カ ー か ら 多 数 発 売 さ れ た が 、 富 士 通 は 、 自 社 の O A S Y S シ リ ー ズ に お い て 、 J I S キ ー ボ ー ド の ほ か に 、 親 指 シ フ ト キ ー ボ ー ド 、 と よ ば れ る 独 自 の キ ー 配 列 の モ デ ル を 投 入 し た 。 し か し 、 全 世 界 的 に は 小 指 で シ フ ト キ ー を 押 す の が 優 勢 で あ り 、 日 本 人 も 小 指 で シ フ ト キ ー を 押 す 訓 練 に 慣 れ て 親 指 シ フ ト キ ー ボ ー ド そ の も の が 消 滅 し た 。 2 0 2 0 年 ま で 富 士 通 が 生 産 し 続 け て き た が 、 2 0 2 1 年 5 月 で 終 了 す る [ 2 9 ] 。
デジタルラジオ放送
日 本 も ヨ ー ロ ッ パ か ら 遅 れ て デ ジ タ ル ラ ジ オ i - d i o を 立 ち 上 げ た も の の 、 市 販 端 末 が 2 0 1 9 年 に 入 っ て も 一 個 も 存 在 し な い 、 と い っ た 重 度 の 客 離 れ を 招 き 2 0 2 0 年 3 月 に 放 送 が 終 了 し た 。 一 方 で ヨ ー ロ ッ パ で は デ ジ タ ル ラ ジ オ が 定 着 し 、 山 進 電 子 な ど の 台 湾 発 メ ー カ ー に 後 れ を 取 っ て い る 。
デジタルテレビ放送
世 界 的 に は D V B の 採 用 国 が 多 い 。
日 本 の デ ジ タ ル テ レ ビ の 規 格 で あ る I S D B は 2 0 1 0 年 現 在 、 ブ ラ ジ ル 、 ペ ル ー 、 ア ル ゼ ン チ ン 、 チ リ 、 ベ ネ ズ エ ラ な ど 南 米 大 陸 で 採 用 を ふ や し て い る ほ か [ 3 0 ] 、 ア ジ ア で も フ ィ リ ピ ン で 採 用 が き ま り 、 国 際 的 に み る と 順 調 に 普 及 し て い る 。 し か し 、 普 及 し て い る の は 、 映 像 の コ ー デ ッ ク に H . 2 6 4 を 採 用 す る な ど 改 良 を く わ え た 、 ブ ラ ジ ル か ら 採 用 さ れ た I S D B - T B で あ り 、 衛 星 放 送 向 け の I S D B - S 、 地 上 デ ジ タ ル テ レ ビ 向 け の I S D B - T は 事 実 上 日 本 だ け の 規 格 と な っ て い る 。
ま た 日 本 の 地 上 デ ジ タ ル テ レ ビ 放 送 が 限 定 受 信 シ ス テ ム ︵ C A S ︶ と し て 採 用 し て い る B - C A S や 地 上 R M P 方 式 は 完 全 に 日 本 独 自 の 規 格 で あ る 。 こ の た め 日 本 国 外 の メ ー カ ー が 日 本 国 内 で テ レ ビ を 販 売 す る こ と が 非 常 に 難 し く な っ て お り 、 非 関 税 障 壁 の 一 種 で あ る と こ れ ら の C A S 方 式 を 糾 弾 す る 評 論 家 も い る [ 3 2 ] 。
諸 外 国 で は ケ ー ブ ル テ レ ビ や セ ッ ト ト ッ プ ボ ッ ク ス を 通 じ て テ レ ビ を み る こ と が 一 般 的 な た め 、 テ レ ビ は モ ニ タ ー と し て の 性 格 が 強 く 、 日 本 の デ ジ タ ル テ レ ビ の よ う な 高 機 能 は 必 要 と さ れ て い な い た め 、 同 じ 解 像 度 で も 日 本 市 場 価 格 の 半 額 の 機 種 が 多 い 。
カーナビゲーションシステム
日 本 は 名 前 の な い 道 路 が 多 く 、 住 所 の 記 述 か ら 場 所 が 明 確 に 特 定 で き な い だ け で な く 、 道 路 が 狭 く 入 り 組 ん で お り 、 ト ン ネ ル も 多 く 高 速 道 路 が 有 料 な た め カ ー ナ ビ の ニ ー ズ が 高 い 。 こ れ を 背 景 に 日 本 が 世 界 に 先 駆 け て カ ー ナ ビ を 商 品 化 し た 。 ま た こ の よ う な 高 い ニ ー ズ を 背 景 に 日 本 で は 高 価 ︵ 数 十 万 円 ︶ で 高 機 能 な イ ン ダ ッ シ ュ 型 の カ ー ナ ビ ゲ ー シ ョ ン シ ス テ ム が 圧 倒 的 な シ ェ ア を 1 9 9 0 年 代 ま で 保 持 し て お り 、 ど の メ ー カ ー も 国 内 市 場 に 合 わ せ て そ の よ う な 商 品 開 発 に 終 始 し て い た 。
一 方 の 欧 米 は 日 本 と 異 な り 、 住 所 さ え 分 か れ ば 確 実 に 全 て の 住 居 や 建 物 の 正 確 な 位 置 を 一 瞬 で 特 定 で き る 。 よ っ て 、 普 通 の 道 路 地 図 が あ れ ば ほ と ん ど の 場 合 は こ と 足 り る 。 北 米 は と も か く ヨ ー ロ ッ パ で は 道 の 入 り 組 ん だ 古 い 町 並 み が 存 在 す る た め 、 カ ー ナ ビ の 用 途 は ︵ 地 図 を 引 く 手 間 が 省 け る と い う 程 度 ︶ 存 在 し た が 、 日 本 の 何 十 万 円 も す る 高 価 な カ ー ナ ビ は 一 部 の 高 級 車 の オ プ シ ョ ン と し て し か 普 及 し な か っ た 。
2 0 0 0 年 5 月 、 米 国 国 防 総 省 が G P S 上 の SA ︵ S e l e c t i v e A v a i l a b i l i t y 、 精 度 劣 化 措 置 ︶ を 停 止 。 こ れ に よ り 、 G P S 単 独 で の 位 置 精 度 が そ れ ま で の 1 0 0 m 程 度 か ら 1 0 m 程 度 へ と 飛 躍 的 に 向 上 し た 。 こ れ に よ っ て ヨ ー ロ ッ パ 市 場 で は 2 0 0 5 年 ご ろ か ら 、 ガ ー ミ ン 、 T o m T o m と い っ た メ ー カ ー に よ り 、 G P S に よ る 場 所 の 特 定 と 道 順 の 指 示 だ け で 、 ト ン ネ ル に 入 る と 機 能 し な く な る と 言 っ た 簡 易 的 な 機 能 を 持 つ 、 数 万 円 程 度 の ポ ー タ ブ ル ナ ビ ︵ P N D ︶ が 登 場 す る 。 本 体 が 小 型 軽 量 で あ り 、 自 動 車 の ダ ッ シ ュ ボ ー ド へ の 取 付 け ・ 取 外 し が 容 易 に で き 、 持 ち 運 び が し や す い 。 さ ら に 、 自 動 車 に 限 ら ず 自 転 車 や 歩 行 時 に も ナ ビ 装 置 と し て の 利 用 が 可 能 で あ る 。 ま ず ヨ ー ロ ッ パ で 市 場 普 及 が 進 み 、 そ の 後 北 米 に も 展 開 し た 。
結 果 と し て 、 高 価 で 持 ち 運 び の で き な い 高 級 車 の オ プ シ ョ ン と し て の 機 器 の 普 及 に 執 着 し た ほ と ん ど の 日 本 メ ー カ ー は 、 日 本 以 外 の 市 場 に お い て は オ プ シ ョ ン と し て イ ン ダ ッ シ ュ 型 も 全 く 売 れ な く な り 、 世 界 市 場 の 足 が か り を 失 い 、 国 内 市 場 に 封 じ 込 め ら れ る 状 況 と な っ た 。
さ ら に 日 本 国 内 で も 低 価 格 P N D の 流 入 や 、 国 内 メ ー カ ー の 参 入 が 相 次 ぎ 、 こ れ ま で の 高 級 ・ 高 機 能 カ ー ナ ビ の 市 場 を 蚕 食 し て い る 。
さ ら に 追 い 打 ち を か け る よ う に 、 携 帯 電 話 の 市 場 で は 2 0 1 0 年 代 頃 に 入 り 、 G P S や 慣 性 航 法 セ ン サ 類 を 搭 載 し た 高 機 能 な ス マ ー ト フ ォ ン が 席 巻 す る と と も に 、 G o o g l e マ ッ プ ︵ 無 料 提 供 ︶ を 代 表 格 と す る 、 簡 易 型 カ ー ナ ビ を 含 め た 統 合 ナ ビ ゲ ー シ ョ ン ア プ リ が 普 及 し 、 ビ ッ グ デ ー タ 分 析 に よ る 道 路 渋 滞 情 報 の 提 供 と 併 せ た ル ー ト 検 索 機 能 が 提 供 さ れ て い る 。
ポ ー タ ブ ル ナ ビ ( P N D ) の 流 入 や 、 ス マ ー ト フ ォ ン に よ る カ ー ナ ビ の 代 替 に よ る 市 場 蚕 食 に よ り 、 従 来 の 高 級 ・ 高 機 能 カ ー ナ ビ 市 場 は ま す ま す ガ ラ パ ゴ ス 化 の 度 合 い を 強 め て お り 、 カ ー ナ ビ 専 用 機 市 場 の 今 後 の 見 通 し が 不 透 明 さ を 増 し て い る [ 3 6 ] 。
道路交通情報通信システム
前 述 の カ ー ナ ビ ゲ ー シ ョ ン シ ス テ ム と 連 携 し 交 通 情 報 を 提 供 す る シ ス テ ム 、 道 路 交 通 情 報 通 信 シ ス テ ム ( V I C S ) に つ い て も ガ ラ パ ゴ ス 化 が 指 摘 さ れ て い る [ 3 8 ] 。 FM 多 重 放 送 や 、 路 側 設 置 の 光 ビ ー コ ン 、 果 て は D S R C に よ る E T C 2 . 0 な ど 、 官 民 一 体 と な っ て 日 本 独 自 の 交 通 情 報 提 供 シ ス テ ム を 構 築 し て い る が 、 多 言 語 化 を 想 定 し て な い こ と や 、 世 界 的 に は 交 通 情 報 提 供 に お け る フ ォ ー マ ッ ト は T P E G ︵ 英 語 版 ︶ な ど が あ り 、 マ ル チ メ デ ィ ア 放 送 と の 絡 み に お い て 、 互 換 性 が な い 一 連 の V I C S の 方 式 は や は り ガ ラ パ ゴ ス 化 が 予 想 さ れ て い る [ 3 8 ] 。
非接触ICカード
急 拡 大 を 続 け る 日 本 の 非 接 触 IC カ ー ド ︵ 特 に 電 子 マ ネ ー ︶ 市 場 で あ る が 、 非 接 触 IC カ ー ド に よ る 電 子 マ ネ ー を 運 営 す る 日 本 の 会 社 の 大 半 が F e l i C a を 採 用 し て い る 。 し か し F e l i C a は 近 距 離 無 線 通 信 ( N F C ) の 国 際 標 準 規 格 で あ る I S O / I E C 1 4 4 4 3 ︵ 特 に そ の 中 で も 普 及 率 の 高 い T y p e A ︶ と 直 接 的 な 互 換 性 を 持 た な い た め 、 ガ ラ パ ゴ ス 化 が 懸 念 さ れ て い る [ 9 ] 。
F e l i C a は 性 能 面 で も 、 日 本 の ラ ッ シ ュ 時 に 自 動 改 札 で 乗 客 が 滞 留 し な い こ と 、 複 雑 な 連 絡 運 輸 に も 対 応 し 瞬 時 に 料 金 が 計 算 で き る こ と な ど 高 い 性 能 を 持 つ が 、 逆 に 日 本 以 外 で は そ こ ま で の 高 い 性 能 は 要 求 さ れ な い こ と が 大 半 で 、 欧 米 で は バ リ ュ ー エ ン ジ ニ ア リ ン グ の 観 点 か ら 過 剰 性 能 と み な さ れ て い る こ と も 指 摘 さ れ て い る [ 4 0 ] 。
そ の 結 果 、 日 本 で は F e l i C a と I S O / I E C 1 4 4 4 3 T y p e A に 対 応 さ せ る と 予 想 さ れ て い る の に 対 し て 、 諸 外 国 で は T y p e A し か 対 応 し な い と の 主 張 が あ る 。 実 際 ポ ス ト ペ イ の 世 界 で は 、 M a s t e r C a r d 陣 営 が 当 初 よ り T y p e A ベ ー ス の P a y P a s s を 展 開 し て い る 他 、 V i s a 陣 営 も 当 初 F e l i c a ベ ー ス の V i s a T o u c h を 採 用 し た も の の 、 後 の 世 界 展 開 で は T y p e A ベ ー ス の V i s a p a y W a v e に 乗 り 換 え る な ど 、 T y p e A ベ ー ス の 決 済 が 世 界 的 に 主 流 と な っ て い る 。
し か し な が ら 、 F e l i C a や I S O / I E C 1 4 4 4 3 に 対 し て 上 位 互 換 と な る 国 際 標 準 規 格 と し て I S O / I E C 1 8 0 9 2 が 制 定 さ れ て お り 、 F e l i C a 自 体 も 国 際 標 準 規 格 と の 互 換 性 を 獲 得 し て い る こ と か ら 、 こ の 懸 念 は 杞 憂 と の 見 方 も 一 部 に あ る ︵ さ ら に そ の 後 I S O / I E C 2 1 4 8 1 へ と 発 展 ︶ 。
ゲームソフト
日 本 の ゲ ー ム 業 界 は ア ー ケ ー ド ゲ ー ム で 培 っ た ノ ウ ハ ウ を 先 駆 け に 、 そ の 後 に 任 天 堂 が 家 庭 用 ゲ ー ム 機 で 世 界 を 席 巻 し 、 一 時 期 は 世 界 の ゲ ー ム 市 場 を ほ と ん ど 牛 耳 る ほ ど の 勢 い で あ っ た 。 し か し 最 近 で は 日 本 の ゲ ー ム 業 界 の 停 滞 と 行 き 詰 ま り が 囁 か れ 、 こ の 理 由 の 一 つ に 日 本 の ゲ ー ム 市 場 の 特 異 性 と し て 、 欧 米 で は リ ア ル な 戦 争 を 描 い た フ ァ ー ス ト パ ー ソ ン ・ シ ュ ー テ ィ ン グ ゲ ー ム ︵ F P S ︶ と 呼 ば れ る タ イ プ の ゲ ー ム が ヒ ッ ト す る が 、 日 本 で は ア ニ メ や マ ン ガ に 近 い 世 界 観 を 描 く ロ ー ル プ レ イ ン グ ゲ ー ム ︵ R P G ︶ な ど が 人 気 な こ と が 挙 げ ら れ て い る 。 い ま だ に 日 本 は ゲ ー ム の 輸 出 大 国 で あ る が 、 一 部 で は 日 本 の ゲ ー ム の ガ ラ パ ゴ ス 化 が 危 惧 さ れ て い る [ 4 2 ] [ 4 3 ] 。 ま た 、 ア ニ メ や 漫 画 な ど と 同 様 、 内 輪 受 け に 特 化 し た ﹁ 萌 え ﹂ 描 写 が 、 海 外 に お い て は ポ ル ノ ま が い の 表 現 と し て 捉 え ら れ 、 性 表 現 規 制 の 対 象 と な る こ と が あ る 。 海 外 で は 過 激 な 性 描 写 の た め 発 売 中 止 と な っ た ゲ ー ム も あ る [ 注 釈 6 ] 。
他 に も 、 世 界 的 に は 一 定 の シ ェ ア を 獲 得 し て い る X b o x 系 列 は 、 日 本 で 販 売 不 振 に 至 っ て い る 。 し か し 、 ニ ン テ ン ド ー ス イ ッ チ の 記 録 的 な 大 ヒ ッ ト [ 4 4 ] を 受 け 、 2 0 2 0 年 代 は 日 本 製 ゲ ー ム バ ッ シ ン グ か ら 一 周 回 っ て 日 本 的 ガ ラ パ ゴ ス ゲ ー ム 文 化 を 再 評 価 す る 兆 し も あ る 。
音楽業界
その他
AV業界においてD端子 という日本独自の規格が開発されたことにより、日本ではコンポーネント端子 があまり普及しなかった。
バズワード化
﹁ ガ ラ パ ゴ ス 化 ﹂ と は 本 来 、 前 述 の よ う に 世 界 の 潮 流 、 ﹁ デ フ ァ ク ト ﹂ か ら 取 り 残 さ れ て 、 日 本 国 内 の 独 自 規 格 ︵ 主 に 技 術 面 ︶ が 不 利 に な る 現 象 を 言 う の で あ る が 、 単 に 日 本 国 内 の 独 自 性 が 高 い 制 度 や 文 化 に 対 し て 批 判 的 な 文 脈 と し て バ ズ ワ ー ド 的 な 用 法 も 見 ら れ る 。 ま た 、 グ ロ ー バ ル 化 に 対 す る 賛 否 そ れ ぞ れ の 立 場 か ら も バ ズ ワ ー ド 的 に 用 い ら れ る 。
交通・輸送の「ガラパゴス化」
自動車
日本独自の主な自動車文化
5ナンバーサイズ車(小型自動車)
SUV
イ ギ リ ス フ ィ ナ ン シ ャ ル ・ タ イ ム ズ が 、 ガ ラ パ ゴ ス 化 を ガ ラ パ ゴ ス シ ン ド ロ ー ム ︵ s y n d r o m e ‥ 好 ま し く な い 社 会 事 態 ︶ と 表 現 し 、 一 例 と し て 北 米 の 自 動 車 市 場 の 独 特 の 発 展 を 挙 げ て い る 。 そ の 記 事 で は 、 ﹁ ア メ リ カ の 自 動 車 産 業 は ガ ラ パ ゴ ス シ ン ド ロ ー ム に 苦 し ん で い る と ず っ と 主 張 さ れ て い る 。 と い う の は 、 そ の 製 品 が 世 界 の 他 の 地 域 か ら 孤 立 し て 進 化 し て き た か ら だ 。 ﹂ と 述 べ て い る [ 4 8 ] 。 こ れ は 北 米 で の S U V ︵ S p o r t U t i l i t y V e h i c l e ︶ の 人 気 に 言 及 し た も の で 、 ガ ソ リ ン 税 の 安 さ に よ り 燃 費 に 敏 感 で な い こ と 、 S U V は 車 種 の 定 義 上 は 業 務 用 と な る た め 自 動 車 税 が 優 遇 さ れ て い る こ と 、 広 い 道 路 と ハ イ ウ ェ イ を 背 景 と す る ア メ リ カ 消 費 者 の 大 型 車 好 み な ど の 事 情 か ら 爆 発 的 に 売 れ た が 、 石 油 価 格 の 上 昇 に よ る ガ ソ リ ン 価 格 の 上 昇 と 、 リ ー マ ン ・ シ ョ ッ ク 以 降 の 急 速 な 不 景 気 に よ り 、 そ の 販 売 ︵ 金 融 危 機 に よ り 車 の ロ ー ン が 組 め な く な っ た こ と も 一 因 ︶ が 急 速 に 縮 小 し 、 S U V ︵ ひ い て は 、 北 米 市 場 ︶ に 大 き く 依 存 し て い た ア メ リ カ の ビ ッ グ ス リ ー の う ち 、 GM と ク ラ イ ス ラ ー の 二 社 が 会 社 更 生 法 を 申 請 す る こ と に な っ た 状 況 を 指 し て い る 。
原動機付自転車(側車のない総排気量125㏄以下のオートバイ)
自転車
日本の自転車 環境には、歩道 走行可[注釈 8] 、左側通行の不徹底、自動車 に対しては厳格なまでになされている違法行為取り締まりが実質的にされていないこと、格安自転車の大量流通という4つのガラパゴス状況がある[49] 、との指摘がある。
法制度のガラパゴス化
選択的夫婦別姓
日 本 で は 、 選 択 的 夫 婦 別 姓 制 度 は 導 入 さ れ て お ら ず 、 夫 婦 別 姓 、 と い う 婚 姻 形 態 を と る こ と は で き な い 。 日 本 は 明 治 31 年 ︵ 1 8 9 8 年 ︶ に ド イ ツ 民 法 な ど を 手 本 に 夫 婦 別 姓 か ら 夫 婦 同 姓 に 転 換 し た が 、 手 本 と な っ た ド イ ツ 等 は す で に 男 女 差 別 の 撤 廃 な ど を 目 的 に 選 択 的 夫 婦 別 姓 に 移 行 し 、 現 在 で は 法 的 に 夫 婦 同 姓 を 強 制 し て い る 国 は 世 界 で 日 本 が 唯 一 と な っ て い る 。 池 田 祥 子 や 出 口 治 明 は 、 こ の 状 況 が ガ ラ パ ゴ ス 的 だ と 指 摘 し て い る [ 5 0 ] [ 5 1 ] 。
税務調査
税 務 調 査 に お い て は 、 様 々 な 事 実 認 定 や 法 律 解 釈 な ど が 独 自 に 進 化 し て お り 、 ガ ラ パ ゴ ス 化 し て い る と の 指 摘 が あ る [ 5 2 ] 。 例 と し て は 重 加 算 税 の 取 り 扱 い が 、 法 人 税 調 査 と 所 得 税 調 査 で 異 な る こ と な ど が 挙 げ ら れ る [ 5 2 ] 。
酒税
日 本 の 酒 税 法 で は 自 家 醸 造 の 厳 格 な 規 定 や 日 本 酒 級 別 制 度 な ど の 歴 史 的 な 経 緯 に よ る 規 定 の 他 、 焼 酎 を 大 衆 酒 と 位 置 付 け て 低 税 率 と し 、 ウ イ ス キ ー や ブ ラ ン デ ー な ど の 洋 酒 は 高 級 酒 と し 高 税 率 と す る な ど 単 純 に ア ル コ ー ル 度 数 に 比 例 し な い 税 率 で あ り 、 海 外 か ら 非 関 税 障 壁 と の 批 判 で 改 正 さ れ る な ど し て い る 。 ま た ビ ー ル の よ う に 当 初 は 富 裕 層 向 け だ っ た が 庶 民 に 広 ま っ た 後 も 税 率 が 維 持 さ れ た た め 、 メ ー カ ー か ら 発 泡 酒 や 第 三 の ビ ー ル の よ う な 法 律 の 隙 間 を つ い た ﹃ 節 税 ビ ー ル ﹄ が 登 場 し 、 普 及 す る 度 に ピ ン ポ イ ン ト で 課 税 し た り 酒 類 の 定 義 を 調 整 す る な ど 場 当 た り 的 な 改 正 を 行 っ て い る 。 こ の 結 果 、 一 部 の 酒 類 の み 定 義 が 複 雑 化 す る な ど の 歪 み が 生 じ て い る [ 5 3 ] 。
文化の「ガラパゴス化」
案内マーク
日本独自の温泉マーク
道 路 標 識 と 同 様 に 、 日 本 の 案 内 マ ー ク は 半 数 以 上 が J I S ︵ 日 本 工 業 規 格 ︶ に 基 づ い た デ ザ イ ン で 観 光 地 な ど に 掲 げ ら れ て い る 。 こ れ は 世 界 標 準 で 定 め ら れ た I S O 規 格 ︵ 国 際 標 準 化 機 構 ︶ の デ ザ イ ン と は か け 離 れ て お り 、 訪 日 外 国 人 が マ ー ク の 意 味 を 誤 解 す る ケ ー ス が 相 次 い で い る 。 例 え ば 日 本 の 温 泉 マ ー ク は 、 外 国 人 に は コ ー ヒ ー カ ッ プ に 見 え る と い う 。 こ れ を う け て 、 2 0 2 0 年 の 東 京 オ リ ン ピ ッ ク に は 訪 日 外 国 人 が 大 勢 や っ て く る の を 見 据 え て 、 既 存 の J I S マ ー ク を I S O 準 拠 の マ ー ク に 取 り 替 え る 取 り 組 み が 進 ん で い る [ 5 4 ] [ 5 5 ] 。
長距離走
日本ではマラソン より駅伝競走 に人気があり、学生も社会人も挙って駅伝大会に出場している。駅伝に力を入れることによりマラソンの強化ができていないとの指摘があり、世界で大きな駅伝大会を実施している国は日本以外では少ない。世界がマラソンを強化する中で駅伝は日本だけで盛り上がっている状況である。日本は長距離走の分野で世界の潮流とはやや異なり、独自路線を行っており、襷をつなぐ駅伝は「個」より「和の文化 」を重視する日本らしい、と評されている[56] (ちなみに駅伝は日本独自の競技)。
吹奏楽
日本は教育吹奏楽の豊かな国家ではあるものの、たった一つの新聞社のみが課題曲に介入する[57] という点で日本以外の国では見られない活動とみなせる。また公募と称して高額の応募料を徴収し、それが不正受給の温床になった[58] という点も日本以外では全く見られない性質をもつものである。この状況の打開のため、ウインドオーケストラのためのコンクールや航空自衛隊のための公募も何回かは開催されたものの、2020年代の現在は日本ではすべて行われていない。
脚注
注釈
(一) ^ な お 当 初 か ら 国 際 規 格 ︵ ま た は 欧 州 な ど 有 力 な ブ ロ ッ ク 内 規 格 ︶ と し て 制 定 、 運 用 さ れ る 場 合 に は デ ジ ュ リ ス タ ン ダ ー ド と 言 う 。 こ の 文 脈 で 表 現 す る 場 合 に は 以 下 、 ﹁ ﹂ 付 き の ﹃ ﹁ デ フ ァ ク ト ﹂ ﹄ と し て 記 述 す る 。
(二) ^ ス ズ キ ・ ダ イ ハ ツ の 軽 自 動 車 は 輸 出 や 現 地 ブ ラ ン ド ( デ ー ヴ 国 民 車 ( 現 ‥ 韓 国 GM ) 、 マ ル チ 、 プ ロ ド ゥ ア 、 ア ジ ア ( キ ア に 吸 収 ) 等 ) に よ る 排 気 量 拡 大 版 の 海 外 生 産 の 実 績 が あ る 。 ま た 、 2 0 1 9 年 か ら は 6 6 0 c c の ス ズ キ ・ ア ル ト が 6 6 0 c c の ま ま パ キ ス タ ン で の 現 地 生 産 も 始 ま っ た 。
(三) ^ 日 本 で の M N P の 導 入 は 2 0 0 6 年 10 月 。
(四) ^ キ ャ リ ア の ロ ッ ク を 解 除 す る サ ー ビ ス が 日 本 と 違 い 合 法 で 安 価 に 存 在 す る 。 S I M ロ ッ ク が 諸 外 国 に な い と い う こ と は な い 。
(五) ^ A p p l e 社 は 世 界 で の 総 数 は 発 表 し て い る が 国 別 の 出 荷 数 は 発 表 し て い な い 。 日 本 の J A I T A の 統 計 は 海 外 メ ー カ ー の 出 荷 数 を 含 ん で い な い 。
(六) ^ ﹃ ぎ ゃ る ☆ が ん ﹄ な ど 。
(七) ^ ボ デ ィ サ イ ズ は ほ ぼ 5 ナ ン バ ー 枠 に 収 ま っ て い る が 、 そ の 排 気 量 の 大 き さ の た め 実 際 に は 3 ナ ン バ ー で あ る 。
(八) ^ 1 9 7 0 年 代 の 死 亡 事 故 増 加 に 対 処 す る た め 、 道 路 交 通 法 を 所 管 す る 警 察 庁 交 通 局 が と っ た 措 置 に よ る 。
出典
参考文献
関連項目