「琉球祖語」の版間の差分
Henlly3839 (会話 | 投稿記録) *ui, *oi, *əiの順になるよう並び替え。 |
Henlly3839 (会話 | 投稿記録) *NCについて記述を移動。音韻論と音韻対応の順序入れ替え。 |
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[[アレキサンダー・ボビン]]は、日琉祖語が弥生時代に日本に入ったという定説には問題点が残っているという立場から、琉球語派と日本語派の分岐を古墳時代ではないかとしている。その根拠として語彙統計学の見地と考古学のデータを挙げ、日琉祖語が弥生時代に日本列島に入ったと仮定すれば、分岐を2257年前より以前に遡ると推測すべきだが、語彙統計学の立場から大城(1972)が琉球諸語と日本語の分岐を1557年前とみていること、仮定が正しければ弥生文化の遺跡が沖縄にないことは不審だということを述べている<ref>{{Cite journal|last=Vovin|first=Alexander|title=縄文時代から上代までの日本列島‥言語は何語?|url=https://www.academia.edu/12980390/縄文時代から上代までの日本列島_言語は何語}}</ref>。
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[[アレキサンダー・ボビン]]は、日琉祖語が弥生時代に日本に入ったという定説には問題点が残っているという立場から、琉球語派と日本語派の分岐を古墳時代ではないかとしている。その根拠として語彙統計学の見地と考古学のデータを挙げ、日琉祖語が弥生時代に日本列島に入ったと仮定すれば、分岐を2257年前より以前に遡ると推測すべきだが、語彙統計学の立場から大城(1972)が琉球諸語と日本語の分岐を1557年前とみていること、仮定が正しければ弥生文化の遺跡が沖縄にないことは不審だということを述べている<ref>{{Cite journal|last=Vovin|first=Alexander|title=縄文時代から上代までの日本列島‥言語は何語?|url=https://www.academia.edu/12980390/縄文時代から上代までの日本列島_言語は何語}}</ref>。
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※詳しくはこの項目ではなく「[[日琉祖語]]」を参照。 |
※詳しくはこの項目ではなく「[[日琉祖語]]」を参照。 |
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== 音韻論 == |
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=== 母音 === |
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{{Harvp|Thorpe|1983}}以来 *i, *u, *e, *o, *a の五母音が再建されている。*u と *o のどちらが再建できるかわからないときに Thorpe (1983) は ⟨U⟩ という表記を使ったが,このページではトマ・ペラール{{Sfnp|Pellard|2022|p=2}}にならい *{o, u} を使用する。また、以降の表記における *{X, Y, …} は,*X, *Y, …のどれが再構できるかが確定できないことを示す。 |
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|+琉球祖語の母音 |
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==== 中段母音{{Sfnp|Pellard|2022|p=3}} ==== |
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琉球祖語の高母音と中段母音の対立は、娘言語では通常、頭子音に母音の音価が移行することで音韻化︵transphonologize、定訳不明、[[:en:transphonologization|英語版]]︶されたので、頭子音が無い場合︵特に第二音節の頭子音が無声子音である場合︶には、常に *i と *e、*u と *o の対立が忠実に保存されているわけではない。
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* *{i, e}ki「息」 |
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* *{i, e}si「石」 |
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* *{u, o}si「牛」 |
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* *{u, o}ta「歌」 |
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同様に、日琉祖語の非語頭の *…pu, *…po, *…wo の子音が琉球祖語で消失した結果、この環境下で *u と *o は合流している。 |
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* *ta{u, o}re-「倒れる」 |
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* *a{u, o}gi「扇」 |
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* *sa{u, o}「竿」 |
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更に、*ju と *jo の弁別の証拠は少ない。 |
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=== 子音 === |
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{{Harvp|Thorpe|1983}}以来,以下の13子音が再建されている。*b, *d, *g, *z はそれぞれ日琉祖語の *{n, m}p, *{n, m}t, *{n, m}k, *{n, m}s から生じた{{Sfnp|Pellard|2022|p=7}}。
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|+琉球祖語の子音 |
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一方で[[アレキサンダー・ヴォヴィン]]は、[[15世紀]]の[[中国語]]と[[朝鮮語]]による[[沖縄語]]を音写した資料で、語中の有声子音がŋg, mb, nd, nzとされていることや、現代[[八重山語]]の一部の方言に残る証拠から、琉球祖語にもこうした子音群を再建している{{Sfnp|Vovin|2012}}。ヴォヴィンは、沖縄語では
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-NC<small>[+voiced]</small>- > -C<small>[+voiced]</small>- |
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という変化は15世紀の段階ですでに始まっていたものとしている{{Sfnp|Vovin|2012}}。 |
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=== 原音素(archiphoneme) === |
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Thorpe (1983) 以来 *Q(促音)、*N(撥音)が再建されている。これらは母音の消失などによって二次的に出現したものである。{{Sfnp|Pellard|2022|p=7}}
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=== アクセント === |
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== 音韻対応 == |
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=== 母音 === |
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==== イ列乙類との対応 ==== |
==== イ列乙類との対応 ==== |
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日琉祖語の *ui, *oi, *əi は上代日本語でいずれもイ列乙類(i₂)として合流したが、琉球祖語では *ui, *oi が *i, *əi が *e に対応している。{{Sfnp|Pellard|2013|p=90}}{{Sfnp|Pellard|2022|p=4}}したがって、上代日本語と琉球祖語は奈良時代よりも前に分岐したと考えることができる。
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日琉祖語の *ui, *oi, *əi は上代日本語でいずれもイ列乙類(i₂)として合流したが、琉球祖語では *ui, *oi が *i, *əi が *e に対応している。{{Sfnp|Pellard|2013|p=90}}{{Sfnp|Pellard|2022|p=4}}したがって、上代日本語と琉球祖語は奈良時代よりも前に分岐したと考えることができる。
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== 音韻論 == |
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=== 母音 === |
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{{Harvp|Thorpe|1983}}以来 *i, *u, *e, *o, *a の五母音が再建されている。*u と *o のどちらが再建できるかわからないときに Thorpe (1983) は ⟨U⟩ という表記を使ったが,このページではトマ・ペラール{{Sfnp|Pellard|2022|p=2}}にならい *{o, u} を使用する。また、以降の表記における *{X, Y, …} は,*X, *Y, …のどれが再構できるかが確定できないことを示す。 |
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|+琉球祖語の母音 |
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==== 中段母音{{Sfnp|Pellard|2022|p=3}} ==== |
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琉球祖語の高母音と中段母音の対立は、娘言語では通常、頭子音に母音の音価が移行することで音韻化︵transphonologize、定訳不明、[[:en:transphonologization|英語版]]︶されたので、頭子音が無い場合︵特に第二音節の頭子音が無声子音である場合︶には、常に *i と *e、*u と *o の対立が忠実に保存されているわけではない。
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例: |
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* *{i, e}ki「息」 |
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* *{i, e}si「石」 |
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* *{u, o}si「牛」 |
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* *{u, o}ta「歌」 |
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同様に、日琉祖語の非語頭の *…pu, *…po, *…wo の子音が琉球祖語で消失した結果、この環境下で *u と *o は合流している。 |
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例: |
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* *ta{u, o}re-「倒れる」 |
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* *a{u, o}gi「扇」 |
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* *sa{u, o}「竿」 |
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更に、*ju と *jo の弁別の証拠は少ない。 |
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=== 子音 === |
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{{Harvp|Thorpe|1983}}以来,以下の13子音が再建されている。*b, *d, *g, *z はそれぞれ日琉祖語の *{n, m}p, *{n, m}t, *{n, m}k, *{n, m}s から生じた{{Sfnp|Pellard|2022|p=7}}。
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|+琉球祖語の子音 |
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|破裂音 |
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=== 原音素(archiphoneme) === |
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Thorpe (1983) 以来 *Q(促音)、*N(撥音)が再建されている。これらは母音の消失などによって二次的に出現したものである。{{Sfnp|Pellard|2022|p=7}}
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=== アクセント === |
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== 統語論 == |
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== 娘言語での変化 == |
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=== NCの変化 === |
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日琉祖語の[[単語]]には、語中に*-Nk-, *-Np-, *Nt-, *-Ns-を含むものがある(NC)。[[15世紀]]の[[中国語]]と[[朝鮮語]]の当時の資料ではそれぞれŋg, mb, nd, nzとして音写されているが、若干の例外が存在するため、 |
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-NC<small>[+voiced]</small>- > -C<small>[+voiced]</small>- |
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という変化は15世紀の段階ですでに始まっていたものと考えられている<ref>{{Cite book|author=アレクサンダー・ヴォヴィン|title=琉球祖語の語中における有声子音の再建について|date=2012年8月7日|year=|accessdate=2018-08-19|publisher=}}</ref>。
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=== 北琉球祖語 === |
=== 北琉球祖語 === |
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{{節スタブ}} |
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|publisher=University of Southern California |
|publisher=University of Southern California |
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}} 博士論文 |
}} 博士論文 |
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{{Citation |
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| last=Vovin |
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| first=Alexander |
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| year=2012 |
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| contribution=琉球祖語の語中における有声子音の再建について |
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| contribution-url=https://x.gd/CuV8U |
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| title=国立国語研究所『「日本列島と周辺諸言語の類型論的・比較歴史的研究」研究発表会』 |
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| url=https://www2.ninjal.ac.jp/past-events/2009_2021/event/specialists/project-meeting/m-2012/20120807-023/index.html |
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}} |
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== 関連項目 == |
== 関連項目 == |
2024年3月31日 (日) 08:23時点における版
分岐年代
琉球祖語は、日琉祖語から奈良時代以前に分岐したとの説が有力である。 トマ・ペラールは、琉球語派と日本語派の相違点がさほどないことや、琉球祖語の保存された音素から3世紀の弥生時代末期から4世紀 - 7世紀の古墳時代に分岐したのではないかとしている[1]。ただし琉球祖語が琉球地方に入ったのはグスク時代としており、日本語と7・8世紀以前に別れ、9~11世紀まで九州に在地しながら日本語と接触し強い影響を受けた後、琉球列島へグスク文化の一要素として移民によって伝播した、としている。 アレキサンダー・ボビンは、日琉祖語が弥生時代に日本に入ったという定説には問題点が残っているという立場から、琉球語派と日本語派の分岐を古墳時代ではないかとしている。その根拠として語彙統計学の見地と考古学のデータを挙げ、日琉祖語が弥生時代に日本列島に入ったと仮定すれば、分岐を2257年前より以前に遡ると推測すべきだが、語彙統計学の立場から大城(1972)が琉球諸語と日本語の分岐を1557年前とみていること、仮定が正しければ弥生文化の遺跡が沖縄にないことは不審だということを述べている[2]。 ※詳しくはこの項目ではなく﹁日琉祖語﹂を参照。音韻論
母音
Thorpe (1983)以来 *i, *u, *e, *o, *a の五母音が再建されている。*u と *o のどちらが再建できるかわからないときに Thorpe (1983) は ⟨U⟩ という表記を使ったが,このページではトマ・ペラール[3]にならい *{o, u} を使用する。また、以降の表記における *{X, Y, …} は,*X, *Y, …のどれが再構できるかが確定できないことを示す。前舌 | 後舌 | |
---|---|---|
高 | *i | *u |
中 | *e | *o |
低 | *a |
中段母音[4]
子音
Thorpe (1983)以来,以下の13子音が再建されている。*b, *d, *g, *z はそれぞれ日琉祖語の *{n, m}p, *{n, m}t, *{n, m}k, *{n, m}s から生じた[5]。両唇 | 歯茎 | 硬口蓋 | 軟口蓋 | |
---|---|---|---|---|
破裂音 | *p, *b | *t, *d | *k, *g | |
摩擦音 | *s, *z | |||
鼻音 | *m | *n | ||
その他 | *w | *r | *j |
原音素(archiphoneme)
Thorpe (1983) 以来 *Q(促音)、*N(撥音)が再建されている。これらは母音の消失などによって二次的に出現したものである。[5]アクセント
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音韻対応
母音
イ列乙類との対応
日琉祖語の *ui, *oi, *əi は上代日本語でいずれもイ列乙類(i₂)として合流したが、琉球祖語では *ui, *oi が *i, *əi が *e に対応している。[7][8]したがって、上代日本語と琉球祖語は奈良時代よりも前に分岐したと考えることができる。グロス | 上代日本語 | 日琉祖語 | 琉球祖語 |
---|---|---|---|
口 | kuti ~ kutu- | *kutui | *kuti |
月 | tuki₂ ~ tuku- | *tukui (*tukoi) | *tuki |
火 | pi₂ ~ po(₁)- | *poi | *pi |
黄色 | ki₂ ~ ku- | *koi | *ki |
木 | ki₂ ~ ko₂- | *kəi | *ke |
落ちる | oti- ~ oto₂s- | *ətəi | *{u, o}te- |
オ列乙類との対応
一部の研究者は奄美大島・加計呂麻島の一部の方言で上代日本語のオ列甲乙の対立に相当するものが保存されているとかつて主張したが、対応は顕著に複雑であり、琉球祖語に *ə(> o₂)と *o(> o₁)の対立を再構することはできないと考えられている。[9]
上代日本語 | 日琉祖語 | 琉球祖語 | 奄美語 |
---|---|---|---|
o₂ | *ə | *o | /u/ |
o₁ | *o, *ua, *au, etc. | *o | /o/ |
中段母音の再構
琉球祖語 :: 上代日本語に *e :: i₁, *o :: u という音韻対応が見られる単語は、日琉祖語に *e, *o が再建されている[10]。
現代日本語 | 日琉祖語 | 琉球祖語 | 上代日本語 |
---|---|---|---|
ヒル(ニンニク) | *peru | *peru | pi₁ru |
水 | *meNtu | *mezu | mi₁Ntu |
昼 | *piru | *piru | pi₁ru |
薬 | *kusori | *kusori | kusuri |
臼 | *{u, o}su | *{u, o}su | usu |
馬 | *uma | *uma | uma |
海 | *omi | *omi | umi₁ |
母音対応表
![]() | この節の加筆が望まれています。 |
規則上は以下が予想される。琉球諸語の内部での対応はおおまかなものであり、個別の言語内部でも方言差がある。
日琉祖語 | 上代日本語 | 琉球祖語 | 北琉球語群 | 南琉球語群 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
奄美語 | 沖縄語 | 宮古語 | 八重山語 | 与那国語 | |||
*a | a | *a | a | a | a | a | a |
*e | i₁ ~ e₁ | *e[12] | ʰɨ, i | ʰi, i | i | i | i |
*ai | e₂ | ||||||
*əi | i₂ ~ e₂ | ||||||
*i | i₁ | *i | ʔi, N | ʔi, ʲi, N | ɿ, ɯ, s, N, ∅ | ɿ, N, ∅ | i, N, ∅ |
*oi | i₂ | ||||||
*ui | |||||||
*o | u ~ o₁ | *o[13] | ʰu | u | u | u | u |
*au | o₁ | ||||||
*ua | |||||||
*uə | |||||||
*ə | o₂ | ||||||
*u | u | *u | ʔu, N | u, N | u, N, ∅ | u, N, ∅ | u, N, ∅ |
子音
接近音
子音対応表
![]() | この節の加筆が望まれています。 |
日琉祖語 | 上代日本語 | 琉球祖語 | 北琉球語群 | 南琉球語群 | 備考 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
奄美語 | 沖縄語 | 宮古語 | 八重山語 | 与那国語 | |||||
語頭 | *p | p | *p- | ||||||
語中 | *p ~ *∅ ~ *w | ||||||||
語頭 | *w | w | *w- | w- | w- | b- | b- | b- | 北琉球諸語では一部の /b-/ や /g-/ になるいくつかの方言を除いて /w-/ が一般的である。[14] |
語中 | *w ~ *∅ |
統語論
![]() | この節の加筆が望まれています。 |
形態統語論
![]() | この節の加筆が望まれています。 |
動詞
琉球諸語の動詞活用表の一部は日本語のものとしばしば厳密に音韻対応しない。
北琉球諸語の終止形・連体形
上代日本語 | 奄美語 | 沖縄語 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
大和浜方言 | 与論 東区方言 | 今帰仁 与那嶺方言 | 首里方言 | 久高方言 | ||
終止形 | kaku | kʰakuɴ | kakjuɴ | hatɕuɴ | katɕuɴ | hakiɴ |
連体形 | kaku | kʰakuɾu | kajuɾu | hatɕuːɾu | katɕuɾu | hakiɾu |
形容詞
動詞と同様、一部は日本語のものとしばしば厳密に音韻対応しない。語彙
琉球祖語の語彙の一部には、九州地方の諸言語と類似した語彙が含まれていることが知られており、﹁九州琉球同源語﹂と呼ばれている[16]。娘言語での変化
北琉球祖語
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南琉球祖語
![]() | この節の加筆が望まれています。 |