春日井郡
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春日井郡︵かすがいぐん︶は、愛知県︵尾張国︶にあった郡。
郡域[編集]
概ね現在の下記の区域にあたるが、行政区画として画定されたものではない。 ●名古屋市の一部︵守山区の全域、北区の大部分[注釈 1]、および千種区[注釈 2]・東区[注釈 3]・中村区[注釈 4]・西区[注釈 5]・名東区[注釈 6]の各一部︶ ●瀬戸市の大部分︵概ね西原町、高根町、東本地町、菱野町、赤重町、幡野町、原山台、菱野台、萩山台、宝ヶ丘町、若宮町、屋戸町、広久手町以南を除く︶ ●春日井市・小牧市・尾張旭市・北名古屋市・西春日井郡豊山町の全域 ●清須市の大部分︵上条・土田・廻間・西市場・下津町および新清洲の一部を除く︶歴史[編集]
古代[編集]
当初は春部郡︵かすがべぐん︶と書かれていた[1]。飛鳥京からは﹁尾治国春部評池田里・三家人部 米六斗入﹂と書かれた木簡が見つかっており[2]、春部評が置かれていたことがわかる。その後701年の大宝律令の制定により評は郡となった。927年成立の延喜式には春部︵かすかへ︶郡との記載がみられる[3]。戦国時代には山田郡の一部を編入した[1]。郷[編集]
938年頃に成立した和名類聚抄に﹁春部郡﹂の郷として掲載されているのは以下の通り[4]。ただし読みが特定できるものについては括弧内に記載した。 ●池田︵いけだ︶ ●柏井︵かしわい︶ ●安食︵あじき︶ ●山村︵やまむら︶ ●高苑︵たかその︶ ●餘戸︵あまるべ︶式内社[編集]
﹃延喜式﹄神名帳に記される郡内の式内社[注釈 7]。神名帳 | 比定社 | 集成 | |||||
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社名 | 読み | 格 | 付記 | 社名 | 所在地 | 備考 | |
尾張国春日井郡 12座(並小) | |||||||
非多神社 | ヒタノ | 小 | |||||
乎江神社 | ウエノ | 小 | |||||
外山神社 | トヤマノ | 小 | |||||
片山神社 | カタヤマノ | 小 | (論)片山八幡社 | 愛知県小牧市村中 | |||
(論)天神社 | 愛知県春日井市牛山町 | ||||||
(論)白山社 | 愛知県小牧市間々本町 | ||||||
訓原神社 | クニハラノ | 小 | |||||
牟都志神社 | ムツシノ | 小 | |||||
味鋺神社 | ウマシマリ ミソ- |
小 | 味鋺神社 | 愛知県名古屋市北区楠味鋺 | |||
物部神社 | モノノヘノ | 小 | 白山神社 | 愛知県春日井市二子町 | |||
伊多波刀神社 | イタハトノ | 小 | 伊多波刀神社 | 愛知県春日井市上田楽町 | |||
高牟神社 | タカムノ | 小 | (論)高牟神社 | 愛知県名古屋市守山区瀬古 | |||
(論)松原神社 | 愛知県春日井市東山町 | ||||||
内々神社 | ウチウチノ ウツツノ |
小 | 内々神社 | 愛知県春日井市内津町上町 | |||
多気神社 | タケノ | 小 | |||||
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近世以降の沿革[編集]
東春日井郡の所属町村の変遷については「東春日井郡#郡発足までの沿革」を参照
西春日井郡の所属町村の変遷については「西春日井郡#郡発足までの沿革」を参照
●﹁旧高旧領取調帳﹂の記載によると、明治初年時点では大部分が尾張名古屋藩領、一部が尾張犬山藩領[注釈 8]・美濃今尾藩領[注釈 9]であった。各藩領とも後の東春日井郡域・西春日井郡域にまたがる。︵202村︶[注釈 10]
●明治4年
●7月14日︵1871年8月29日︶ - 廃藩置県により、名古屋県、犬山県、今尾県の管轄となる。
●11月22日︵1872年1月2日︶ - 第1次府県統合により、全域が名古屋県の管轄となる。
●明治5年4月2日︵1872年5月8日︶ - 愛知県の管轄となる。
●明治11年︵1878年︶12月20日 - 郡区町村編制法の愛知県での施行により、行政区画としての春日井郡が発足。郡役所が下小田井村に設置。
●明治13年︵1880年︶2月5日 - 分割[5]され、勝川村ほか109村の区域をもって東春日井郡が、下小田井村ほか2町81村の区域をもって西春日井郡がそれぞれ発足[注釈 11]。同日春日井郡廃止。愛知県内では1878年の郡再編から僅か1年1ヶ月半で初の郡消滅となった。
行政[編集]
歴代郡長代 | 氏名 | 就任年月日 | 退任年月日 | 備考 |
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1 | 明治11年(1878年)12月20日 | |||
明治13年(1880年)2月4日 | 分割により春日井郡廃止 |
脚注[編集]
注釈[編集]
(一)^ ごく一部は愛知郡。
(二)^ 一部は愛知郡。
(三)^ 一部は名古屋区。
(四)^ 大部分は愛知郡。
(五)^ 一部は名古屋区・愛知郡。
(六)^ 猪子石原・天神下および香坂・神月町の各一部。残部は愛知郡。
(七)^ ただし延喜式が成立した時代は﹁春部郡﹂と表記されていた。
(八)^ 尾張藩附家老成瀬氏領が慶応4年1月24日︵1868年2月17日︶に立藩。
(九)^ 尾張藩附家老竹腰氏領が慶応4年1月24日︵1868年2月17日︶に立藩。
(十)^ 202村のほか江崎入鹿新田︵名古屋藩領︶が記載されているが詳細不明。
(11)^ 明治初年の町村の再編により、町村数の合計は﹁旧高旧領取調帳﹂の記載とは一致しない。
出典[編集]
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(一)^ ab﹁角川日本地名大辞典﹂編纂委員会 1989, p. 376.
(二)^ “木簡庫”. 奈良文化財研究所. 2020年11月7日閲覧。
(三)^ “延喜式 : 校訂. 下巻 国立国会図書館デジタルコレクション”. 2020年11月2日閲覧。巻二十二 民部式 上29ページ
(四)^ “倭名類聚鈔20巻3国立国会図書館デジタルコレクション”. 2020年11月2日閲覧。43~44ページ
(五)^ 西春日井郡 1923, p. 2.
参考文献[編集]
●西春日井郡 編﹃西春日井郡誌﹄西春日井郡、1923年3月。 ●﹁角川日本地名大辞典﹂編纂委員会 編﹃角川日本地名大辞典﹄ 23愛知県、角川書店、1989年3月8日。ISBN 4040012305。関連項目[編集]
●消滅した郡の一覧 ●林重登 ●東海交通事業城北線 - 沿線が清須市、名古屋市西区山田地域、名古屋市北区楠地域、春日井市といずれも元々春日井郡だった地域である。先代 ----- |
行政区の変遷 - 1880年 |
次代 東春日井郡・西春日井郡 |