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第130回芥川龍之介賞は、2004年1月15日に発表された芥川龍之介賞。2003年下半期に発表された作品が対象。
候補作[編集]
太字は受賞作
綿矢は当時19歳11か月であり、これまでの記録であった第56回の丸山健二「夏の流れ」による23歳0か月での受賞記録を更新した。また、金原も20歳5か月であり(その綿矢に次ぐ)史上2位の若さであった。また受賞には至らなかったが、島本も20歳8か月であり、事前報道などで注目された。
同時発表の第130回直木三十五賞は江國香織『号泣する準備はできていた』と京極夏彦『後巷説百物語』。
山田詠美、三浦哲郎、古井由吉、河野多恵子、黒井千次、池澤夏樹、石原慎太郎、村上龍、宮本輝、高樹のぶ子
蛇にピアス
細部描写の秀逸さと、派手な道具立ての裏にある物語の純粋さが高く評価された。特に、石原慎太郎は、受賞作発表後の記者会見において、この回の候補作全体に対して否定的見解を示して﹁今年は該当作無しでも良かったんじゃないか﹂と前置きした上で、それでも受賞した2作品からいずれかを選ぶならば、﹁蛇にピアス﹂を推す旨を明言したほどである。
蹴りたい背中
三浦哲郎が石原同様他に適した作品がなく、幼い内容だが選んだとしている。
最年少受賞で注目されたため最近数年で最大の反響を呼び、受賞作2作を掲載した﹁文藝春秋﹂は約118万部発行され創刊以来の記録となった。単行本も﹃蹴りたい背中﹄はミリオンセラーを記録し、﹃蛇にピアス﹄も60万部以上を売り上げた。また綿矢の第1作﹃インストール﹄も合わせて話題になりこちらも50万部を超えるヒットとなった。
また、綿矢、金原は共に容姿からも注目され、本来文学とは無縁な写真週刊誌で特集が組まれたほか、インターネット上でも反響を呼び、その様子が雑誌で紹介された。各種媒体では、﹁綿矢はオジサンやオタクから人気﹂、﹁金原は若者や遊び人から人気﹂と言われた。
当時若者の活字離れや出版不況が問題になっていたことから、状況打破のための話題づくりとしての受賞との批判が挙がった。
受賞後の動き[編集]
受賞第1作として金原は2004年4月に集英社より﹃アッシュベイビー﹄を、綿矢は2007年2月に﹃夢を与える﹄を河出書房新社より刊行した。同じように若くして受賞した平野啓一郎らと比べると、両者共に受賞後の仕事量は少なく、執筆活動が軌道に乗るには2010年代半ば以降まで時間を要している。
なお、今回落選した絲山秋子は、第134回に﹁沖で待つ﹂で受賞を果たしているほか、島本は第159回直木三十五賞を﹁ファースト・ラヴ﹂で受賞した。
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1930年代 - 1950年代(第1回 - 第42回) |
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1960年代 - 1970年代(第43回 - 第82回) |
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1980年代 - 1990年代(第83回 - 第122回) |
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1980年代 |
- 第83回 該当作品なし
- 第84回 尾辻克彦「父が消えた」
- 第85回 吉行理恵「小さな貴婦人」
- 第86回 該当作品なし
- 第87回 該当作品なし
- 第88回 加藤幸子 「夢の壁」/唐十郎「佐川君からの手紙」
- 第89回 該当作品なし
- 第90回 笠原淳「杢二の世界」、高樹のぶ子「光抱く友よ」
- 第91回 該当作品なし
- 第92回 木崎さと子「青桐」
- 第93回 該当作品なし
- 第94回 米谷ふみ子「過越しの祭」
- 第95回 該当作品なし
- 第96回 該当作品なし
- 第97回 村田喜代子「鍋の中」
- 第98回 池澤夏樹「スティル・ライフ」/三浦清宏「長男の出家」
- 第99回 新井満 「尋ね人の時間」
- 第100回 南木佳士「ダイヤモンドダスト」/李良枝「由煕」
- 第101回 該当作品なし
- 第102回 大岡玲「表層生活」/瀧澤美恵子「ネコババのいる町で」
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1990年代 |
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2000年代 - 2010年代(第123回 - 第162回) |
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2000年代 |
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2010年代 |
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2020年代 - 2030年代(第163回 - ) |
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