講談社Birth
講談社Birth︵こうだんしゃバース︶は、講談社文芸X出版部の文芸書レーベル。2009年5月刊行開始。原稿用紙換算200枚から400枚の長編小説を毎月募集し、最終選考通過作︵受賞作︶を刊行した。カバーアートも募集しており、刊行作品の表紙にはカバーアート部門の最終選考通過者のイラストが主に使われた。応募者は20代まで︵29歳まで︶に限られていた。出版部長は蓬田勝[1]。
小説・カバーアートの公募は2008年末より2011年5月末まで全30回行なわれた。2009年5月より3年間で、小説・イラストを合わせて100人の新人を出すことを目標としていた[2]
概要[編集]
文芸第三出版部系の文芸雑誌﹃ファウスト﹄が成功を収めたことから、対抗する形で2007年8月に刊行された﹃FICTION ZERO / NARRATIVE ZERO﹄を母体として創刊された。 小説・イラストの募集は2008年末に開始され、結果発表は2009年2月より毎月初めに公式サイト上で行なわれた。小説は原稿用紙換算で200〜400枚、イラストは3点1セットで募集していた。装丁はデザイナーの菊地信義が手掛けた。 毎月末が締め切りで、3週間ほどで1次選考通過作が発表され、締め切りの1ヶ月後には最終的な結果が発表されるという迅速さが特徴だった。1次選考通過作品・1次選考次点・それ以外の﹁気になる作品﹂には、編集部からのコメントが公式サイト上で公開された。 ﹁イラスト部門﹂は、第11回募集分より﹁カバーアート部門﹂に変更され、﹁写真でもオブジェでもコラージュでもかまわない﹂とされた[3]。刊行リスト[編集]
刊行年月 | 著者 | タイトル | 受賞回 | ISBN | カバーアート | 受賞回 |
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2009年 5月 |
松島健策 | 逆さ | 1 | ISBN 978-4-06-215486-4 | 竹谷嘉人(たけたに よしと) | 1 |
神郷智也(かんざと ともや) | 枯れゆく孤島の殺意 | 1 | ISBN 978-4-06-215473-4 | 和田鳥太郎(わだ とりたろう) | 1 | |
藤ノ木陵 | 駒、玉のちりとなり | S | ISBN 978-4-06-215474-1 | 日月沙絵(たちもり さえ) | ||
蟻沢ナツ | 草 愛づる | S | ISBN 978-4-06-215472-7 | 壱 | ||
6月 | 青葉奈々(あおば なな) | P・K | 2 | ISBN 978-4-06-282801-7 | タヤマ碧 | |
三角みづ紀 | 骨、家へかえる | S | ISBN 978-4-06-282802-4 | 虎硬(とらこ) | ||
7月 | 猫澤靖(ねこざわ せい) | エーテルの衝撃 | 2 | ISBN 978-4-06-282803-1 | 浅見喬 | 3 |
青柳碧人(あおやぎ あいと) | 浜村渚の計算ノート | 3 | ISBN 978-4-06-282804-8 | 桐野壱(きりの はじめ) | 第3回1次通過 | |
8月 | 石平ひかり | すごろくごはん | S | ISBN 978-4-06-282805-5 | にしたか | 4 |
ひらたひろと | マスゲーム | 4奨 | ISBN 978-4-06-282806-2 | 富岡二郎 | 5 | |
9月 | 岸穂花(きし ほのか) | たい焼娘と逃亡志願者 | 5 | ISBN 978-4-06-282807-9 | ホンダアキ子 | 1 |
10月 | 佐原一可(さはら いちか) | 不確定性の彼女 She has Null falsifiability | 6 | ISBN 978-4-06-282808-6 | 七生えり | 6 |
11月 | 寒竹泉美(かんちく いずみ) | 月野さんのギター | 7 | ISBN 978-4-06-282809-3 | 房野聖(ぼうの さとし) | 4 |
草間優紀(くさま ゆうき) | トライアングル | 7 | ISBN 978-4-06-282810-9 | いでたつひろ | 8 | |
12月 | 水島慶紀(みずしま よしき) | 欲望チャッター | 9 | ISBN 978-4-06-282811-6 | 荒谷武志 | |
2010年1月 | 石川佑(いしかわ ゆう) | 偽りの人々 | 9 | ISBN 978-4-06-282814-7 | 浅川慎一郎 | 6 |
2月 | 辛島デイヴィッド | 神村企画 The Making of the Next Kamimura | 10 | ISBN 978-4-06-282815-4 | 山代政一 | 10 |
留永法子(とめなが のりこ) | 僕に彼の愛の手を | 7奨 | ISBN 978-4-06-282816-1 | 戯あひさ | ||
3月 | 長島芳明 | 進駐軍がいた少年時代 | 11 | ISBN 978-4-06-282817-8 | 岡村礼菜 | 4 |
村田りねん | ゆきあかり | 11 | ISBN 978-4-06-282818-5 | トモ | 9 | |
4月 | 玉澤介(たまざわ かい) | 爆走! 芸人ドライブ | 12 | ISBN 978-4-06-282819-2 | ヤマ | |
うえむらちか | ヤヌス | S | ISBN 978-4-06-282820-8 | 虎硬 | ||
5月 | 青柳碧人 | 千葉県立海中高校 | 【2作目】 | ISBN 978-4-06-282822-2 | とみー | |
桑野日向 | セックスゲーム | 13 | ISBN 978-4-06-282823-9 | 竹谷嘉人 | 1 | |
6月 | 高橋己詩(たかはし こうた) | ちいさなこと | 10奨 | ISBN 978-4-06-282821-5 | 紫音 | |
7月 | 青柳碧人 | 浜村渚の計算ノート 2さつめ ふしぎの国の期末テスト | 【3作目】 | ISBN 978-4-06-282824-6 | 桐野壱 | 第3回1次通過 |
村上千晃 | プリズム | 15 | ISBN 978-4-06-282825-3 | 帯刀桃子 | ||
8月 | 西藤潤 | 覆面作家のため息 | 16 | ISBN 978-4-06-282826-0 | 久保いさこ | 14 |
(毎月刊行されていたが、4か月中断) | ||||||
2011年1月 | 七原七典(ななはら ななすけ) | 神の一球 | 20 | ISBN 978-4-06-282827-7 | 晴(はる) | |
5月 | 青柳碧人 | 浜村渚の計算ノート 3さつめ 浜村渚の水色コンパス | 【4作目】 | ISBN 978-4-06-282828-4 | 桐野壱 | 第3回1次通過 |
S:編集部スカウト作品
奨:奨励賞
第26回(2011年3月)受賞作、真生(しんせい)『まるで雪など降らなかったかのように』は2012年3月に講談社Birthレーベルではなく一般の書籍として講談社より刊行された。
小説部門受賞作[編集]
賞の特色である生年、応募時の年齢も付す。公式サイトでは「受賞作」と「最終選考通過作品」のどちらの表記も同じ意味で使われている。
回(発表年月) | 受賞者 | 年齢(生年) | タイトル | 刊行年月 |
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第1回(2009年2月) | 松島健策 | 23歳(1985年) | ジェネレーションXI(『逆さ』に改題) | 2009年5月 |
神郷智也 | 22歳(1986年) | エトリッヒ・タウベ(『枯れゆく孤島の殺意』に改題) | 2009年5月 | |
第2回(3月) | 青葉奈々 | 25歳(1983年) | P・K | 2009年6月 |
猫澤靖 | 26歳(1982年) | エーテルの衝撃 | 2009年7月 | |
第3回(4月) | 青柳碧人 | 28歳(1980年) | 浜村渚の計算ノート | 2009年7月 |
第4回(5月) | ひらたひろと 【奨励賞】 | 23歳(1985年) | マスゲーム | 2009年8月 |
第5回(6月) | 岸穂花 | 20歳(1989年) | たいやき娘と逃亡志願者 | 2009年9月 |
第6回(7月) | 四方サハラ(佐原一可に改名) | 25歳(1984年) | Null Falsifiability(『不確定性の彼女 She has Null falsifiability』に改題) | 2009年10月 |
第7回(8月) | 寒竹泉美 | 29歳(1979年) | 同時進行の恋(『月野さんのギター』に改題) | 2009年11月 |
一夕(草間優紀に改名) | 20歳(1988年) | トライアングル | 2009年11月 | |
留永法子 【奨励賞】 | 22歳(1986年) | 闘争―夢使いと穴使いと真白き子供の真黒き二十歳― | 受賞後に新作を書き下ろし、 2010年2月刊行 | |
第8回(9月) | 最終選考通過作品なし | |||
第9回(10月) | 石川佑 | 27歳(1981年) | 虚報(『偽りの人々』に改題) | 2010年1月 |
水島慶紀 | 28歳(1981年) | 欲望チャッター | 2009年12月 | |
第10回(11月) | 唐島日出刀(辛島デイヴィッドに改名) | 29歳(1979年) | 神村企画 (DOWN IN INC.)(『神村企画 The Making of the Next Kamimura』に改題) | 2010年2月 |
高橋己詩 【奨励賞】 | 21歳(1988年) | ちいさなこと | 2010年6月 | |
第11回(12月) | 長島芳明 | 29歳(1980年) | お父さんの少年時代(『進駐軍がいた少年時代』に改題) | 2010年3月 |
村田りねん | 27歳(1982年) | 雪あかりの町で(『ゆきあかり』に改題) | 2010年3月 | |
第12回(2010年1月) | 玉澤介 | 28歳(1981年) | 晩春ドライブ(『爆走! 芸人ドライブ』に改題) | 2010年4月 |
第13回(2月) | 嫩葉(桑野日向に改名) | 17歳(1992年) | セックスゲーム | 2010年5月 |
第14回(3月) | 橘えり 【奨励賞】 | 22歳 | rimmel | - |
第15回(4月) | 村上永弥(村上千晃に改名) | 20歳(1989年) | プリズム | 2010年7月 |
第16回(5月) | 西藤潤 | 27歳(1982年) | ネーム×ネーム(『覆面作家のため息』に改題) | 2010年8月 |
第17回(6月) | 月島南 【奨励賞】 | 24歳 | 涙の純度 | - |
第18回(7月) | 最終選考通過作品なし | |||
第19回(8月) | 最終選考通過作品なし | |||
第20回(9月) | 才動零神(七原七典に改名) | 21歳(1989年) | ソクラテスはお前一人じゃない(『神の一球』に改題) | 2011年1月 |
原悠 【奨励賞】 | 21歳 | 独裁家族 | - | |
第21回(10月) | 最終選考通過作品なし | |||
第22回(11月) | 田中タロウ 【奨励賞】 | 29歳 | 御園探偵 | - |
永峯弥生子 【奨励賞】 | 29歳 | あしたの産声 | - | |
第23回(12月) | 最終選考通過作品なし | |||
第24回(2011年1月) | 最終選考通過作品なし | |||
第25回(2月) | 須藤要 【奨励賞】 | 27歳 | メビウス・アイズ | - |
第26回(3月) | 真生(しんせい) | 24歳(1986年) | まるで雪など降らなかったかのように | 2012年3月 |
第27回(4月) | 最終選考通過作品なし | |||
第28回(5月) | 最終選考通過作品なし | |||
第29回(6月) | 最終選考通過作品なし | |||
第30回(7月) | 最終選考通過作品なし |
カバーアート部門受賞作[編集]
第1回〜第10回までは「イラスト部門」。第11回以降「カバーアート部門」。
賞の特色である生年も付す(生年が分からない場合は、応募時の年齢)。
回(発表年月) | 受賞者 | 生年 | タイトル | カバーアート担当年月 |
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第1回(2009年2月) | 和田鳥太郎 | 29歳(1979年) | 猫、愛を誓う | 2009年5月 |
竹谷嘉人 | 25歳(1983年) | 交差点 | 2009年5月、2010年5月 | |
Mig | 20歳 | たいいくの時間 | ||
ホンダアキ子 | 20歳(1989年) | 仲良し | 2009年9月 | |
第2回(3月) | 無我夢中 | 24歳 | Damage Dealer | |
齋藤淳 | 20歳 | ばうわう | ||
第3回(4月) | 浅見喬 | 21歳(1987年) | (※タイトルなし) | 2009年7月 |
第4回(5月) | 岡村礼菜 | 25歳(1983年) | 父ちゃんの仕事中 | 2010年3月 |
にしたか | 18歳(1990年) | 迫る何か | 2009年8月 | |
房野聖 | 21歳(1987年) | ALICE〜奇怪な物語〜 | 2009年11月 | |
第5回(6月) | 富岡二郎 | 22歳(1986年) | 団地 | 2009年8月 |
松尾ピルクル | 24歳 | 今日はそんなに寒くない | ||
第6回(7月) | 浅川慎一郎 | 27歳(1981年) | 六本腕 | 2010年1月 |
七生(七生えりに改名) | 21歳(1988年) | 物語かたり | 2009年10月 | |
第7回(8月) | 最終選考通過作品なし | |||
第8回(9月) | YM | 20歳 | ぼくのまちを紹介します | |
いでたつひろ | 25歳(1984年) | 生涯書生 | 2009年11月 | |
第9回(10月) | トモ | 24歳(1984年) | よくない夢 | 2010年3月 |
第10回(11月) | 山代政一 | 28歳(1980年) | 平気な顔で | 2010年2月 |
第11回(12月) | ウミヱイコ | 25歳 | ししまう | |
第12回(2010年1月) | 最終選考通過作品なし | |||
第13回(2月) | 最終選考通過作品なし | |||
第14回(3月) | kubo(久保いさこに改名) | 21歳 | assort | 2010年8月 |
第15回(4月) | 最終選考通過作品なし | |||
第16回(5月) | 長山千春 【奨励賞】 | 19歳 | エンジェル | |
第17回(6月) | 最終選考通過作品なし | |||
第18回(7月) | ぷ太郎 | 20歳 | - | |
第19回(8月) | らいおん 【奨励賞】 | 19歳 | - | |
第20回(9月)〜第30回(2011年7月) | 最終選考通過作品なし |
講談社Birthカフェ[編集]
第1回[編集]
講談社Birthカフェは、講談社Birthがスワンカフェ銀座店と協力して2009年10月13日〜24日に開店したカフェ。期間中は、新人イラストレーターの作品が展示され、小説家・イラストレーターを目指す人のためのイベントや、講談社Birthからデビューした新人をPRするイベントが行われた。
デビューを目指す人のためのイベント
●持ち込みカフェ ︵15、17、20、23日︶ - 小説・イラストの持ち込みを募り、質疑応答を行った
●小説家・イラストレーターを目指す講談社Birth世代のためのQ&A︵24日︶
講談社Birthおよび新人によるイベント
●装幀家・菊地信義トークショー ︵16日︶
●ひらたひろと﹁和製ぱんぐらむの世界﹂ ︵15日︶
●竹谷嘉人&虎硬﹁LIVEペイント﹂ ︵19日︶
●石平ひかり﹁幸せが飛び出す﹃すごろく﹄トーク﹂ ︵19、21日︶
●三角みづ紀﹁詩う朗読with パーカッション﹂ ︵20、23日︶
第2回[編集]
2010年5月24日から6月26日まで実施された。脚注[編集]
- ^ “講談社『Birth』編集長・蓬田勝氏 講義予告 11月20日!!”. 日芸マスコミ研究会. 2020年5月9日閲覧。
- ^ 2008年11月26日 朝日新聞東京版朝刊文化面参照
- ^ 公式サイト 「講談社Birth:第9回募集 イラスト・総評」参照