「緊急警報放送」の版間の差分
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なお、受信機のスイッチを自動的にオンにして行う放送として[[緊急告知FMラジオ]]などがあるが、これらは法令に基づく緊急警報信号を使用していないことが異なる<ref group="注">いずれに対応した受信機も起動できるように、法令に基づく緊急警報信号と受信機のスイッチを自動的にオンにするその他の信号を併用する例︵[[長岡移動電話システム|FMながおか]]︶もある。</ref>。
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なお、受信機のスイッチを自動的にオンにして行う放送として[[緊急告知FMラジオ]]などがあるが、これらは法令に基づく緊急警報信号を使用していないことが異なる<ref group="注">いずれに対応した受信機も起動できるように、法令に基づく緊急警報信号と受信機のスイッチを自動的にオンにするその他の信号を併用する例︵[[長岡移動電話システム|FMながおか]]︶もある。</ref>。
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[[地上デジタル放送]]や[[ワンセグ]]・[[フルセグ]]を搭載している[[カーナビゲーションシステム]]には、緊急警報放送を受信すると強制的に放送されているチャンネルへ変更し現在地から最も近い[[避難所]]へ[[ナビゲーション]]する機能が付属している<ref> |
[[地上デジタル放送]]や[[ワンセグ]]・[[フルセグ]]を搭載している[[カーナビゲーションシステム]]には、緊急警報放送を受信すると強制的に放送されているチャンネルへ変更し現在地から最も近い[[避難所]]へ[[ナビゲーション]]する機能が付属している<ref group="注">[[パナソニック]]のカーナビである[[Strada]]のCN-HW800Dなど。運転中でも強制的に変更されるが[[事故]]などの[[危険]]防止のため走行中は音声と避難所へのナビのみとなる。</ref>。
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== 概要 == |
== 概要 == |
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「緊急警報放送の試験信号をお伝えしました。この緊急警報放送は、津波などの際、自動的にテレビ・ラジオのスイッチを入れ、情報を伝えるものです」}} |
「緊急警報放送の試験信号をお伝えしました。この緊急警報放送は、津波などの際、自動的にテレビ・ラジオのスイッチを入れ、情報を伝えるものです」}} |
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以前は[[川野一宇]]元アナウンサーのアナウンスで﹁今から、緊急警報放送の試験信号をNHK○○︵各局︶から放送します﹂と各地の放送局名が含まれていたが<ref>当初は試験放送終了時のアナウンスには﹁大規模地震﹂という文言も含まれていた。これは冒頭で述べた2つに加え﹁大規模地震への警戒宣言﹂というものもあったため。</ref>、2018年4月より現在の形に更新された。なお、この更新の際に信号音の前に﹁'''受信機能を持った対応機向けの放送'''﹂である旨を知らせるテロップが追加された。
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以前は[[川野一宇]]元アナウンサーのアナウンスで﹁今から、緊急警報放送の試験信号をNHK○○︵各局︶から放送します﹂と各地の放送局名が含まれていたが<ref group="注">当初は試験放送終了時のアナウンスには﹁大規模地震﹂という文言も含まれていた。これは冒頭で述べた2つに加え﹁大規模地震への警戒宣言﹂というものもあったため。</ref>、2018年4月より現在の形に更新された。なお、この更新の際に信号音の前に﹁'''受信機能を持った対応機向けの放送'''﹂である旨を知らせるテロップが追加された。
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試験信号の発信後に使用される映像は基本的に全国共通であるが、2004年4月から2012年3月まで使用されていた試験放送では[[阪神・淡路大震災]]発生時の被災映像(倒壊した[[阪神高速3号神戸線]]の高架橋)が含まれていたため、近畿広域圏([[NHK大阪放送局]]発)に限り別の映像(開始初期から行っているイラストの静止画像のみ。イラスト自体は2004年以前のものと異なる)に差し替えられていた。2004年3月以前は、[[北海道南西沖地震]]で被災した[[奥尻島]]の映像が使用されていた{{要出典|date=2013年6月}}<!-- 出典:緊急警報放送の試験信号放送集(YouTube) ただし奥尻島かどうかは判別できず https://youtu.be/Qihxdn3Vk2c -->。 |
試験信号の発信後に使用される映像は基本的に全国共通であるが、2004年4月から2012年3月まで使用されていた試験放送では[[阪神・淡路大震災]]発生時の被災映像(倒壊した[[阪神高速3号神戸線]]の高架橋)が含まれていたため、近畿広域圏([[NHK大阪放送局]]発)に限り別の映像(開始初期から行っているイラストの静止画像のみ。イラスト自体は2004年以前のものと異なる)に差し替えられていた。2004年3月以前は、[[北海道南西沖地震]]で被災した[[奥尻島]]の映像が使用されていた{{要出典|date=2013年6月}}<!-- 出典:緊急警報放送の試験信号放送集(YouTube) ただし奥尻島かどうかは判別できず https://youtu.be/Qihxdn3Vk2c -->。 |
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2012年4月以降の試験信号放送ではこれまでの阪神・淡路大震災発生時の被災映像に代わり、[[東北地方太平洋沖地震]]([[東日本大震災]])の映像が、「地震発生時にNHK放送センター屋上の情報カメラから撮影された、[[西新宿|新宿新都心]]を映しつつカメラが激しく揺れる光景」「[[渋谷駅]]上空から撮影した、駅前に溢れる[[帰宅困難者]]」「宮城県上空で撮影された、沖合から押し寄せる津波」の順に使用されている。近畿広域圏も東京と同様の映像が使用されている。 |
2012年4月以降の試験信号放送ではこれまでの阪神・淡路大震災発生時の被災映像に代わり、[[東北地方太平洋沖地震]]([[東日本大震災]])の映像が、「地震発生時にNHK放送センター屋上の情報カメラから撮影された、[[西新宿|新宿新都心]]を映しつつカメラが激しく揺れる光景」「[[渋谷駅]]上空から撮影した、駅前に溢れる[[帰宅困難者]]」「宮城県上空で撮影された、沖合から押し寄せる津波」の順に使用されている。近畿広域圏でも東京と同様の映像が使用されている。 |
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=== 民放 === |
=== 民放 === |
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==== テレビ ==== |
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*[[青森テレビ]]︵JNN︶△︵毎月1日(1月のみ2日<ref>︵{{要出典範囲|ただし、2013年までは1月4日︵EPGより︶|date=2019年5月}}︶に実施。</ref>)、オープニング局名告知前︶
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*[[青森テレビ]]︵JNN︶△︵毎月1日(1月のみ2日<ref group="注">︵{{要出典範囲|ただし、2013年までは1月4日︵EPGより︶|date=2019年5月}}︶に実施。</ref>)、オープニング局名告知前︶
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*[[東北放送]](JNN) 不明(月1回) |
*[[東北放送]](JNN) 不明(月1回) |
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*[[日本テレビ放送網|日本テレビ]](NNN)△(不定期、放送休止中 / 過去は毎月1回実施していた) |
*[[日本テレビ放送網|日本テレビ]](NNN)△(不定期、放送休止中 / 過去は毎月1回実施していた) |
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1971年2月20日現地時間午前9時30分頃、コロラド州シャイアンマウンテンの空軍がテスト用と誤って全米のテレビやラジオの放送局へ本物のテープを流してしまい、後にAPワイヤ(現在の[[AT&T]])からの情報で誤報と解りすぐに訂正され通常放送に戻ったが一時騒然となった。この誤報に関わった空軍のスタッフは責任を問われて解雇されている<ref>https://www.nicovideo.jp/watch/sm12336592</ref>。 |
1971年2月20日現地時間午前9時30分頃、コロラド州シャイアンマウンテンの空軍がテスト用と誤って全米のテレビやラジオの放送局へ本物のテープを流してしまい、後にAPワイヤ(現在の[[AT&T]])からの情報で誤報と解りすぐに訂正され通常放送に戻ったが一時騒然となった。この誤報に関わった空軍のスタッフは責任を問われて解雇されている<ref>https://www.nicovideo.jp/watch/sm12336592</ref>。 |
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*第1世代 : [[:en:CONELRAD|CONELRAD]] (<u>Con</u>trol of <u>El</u>ectromagnetic <u>Rad</u>iation) - [[ソビエト連邦|ソ連]] |
*第1世代 : [[:en:CONELRAD|CONELRAD]] (<u>Con</u>trol of <u>El</u>ectromagnetic <u>Rad</u>iation) - [[ソビエト連邦|ソ連]]による核攻撃への対策の1つとして、[[ハリー・S・トルーマン|トルーマン]]大統領の指示で1951年に構築された。国家レベルの有事を想定したもので、空軍から専用電話でラジオ基幹局に伝えられた後、各支局に伝達し、そこから警報を放送する方式をとっていた<ref name="nhkbr100403"/>。 |
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*第2世代 : [[:en:Emergency Broadcast System|Emergency Broadcast System]] (EBS) - テレビ局も参加。政府機関から専用回線で連絡を受けた基幹局が規格化された可聴域の警報信号を放送、各地方局がそれを復調してそれぞれ放送している番組を中断、警報を放送し、準備ができ次第大統領のメッセージを伝えるしくみであった。当初は国家レベルの有事を対象としていたが、後期には各地方の非常事態や気象の警報などにも活用されていた<ref name="nhkbr100403"/>。 |
*第2世代 : [[:en:Emergency Broadcast System|Emergency Broadcast System]] (EBS) - テレビ局も参加。政府機関から専用回線で連絡を受けた基幹局が規格化された可聴域の警報信号を放送、各地方局がそれを復調してそれぞれ放送している番組を中断、警報を放送し、準備ができ次第大統領のメッセージを伝えるしくみであった。当初は国家レベルの有事を対象としていたが、後期には各地方の非常事態や気象の警報などにも活用されていた<ref name="nhkbr100403"/>。 |
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*第3世代 : Emergency Alert System (EAS) - 警報信号がデジタル符号化され、番組の中断や警報文の放送が自動化された。国家有事のほか、各州や郡単位の非常事態や気象警報、児童誘拐情報([[アンバーアラート]])等を対象としている<ref name="nhkbr100403"/>。 |
*第3世代 : Emergency Alert System (EAS) - 警報信号がデジタル符号化され、番組の中断や警報文の放送が自動化された。国家有事のほか、各州や郡単位の非常事態や気象警報、児童誘拐情報([[アンバーアラート]])等を対象としている<ref name="nhkbr100403"/>。 |
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=== イギリス === |
=== イギリス === |
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*[[イギリス]]には緊急警報放送に近い「Protect and Survive(プロテクト・アンド・サバイヴ)<ref>https://www.slideshare.net/kumicit/protect-and-survive</ref>」という非常事態用マニュアルが存在し東西[[冷戦]]時の[[1970年代]]から[[1980年代|80年代]]まで冊子 |
*[[イギリス]]には緊急警報放送に近い﹁Protect and Survive︵プロテクト・アンド・サバイヴ、防護と生存︶<ref>[https://www.slideshare.net/kumicit/protect-and-survive 防護と生存︵日本語訳版︶]</ref>﹂という非常事態用マニュアルが存在し、東西[[冷戦]]時の[[1970年代]]から[[1980年代|80年代]]まで冊子がイギリス国民に配布されたほか、[[英国放送協会|BBC]]によりテレビ放映されていた<ref group="注">映像構成や内容が不気味であるためイギリスには﹁Protect and Survive﹂に対し恐怖心を覚えている世代が存在するという。</ref>。
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*[[核攻撃]] |
*[[核攻撃]]時の[[避難]]方法から[[死体]]処理まで幅広くマニュアル化されている。 |
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== 注釈 == |
== 注釈 == |
2022年3月29日 (火) 11:44時点における版
概要
該当する地域の住民の生命・財産の保護のため、放送局が緊急警報信号(Emergency Warning Signal, 略称:EWS[1])と呼ばれる特別な信号を前置したうえで臨時に行う放送で、1985年9月1日から実施している[2]。以下の条件のいずれかに該当する場合に行われる ︵放送法施行規則第82条︵平成23年総務省令第62号による改正前は第17条の27︶及び無線局運用規則138条の2に規定している[3][4]。 ●(大)津波警報が発表された場合 ●災害対策基本法第57条に基づく都道府県知事や市町村長からの要請があった場合 緊急警報放送の受信に対応した受信機は、待機状態でも緊急警報信号を受信するための回路を作動させており、緊急警報信号を受信した際には直ちに電源をオンにして放送の受信状態に移行する。これにより、緊急警報放送の開始時に受信機の電源がオフの状態であったとしても、放送を受信することが可能である[3]。 緊急警報信号の形式はアナログとデジタルで異なる。アナログ放送では音声にFSK[注 3]の警報信号を多重するが、1024または640Hzの可聴音であるため耳で聞き取ることができる︵俗に﹁ピロピロ音﹂と称される︶。デジタル放送では放送波の中の制御信号︵音声等には変換されない︶に織り込まれているため、聞き取ることはできない[4]。ただし、デジタル放送では緊急警報放送の受信後、自動で電源が入った後はメッセージ︵﹁緊急警報放送が放送されています﹂︶が表示されるだけで警報音が鳴らない機種がほとんどのため、日本放送協会︵NHK︶ではデジタル放送でもアラーム代わりとして信号音を送出している。 放送の内容は通常の災害報道であり、安否情報や火の元の安全を呼びかける放送、津波の到達が予想される場合は警報・注意報の発表状況、津波の到達予想時刻などが繰り返し放送される。信号
緊急警報信号の種類
緊急警報放送の開始・終了の際に使用される緊急警報信号には第1種開始信号、第2種開始信号、終了信号の3種ある[3]。 ●第1種信号は 各自治体︵都道府県、並びに市区町村︶の首長から避難指示や緊急安全確保の発動がなされた場合などに送信される︵第1種、第2種ともに約16秒間鳴らされる︶。 ●第2種信号は (大)津波警報が発表された時のみ送信される。第1種信号は強制的に動作するが、第2種信号は受信側で動作させない設定が可能である︵特に海岸や川の河口からはるかに離れている地域や内陸の地域︶。 ●終了信号は、第1種開始信号や第2種開始信号が送信された場合、すみやかに送信される︵概ね10分以内。信号音は2秒間で4回鳴らされる︶。 ●試験信号は、終了信号と同一であるが、開始信号を送信することなく終了信号のみが送信された場合を意味する。試験信号は受信機が正常に動作するかを確認するための信号である︵事実上、緊急警報放送の定期放送ともされている︶。アナログ放送
アナログ放送では、音声搬送波にデジタルの警報信号を多重して送信される。開始信号が96ビット・終了信号が192ビットの長さ、通信速度64bps︵よって、開始信号は1.5秒間、終了信号は3秒間︶で、開始/終了、地域区分、日付や時間を示す情報が織り込まれている。この信号の情報は、FSK変調[注 3]により﹁1﹂を1024Hzの音声信号、﹁0﹂を640Hzの音声信号とするデジタル信号に変換されて音声搬送波に多重され送信される[4]。対応する受信器︵テレビ︶はこれを復調して信号を検出する回路を持っており、信号に応じてスイッチを入れるなどの動作をする[5]。なお、開始信号では受信確率が高まるよう4 - 10回、終了信号は2 - 4回繰り返される[4]。デジタル放送
デジタル放送では、制御信号の緊急警報放送識別子というデータで送信される。具体的には、伝送制御信号TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration and Control)の中の﹁起動制御信号﹂︵起動フラグ︶と、MPEG-TS信号のPMT︵Program Map Table︶の緊急情報記述子の中の信号、2種類を用いる。起動制御信号は全204ビットあるTMCCビット列の中の26番目に設定されており、これが﹁1﹂のときが緊急警報放送﹁放送中﹂、﹁0﹂の時が終了・通常放送中である。緊急情報記述子の中の関連する部分は、﹁1﹂﹁0﹂で放送中か否かを表す"start_end_flag"︵1ビット︶、第1種/第2種種別を示す符号︵1ビット︶、間に予備ビット︵6ビット︶を挟んで、地域符号の長さを示す符号︵8ビット︶、地域符号︵12ビット︶から構成される。受信機は起動制御信号を常時監視し、﹁1﹂となったら次は"start_end_flag"を監視し、これも﹁1﹂となったら緊急警報放送の受信を開始する。また、"start_end_flag"が﹁0﹂になるか、起動制御信号が﹁0﹂になれば受信を終了する。この信号は理論上はワンセグでも受信でき、現状機種は対応していない(ただし、ワンセグ対応携帯電話は一部機種を除きエリアメールで代用可能)が、その手法の検討がいくつか行われている[4][6][7]。 その信号を受信した放送局に合わせると、﹁このチャンネルで緊急警報放送が放送されています﹂︵シャープ製品の場合︶[注 4]というような情報が確認することができる。なお、対応機種はごく限られているため、すべてのデジタル放送受信機で表示されるわけではない。デジタル放送でも、アナログ放送のEWS信号音を音声信号と見なして放送できることが法律で認められている。地域符号
緊急警報信号には、特定の県にだけ警報を発する﹁県域符号﹂、より範囲の広い﹁広域符号﹂、全域に発する﹁地域共通符号﹂がある[4]。放送の制限
緊急警報放送はその役割から、放送法施行規則第82条及び無線局運用規則第138条に、規定された理由以外での使用をしてはならないとしている。しかしながら、2010年3月7日のTBSテレビ﹃サンデーモーニング﹄において、前週の2010年2月28日に放映した内容を録画放映した際に、チリ地震により大津波警報・津波警報・津波注意報が日本各地に発表されたときの緊急警報放送が入ったままのVTRを放映し、一部受信機が動作した事例が存在する。この事例では番組終了間際に終了信号の送信が行われた[8]。試験信号放送
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「今から、緊急警報放送の試験信号をNHKから放送します。緊急警報受信機をお持ちの方は、受信機が信号を正しく受信するかどうか確かめてください」 (信号音:終了信号と同じく2秒間で4回鳴らされる) |